東京ゲームショウ2009レポート

「東京ゲームショウ2009」、入場者数は185,030人
事務局による整理券の配布など工夫の見られたゲームショウ


9月24日~27日 開催(24日、25日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


今年の期間中の幕張メッセの外観。毎年大きな垂れ幕が掛かったり、入り口に様々なアドが掛かっていたが、今年はほぼゼロの状態。さすがに寂しさが感じられた
3ホールから2ホールに向けて。目の前がUbiのブース。その向こうはカプコン、レベルファイブなど大手メーカーでかなりの混雑具合だった
4ホールから5、7ホールに向けての風景中央にセガ、ソニー・コンピュータエンタテインメントなど大きなブースが並ぶ、手前は主催者ブースや海外パビリオンなど

 社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)主催による国内最大規模のゲームイベント「東京ゲームショウ2009」が4日間の会期を終え27日で閉幕した。4日間での入場者数は185,030人で昨年に比べ約10,000人の減少となる。

 細かく見るとビジネスデーとなる24日が27,435人、25日が24,605人、一般公開日となる26日が61,138人、27日が71,852人となった。同数字を見ると、昨年に比べ減っているのは3日目だけ。個人的な体感なので当てにはならないが、ビジネスデーは昨年に比べても寂しい感じだったが、一般公開日はかなり混雑していた印象だったので意外に感じた。

 今年の東京ゲームショウの印象は、やはり国内メーカーの出展社が減少しており、大手メーカーのみとなった点が残念なことだ。これまで出展してきたハドソン、マーベラスエンターテイメント、タカラトミー、SNKプレイモア、フロム・ソフトウェアといったメーカーが出展を見合わせたため、大きなブースばかりが並ぶ展開となった。昨年秋の金融危機が直撃した結果とも言える。メーカーがブース出展を見送っただけでなく、幕張メッセの表に掲げられていた横断幕や各種広告も軒並み減っており、そういった面でも寂しさを感じた。

 一方運営的には「TGS2009サポーターズクラブ」チケットの販売や、整理券の配布など新しい試みが導入されたのは評価できる。特に試遊台の整理券は一定の効果があったと思われる。もちろん午前中の早い段階で全ての整理券がなくなり、あとから来た人はプレイできないという状況ができてしまったが、ある程度は仕方ないだろう。ただ、ブース間の通路の混雑状況は相変わらずだ。これは各ブースで上映されている巨大ディスプレイを見ようとするユーザーが集まるためだ。メーカー側も「立ち止まらないでください」と声をかけるが、ある意味ジレンマとも言えるところだ。

 試遊を待つ行列ができることについてあれこれ書いてきたが、悪い面ばかりでもないだろう。それだけ人気があるということでもあるので、メーカーにとってもうれしい側面もある。例えば一般公開日に他社に比べ決して大きなブーストは言えないアクワイアブースにおいて出展されていたPSP「剣闘士 グラディエータービギンズ」の行列が60分待ちとなっていた。このソフトは名前の通っているソフトに比べれば知名度は低いかもしれないが、なかなか完成度の高い内容で、きちんとこういったタイトルに注目が集まっていることにうれしく思った。そういった部分については我々としても今後とも掘り起こしていけるようにしたいと思う。

 出展タイトルについては各社ブースレポートを参考にしていただきたいが、海外タイトルに出来のいい物が多く、業界関係者の中でも大きな話題となっていた。スクウェア・エニックスのブースでは大きく「CALL OF DUTY MODERN WARFARE2」の映像を流しアピールしていたが、多くの人たちが集まり映像を注視していた。高い技術力でゲームを作り上げるゲームメーカーはこれまでは「洋ゲー」として日本では取り上げられにくい側面があったが、かなりの勢いで浸透してきたといえるだろう。

 来年に向けゲーム業界がどう動くかはわからないが、ぜひともよりよいゲームショウとして進化していって欲しい。


中央になったボードには今年のキャッチコピーとなった「GAMEは、元気です。」が書かれている。この前で写真を撮る来場者は多い今年最も大きなブースの1つとなった、ソニー・コンピュータエンタテインメントのブース。サードパーティの人気タイトルも多数出展されていたため、多くの人で終日ごった返したマイクロソフトのXbox 360ブース。表側に設置された巨大スクリーンに見入る人も多かった。ブース内は試遊台が所狭しと設置されており、かなりの混雑具合だった
主催者側の整理券配布で周りに人が貯まることは少なかった……のだが、裏に設置された「ドラゴンクエストXI」のすれ違い通信が混雑を巻き起こし大変なことになっていたバンダイナムコブースは北側にステージ、南側に試遊台を並べるという仕組みになっていた。試遊タイトルも膨大なため、かなりの来場者が詰めかけたセガブースでは一般公開日は軒並み試遊台が入場者制限状態となり、混雑していた
「Metal Gear Solid Peace Walker」を中心に多くのタイトルを出展したKONAMI。「ときめきメモリアル4」なども多くの人がプレイし、入場制限などの状況となっていた250台のニンテンドーDSiの試遊台を設置し、流れるように展開したレベルファイブのブース。かなりの行列となったが、流れるようにシステマチックに進行していたので、混乱はなかった模様。しかし一律10分の試遊プレイの時間は少々短い気もする昨年ほどではないにせよ多くの人でにぎわっていたカプコンブース。イベントステージは毎回ぎゅうぎゅう詰めで、通路も大変なことになっていた
入り口の真ん前に位置した一等地となったコーエーテクモのブース。試遊台も1階のほか2階にも用意され、各タイトル共に潤沢に用意されていた大手キャリアの中では唯一の出展となったNTTドコモのブース。かなりの数の試遊機が用意されていたが、ブース内の通路が狭く、そこにかなりの来場者が集まったため、中はかなり混雑していたUbisoftのブース。他社ブースなどでもいわゆる洋ゲーが出展されていたが、メーカーとして出展ブースを構えていたのはUbisoftだけ
ソニー・コンピュータエンタテインメントブース内の「FINAL FANTASY XIII」の待機列用の看板。整理券を配布していたにもかかわらず周囲はいつも混雑していたやはり人気の「FINAL FANTASY XIII」。会場直後に整理券配布場に多くの人が集まった11時過ぎには軒並み配布終了のお知らせが並んだ
「グランツーリスモ5」のステアリングコントローラーを使用しての試遊機は100分待ちとなったセガブースで最も人気があったと言われる「ベヨネッタ」の試遊台。もちろん入場制限が掛かるほどの人気多くの試遊台を用意し時間を制限してシステマチックに対応したレベルファイブだが、それでも全ての来場者を捌くことができず、会場間もなく整理券の配布は終了した
27日の会場直後に整理券が配布されていた場所には長蛇の列ができあがった。配布はスムーズに行なわれたため、配布自体に混乱はなかったようだブース内により多くの試遊台を設置するために、2階建てのブースを設計するところもあった。写真はソニー・コンピュータエンタテインメントブース。この他にもコーエーテクモなども2階建てとなっていた
ソニー・コンピュータエンタテインメントブースの「3D立体視ゲーム」コーナー。平井氏の基調講演で来年からソニーグループとして3Dに本格的に取り組むことが明らかになったが、一足早くSCEJブースに試遊台が設置された。ゲームは「WipeOut」。常に人が並んでいる状態で、かなりの人気だった。このため最終日はゲームをプレイする人と、映像を見るだけの人に行列を分けたほどCoFestaブースの日本ビクターの「3Dディスプレイ」。こちらも毎回行列ができていた。また、一度見始めるとずっとその効果を確認していて、時間が来ても離れない人が多かった
こちらは東芝の「インタラクティブ3Dディスプレイ」3Dディスプレイとタッチセンサーを組み合わせた特別なもので、画面上を少し浮き上がるように動いている動物の上にカップで置くと捕まえることができるといった感じのデモを行なっていた。全くの研究段階と説明を受けた新型インフルエンザ対策と言うことで、あちらこちらに消毒・除菌スプレーが置かれていた。利用者もかなりいたようだコスプレについての説明も日本語だけでなく英語、中国語、ハングルで書かれている

(2009年 9月 28日)

[Reported by 船津稔]