EA SHOWCASE TOKYO 2009:注目タイトルをピックアップ
いよいよ完成した「FIFA 10」、大幅にスケール感をアップした「BFBC2」など豪華なラインナップ
9月23日、六本木ヒルズにて行なわれたプレスイベント「EA SHOWCASE TOKYO 2009」では、エレクトロニック・アーツが今後数カ月のうちに国内市場向けに投入する10あまりのゲームタイトルが紹介された。特筆すべきは、来年発売のものを含むほぼすべてのタイトルが、プレイアブル状態で出展されたことだ。
特に、発売が来月に迫ったサッカーゲームの最新作「FIFA 10 ワールドクラスサッカー」や、2010年春に発売を予定する「バトルフィールド:バッドカンパニー2」など、各シリーズの最新作は非常に高い完成度を見せており、要注目だ。
また、日本未発売ながら世界で高い評価を受けたSFホラーアクション「DeadSpace」を開発したスタジオVisceral Gamesによる最新サードパーソン3Dアクション「ダンテズ・インフェルノ」は、実にエグ味のあるアートデザインで話題を呼びそうだ。そのほかにも本稿では、ファン期待の「Left 4 Dead 2」などプレイアブル出展されていたその他のタイトルについてもご紹介したい。
■ 基本システムの進化だけでなく、練習モードやサインプレーの自作が可能になった「FIFA 10」
EAカナダ、エグゼクティブプロデューサーの牧田和也氏 |
試遊台の様子 |
360度ドリブル、フィジカルコンタクトの改良など、さまざまなアップグレードが施された「FIFA 10」 |
まず初めに、10月22日に発売が迫る「FIFA 10 ワールドクラスサッカー」についての情報からお伝えしよう。本作は、10対10のオンラインマッチなどの導入で好評を博した前作「FIFA 09」の基本を受け継ぎつつ、ユーザーフィードバックに基づいた改良や、これまでにない新機能を搭載することで、さらに完成度を上げたタイトルになっている。
新機能として大きなところでは、やはり今作で初めて実現した「360度ドリブル」が挙げられる。これまで8方向のデジタル的な動きに限られていたドリブルが、アナログスティックの入力でどのような方向にでも展開できるようになった。また、物理エンジンを活用することでフィジカルコンタクトがよりリアリティのあるものになり、これに応じて選手のAIも改良されるなど、より説得力のあるサッカー表現を目指して様々な改良が施されている。
こういった基本ゲームシステムの改良点については、すでにプレイステーション 3/Xbox 360向けに配信が開始されているデモ版にて体験した読者も多いと思う。だが、デモ版で体験できない範囲にも、シリーズ最新作ならではの新要素が満載だ。
そのひとつが、今回が初搭載となる練習モード「プラクティスアリーナ」。このモードでは、ゴールキーパーとの1対1から、セットプレイの練習、練習試合まで、多くのシチュエーションで練習を積むことが可能だ。練習試合では敵味方の参加人数を自由に調整でき、5対5でハーフコートサッカーのようなこともできる。EAカナダでシリーズの開発に携わる牧田和也氏によれば「ユーザーからの要望が非常に多かった」とのことだ。確かに、本作ならではの「スキルドリブル」や、各種の高度なテクニックをじっくり練習できるモードが加えられたことは、多くのプレーヤーにとって喜ばしいことだろう。
そして、その「プラクティスアリーナ」から利用できる画期的なシステムが「クリエイトセットプレイ」だ。このモードでは、フリーキックからゴールを狙えるオフェンシブサード内のセットプレイについて、各選手の動作パターンをかなり詳しく設定・編集・保存することができる。例えば選手Aがオトリになりディフェンスを引きつけ、選手Bが外から切れ込んでスルーパスを受ける、という感じだ。作成したセットプレイのパターンを保存しておけば、後の試合中に呼び出し、サインプレーとして活用できる。その内容は、試合状況や相手チームの特性に応じて、無限のバリエーションが考えられるだろう。
プレーヤー自身の顔写真を使って仮想選手を作り、ゲーム中に登場させることのできる「バーチャルプロ」機能も楽しい。オンラインの10対10対戦でも使うことができるので、オンラインクラブチームを作って全員がそれぞれのリアルな顔でピッチに登場する、なんて風景もあり得るわけだ。
このほか、現実のリーグ戦の試合結果を反映してゲーム中のチームパラメーターに反映する「ライブシーズン」機能がグレードアップし、各選手の怪我や、その他の理由による戦線離脱といったイレギュラーな状況にもしっかり対応できるようになったようだ。「ライブシーズン」のデータは基本的に毎週更新されるので、一種のサッカーニュースのような機能も果たす。欧州を中心とする6リーグについてサポートされ、各リーグ単位で有償で提供される予定だ(北米では5ドル程度、日本では不明)。
また牧田氏によると、監督としてチームの成長とキャリアアップを目指す「マネージャーモード」にも多数の改良が加えられ、より現実的なチーム運営や選手成長が実現したとのこと。ただ、今回会場に展示されていた特殊バージョンには「マネージャーモード」が組み込まれておらず、実際に見ることはできなかった。製品そのものはすでに完成し、あとは出荷を待つばかりとのことなので、まずは来月に迫った発売日を楽しみにしたい。
【FIFA 10 ワールドクラスサッカー】 | ||
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「FIFA 10」には、上記で紹介したプレイステーション 3/Xbox 360向けバージョンのほか、Wii向け、プレイステーション 2向け、PSP向けの各バージョンが存在する。すべてのプラットフォームで10月22日に発売予定だ |
■ マルチプレーヤーモードの楽しさをプッシュする「バトルフィールド:バッドカンパニー2」
乾いた大地で空陸の搭乗兵器が大活躍 |
プレーヤークラスは基本4種類。装備の持ちかえにより無数の設定がある |
プレイステーション 3/Xbox 360/PC向けに発売を予定する「バトルフィールド:バッドカンパニー2(BFBC2)」。今年6月に米ロサンゼルスで行なわれたE3 2009ではマルチプレーヤーモードのプレイアブル出展をしていた本作だが、今回はさらに力を入れてマルチプレーヤーモードの充実をプッシュしている。
今回プレイアブル展示されていた「BFBC2」で最も大きなトピックは、マルチプレーヤーマップとして広大な砂漠のステージが公表され、多種多様な乗り物を駆使するスケールの大きな戦いが披露されたことだ。
これまで本作のイメージとなっていた雪景色のマップと異なり、この砂漠のマップは地形の構成が非常にオープンで、スナイパーがポジションを取れば、戦場全体がほぼ見たわせるほど。そこに戦車、装甲車、ヘリコプター、ATVなど、様々な搭乗兵器が潤沢に出現。俄然、戦いは派手なものになる。
また、この砂漠のマップではゲームルールが「コンクエスト」となっているのも見逃せない。これは戦場に配置されたいくつかの拠点を奪い合いながら戦うルールだ。これまで公開されていた範囲では、金塊を爆破しながら前線を進めていく「ゴールドラッシュ」ルールの存在が既に確認されているため、マルチプレーヤーゲームのルール構成としては、少なくとも前作と同じバリエーションが当初から用意されているということになる。
「コンクエスト」ルール、オープンな砂漠、そして多数の搭乗兵器が存在することで、今回プレイアブル出展されていた「BFBC2」は、まるで往年の「バトルフィールド2」のような雰囲気がある。ただ、やはり本作はゲームシステム的に大きな進化を遂げているため、楽しみの質は大きく変わっているように思える。
本作における楽しみの質に大きく影響しているのが、進化した破壊のシステム「Destruction 2.0」だ。本作では、ほとんどありとあらゆるオブジェクトが破壊可能で、壁に穴を開けて銃眼代りにすることも、スナイパーが籠る建物を完全に倒壊させてしまうこともできる。戦車や攻撃ヘリといった重量級の搭乗兵器が暴れまわれば、あたりは半壊・全壊した建物だらけだ。それが歩兵の戦いに与えるインパクトは絶大で、ゲームの序盤と終盤では、戦いの激しさが全く異なったものになる。
本作の開発は終盤に差し掛かっており、ゲーム全体のブラッシュアップを進めているところのようだ。本作の対応プラットフォームは対応プラットフォームはプレイステーション 3、Xbox 360、PCで、欧州ではでは2010年3月5日、北米では3月5日の発売を予定している。日本での発売日はまだ確定していないとのことだが、前作と同様に、海外版と大きなズレなく発売されることを期待したい。
【バトルフィールド:バッドカンパニー2】 | ||
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よりオープンなフィールドで、スケールの大きな戦いを体験できる「バトルフィールド:バッドカンパニー2」のマルチプレイ。来年春ごろの発売を楽しみに待ちたい |
■ エグい演出がてんこもりの地獄3Dアクション「ダンテズ・インフェルノ」
「ダンテズ・インフェルノ」キーアートイメージ |
風景、敵のデザイン、音、動き、すべてが禍々しい |
SFホラーアクション「DeadSpace」を開発したスタジオVisceral Gamesが開発中の3Dアクションゲーム「ダンデズ・インフェルノ」は、大人のゲームプレーヤーに身の毛のよだつような世界観を提供してくれる。本作は叙事詩「神曲」の地獄篇をテーマとする作品で、主人公ダンテが巡った9つの地獄が、際どいアートセンスによりゲームステージ化されている。
ゲームの基本システムは、カプコンの「デビル・メイ・クライ」シリーズなどに代表される、ハイスピードなコンボアクションを基調とするものだ。ダンテの持つ武器、大鎌「デスサイズ」は、鎖によって長く延ばすことも可能で、非常にリーチのある攻撃を次々に繰り出すことができる。
そして、もうひとつの戦いの手段がダンテの持つ十字架だ。無害なNPCや弱らせた敵に対し十字架をかざすことで、その対象を「罰する」か「解放するか」を選択できる。そのどちらも、結局はその対象をゲーム世界から消滅させることになるのだが、選択の結果、専用のゲージにパワーが蓄えられる。そしてダンテは、そのゲージを消費することで大技を繰り出すことができる、という仕組みだ。
その上で、本作で楽しむことのできる最もユニークなコンテンツは、なんといっても「地獄」そのものの風景にあると言っていいだろう。異次元空間に迷い込んだかのような錯覚をさせる建築物、禍々しいオブジェクト、そこに潜むグロテスクな奇獣たち。濃密に構成されたゲーム空間にはひとつの自然物もない。
このような地獄の中で、パズル、探索、戦闘というゲームの3大要素が展開していく。プレイアブル出展されていた内容の範囲では、身の丈100メートルはあろうかという、女性型の大魔神を相手にボス戦を展開するシーンもプレイできた。これもある種のパズルになっていて、正面から戦うだけでなく、可動するゲームステージそのものの構造に目を向け、うまく利用する必要があった。
そのモンスターの造形もまた禍々しいもので、青白い肌で乳房をさらけだし、陥没した乳頭から幼虫じみた小型の悪魔がゾロゾロと這い出てくるという塩梅。まさにエログロの極みで、スクリーンショットを掲載するのが憚られるというレベルだ。このモンスターの他も、これでもかとばかりに身の毛のよだつアートデザインがなされており、ゲーム内容を知らずに迂闊にプレイするのは少々危険かもしれないほどのタイトルになっている。
エグ味の強いゲーム内容ではあるが、プレイした感触、ステージの構造など、ゲームとしての完成度そのものは非常に高いと感じた。本作はプレイステーション 3/Xbox 360およびPSP向けに2010年の発売を予定しており、CEROレーティングは審査予定となっている。
【ダンテズ・インフェルノ】 | ||
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本作「ダンデズ・インフェルノ」はプレイステーション 3、Xbox 360、およびPSP向けにリリース予定。2010年中の発売が予定されている |
http://www.eajapan.co.jp/
(2009年 9月 24日)