Electronic Entertainment Expo 2009現地レポート
SCEAブースレポート
PSP goを触ってみた!注目は「Uncharted 2」のマルチプレイモードと「Ratchet and Clank」
Los Angeles Convention Centerにおいて、6月2日より開催されているElectronic Entertainment Expo(E3)。Sony Computer Entertainment America(SCEA)は出展した企業の中でも最大級の規模でブースを展開し、タイトルをアピールしていた。
SCEAのブースでは特に「God of War III」が大人気でプレイ待ちの長蛇の列ができた。本稿ではブースの様子と共に、いくつかの注目タイトルを紹介していきたい。SCEAはブース紹介と共にメディア向けにタイトルの説明会を行なっており、注目タイトルに関しては別稿でもさらに紹介していきたい。
■ プレイアブルの形でPSP goを出展。手とモニターの位置の微妙な変化によるプレーヤーの姿勢に変化も!?
操作部分は手にすっぽりと隠れてしまうPSP go。操作をしているときは自然に脇がしまる |
新ハードのPSP goは入場者を制限するブースで展示しており、入場待ちの列ができていた。入り口には巨大なPSP goの模型が展示されており、ブースの中にはPSP goのポスターが貼ってある。多くの来場者がブースの中をのぞき込み、入場待ちの列に並んでいた。
実際に触ってみたPSP goは左右の操作スペースがスライド方式で下に移動しているため、ぱっと見た瞬間小さいと感じる。ボタン類はスライドを妨げないようにパネルより下になっている。PSP-3000はボタンやキー、スティック部分などが浮き出ているが、PSP goは横から見ると平面になっている。しかし、ボタンやキーの周りは一段深く作られてるため、キーレスポンスは良好だ。
コントロール部分を手に持つ感覚も両手の位置が近く、その上にモニターがあるので、モニターをよりのぞき込みやすいと感じた。これまでと比べ、両手の置く位置が近くなるため、プレイしている人の脇が自然にしまった形になるところが面白い。プレイしている姿勢が違ったものになる。長い間ゲームをプレイするとプレイ感は大きく違ったものになるかもしれないと感じた。
個人的には、これまでのPSPは手を置く位置とモニターが同一に並んでいたためモニターを直接手に持っているような感覚があり、両手の間にゲーム画面があるということに違和感があった。PSP goは操作パネルよりもモニターが一段せり出しているので、ゲーム画面により集中できそうだと感じた。今回残念だったのが、試遊機が金具でがっちり固定されていたため、操作部分をスライドして収納形態に変えることができなかったことだ。また、本体が軽量化したのかをはっきりと体感できなかった。
台と接続される金具が重く、本体そのものの持った感触として重量がはっきりわからなかった。このため、モニター部分と操作パネルのバランスもはっきりわからなかった。会場では、ピアノブラックのPSP go以外にも、パール・ホワイトバージョンも出展されていた。色が違うと機械全体のイメージが違って感じられた。ブラックは最先端なデバイス、ホワイトはきれいなデザインと言う印象だ。今後のカラーバリエーションの展開にも期待したいところだ。
大きな模型が展示されているPSP goコーナー。PSP-3000も出展されていた。ユーザーのプレイする姿勢が両機種で微妙に異なっていたのが面白かった。もう少し台との接続がシンプルだったら、より大きく違っていたかもしれない | ||
手の位置は、据え置き機に近いと感じた。パール・ホワイトバージョンは少なかった。モニターが前に出ているのは、両手に持ったときにゲームへの没入感を強めると感じた |
■ 圧倒的なタイトルを出展、「God of War III」に長蛇の列ができるが、その他のタイトルも人気
ブースを上から。左を見ると、「God of War III」のプレイ待ちの列が見える |
「God of War III」はギャラリーも多く、人気の高さを感じた |
SCEAブースは白いフレームで中央に大きく開けた空間を作り、サードパーティーのソフトも含め、非常に多くのタイトルを出展した。入り口はプレイステーションネットワークのタイトルを出展していたが、つり下げられた椅子に座ってプレイできる試遊台も用意されてユニークな雰囲気があった。入り口に立つと来場者は多数のモニターに映し出されたゲームの量に圧倒される。この“演出”の見事さを感じさせるブースだった。
SCEAで最大の人気を誇っていたのが「God of War III」だ。ブース中央で、20台近くの試遊台を設置しているにもかかわらず、プレイ待ちの長い列が続いており、いつの時間でも切れることがなかった。基本的に関係者しかはいることができないE3ではプレイ待ちの長い列ができるタイトルはそれほど多くない。試遊台の後ろにはプレイ画面が見える空間が用意されていたが、こちらも多くの人が画面を見つめ、モンスターを倒す主人公の姿に歓声を上げたり、同行者と話し合っていた。
中央にはこの他、「Uncharted 2:Among Thieves」の5vs5、「MAG」の6vs6対戦プレイが可能になっており、こちらも人気だった。FPSである「MAG」は来場者にとって親しみがあるのか積極的にプレイする人がより多く、2つの軍隊に分かれて激しく銃火を交わしていた。「Uncharted 2」のマルチプレイはシングルプレイ同様サードパーソンのシューティングだが、冒険をする本編と比べて、ひと味違った雰囲気だ。
中央を囲むように設置されているブース外周は2層構造になっており、上層は関係者が入ることができる場所になっている。下層は4台の試遊台と、中央に大きなモニターでタイトルをプレイできる空間となっていた。出展タイトルは「Ratchet and Clank Future:A Crack In」、「Uncharted 2」の協力モード、さらにEidosの「Batman Arkham Asylum」が出展されていた。
また入り口近くには、レベルファイブが開発した「White Knight Chronicles(白騎士物語)」と北米で発売したばかりの「in Famous」が出展されていた。「White Knight Chronicles」は北米でまだ発売日は未定だが、メッセージなどほとんどが英語化されていた。ゲームの説明を積極的に聞く来場者もいたり、関心の高さを感じた。
ブースの中央の奥は巨大なモニターに次々にサードパーティーのソフトの紹介が映し出されていた。ブース奥はサードパーティーコーナーになっていて、「鉄拳6」や「GHOSTBUSTERS」、「RED FACTION」といった各ブースの最新タイトルがSCEAブースでプレイすることが可能だった。この他にも、「BUZZ!Quiz World」や「Singstar Queen」といった自社タイトルも奥のコーナーに展示されていた。
PSPのコーナーはそれほど大きくないが、ソフトの数が圧倒的だ。「SOCOM:Fire Team Bravo 3」、「Gran Turismo」といった自社タイトルだけでなく、サードパーティーのタイトルも展示し、ラインナップの充実を大きくアピールしていた。全体的に、SCEAのパワーを強く感じさせられるブースだった。
■ パワフルな戦闘と、ユニークなアイデアのパズル要素が楽しい「Ratchet and Clank Future:A Crack In」
かわいらしいキャラクターデザインだが、かなり戦闘向けのバランスである |
SCEAの人気アクションゲームシリーズ最新作「Ratchet and Clank Future」はこれまでのシリーズ同様、「かわいらしいキャラクターが活躍するアクションゲーム」というジャンルの中で、シューティング色が強いゲームとなっている。敵キャラクターも目が大きいトカゲ人間など、外見はコミカルだが、攻撃はなかなかハードだ。
本作のおもしろさは、ユニークな武器にある。叫び声を上げて広範囲にダメージを与えるカエル型異星人を武器に戦ったり、相手を冷凍させる爆弾、手裏剣を打ち出す武器や、スコープをのぞき込むことで敵の弱点を知ることができるスナイパーライフルなどがある。敵を凍らせてから、動かなくなったところをスナイパーライフルで弱点を撃つ、といった複合テクニックでの戦いも楽しい。
今回主人公のRatchetは、相棒のClankと離されてしまっている。2人の別々なストーリーが展開する。Ratchetは足につけたジェットスケートで高速に動き回り、様々な武器を使いこなす。今回面白いギミックとして、水を吸い、吐き出す武器を使うステージが用意されていた。川の水を吸い取り、サボテンのような植物に与えると、植物はまん丸になり、ジャンプ台に変わる。
わらわらと襲いかかってくる小さな虫がいる場面では、別な使い方をする。この虫はRatchetを覆い尽くして倒してしまう存在だが、ある植物の蜜に吸い寄せられる習性がある。植物の蜜を吸い取り、地面に発射することで虫を避けることができるようになるのだ。この虫は命を持った壁に蜜をかけることで突破するという使い方もできる。
Ratchetと離されてしまったClankには、別の冒険が待っている。Clankは、魔法のような特別な力で様々な難関を突破していく。今回デモで紹介されたのは自分の行動を「録画」することで難関を突破するギミック。Clankは光るプレートにのることで、行動を記録することができる。例えばドアを開けるボタンを押す行動を録画する。再生すると半透明のClankが現われる。録画映像は質量を持っており、本体と同様ボタンを押すことができる。実像のClankは、その再生している映像のおかげで先に進めるというわけだ。
録画は光るプレートがある数だけできる。左右のボタンを押すためには2体のClankの録画が必要となる。「時間」を効果的に使うアイデアが面白い。ステージの攻略も楽しいものになりそうだ。この他にもClankは様々な能力を持っているということで、どのようなアイデアが盛り込まれるか楽しみである。
ヒドラタンク破壊に挑戦。油断すると倒されてしまう | ||
ポンプ型武器を使いこなす、パズル要素の強いステージ |
■ 冒険だけじゃない!協力プレイや対戦もエキサイティングな「Uncharted 2」
人に肩を貸して進むステージ。仲間の存在がありがたい |
SCEAのプレスカンファレンスで映像出展された「Uncharted 2:Among Thieves」は、その冒険の展開に喝采を持って迎えられた。目もくらむ高さの足場を進む主人公に襲いかかるヘリ。待ち受ける敵をなぎ倒しながら進んでいくが、ヘリの激しい攻撃でビル全体が崩壊する。隣のビルに向かって倒れるという絶体絶命のピンチを突破し、主人公は次に進んでいく。息もつかせぬ連続活劇だ。
ブースでは、「Uncharted 2」は協力プレイと対戦プレイのバージョンが出展されていた。対戦プレイは最大5vs5の対戦プレイが可能。人称視点のため、通常のFPSとは違った雰囲気だった。ステージは中央アジアを舞台としているようで、東洋的な文化を感じさせるのも面白い。建物に隠れて敵の隙をついて射撃というのが対戦で多く見られた戦いだった。
協力プレイは試遊では1ステージのみだったが、実際はストーリーモードを進めることでアンロックされ増えていく。協力プレイは今作の目玉要素で、シングルプレイでも濃密に協力を意識した場所があるという。クローズドブースで見ることができたのが、この協力モードを意識した専用のデモプレイだ。
このデモプレイでは、プレーヤーはけが人の肩を抱いて移動しているため、機敏に動くことができない。ここで頼りになるのが2人の女性。彼女たちがプレーヤーの前を進み敵を倒してくれる。背後からおそわれたときなどは急いで仲間の元に近づき、敵を認識させなくてはならない。仲間はAIで制御されており、彼らとの連携がステージ攻略の鍵になる。
仲間をかばって敵を倒すというゲームは、これまでもプレイしたことがあるが、仲間に露払いをお願いするというシチュエーションはこれまで体験したことがなかった。協力プレイはオンラインを介して3人でのプレイが可能だという。「バイオハザード5」など協力プレイに注力した作品が出てくる中、本作の協力プレイがどのようなものになるか注目したいところだ。
NPCと協力して進むモード。クローズドブースで体験できた | ||
こちらはマルチプレイ。風景やキャラクターに独特の味がある |
【SOCOM:U.S. Navy SEALs Fireteam Bravo 3】 | ||
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プラットフォームはPSPで、北米では今冬発売予定。最大16人の対戦モードを搭載した本格的なFPSだ |
http://www.e3expo.com/
□SCEAのホームページ(英語)
http://www.us.playstation.com/
(2009年 6月 5日)