ジークレスト、MMORPG「CroXino -クロシーノ-」の制作発表会を開催
伊藤賢治氏のテーマソングと、ザブングルなどお笑い芸人のギャグエモーションを導入

4月30日開催

会場:新宿キリストンカフェ東京



 株式会社ジークレストは4月30日、新宿キリストンカフェ東京にてMMORPG「CroXino -クロシーノ-」の制作発表会を開催した。このイベントで、「CroXino -クロシーノ-」のサービススケジュールや今後の予定、タイアップなどの企画が明らかになった。

 「CroXino -クロシーノ-」は韓国Nglim Softが開発するMMORPGで、韓国国内でもまだサービスはしておらず、日本で最初にサービスが行なわれる。サービススケジュールは5月14日からオープンβテスト、5月28日から基本プレイ無料のアイテム課金制の正式サービスをスタートさせる予定だ。正義と悪の対立をテーマにしており、オープンβテストからはギルドタウンをはじめに、様々な要素が実装されるという。

 発表会にはイメージソング「Beyond The Decision-Theme of CroXino-」を作曲した伊藤賢治氏が訪れ、イメージソングの制作秘話を語った。さらにお笑い芸人の「ザブングル」が登場し、芸人のギャグをゲーム内で使うことができる「芸人エモーション」の実装を発表、会場でも生「カッチカチやぞ!」のギャグを披露して会場を盛り上げた。



■ 5月14日よりオープンβテストを開始する「クロシーノ」。善と悪の対立をテーマに、様々なシステムを追加

最初に挨拶を行なったジークレスト代表取締役兼CEOの長沢潔氏
今後の予定を発表する「クロシーノ」アシスタントプロデューサーの高橋徹氏
サービススケジュール。オープンβテストでギルド戦の要素が入り、早い段階で正式サービスへ

 発表会では最初にジークレスト代表取締役兼CEOの長沢潔氏が登壇。「今回紹介させていただくタイトルは韓国開発ですが、日本が最初のスタートとなります。このタイトルを成功させるため、クローズドβテストの段階から数多くのユーザーの方に協力していただき、『ご意見番頭制度』という方式で意見を集計し、ゲームの中に取り入れています。これによりご満足いただけるタイトルになると思います。それ以外にも様々な取り組みを行なっていきますのでよろしくお願いします」と語った。

 「CroXino -クロシーノ-」(以下、「クロシーノ」)は善と悪の対立をテーマにしたMMORPG。カートゥーンレンダリングによる独特の3Dグラフィックスに特徴がある。キャラクタデザインは日本人イラストレーターの左氏を起用している。また、イメージソングには伊藤賢治氏を起用、独特のテイストを加えている。

 本作の大きな特徴が「ご意見番頭」という制度だ。ユーザーの代表を指名し、ユーザーと運営の橋渡しを行ない積極的にメーカーに意見を届けていくプレーヤーを育てていく。クローズドβテストの時点で座談会も開催されており、今後もユーザーの意見を積極的に受けていくという。

 プレーヤーは接近戦の得意な「ファイター」、魔法の得意な「メイジ」、弓攻撃などが得意な「レンジャー」の3つの基本職から1つを選びキャラクタを育てていく。オープンβ時のレベルキャップは40。レベル20でより特徴のはっきりした1次職に転職する。今後新しい基本職として「ローグ」が追加される予定だ。

 「クロシーノ」ではプレーヤーは善につくか、悪に付くかを選ぶことになる。初期レベルのクエストから2つの選択肢があり、選んでいくことでプレーヤーはどちらかの陣営に所属するようになる。レベル20になるころにははっきりと決まるようになり、以降、陣営の変更はできなくなるという。ギルドはレベル30から設立可能で、善か悪かの陣営を明確に決めなくてはならない。ギルドに入っている中で自分の属性が変わった場合は自動的に追放されることになる。

 この他、地上だけでなく「空」や「海」にも行けるところに本作の特徴がある。レベル10近くで「羽」というアイテムを手に入れると、制限時間内空を飛ぶことが可能になり、空を飛ぶ敵を倒したり、空中にある特別なアイテムを得ることができる。海では水中にある宝箱を探せる。酸素メーターという制限時間があり、溺れないように注意しなくてはならない。ダンジョンは動く足場などアクション要素が盛り込まれている。複数のスイッチを押さなくてはいけないといったトラップもある。ダンジョンの仕掛けに関しては今後も追加されていく予定だという。

 長沢氏の後は、アシスタントプロデューサーの高橋徹氏が登壇し、今後のアップデート予定やサービススケジュールの説明が行なわれた。「クロシーノ」は本日4月30日より会員登録の受け付けを開始し、5月12日にクライアントの先行ダウンロード、5月14日15時よりオープンβテストを開始する予定だ。この時、ギルドタウン、ギルドバトルも実装されるという。5月28日からは正式サービスを開始する。

 ギルドバトルは最大で100対100の対戦を行なう事ができるバトルシステム。1週間に1度限定のバトルフィールドで行なうことになる。ギルドは同盟を組むことも可能だ。勝ったギルドは「ギルドタウン」という専用のフィールドを得ることができ、ここにお金を投資することでギルドタウン専用の兵器や、防御用の壁、ギルド戦用スキルの開発などができる。また、1部のフィールドを貸し出し、露店より豪華な商店を他のプレーヤーが置くことができる。ただ現在では、次の週のギルドバトルに負けてしまうと今までの投資が無駄になってしまうという仕様になっている。このルールに関しては現在ご意見番頭と話し合いが行なわれているという。

 有料で販売されるプレミアムアイテムに関しては経験値を1.5倍にする「始祖竜の涙」、3種類のペットのうち1つが生まれる「光る卵」など40のアイテムが追加される。生産の成功率を上げるものや、一時的に能力を上げるものなど定番のアイテムが揃っているようだ。ギルドバトルでこれらのアイテムが必須のバランスになるかどうかが気になるところである。

 今後の予定としては、7月にローグの追加、髪型などの変更や、新マップが追加される。9月には2次転職、新ダンジョンなどの大型のアップデート、さらに2009年冬にもう一度大型アップデートが行なわれる。ここでは新しいギルドタウンの追加や、善悪によるキャラクタの見た目の変化などが実装される。ゲームバランスは常にユーザーからの意見を取り入れて検討していくという。

 戦闘以外の追加要素として、ユーザーによる指導者の選出、クーデターなどの政治要素。ギルドタウンによる特産品などのギルド間の貿易要素、生産要素の進化に、ダンジョンのギミックの追加も検討している。カジノや闘技場といった施設も考えている。また、善悪の対立に関しても、善と悪しか入れないフィールドや対立要素を深める要素なども予定しているという。「プレーヤーの行動がゲーム内を豊かにする」、という方向性でゲーム内の要素を追加していくとのことだ。


オープンβテストで入るギルドシステムと、正式サービス時の課金アイテム。比較的オーソドックスなラインナップだ
正式サービス後も様々なゲームシステムが盛り込まれる。積極的にユーザーの意見を求める体制はどんなコンテンツへと成長させるのだろうか
左氏によるキャラクタイラスト。真ん中と右は善と悪で別れるキャラクータイメージだ。外見の変化は今後実装予定だという
スクリーンショット。パーティープレイや空を飛んで戦っている様子が見える


■ 伊藤賢治氏のテーマソングやギャグエモーションなど盛りだくさんなタイアップ

タイアップなどの展開を発表した企画チームディレクターの大桑哲也氏
イメージソング「Beyond The Decision-Theme of CroXino-」を発表した作曲家、伊藤賢治氏

 ゲームの今後の要素の説明に続き、企画チームディレクターの大桑哲也氏から、「クロシーノ」における様々な取り組みが説明された。最初の取り組みが。「聖剣伝説」シリーズや「サガ」シリーズなどを手がけた作曲家、伊藤賢治氏によるテーマソングである。

 大桑氏の紹介で伊藤氏が登場すると、イメージソング「Beyond The Decision-Theme of CroXino-」が会場に流れた。この曲は壮大な戦いを予感させる曲から、ゆったりした女性ボーカルの声楽曲に転調するというユニークな曲で、「善と悪の戦い」をイメージしたものだという。伊藤氏は「この曲は半年前に作ったので、懐かしいですね」と、意外なところで「クロシーノ」の制作の難航ぶりが明らかになった。

 ジークレストからは「歌とBGMをミックスした曲」という伊藤氏いわく“贅沢な要求”で依頼が来て、歌とメロディを合わせる曲というのは伊藤氏も初めての挑戦だったという。2つの要素をバランスを考えて作り、そして1つのテーマソングにまとめ上げた。「やってみたいことは?」という質問に伊藤氏は「オンラインゲームの中で実際に登場し、その場で演奏するライブをやってみたい」と語った。実現したら非常に面白いアイデアだ。

 伊藤氏に続いて登場したのがお笑いコンビ「ザブングル」の松尾陽介氏と加藤歩氏の2人だ。ゲーム内で加藤氏の持ちネタ「カッチカチやぞ!」がエモーションとして入る、ということでゲーム内のエモーションと自分のネタを披露した。ゲーム内のエモーションでは、実際に加藤氏の声も入るという。お笑い芸人のギャグがゲーム内に実際にはいるのは、業界初だという。

 松尾氏が「今回ゲーム用に新しいネタがあります!」と無茶振りすると、加藤氏はさんざんじらしたあげく「すみません、ないです」と平謝り。「悔しいです」ともう1つの持ちネタを披露し、「クロシーノです!」とタイトルに引っかけて顔芸を披露した。ギャグエモーションの実装時期は発表されなかったが、この他にもTIMやにしおかすみこ、髭男爵、ダンディ坂野、小島よしおといったお笑い芸人のギャグが入るという。

 この他、「クロシーノ」は2009年の夏からは今回の会場となった「キリストンカフェ東京」とのタイアップを予定している。キリンストンカフェ東京はその名の通り店の内装にキリスト教の教会を要素を取り入れたレストランチェーンで、ここで料理を頼むとアイテムカードを手に入れることができ、ゲーム内で同じ料理が手に入る予定だ。


 今回、発表会で「クロシーノ」の説明を聞いて感じたのは「コンセプトに関するコンテンツが弱いのかな」という印象だ。善と悪の対立をテーマにするといっても、ギルドハウスを奪い合う仕様にしてしまえば、まずギルド対立が激しくなってしまう。何よりも、説明からは善ではどんな魅力があるのか、悪をプレーヤーが選ぶ理由がどんなものかわかりにくかった。現在1度決断すると変えられない仕様ということで、シナリオでプレーヤーが重大な決断に頭を悩ませるほどにのめり込ませられるか、興味のあるところだ。

 ユーザーの意見でゲームを調整していくという点は魅力的だが、ユーザーは快適なゲーム環境作りに関しては積極的に意見をするが、それが新しいユーザーを引っ張る魅力に繋がるかは難しいところだ。明確で強烈なユーザーを引っ張るための、何よりもこのゲームを作り、制作者がユーザーに訴えかけたいテーマをもっと強調して欲しいと感じた。

 伊藤氏の音楽、ギャグエモーションはユーザーにとってはうれしい要素だ。しかしこのゲームにそれが必要なのか、ゲームの方向性を考え、導入を決断したのかも見えてこない。本作のきちんとした評価は、まずはオープンβテストでゲームに触れてから、ということではあるが、今回の発表会では、もっと作品ならではの方向性と、コンテンツを入れるための主張を強く打ち出して欲しかった。今後の開発の推移を引き続き見守っていきたいところだ。


お笑いコンビ「ザブングル」加藤歩氏(左)と松尾陽介氏(右)の2人。加藤氏の声と共にキャラクターがギャグのアクションを行なった
加藤氏は「カッチカチやぞ!」と「悔しいです(クロシーノです)」を何度も披露。フォトセッションでもカメラマンの要求に応えていた

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(2009年 4月 30日)

[Reported by 勝田哲也]