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Niantic、次世代「Ingress」を日本でも発表!

Unityを用いた新クライアントにより、グラフィックスやUIが一新

12月4日 発表

 Nianticは12月4日、日本法人設立2周年を記念した発表会を開催した。発表会では、スマートフォン用リアル・ワールド・ゲーム「Ingress」の次世代版「Ingress Prime」を開発中であることが明らかにされたほか、Niantic日本法人による「Ingress」や「ポケモンGO」の昨年の取り組みなどが振り返られた。

【Ingress Prime】

「地方の活性化を目指す」Niantic日本法人の取り組み

Niantic代表取締役社長の村井説人氏
アジア統括マーケティングマネージャーの須賀健人氏

 はじめに登壇したのはNiantic代表取締役社長の村井説人氏。Niantic日本法人が設立から2周年、「Ingress」がサービス開始より5周年を迎えることに触れ、これまでNianticは「いかに多くのユーザーに楽しんでもらえるか」ということを念頭に置いて活動してきたという。

 「Ingress」の次世代版「Ingress Prime」についても、これまで同社が提供してきた現実とゲームが交錯する「リアル・ワールド・ゲーム」のように、「冒険する」、「体を動かす」、「発見をする」、「人との友情を育む」きっかけとなるゲームとなるよう努めていきたいと語り、発表会の幕を開けた。

 続いてアジア統括マーケティングマネージャー須賀健人氏が登壇し、過去1年間のNiantic Japanの歩みについて振り返った。はじめの話題は「Ingress」。本タイトルにおいては11月4日、日本では久々のイベントとなる「大阪アノマリー」を開催し、会場には6,000人ものユーザーが訪れて大盛況であったという。「Ingress」は次に控える「Ingress Prime」の準備のため、大幅なアップデートができていなかったにも拘わらず、イベントに積極的に参加してくれるユーザーに支えられたゲームコミュニティに対し、驚きとともに「今後一層気を引き締めていかなければならない」と感じたのだという。

6,000人ものユーザーが大阪を訪れ、アノマリーに参加した

 一方、「ポケモンGO」においても累計8億ダウンロードを超え、ユーザー全員が歩いた距離を合計した距離は158億kmにも及ぶことに言及。ローンチ時は初代「ポケットモンスター」からのポケモンが登場していたところ、「ポケットモンスター金・銀」世代ののポケモンの追加や、ユーザー同士が協力して挑む「レイドバトル」の実装、そして伝説ポケモンのレイドバトルへの登場などの継続したアップデートの取り組みにも言及し、これによりユーザー同士が日本各地でコミュニティを形成して、年齢や性別を超えて、「ポケモン」を一緒に楽しむ光景が見られたという。

 また、鳥取砂丘での11月24日から11月26日に渡る3日間のイベント「ポケモン GO Safari Zone in 鳥取砂丘」では延べ89,000人が鳥取を訪れ、その経済効果は18億円にも上ったことに触れ、Nianticは「地方に眠っている価値を掘り起こす活動に力を入れている」と述べた。続けて今後も「リアル・ワールド・ゲームタイトル」としての強みを生かし、「日本各地の観光資源をアピールする手伝いをしていきたい」とその抱負を語った。

ユーザー全員が歩いた距離を合計すると、158億キロメーターという途方もない距離になる
「ポケモン GO Safari Zone in 鳥取砂丘」では89,000人ものユーザーが鳥取砂丘を訪れた。その経済効果はなんと8億円
「ポケモンGO」が心身の健康に繋がるという研究成果も

より洗練された「Ingress Prime」

エグゼクティブプロデューサー・ディレクターの川島優志氏

 続いてはエグゼクティブプロデューサー・ディレクターの川島優志氏により「Ingress Prime」についての発表が行なわれた。「Ingress Prime」は完全な新規タイトルというわけではなく、「Ingress」のメジャーアップデートという位置づけであり、「エージェント」として保持しているレベルや実績は引き継がれるという。基本的なゲームシステムはそのままに、グラフィックス面やサーバー、クライアントのブラッシュアップが行なわれたバージョンとなるとのことだ。

 配信に関しては2018年のなるべく早い段階でのリリースを目指しているということで、今回の発表会のデモで見られたように、既に「ある程度は形になっている」ということで、フィールドテストとしてのクローズドβを行なう予定だという。また、現在「Ingress Prime.com」がオープンされており、サイトに登録をすることで最新情報が得られるようになっている。あわせて、「Ingress Prime」リリース後のクライアントの過渡期には「Ingress Prime」と「Ingress」が並行する時期もあるが、将来的には「Ingress Prime」に一本化する方針であることも語られた。

左が従来の「Ingress」、右が「Ingress Prime」のゲーム内画像。UIが洗練され、立体的な表現が可能に

 「Ingress Prime」はGoogle時代に作られたもので、サーバーに関してもクライアントに関しても非常に「贅沢な」作りであったと川島氏。「Ingress」をベースにした後発の「ポケモンGO」ではより最適化された作りになっており、それをいわば逆輸入するような形で近代化を図るのだという。クライアントに関しては新たにUnityを用いたものに刷新されるということで、これにより様々な機器への対応や、これまでより迅速なアップデートの適用が可能になるとのこと。

Unityを用いることにより、今後は様々なプラットフォームでの展開が可能に。今回は可能性の1つとしてVRによるデモが展示された

 続けて川島氏は「Ingress」は「ある程度プレイした上で、コミュニティと繋がりが持てる段階で面白さがわかってくる」のだと前置きし、「Ingress Prime」では新規ユーザーに対し、その「面白くなってくる」段階により早くたどり着けるようアプローチしていくのだという。一例として熟練のプレーヤーが新規プレーヤーに対するサポートをより行ないやすくする取り組みなどを検討しており、ゲームの面白さに直結する部分だけあって、チーム内でも熱い議論が交わされている最中であることを明かした。

今回はわずか数秒の映像のみが公開されたが、「Ingress」のアニメ化も進行中であることも明かされた
「Ingress Prime」の実機によるデモ。基本的なゲームシステムは「Ingress」と共通ながら、グラフィックスが大幅に進化していることがわかる

 「Ingress」のサービスが開始されてから5年。「Ingress Prime」は、「ポケモンGO」で培ったノウハウを盛り込んで、装いも新たに「リアル・ワールド・ゲーム」として再度出発を迎えようとしている。Unityの対応により、今後はVRを用いて"リアルワールド"を立体的な"仮想世界"で楽しむといういわば逆転のゲームとしての可能性までもが示されており、新たなゲーム体験の到来を予感させる。今後の展開が非常に楽しみだ。