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PlayStation VRでゲームの未来はここまで来た! 海外発VRタイトルレポート

9月21日~24日 開催

会場:幕張メッセ

 新作の発表で連日賑わう東京ゲームショウ2017。ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジアの主導にて、アジア圏のソフトメーカーが制作しているVRゲームのメディアセッションが近くのホテルで行なわれたのでレポートする。

 ジャンルや見どころも多種多様。この日のセッションに登場した国際色豊かな新作VRゲームのラインナップをここに紹介していこう。

Kill-X VR(VIVA Game)

 謎の島を探索するアドベンチャー、迫りくる敵と対峙するガンアクション、そして未知の怪物と遭遇するホラー。VRの醍醐味である“緊張感”を、これでもかと詰め込んだ注目タイトル。

 VRアクションゲームである本作の目玉は、なんといっても“両手カスタマイズシステム”。探索や戦いにあわせて、左右の手にそれぞれ別々の武器や道具を持って行動できる。ところがこのシステム、ただ強い武器を両手に持てばいいというわけではない。

 たとえば、暗がりの探索に必要不可欠な懐中電灯を片手に持てば、武器はもう片方の手にしか持てないことになる。また、武器と懐中電灯を持った状態では、回復薬を使用できない。……というように、状況にあわせてどんな道具を持ってゲームを進行するか、ちょっとした戦術が要求されるのだ。

 VRゲームといえば、つい“表現のリアルさ”に重きを置くものが多い中、こうしてアクションゲームとしてプレーヤーに求める“ゲーム性”や“戦術性”をしっかりと作中のシステムに組み込んでいることが好印象だ。なお、入力デバイスにはPlayStation Moveも対応する予定だという。

 主人公は、年齢不詳の元軍人。事故の末に辿り着いた謎めく無人島で、ヒロインと共に生き残るための探索を行なうが、やがて自らの身体に隠された大きな秘密に迫っていく……。

 敵にクリーチャーが登場したり、遮蔽物を利用した派手な銃撃戦が行なわれたりと、まるでハリウッド製アクション映画のような展開が続くが、レーダーやセンサーとして利用する道具にアジアンコンパス(中国で主に使用されているコンパス)が登場したりと、中国のメーカーであるVIVA Gameらしい国際色を意識した世界観を作り上げている。

 開発陣も自信を持ってお届けする本作。中国発の本格アクションVRゲームとして、発売が待ち遠しい。

GUNGRAVE VR(BLUE SIDE)

 日本のファンにはもうおなじみ、稀代のアクションコミック作家・内藤泰弘氏がキャラクターデザインを務め、REDエンタテインメント(当時:REDカンパニー)が2002年にPS2で発売した「GUNGRAVE」が、装いも新たにVRタイトルとして生まれ変わった!

 日本市場向けにゲーム開発を続けてきた韓国のBLUE SIDEが、REDエンターテインメントとソニー・インタラクティブエンタテインメントのサポートにより制作しているこの作品は、PS2やアニメで展開した原作の世界観やテイストをそのままに、VR向け作品に調整したガンアクションゲーム。

 特に、内藤泰弘氏が監修に加わっていること、オリジナルの声優である関智一氏が引き続き主人公・グレイブ役を担当することが発表されるとセッションルームに歓声があがった。

 本作の魅力は、FPS(一人称視点)とTPS(三人称視点)の融合。視点誘導が激しいVR作品はユーザーの疲労が溜まりやすいことが難点だが、敵の攻撃を回避する瞬間は三人称だが、醍醐味であるスタイリッシュなガンアクションシーンは一人称で……というように劇中でスムーズにFPSとTPSを移行することで、ユーザーの体力的負担を大きく軽減することに成功した。

 また、PS Moveなどのモーション型入力デバイスで両手拳銃のアクションを行なうと、あっという間に疲れてしまうとのことで、「GUNGRAVE」のスタイリッシュガンアクションを長時間楽しんでもらうためにも、あえて通常のコントローラーを基本の入力デバイスに選んだそうだ。

 これまでのシリーズの良い部分は継承しつつも、最新機種での発売にあたりユーザーのストレスとなりそうな部分や、より爽快なアクションが楽しめると判断した箇所については改善や変更を積極的に行なっている。追加コンテンツとして新ステージ、新キャラクター、過去の原作に登場したキャラクターも準備しているそうで、15年ぶりに蘇った「GUNGRAVE」は、このPS VR版を皮切りにPS4での展開も予定しているという。

 なお、BLUE SIDEは原作に携わったスタッフ、声優さんへ、引き続きお声掛けを続けているものの、まだかつてのシリーズに携わったメンバーの集合には至っていないそうだ。BLUE SIDEたっての要望としてここに記載するが、本記事をはじめ、各メディアで「GUNGRAVE」新シリーズスタートを確認したオリジナルスタッフや声優の皆様は、是非BLUE SIDEへのご連絡をお願いします。

Legion Commander(ChangYou Games)

 MMORPGとして展開している「Legion Commander」が、リアルタイムストラテジーカードシミュレーションとなってPS VRとPS4に登場。

 正直なところ、はじめは一人称視点ではないシミュレーションゲームのVR化という部分にピンとこなかったのだが、PS4との同時発売を前提に開発を進めているとのことで、あくまでファンタジー世界への没入感や視覚認識の強調を前提としたデバイスにVRを選んだ、ということのようだ。

 プレーヤーは3種類の種族のいずれか、3種類の得意分野のいずれかを選択し“指揮官(コマンダー)”となる。戦闘を重ねるほどに経験値が高まり、強い兵士やカードが手に入る。自軍を強化して、さらに強いCPUやプレーヤー同士の対戦に勝利するのが目的だ。

 プレーヤー自身のスキルや兵士たちの得意分野を考慮し、細部にわたる戦術を組み立てることの面白さこそ、シミュレーションゲームの醍醐味。しかも、1回の対戦は平均5分程度という短さのため、繰り返し様々なバトルを楽しめるのも本作の魅力だ。中には、対人戦でしか手に入らない貴重なコマンダースキルカードや兵士も存在するという。

 そして忘れてはならないのが“コレクション性”。指揮官の衣装や、ホームで飼うことのできるペットなど、バトルに関係しない部分のコレクション性も抜群。指揮官、兵士、ペット、能力、衣装……全てを揃えて好きなキャラクターを育て、より強い軍団を指揮したいというシミュレーションゲーマーの“やりこみ心”を刺激する。

 そうなると気になるのは、ランダム課金(いわゆるガチャシステムによる課金)の有無だが、これについては「ランダム課金は存在しない」とプロデューサーが断言。あくまでゲーム内の要素だけで、プレーヤーが満足する環境は整うということを強調した。

 激しいアクションこそない作品だが、世界観や派手なビジュアルを楽しみながら、自慢の戦術を披露する頭脳戦をVRを通じて味わうのも一興だ。

Fringe Wars(THINKINGSTARS)

 宇宙規模の戦争に身を投じ、宇宙戦艦に乗って戦うTPS。PS4とPS VRの両方で無料DL配信を予定している。

 数多のパーツを組み合わせて構築する自由度の高い宇宙戦艦カスタマイズ、宇宙空間ならではの360度全方位に展開される大迫力のバトル、拠点制圧戦や殲滅戦などの様々なルールを楽しめる競技性と、アクションゲームファン、シューティングゲームファン、果てはカスタマイズ要素にうるさいメカゲーファンやアセンブルマニアにまで、幅広い層にリーチする可能性を秘めた作品だ。

 本作の開発がスタートしたのは2017年1月。たった半年でここまで見事なグラフィックやゲームシステムを構成したことに驚いた。戦艦のカスタマイズは写真だと複雑なシステムに見えるが、コツさえ覚えれば、まるでブロックを積み上げていくかのように自由な形に組み上げていくことができる。動物に似た形状にするのも、憧れのアニメに登場する宇宙戦艦や戦闘機に似た姿にするのも、プレーヤーの自由。

 新人プレーヤーのために、基本的なカスタマイズがあらかじめ構成されている“設計図”も用意されている。まずはいくつかの“設計図”やパーツを集めて、徐々に宇宙戦艦の構築に馴れていくのがいいかもしれない。

 また、味方の回復や防御に適する護衛艦、長距離攻撃が得意な巡洋艦、素早く敵陣に斬り込む駆逐艦など、作中の宇宙戦艦には様々な特性がある。プレーヤーの得意なスタイルにあわせた戦艦の構築を行おう。

 バトルは基本的にTPS(三人称視点)で行なわれ、全方位からの攻防が発生する空間戦闘に適している。立体的なレーダーや相手からの攻撃方向がわかるマーカーなど、UIもSFライク。PS VR版にはFPS(一人称視点)のモードも収録されるそうで、コックピットの様子から、目の前に迫る敵機やレーザーまで、さらに間近に感じられるようになるだろう。

 DL無料の作品ということで、気になるのは有料部分。現在開発中のため未定の部分はあるが、プロデューサーによれば、戦艦のパーツの直接購入やランダム課金を検討しているとのことだ。

Ark Park VR(Snail)

 広いフィールドを探索し、箱庭のような空間で恐竜とふれあうことができる作品。サバイバルゲーム「ARK:Survival Evolved」のスピンオフタイトルとして開発が進んでいる。

 コンセプトは「子供のころに遊んだ恐竜のおもちゃをもっとリアルに見たくない?」。恐竜を育てたり、エサをあげたり、背中に乗ったり……たしかに、手のひらサイズのフィギュアでは感じられない楽しさがここにある。

 10のエリアに分かれた広大なフィールドを探索し、恐竜の遺伝子を集めることがゲームの目的。遺伝子を集めることで新たなエリアに行けるようになったり、新しいクエストが増えたりする。時間帯や天候などの条件によって現れるレアな恐竜や動物もいるようで、発見の喜びや達成感、コレクション性も大きそうだ。

 探索の中で恐竜の卵を手に入れれば、恐竜を4匹までペットとして飼うことができる。成獣になるまでエサをあげたり面倒をみないといけないが、自分の手で育てた恐竜が自分と共に冒険に出てくれれば、親心が刺激されるというもの。育てた恐竜には、ペイントを施すことも可能で、カッコいい模様を描いたり、愛らしい姿に魅せたりするのも思いのまま。

 育てた恐竜と一緒に冒険に出れば、誰もが子供時代に夢見た、恐竜の背中に乗っての移動も楽しめる。大自然の中を恐竜と共に駆けまわれ!

 10あるエリアのうちの2つは、戦闘が発生するエリア。作中は特殊な電磁波で恐竜たちがおとなしくなっている……という設定だが、この電磁波に異常が発生すると、恐竜が暴れ出してしまう。プレイヤーはその機械を調整したり、手がつけられないほど凶暴になってしまった恐竜を退治する役目も負っている。

 マルチプレイも対応予定であり、複数のプレーヤーと育てた恐竜を持ち寄って交流したり、他のプレーヤーと共に困難なクエストに挑んだりすることもできるようになる。また発売後の追加要素として、新たなフィールドの解放や水の中に潜っての探索も検討しているとのことだ。

 過酷な環境で生死と向き合うサバイバルゲームの「ARK」とは違い、戦闘こそあれ、全体的に穏やかな時間が過ごせる印象の本作。現実にはいない巨大動物との交流や、フィクションとリアルの境界にあるようなアクションが同時に楽しめる、VRゲームらしさの詰まった一本となることだろう。

VRの進化は止まらない。敬遠せず、1度はプレイを!

 というわけで、開発中の5本の新作VRゲームを紹介させていただいた。

 セッション中に聞いた興味深い話として、韓国はVRの研究を行なう企業を国が全面的に支援しているとのこと。娯楽の域を超えた人類の未来に繋がる研究に、惜しまず資本や人材を投入する姿勢には感心する。こうした研究が進めば、VRはゲームとしてだけでなく様々な分野に応用されていくことだろう。

 その足掛かりとして、まだVRを体験したことのないゲームユーザーは、1度でいいからVRゲームをプレイすることを推奨する。まだまだ一般ユーザーへの“しきい”が高い印象もあるVRゲーム。我々の生活の一部に当然のようにVR技術が投入される時代は、もう数年後に迫っているかもしれない!?