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Ubisoftの謎ゲーム「Transference」は狂気の脱出ゲーム
PTSD患者の記憶をたどり、原因となった惨劇を目撃する
2017年8月24日 18:39
ドイツで開催されているゲームショーGamescomで、UbisoftがE3でアナウンストレーラーを発表した謎のVR対応ゲーム「Transference」を体験することができた。本作は、俳優のイライジャ・ウッド氏が設立した映像スタジオSpectreVisionとUBI FuHouse、Ubisoft Montrealが開発しているサイコスリラー。VRでの利用を前提としているため、PS4/Xbox One/Windowsのほか、 PlayStation VR、HTC ViveとOculus Riftで遊ぶことができる。
今回は、Oculus Riftを使って、開発中のバージョンを15分間ほどプレイすることができたので、謎のゲームがいったいどういったものなのか、インプレッションをお届けしたい。VRでのプレイなのでスクリーンショットがないが、画質や解像度は同社のコンソール用と遜色のないハイクオリティなものだった。
最初にゴーグルを被る前に、これから見る映像がどういったものなのを解説する短い動画を見た。それによると、これはウォルターというPTSDを患っている患者の記憶を映像化したものだということだ。このゲーム世界では、人の記憶を外部化することができるようになっており、プレーヤーはその被験者に選ばれたという設定だ。
ゴーグルを被ると、どこかの家の廊下に降り立つ。どことなく陰気な雰囲気の廊下は、視線の先で別の廊下とT字に交差している。そこに、薄暗い影のような姿の少年が立っている。少年は、こちらに向かって「お父さん?」と呼びかけ、廊下の電気を消す。
次に明かりがつくと、時代は数年後になっている。先ほどと同じ場所だが、家は無残に荒廃している。ここからゲームがスタートする。基本的にはホラー要素のある脱出ゲームといったところで、Oculus Touchを使って部屋の中にあるものを持ち上げて、使ったり特定の場所に運んだりすることで、シーンが切り替わっていく。
場所の移動は、Oculus Touchの左スティックで移動、右スティックで視点を動かす。家はそれほど広くはなく、入れる部屋も最初はリビングとキッチンだけなので、移動しまくるゲームというよりは、1カ所に立ってじっくり周囲を眺めてヒントを探すというタイプだ。
本作は、時代を行き来して謎を解いていくというストーリーだが、そのトリガーを握っているのが家の電気スイッチだ。電気を消すと瞬間真っ暗になり、つけると同じ場所の別の時代にワープする。
この機能を使って、例えばある時代にはかぎが掛かって閉まっている扉も、別の時代にいくとそのカギが台所の目立つ場所にぶら下がっていて、それを持ったまま時間を移動すれば、カギを開けることができる。息子と父親が一緒に写った写真は、ある時代には外れてしまっているが、それを元の場所に戻すと別の時代の息子の行動が変化する。重要なオブジェクトは、映像の揺らぎが激しいので、ちらちらと動いているものを探せばどこかにヒントがある。
そんなふうに行き来しているうちに、時折、ライフルを持った男が襲い掛かってくることがある。もし出くわすと問答無用で銃口を向けてくる。そこで撃たれてまたリスタートということになる。男は、最初はリビングに、そして次は地下のガレージに現われる。謎を解いていけば、やがて安全なガレージに入れるようになるが、そこは、記憶が混乱しているのか、スコップや工具など様々なものが宙に浮かび、赤い光で満たされた異様な空間になっている。
この家の地下ガレージで何かの惨劇が起こったということは、それまでのプレイで推測ができるが、ストーリーが進行していくと記憶はどんどん混乱していき、息子の声は断片的になり、最後にはガレージがただの赤い空間へと変貌する。
その赤い部屋でギミックを解くと、ドアが現われる。ドアの向こうには、さっきまで何度も自分に銃を向けてきた男が、幼い息子の姿とぶれるように立っている。それで、この男が大きくなった息子なのだとわかる。男は、手にしていた銃を構えると主人公の目の前で、それを自分の喉に当てる。
映像はそこで途切れ、今回の実験は終了となった。このバージョンは、開発段階のもので、今回のシーンもそのままゲームに入るかどうかはわからないという、そちらも実験的なものだそうだ。まだまだコンテンツの模索が続いているVRだが、目の前のオブジェクトをゆっくりと観察して謎を解いていく脱出ゲーム系のサスペンスは、没入感も併せ持って非常にVRとの相性がいいジャンルだ。本作が最終的にどのような作品になるかは不明だが、Ubisoftのスタイリッシュな演出と、映像美で狂気に満ちた記憶の旅を楽しませてくれるはずだ。