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【特別企画】ノビコフは7度死ぬ……「HITMAN」の奥深さをパリで語る
ステージの緻密さ、アプローチの多彩さ、これぞ究極の“暗殺者物語”
2017年8月7日 07:00
「HITMAN」がついに8月10日に発売となる。本作はシリーズの魅力である“暗殺”にフォーカス。1つの建物や、区画をまるまるサンドボックスタイプのマップとして作成、多くのNPCが行きかい、様々なイベントが進行していく中、プレーヤーは伝説の暗殺者47として不可能とも言える暗殺を、無数の選択肢とプレーヤーのアイデアを組み合わせ、いかに暗殺を実行していくかにチャレンジする、非常に自由度の高い作品である。
「HITMAN」は独特なゲームである。暗殺を成功させるにはフィールドを歩き回り、様々な要素をチェックし、そしていかにうまくいくかを試行錯誤していく。暗殺方法は1つではなく、いくつものアプローチが用意されている。そして積み上げた経験がさらなる“暗殺の方法”を提示してくれる。やりこむほどに、のめり込むほどに楽しいゲームなのだ。
発売を直前に控えた今回、本稿ではステージの1つである“パリ”に特化し、本作の魅力を語っていきたい。ネタバレ要素もあるが、「HITMAN」がいかに奥深く、たっぷりと楽しめるゲームであるか感じてもらえるはずだ。
全てを把握し、不可能を可能にする。伝説の暗殺者になりきれ!
最先端のクチュール(仕立て、縫製)ブランド「サンギーヌ」。そのブランドのオーナーが「ヴィクター・ノビコフ」だ。彼は実は裏社会で暗躍し、金でこの地位を得た。彼は各国の機密を売買する犯罪組織「IAGO」のリーダーなのである。パリでのファッションショーをカモフラージュに、その裏では各国機密情報の闇オークションを行なっているのだ。
そしてもう1人のターゲットが、元スーパーモデルの「ダリア・マーゴリス」。彼女はノビコフのパートナーだが、IAGOの真の“頭脳”と言える存在であり、彼女こそが真の脅威なのだ。ファッションショーは客に溢れ、給仕やガードマン、そしてショーのスタッフが入り乱れており、オークション会場は武装したボディガード達に厳重に警護されている。この状況で47はどのように暗殺を成功させるのだろうか。
弊誌では一度パリのステージを取り上げているが、今回はさらにしっかりとプレイし、隅々まで体験できた。パリのステージはファッションショー会場となる大きな建物が舞台となる。正面入り口から続くエントランスホール内は招待客などでごった返し、ホール中央には2階へと続く大階段が伸びている。階段口にはボディガートがいて一般客は上がれないが、ガードマン、給仕などは行き来することができる。大階段の側面にはドアがついており、従業員の控え室や、食事を準備する厨房、警備センターがある地下に続いている。
大階段の脇を通り建物の奥に向かうと、大きなホールにファッションショーのステージがある。ステージには大きなキャットウォークがあり、きらびやかな照明の中で、モデル達が闊歩する。多くの人々がモデル達を見つめており、その豪奢な雰囲気に圧倒される。ホール右手の大部屋にはバー用意され、ここもたくさんの人達が談笑しており、そこからテラスに続いている。ホール左手の大部屋はモデル達の控え室だ。また、骨董品やジオラマを展示している一角もある。
建物の外には庭園もあり、こちらも豪華な雰囲気だが、奥の方は警備が厳重で、ボディガードに見つかると追い払われてしまうし、侵入がばれると銃を突きつけられる。ボディガードがサブマシンガンを持って歩いており、かなり危険な雰囲気だ。大型のヘリが止まっている区画もあり、ここを探索するのは注意が必要だ。
2階へはいくつかの階段がある。ガードマンや給仕などの姿ならばここまでは行けるが、ここから3階に上がろうとすると厳しい。かなりの権限のあるボディガードの服を手に入れたとしても3階への階段を警護しているボディガードは同僚の顔を把握しており、近づくとすぐばれてしまう。このため、屋敷の外壁をよじ登っていくのが有効な潜入手段になりそうだ。2階での給仕の服(1階のものとは異なる)を手に入れておけば階段は上れるが、この時はガードマンによるボディチェックがある。銃などを持っている場合は、ばれてしまうので注意が必要だ。
探索し、調査し、組み合わせることで実行できる暗殺。トライ&エラーの楽しさ
その場所に何があり、人はどう動くか……こういった情報はトライ&エラーが必須となる。目論見が外れてガードマンなどに囲まれてしまった場合はリスタートしてしまった方が早い。幸い「HITMAN」ではどこでもセーブが可能なので、例えば目標を気絶させるときなど、目撃されると決定的になってしまう行動を起こす前にセーブしておけば良い。周りに人がいないように見えて意外なところから見られていたりもするのだ。
探索し、マップを調べて覚えていく。1人でいるガードマンや、隙ができるポイント、気絶した対象を隠しておけるロッカーや箱の位置など様々な要素を覚えることとなる。この探索の間に、意外なアイテムを見つけたりする。これらをうまく使って、より有利な状況を導いていくのだ。
こう書き出すとハードルが高いゲームのように感じるかもしれないが、本作には「アプローチ」という要素がある。ノビコフのお気に入りのカクテルや、ダリアの秘書のミス、顔を隠した要人など、パリではいくつか暗殺のチャンスを提供するアプローチがあり、その場所も提示される。初心者はそのヒントを頼りにターゲットへのアプローチ方法を学んでいくのだ。
しかし、それでもすぐに暗殺ができるわけではない。ノビコフ、ダリア共に専属のボディガードがそばを離れないので、彼らをどうやって引き離すかも大きなテーマになる。またアプローチポイントにスムーズに近づくためのマップの把握や、変装の入手方法の知識なども求められ、経験を積むほどにうまく立ち回れるようになる。
2階と3階を繋ぐ作業用ハシゴがあり、これを使えば発見されずに3階に行けること、ボディガードがある場所でつまみ食いをすること、食べ物に毒を入れるときには給仕の姿をしていればばれないこと、どこに武器があるか……などなどさまざま知識が蓄えられ、より「うまいやり方」が見えてくる。これらを組み合わせることでスマートに、効率的に、そしてカッコ良く暗殺者として動けるようになるのである。
現在の筆者は、どこに行けばスマートに変装が手に入り、誰ならば安全に気絶させられるか把握しているし、アプローチの位置もわかっている。その上でいくつもの暗殺方法ができるし、脱出経路も色々なものが使える。これらを把握した上でよりテクニカルでスマートな暗殺が可能となる。「HITMAN」はやりこむほどに楽しいゲームなのである。
多彩なノビコフの死に様。様々な暗殺への手順
経験と知識を深めることでどういったことができるか、その1例として「ヴィクター・ノビコフの死に様」をまとめたムービーを作ってみた。あえてアプローチや経過は載せず、“どう暗殺したか”だけを抜き出してみた。彼はムービーの中で7回の死を遂げる。
「HITMAN」は自由度の高いゲームである。その気になればヴィクター・ノビコフが1階の大階段から派手に観客達の前へ登場した時にサイレンサー付き拳銃で撃ち抜くことも可能だ。もちろんこんな暗殺をしてはすぐに47は敵に囲まれ倒されてしまうが、脱出経路と方法をきちんと考えておけば、この方法も可能かもしれない。「HITMAN」ならそういうやり方もあるのではないか、と思えるところが本作の魅力だ。
しかしノビコフの死に様には力が入っている。溺死、転落死、爆殺に毒殺……今回筆者が試みた方法以外でも方法はあるだろう。まだまだ“暗殺のチャンス”はある。単純に目的を達成するだけでなく、手段にこだわれるところこそ、本作の魅力だ。
そして、パリは本作の7つ(チュートリアルステージ含む)あるステージの1つで、他にも個性的なロケーション、そしてターゲットが用意されており、アプローチも多彩だというところは、強調しておきたい。さらに本作のターゲットは1ステージに1種類だけではない。同じステージで別の人物をターゲットにしたミッションや、オンラインで他のプレーヤーの“挑戦”を受け、他のプレーヤーが成し遂げた難しい暗殺を実行するという「コントラクトモード」も用意され、様々なシチュエーションでミッションを楽しめるのだ。
弊誌では「HITMAN」が発売される8月10日に他のステージやより幅広い遊び方、ゲーム全体の楽しさを紹介するレビューも掲載する。こちらも楽しみにして欲しい。
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