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【特別企画】きつすぎない?「アラド戦記」新コンテンツ「ルークレイド」の疑問
韓国版と全く違う高難易度の理由をネクソンが回答
2017年8月1日 16:00
「『アラド戦記』の『ルークレイド』がきつすぎます!」。きっかけは読者からの編集部宛のメールだった。ネクソンのWindows向けオンラインアクション「アラド戦記」で、6月28日に実装された新コンテンツ「ルークレイド」の難易度がきつく、ユーザー間で検証したところ、先行して実装された韓国のものと比べると明らかに難易度がきつくなっているというのだ。
本当にそういう難易度の違いが出てしまっているのか? それはどういった理由で、どういった想いでそういった難易度調整になってしまったのだろうか? 今回、この質問を「アラド戦記」運営・開発にぶつけてみた。
オンラインゲーム、特にMO/MMORPGでは高レベルプレーヤー向けコンテンツはそのゲームを知らない人にとってわかりにくい状況がある。しかしその世界にずっと住んでいるプレーヤーにとって、理不尽に感じることや、疑問に感じることの問題は大きい。「ずっと住んでいる心地良い世界」が急にそうでなくなってしまったら……という心配は深刻だ。
そしてもちろん、サービスする運営側も「もっと楽しんで欲しい、ずっとこの世界で冒険をして欲しい」と思っている。しかし、今回のように両者の想いがずれてしまう場合もある。今回はネクソン側に取材し、現在明らかにできる今後の予定や、運営側の想いなどを聞いてみた。
最強難易度を誇るルークレイド、日本版では“4倍”の防御力!?
まず最初に、今回問題となった「ルークレイド」の概要を説明し、ユーザーの現状を紹介していきたい。ルークレイドは毎週木曜日と土曜日にそれぞれ1回ずつ進行することができる。このレイドに参加するにはキャラクターレベルが90以上で、NPC商店で「黒白の守護箱」を購入することで挑戦できるようになる。ルークレイドは最大8人で挑戦可能だ。
レイドは「創造の公宮(1フェーズ)」、「超越の聖殿(2フェーズ)」で構成される。「創造の公宮」は、誕生の聖所、消滅の聖所、波及の聖所という3つのダンジョンが配置されている。これらのダンジョンはそれぞれさらに3個のフィールドに分割されている。ダンジョンには様々なギミックが仕掛けられており、この後に挑戦することとなる「超越の聖殿」の難易度や制限時間に関係してくる。
「創造の公宮」の3つのダンジョンをクリアすることで「超越の聖殿」に挑戦できるようになる。「超越の聖殿」は「光のルート」、「闇のルート」があり、片方をクリアすることでもう片方のルートに挑戦できる。ギミックは複雑で敵の法則性など攻略要素が多い、まさに“最強”と呼ぶのにふさわしいダンジョンとなっている。プレーヤーはこの複雑で厳しいダンジョンにいかに挑戦するか、挑戦心をかき立てていたという。
しかし実際に導入されたルークレイドの難易度に、「アラド戦記」のユーザーは悲鳴を上げることになってしまった。「敵が固い」のである。予想を大きく超えるこの敵のタフさにユーザーは困惑することとなった。コアなプレーヤーが検証したところ先行して実装された韓国版と比べると「4倍」もの防御力があるという。
この“4倍”という数字がユーザーに衝撃を与えている。中にはこの難易度に挑戦心をかき立てられクリアしたというスーパープレーヤーもいるとのことだが、「アラド戦記」を楽しむ多くのプレーヤーからは、「せっかくの新コンテンツなのに遊べないのはおかしいのではないか」という声が上がっているのが現状だ。なぜこういうことになってしまったのか、ネクソン側の回答と、ユーザーへの想いを提示したい。
日本ユーザーは様々な要素を駆使し、この難関コンテンツを突破して欲しい
日本の運営はもちろんこの難易度は認識していたし、ユーザーの反応も予想していたという。しかしユーザーからの疑問の声が出てくる中、改めて今後の説明や開発側との今後などを話し合い、弊誌の記事として説明をしたいとのことだ。
まず難易度に関しては、「韓国と日本の仕様が異なること」が理由の第一だという。日本には韓国にない「スイッチングシステム」といったシステムがあり、さらに「称号」、「クリーチャー」、「オーラのオプション」といったものが韓国よりも高い能力で設定されているため、プレーヤーキャラクターは強力な存在になれる。これらを考慮し“高難易度のコンテンツ”のバランスを設定したという。
実装初日にクリアできた攻撃隊は僅かであったが、7月22日、実装から約3週間の時点では、実装初日の挑戦と比較し、クリアできた攻撃隊が約20倍増加している状態であるため、今後、もっとクリアできる攻撃隊が増加すると見込んでいるとのことだ。厳しいバランスを設定したが、ユーザーは超えて行って欲しいという想いを持っているとのことだ。
さらに7月26日実装の「女プリースト」の上級職「女クルセイダー」は、最強のサポートキャラクターであり男クルセイダーよりも装備を集めるのが容易とのこと。女プリーストは元々が強力にパーティをバックアップするスキルがあり、特に女クルセイダーはルークレイドをクリアする上で欠かせない存在となるだろう。コアプレーヤー達が、新キャラクターを作り、楽しんでもらう要素としてもルークレイドの魅力が増す、という考えを持っているとのことだ。
特に最後の女プリースト関連の要素に関しては運営側からも賛否の意見が出た。運営スタッフはコアプレーヤーも多い。「慣れ親しんだキャラクターではなく、挑戦するキャラクターが限定される要素はどうなのか」という声もあがったとのことだ。確かに、今回の難易度の高さが新キャラクターをアピールするための「お膳立て」に取られかねないという所もあるだろう。そこを説明せず、いきなり韓国版と段違いの難易度のコンテンツをぶつけられれば、ユーザーが運営・開発に不信感を持ってしまう、というところは共感できる。
現在の状況は説明の仕方や、コンテンツの提示で行き違いがあったのは間違いない。運営、ユーザー共に「面白いゲームを、楽しくプレイしたい」という想いは同じだ。しかし、それは今回のようにすれ違ってしまうことも多い。今回ユーザーが「理不尽に感じるほど難しいコンテンツをぶつけられた」ということは紛れもない事実であり、ユーザーが運営、開発側に不信感を抱いてしまっているのが現在の状況だ。離反してしまうユーザーが出てくるかもしれない。長く続いたオンラインゲームのプレーヤーにとって友達が「このゲームやめるわ」という言葉は本当にショックが大きい。
しかし、オンラインゲームは「進化していくコンテンツ」である。「アラド戦記」のコアプレーヤーではない筆者が気楽に言うことではないが、オンラインゲームプレーヤーはこういったことを経験しながら、新しい友人や、帰ってきた友人と遊んでいくのである。ユーザーの攻略が進む中で今の状況が改善される可能性は、充分にある。
一方で、開発側はルークレイドは“最強のコンテンツ”として存在し続けたいと考えている、ということにも留意しておきたいところだ。実は、韓国版はユーザーの意見の大きさに難易度を下げてしまった側面があるという。だからこそ日本版は開発側の想いを込めており、最強のコンテンツとしてユーザーに気合いを込めて攻略して欲しいと考えている。
開発側でも単純な計算で防御力を高めた訳ではない。アラド戦記の上位プレーヤーの装備を着用したキャラクターを準備し、何度もルークレイドを直接クリアした上でこの防御力を調整したという。
女プリーストという“攻略の武器”を用意しているところからも、「キャラクターを鍛えて、パーティメンバーもうまく調整してこの難関コンテンツに挑んで欲しい」という、ゲーム性に一歩踏み込んだ考えでルークレイドを設計しているのだ。「わざわざ新キャラクターを用意するのか」という意見ももっともだが、「面白いゲーム性を盛り込みたい」という、コンテンツ設計の1つの考え方としては理解できる部分もあるのではないだろうか。
「現在のルークレイドは非常に難易度が高く、クリアが難しいことも理解しています。我々も実装前にルークレイドをプレイし、その難しさを体験しております。ルークレイドは現時点での最終コンテンツですので、自分が丹精込めて育てた愛着のあるキャラクターでクリアしたいといった気持ちは大変よくわかります。しかし開発の意向としましては、1つのキャラクターに囚われず、様々なキャラクターの組み合わせを試しながらルークレイドクリアを目指して欲しいといった気持ちが強いようです。開発からの難易度の高い挑戦ではありますが、これをクリアするために試行錯誤しながらより良い攻略法を見つけていただければと思います」。というのが、運営側からのメッセージだ。
プレーヤーの立場からすると様々な想いはあると思う一方で、開発側の「自分たちが思った“高難易度”、そして“新しいゲーム性”をきちんと提示したい」という想いもわかる部分はある。自分でも経験しているがプレーヤーは自分たちのキャラクターが強くあって欲しいし、やはり楽にプレイしたい。まして他国と明らかに難易度が異なるとあってはやはり不満に思う部分も出てくると思う。
くり返しになるが、開発はやはり“挑戦”する人達だ。自分たちがゲームの新しい価値観、新しい楽しさを実現するんだ、という誇りを持って日夜コンテンツを開発している。そして彼らを尊重しつつユーザーからの声の矢面に立たされる運営も苦しいところだ。変化し続けるオンラインゲームはこういった状況は起こりやすい。26日に「女プリースト」が実装されたことで、「アラド戦記」をユーザーがどう遊んでいくか、見守りたいところだ。
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