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【特別企画】デジタルTCG始めのステップに最適! 「デュエル エクス マキナ」のススメ
縦持ちだが本格派の手触り! 「HS」でも「シャドバ」でもない新勢力にハマった!
2017年5月1日 07:00
対戦型デジタルTCGの新星、Android/iOS「デュエル エクス マキナ」を読者の方はご存知だろうか?
本作はDeNAが配信する対戦型カードゲームで、神話を元にした5つの勢力と、前列/後列にわかれたバトルフィールドが特徴。弊誌では3月30日の配信直後、そのプレイインプレッション記事でも本作の内容をお伝えしているが、「デュエル エクス マキナ」は気持ちの良いくらい本格派のデジタルTCGとなっている。4月30日には25枚の新カードセット「烈火の軍狼」が追加されたばかりなので、これからの盛り上がりに注目の1作だ。
競合タイトルとしては大ヒットを飛ばすBlizzard Entertainmentの「ハースストーン」や、Cygamesの「Shadowverse」が真っ先に思いつくような、普通に考えれば「よくその状況にこのタイトルを放り込めるな」と思うような苛烈なデジタルTCG市場であるが、それゆえに“デジタルTCG後発組”としての利点というのも確かに感じられる作りとなっており、そのプレイ感が個人的にはとても馴染んで気に入っている。
本作の場合、利点となっているのはカードゲームとしてのバランスが良いことで、特に対戦型カードゲームに初めて触れるというプレーヤーに、その導入としてもオススメできるタイトルに仕上がっている点だ。そこで今回は、 「デュエル エクス マキナ」のススメとして、筆者が考える「本作をいまプレイする理由」を述べていきたい。
「デュエル エクス マキナ」はコンテンツのバランスが良い!
まず「デュエル エクス マキナ」のカードゲームとしての位置づけを明確にするために、以下のような分布図を作成してみた。
これは現在主要と思われるデジタルTCGアプリをピックアップして、「ストイック/カジュアル」、「ソロプレイ/スポーツ」という2つの指標から筆者の主観でマッピングしたもの。
デジタルTCGの行き着く先はどうしても対人戦なので、あくまで「ゲームアプリそのものの傾向」という視点ではあるのだが、今回の「デュエル エクス マキナ」に加え、先述の「ハースストーン」、「Shadowverse」のほか、ここではKONAMIの「遊戯王 デュエルリンクス」、セガの「CODE OF JOKER Pocket」、ネクソンの「マビノギデュエル」、ゲームロフトの「オーダー&カオス デュエル」、Wizards of the Coastの「マジック・デュエルズ」を取り上げている。
たとえば「ハースストーン」や「シャドウバース」、「マジック・デュエルズ」、「オーダー&カオス デュエル」は、カードゲームとしては「ストイック」なタイトルとして分類できるだろう。
中でも「ハースストーン」や「シャドウバース」はバトル面、対戦の楽しさが前面に出てきている。ストーリー性のあるコンテンツや、いわゆるフレーバーテキストのような背景設定はどちらもしっかりしているのだが、プレイの中心はやはり対戦だ。
一方の「マジック・デュエルズ」、「オーダー&カオス デュエル」はソロプレイ要素が強め。特に「マジック・デュエルズ」は元祖TCGの「マジック:ザ・ギャザリング」がベースにあり、そのシステムを把握させるためにソロプレイ要素が強めに設定されている。「オーダー&カオス デュエル」は同じデジタルTCGだが、メインコンテンツがステージクリア型のソロプレイモードとなっているのでこの位置にマッピングした。
一方の「マビノギデュエル」、「遊戯王 デュエルリンクス」、「CODE OF JOKER Pocket」は、上記に比べればカジュアル寄りに位置する。もちろんどれも本腰を入れて遊べるタイトルだが、縦持ちタイプの「マビノギデュエル」はソロプレイ用のストーリーがしっかり作られており、「遊戯王 デュエルリンクス」ではアニメ版を意識した演出があり、「CODE OF JOKER Pocket」は元々がアーケード用のタイトルで、SFアニメ調の演出やスピード感に特徴がある。ストイック群とは異なる切り口でカードゲームの面白さを伝えているのが、こうしたカジュアル群の良さだと言うことができる。
そして肝心の「デュエル エクス マキナ」は、どちらかと言えばカジュアル寄りの分類に入るだろう。やはり本格的にも遊べるが、ルールは理解しやすく作られているし、チュートリアルを兼ねたストーリー序盤も勢力を1つずつ回って特徴を実感していくことで勢力ごとの特徴を知ることができる。
チュートリアル以外にカジュアルさが垣間見えるのは対戦面で、フィールドが2×3マスと区切られていることで、バトル中の考えを整理しやすいことが挙げられる。それでいながら、マスの位置取りが戦闘に大きく影響するシステムなので、対戦としての面白さを失わせていないのが「デュエル エクス マキナ」の特徴的な部分と言えるだろう。
「デュエル エクス マキナ」は丁寧な作りで初心者を不安にさせない!
もう少し具体的に、「デュエル エクス マキナ」の特徴を見ていきたい。まず初心者向けには、上に挙げたように、チュートリアルを始めとする序盤のフォローが充実していることだ。
本作では各勢力を見て回る以外にも、ストーリーに沿ってプレイを進めるだけで、初心者向けのデッキ、準初心者向けのデッキ、中級者向けのデッキと、使用できるデッキが自動的に増えていく。
こうした段階的な基礎デッキは5つの勢力すべてに用意されていて、「ルクソール」ならユニットの除去やステータス変化の呪文を中心とした戦術、「トリニティ」なら序盤から得られるマナで大型のユニットを生み出す戦術などがそこで実感できるし、各勢力ごとの傾向と対戦時のアドバイスはプレイ中のそこかしこで得られる。
自分でデッキを作成する際にはどの勢力がどの勢力と相性が良いのかも提示してくれるなど、こうした部分からはプレーヤーが不安にならないような配慮を感じることができる。
また基礎デッキが段階で別れていることで、単にルールを教えてくれるだけでなく、カードを入れ替えることによる戦術的な変化もあわせて体験できる。これらをあわせて鑑みると、デジタルTCGとしては良く考えられた序盤の構成だと思う。
ほかにも、イベント戦には「パズルバトル」というものがあり、ここでは特殊な状況下でクリアを目指す詰将棋のようなプレイが楽しめる。通常の対戦モードとはプレイ感が異なるが、手持ちのカードも関係ない上、システム的な特徴を掴むには大いに役立つし、課題をクリアすれば報酬ももらえるので、ぜひ1度チェックしていただきたい。
「デュエル エクス マキナ」は本格TCGの要素が全部入り!
今述べた勢力ごとの特徴については、他のTCGにも通ずるような戦術や戦略の組み立て方が多く採用されている。
上のルクソールやトリニティの基本戦術もその1つだが、序盤からユニットを多く出して攻撃を仕掛ける速攻タイプや、自身を回復しつつ持久戦を狙うタイプなど、試合を組み立てる考え方は他のカードゲームでも応用が効く。
1つ面白いのは、勢力ごとにプレーヤーの分身となる「ガーディアン」という存在が3人ずついて、それぞれが違う能力を持っていること。この能力はゲーム中はいつでも、自ターンにつき1回発動できるのだが、たとえば同じルクソールでも「2マナでユニット1体のATK(攻撃)を-1にする(イシス)」、「自身のライフを1~2支払ってカードを1枚引く(アヌビス)」など、異なる傾向の能力が与えられている。
本作では勢力の選択だけでなく、このガーディアンの選択も重要で、ガーディアンの能力は各勢力のカードたちが持っている特徴をより引き出すためにあるという印象だ。俯瞰的に捉えれば、デッキには基本的な傾向が少なくとも15種類あるという明示にもなっていて、個人的には非常にわかりやすくてよかった。
また本作にはオリジナル要素もあって、それが先程述べた「列」の概念と、「地形」の概念だ。それぞれのマスは「地形」を変化させられ、一部のユニットは特定の地形の影響を受けるものもいる。各勢力にはマスを自勢力の地形に変化させられるガーディアンが1人ずつおり、じわじわ効いてくる地形変化は特に中盤から終盤に威力を発揮する。これまでのTCGを踏襲した要素と、こうしたオリジナル要素が組み合わさることで、「デュエル エクス マキナ」独自の世界が構築されている。
本作ならではのルールももちろん面白いが、何よりTCGの基礎的な部分がしっかり網羅されているので、本作をプレイしておけば、他の大体のカードゲームはすんなり理解できるのでは、というのが筆者の仮説だ。
筆者自身は「マジック:ザ・ギャザリング」からカードゲームの面白さを知っていったのでカードゲーム自体のルール作りに慣れてしまっていて、この仮説がどこまで有効かは把握しきれないのだが、それでも頭に「?」を浮かべながらルールを覚え、誰にも教えてもらえないままメチャクチャなデッキを作っていた当時からすれば、「わかりやすい」と感じることができる本作のシステムは個人的にはかなり気に入っている。
「デュエル エクス マキナ」はカードが手に入りやすい!
そしてもう1つ、大事な要素を。本作の場合、特に序盤はカードが手に入りやすくなっている。
TCGといえば、ネックとなるのが強いカードを手に入れるための資金投入となってくるわけだが、ストーリーを進めて、慣れてきたところで対戦モード「コロシアム」などをプレイしていると、カードが入手できる「カード召喚」に必要なアイテム「マナコイン」や「召喚チケット」が結構な数溜まっている、というのが本作の印象だ。
主な召喚の種類には「イベント召喚」と「スタンダード召喚」があって、1回利用で5枚排出、うち1枚は必ずレア以上となっている。ストーリー1章を突破するくらいであれば召喚は合計20回ほど利用でき、一気に100枚は手に入る計算になる。その中にはレアより上の、エピック(★4)、さらにはデッキの切り札となるレジェンド(★5)も運が良ければ含まれているはずなので、そこでデッキをさらに強化することができるというわけだ。
もちろん最初から資金を投入してカード召喚をぶん回す方法も可能だが、「とりあえず様子を見たい」というプレーヤーにはありがたい設定だろう。筆者自身も序盤で手に入ったレジェンドを元にデッキを強化できたことで、さらなる「マナコイン」、「召喚チケット」が手に入り、このスタートダッシュで7枚ほどレジェンドを獲得できている。そういう意味でも、現TCGプレーヤーも含めて、本作の序盤の手厚さを体験してみるのは一興だと思う。
独自のルールを構築しているので「TCGの主流」とはまた異なるという印象ではあるが、区切られたマスや列の概念以外は主流のカードゲームを踏襲しているので、プレイ感自体は「ハースストーン」や「マジック:ザ・ギャザリング」に繋がるものがある、というのが本作の興味深い点だ。
いずれにしても、バランスの取れた「デュエル エクス マキナ」をプレイすることで、本作が気に入ればプレイを継続すれば良いし(筆者がこのパターン)、ここでカードゲームのプレイ感を養ってから、様々なカードゲームをプレイするのもぜんぜんアリだろう。
これからカードゲームをプレイしたい人の導入として、あるいは知り合いにカードゲームを知ってほしいときにオススメできるタイトルとして、本作はとても“ちょうど良い”作りになっていると思う。ハマってみれば熾烈なランク戦などももちろん用意されているので、まだまだスタートしたばかりの本作をぜひチェックいただきたい。
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