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じわじわ締め付けられるような恐怖、「PREY」先行体験レポート
記憶喪失のままさまよう不安、襲いかかってくる地球外生命体
2017年4月25日 12:00
ベセスダ・ソフトワークスは、プレイステーション 4/Xbox One/Windows向けにSFシューティング「PREY」を5月18日に発売する。「PREY」とは、獲物、被食者、餌といった意味を持つ。不吉な響きを持つタイトルを冠する本作を、今回発売に作がけて体験することができた。
「PREY」はもともと、Human Head Studiosが2006年に制作したFPSであり、続編の制作もアナウンスされていたが、お蔵入りしてしまった。今回の“新生”「PREY」は、「Dishonored」シリーズを手がけたArkane Studiosによる作品となり、プレーヤーは恐怖と謎に満ちた体験をしていくこととなる。
全てが謎だらけの状況に追い込まれ、生きぬくために危険を冒していく中で明らかになっていく事実。しかしそれすら本当のことかわからない。常に不安を抱えていくプレイ体験は、ゲームにのめり込み、興奮させられた。序盤のプレイ体験を語っていこう。
真実も敵も不明な中、命の危険だけははっきりわかる恐怖
「PREY」は、男女どちらかのキャラクターでスタートできる。性別でゲーム展開やストーリーなどは変わらない。主人公の名前はモーガン・ユウだ。今回は女性でプレイしてみた。モーガンは、兄であるアレックスからの通信で起こされる。モーガンは高層マンションに住んでおり、ヘリコプターで彼女と兄が勤めてる企業「トランスター」に向かう。
しかし、どこか奇妙だ。特にトランスターでのテストはおかしい。まるでモーガンを実験動物か何かのように扱うのだ。……そして科学者の1人が目の前で不定形の怪物に襲われて死んでしまう。パニックになりそうな光景の中、警報が鳴り響き、テストルームにガスが充満してモーガンは気を失なってしまい……次の瞬間、モーガンは再び、自分の部屋のベッドにいることに気が付く。
おかしい、何かがおかしい。そして「ジャニュアリー」という謎の人物から連絡を受け、自分がどこかに閉じ込められているのを知るのである。その声に導かれるように、外の景色を映している窓ガラスにレンチを叩きつけた瞬間、“世界が割れた”のである! 割れた部分からのぞいているのは……無機質な建物の室内。モーガンは自分が「宇宙ステーション」にいることを知る。モーガンはどうやら記憶を失っているようで、プレーヤー自身には本当に状況は謎だらけだ。
モーガンは訳がわからないまま宇宙ステーションをさまよう。手には窓ガラスをたたき割ったレンチのみ。そして、あの黒い不定形の物質に襲われ、死んでいる人々。モーガンはレンチを必死に振り回しながら不定形の怪物「ミミック」と戦っていくこととなる。ミミックは様々な物質に擬態でき、しかも目の前で大きく飛び跳ねこちらの攻撃をかわす。
とにかく最初はこのミミックと戦うのが怖く、パニック気味にレンチを振り回してしまった。ミミックは小さく、レンチの攻撃範囲は狭いので最初はとにかくうまく戦えない。しかも体力は回復アイテムをつかっても充分に回復しないし、スーツの耐久度まで減ってくる。しかも敵に見つかったときのBGMが怖いのだ。
そして何より、自分が何のためにここにいるのか、どうすれば良いかがわからない。ミミックがどこにいるのかわからない不安感もあって、かなり追い詰められた気分になる。それでも先に進まなくてはならない。この不安感は、ある意味楽しい。これぞホラーゲーム、という感じで、本気で怖がっている部分と、そのことを楽しんでいる自分の気持ちは面白かった。
「助かった」と感じた部分は、「タレット」があるところ。そこではミミックが来てもタレットが自動で攻撃してくれる。敵に追われたらタレットまでおびき寄せる、という感じで数体撃退したが、それでも探索は続けなくてはならず、その場を後にした。ジャニュアリーが言うには、この建物にはモーガンの「オフィス」があるという。
オフィスでは「ビデオ」を再生できる。語りかけてくるのはモーガン自身だ。モーガン達は地球外生命体「ティフォン」の神経パターンを人間に組み込む実験を行なっていたという。モーガンはその副作用で記憶を失っていたのだ。しかし映像は途中で途切れてしまう。アレックスが妨害をしたのだ。
この宇宙ステーション「タロス1」は、ティフォンによって住人達が次々と殺されている。モーガンはその中で何らかの目的を持っており、アレックスはそれを妨害しているようだ。モーガンは実験の成果である「ニューロモッド」を拾い、使用することを決意する。そう、ここからが本当の「PREY」のスタートなのである。
エイリアンの力で能力を拡張、広がるゲーム性
人ならざる力を獲得する。それが「ニューロモッド」である。この使用法は衝撃的だ。“針”のついた注射器型のデバイスを目にかぶせるのだ。これは恐ろしく痛そうだ。そしてこのニューロモッドで、モーガンは、様々な能力を獲得できるようになる。ニューロモッドは薬品のような容器に入っており、様々な場所で入手できる。多くを手に入れ、消費していくことでモーガンの力を拡張させることができる。
能力は「サイエンティスト」、「エンジニア」、「セキュリティ」の3系統で、ここからさらに分化する。ニューロモッドのコストも決まっており、強力なものは多くのニューロモッドが必要となる。モーガンの戦闘能力を増すものから、コンピューターをより使いこなしたり、タレットやロボットなどを自分の味方にしたりと、様々な能力がある。キャラクターの育て方で大きくゲームの攻略法、進め方は変わってくるという。
もう1つ面白いのが、「リサイクラー」と「分子成形機」だ。様々なアイテムを拾い、リサイクラーにかけることで素材に分解、そして分子成形機で武器や弾薬、アイテムなどを作る。このためには「製造図面」が必要となる。探索をしていくほど様々なアイテムが作り出せそうだ。
さらに今回はユニークな要素として「グルーキャノン」を見ることができた。接着剤を発射する銃で、敵を固めるのに役立つほか、壁に撃ち込むことで足場にでき高い場所に上れる。この武器があるとステージがより立体的になる。また、接着剤は絶縁体なので、電流が流れる場所などで安全な足場になってくれるという。
今回は特に体験会と言うことで先を急いでしまったのと、何より敵が怖かったので探索をあまりせずに先に進んでしまった。ニューロモッドが使えるようになると通り抜けた場所にもニューロモッドがあることがわかったり、先に進むだけでなく、戻ることも重要なようだ。グルーキャノンがあれば、今まで行けなかった場所も行けそうであり、マップ探索がさらに面白くなりそうである。
そして今回のラストの部分では、2足歩行するティフォンも登場する。ここでは男が襲われるのを見ることしかできないが、グルーキャノンを使うヒントにもなっている。この怪物は恐ろしそうだ。対するモーガンの武器はグルーキャノンとレンチ、弾数の少ない拳銃のみ。これで本当に勝てるんだろうか……不安が大きく膨らんだところで、今回の体験は終了となった。
「PREY」はやはりこの恐怖に満ちた演出が楽しい。ゾンビがアップで迫ってくるような怖さよりも、徐々に罠が狭まってくるような、息が苦しくなる恐怖がある。謎だらけの状況の中、ヒントが与えられるのだが、それすらひょっとしたらもっと大きな嘘なんじゃないかというような、不安がある。ダークで、恐ろしく、そして楽しいゲームである。
これから宇宙空間に飛び出すこともあるだろうし、アレックスとの対決も避けられないだろう。ティフォンは恐ろしさを増してくるだろうし、何よりも記憶を失っているモーガンが、何をしようとしているかが気になる。彼女を導くジャニュアリーの正体も気になるところだ。上質のSFホラーが楽しめそうである。期待したい。
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