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謎のくノ一による超絶プレイが披露! コーエーテクモ「仁王」ステージレポート
安田ディレクター「10年間お待たせしました。ついに卒業です」
2017年1月21日 00:00
Taipei Game Showの人気コンテンツとなっているのが、SIETブースのステージイベントだ。日本や欧米から訪れたゲームクリエイターが次から次に登場するため、常に満席の人気となる。
Taipei Game Show 2017初日の1月20日、SIETブースのステージイベントのトップバッターを飾ったのは、日本でもいよいよ2月9日に発売されるコーエーテクモゲームスのPS4専用アクションゲーム「仁王」だった。台湾でも、中文繁体字、中文簡体字の両方に対応しながら、日本と同じ2月9日発売ということで、台湾のPSファンから高い注目を集めている。今回は、ディレクターの安田文彦氏が登壇し、中文版の実機デモを交えながらゲームの魅力を紹介した。
安田氏は、歓声に笑顔で応じながら、中文で書かれたスライドを使いながらゲームの概要を説明していった。安田氏は“戦国死にゲー”という通訳に困るストレートな表現で、ゲームの特徴を紹介しながら、ゲームの舞台は戦国末期の日本であること、主人公は日本人ではなく、徳川家康の部下になったウィリアムと呼ばれるイギリス人の侍であること、妖怪なども登場するものの、日本の著名な場所やキャラクターが数多く登場するため日本の歴史に詳しくなれること、基本的にゲームは高難易度だが、ゲームを進めることで新たなキャラクターとの出会いがあるため、それをモチベーションにしながら頑張って欲しいことなどを紹介した。
また、「仁王」はPS4専用タイトルということで、グラフィックスとパフォーマンスにこだわったゲームになっているということで、安田氏によれば、PS4 Proではグラフィックスを優先した4K/30fpsモードと、フレームレートを重視した2K/60fpsモードの選択が可能になるという。
ステージイベント後半では、話だけではおもしろくないということで、中文繁体字版の実機を使ったデモも行なわれた。プレイするのは安田氏ではなく、艶やかな衣装に身を包んだくノ一。前髪を下ろし、布で顔を覆っているため、若い女性らしいということしかわからない。戦う相手はβ版でも公開されていた鬼女で、わずかなミスでズタズタに斬り殺されるという行き詰まる戦いを堪能することができた。
くノ一はかなりの手練れで、鬼女の初動をすべて見切った上でギリギリで回避して、弱点の水属性攻撃を加えていく。どでかく晒した横っ腹をザシュッザシュッと斬り付ける音が心地よい。それでも鬼女の体力が減り、攻撃パターンが変化してくると、いくつかの攻撃は避けきれず、何度も回復アイテムに頼るハメになった。後ろに下がれない状態で火炎攻撃を食らってあと一撃で倒されるというところまで追い詰められたりもしたが、見事一発で鬼女を撃破。会場からは大きな拍手が上がり、安田氏も「何度も練習した形跡が窺える」と褒めたが、くノ一は一礼して無言でステージを後にした。レポートの最後にメディアインタビューの模様をまとめておきたい。
メディアインタビューでは新マルチプレイモードにも言及
――待ちに待った「仁王」ですが、開発が完了した感想は?
安田氏: 10年間多くの方をお待たせしてしまったのですが、ちょうど先週マスターアップして、10年間頑張ってきた人もいるので、安心すると同時に、遊んで貰える期待を感じていますね。
――E3 2016で「FFXV」や「トリコ」が卒業するので、「『仁王』も今年卒業するぞ」と語っていたと思いますが、2017年にずれ込んでしまった理由は?
安田氏: 開発は順調だったので、年末に出せれば卒業できたんですけど、10年間をお待たせしたので、2回公開した体験版の反応を踏まえ、完璧なものに仕上げようということになりました。その結果、2017年になってしまいましたが、非常に良い物ができたので楽しみにしていただければと思います。
――この10年間でゲーム開発者のキャリアでどのような変化がありましたか?
安田氏: 10年前にテクモに入社して「Dead or Alive」シリーズや、「Ninja Gaiden」を作っていて、3年前に弊社のファウンダーであり、「仁王」のコンセプトを作ったシブサワ・コウに「『仁王』を作ってみないか?」と言われてこの3年間は「仁王」の開発に携わっていました。
――「仁王」にPvP的な要素はありますか?
安田氏: 直接のリアルタイムの対戦ではないですが、「血刀塚」という他の死んだプレーヤーをオンライン上で蘇らせることができるシステムがあります。それとは別に、ローンチ後に長く遊んで貰うために、PvP、対人プレイは検討していて、なるべく早くお届けしたいと考えています。
――体験版から製品版でどのようにゲームが進化しましたか?
安田氏: α体験版で多くの意見を頂いて、β体験版で多くの内容を変えました。そこから製品版は根本は変わっていませんが、細かいところが変わっています。たとえばカメラワークや敵のアニメーションなどです。やはり“死にゲー”ということで歯ごたえのある、理不尽さ、不公平さはすべて排除して、製品版では作り足りない部分はすべて改善できたかなと思っています。
――ハードコアなゲームですが、最初からこういう方向性でいこうと思っていたのか、それとも途中で方向性が変わったのですか?
安田氏: 最初は侍を主人公にしようと決めて、侍は死を恐れずに戦う戦士として有名ですので、それをゲームで表現することと、皆さん遠慮して聞かないのだと思いますが「ブラッドボーン」や「ダークソウル」シリーズが世間で確立されていることは理解していたので、その2つを目標に開発を進めてきました。
――侍の心を表現したいと考えたということだが、なぜ侍なのに銀髪の外国人を主人公にしたのですか?
安田氏: もちろん日本人を主人公にする案もあったんですが、旧コーエーは「三國志」、「信長の野望」など歴史をモチーフにしたゲームを多く開発してきた経緯があり、史実をモチーフにしたストーリーを考えたときに、ウィリアムというイギリス人が日本にやってきて、徳川家康の部下、家来となって侍となったという史実があって、そこに魅力を感じて、その形で決まりました。
――ゲームにおいては主人公は英語で喋るのに、他のキャラクターは日本語を喋る。それはどういう理由でそうしたのですか?
安田氏: コミュニケーションを考えたときに、ウィリアムが流ちょうな日本語を喋り、家康が英語を喋るのは、シュールというか納得できないところがあったんですね。ウィリアムは霊感もあって、言葉がわからなくてもコミュニケーションがとれなくもないのですが、直接コミュニケーションが取れないからこそできるコミュニケーションもあるだろうなということで、あえてウィリアムは英語、日本人は日本語を喋るようにしました。
――ゲームエンジンは何を使っていますか?
安田氏: ゲームエンジンは内製を使っていて、アクションゲームを作った経験、無双シリーズを作っているので、PS4ということで世界に向けて恥ずかしくないものを出すということで、拡張したり追加で色々用意して貰いました。
――PS4 Proへの対応は?
安田氏: 「仁王」ではグラフィックス、フレームレートを優先するモードを用意していて、PS4 Proだと4K出力、30fpsで遊べる、アクションモードだと1080pで60fpsで遊べるようになっています。プレーヤーの好みに合わせて選択することができます。「仁王」は単なるアクションゲームではなくてアクションRPGを作ろうと思ったので、60fpsにこだわりたい人ばかりではなく、グラフィックスを強化したいと考える人もいると思ったので選べるようにしたかったということです。