ニュース
Facebook Games、今後はインスタントゲームとLGSに注力
「『スペースインベーダー』をメッセンジャーで遊べるのはアメージングだ!」
2016年12月5日 15:45
Facebookは12月5日、Facebook JapanオフィスにおいてFacebookのゲーム事業「Facebook Games」の10周年を記念し、事業戦略説明会を開催した。説明会では、11月29日よりグローバルでサービスがスタートした「インスタントゲーム」の紹介をはじめ、同社のゲーム事業への取り組み、ゲーム事業を通じた日本市場への更なるコミットが紹介された。
最初に紹介されたのは、Facebookのライブゲームストリーミング機能。「LGS」と呼ばれるこの機能は、“シェアの機能を通じて人びとに情報を共有していく”というFacebookのビジョンに叶ったものとなる。
「LGS」は、エンドユーザー側が好きなゲームで自由にライブ配信するというほど自由度の高いサービスではなく、ゲーム側にFacebookのAPIを組み込む必要があるが、説明会では対応タイトルのひとつである「オーバーウォッチ」(Blizzard Entertainment)で、プレイ映像をFacebook上でライブ配信するデモが行なわれた。
説明を担当したFacebook Gamesパートナーシップ部門グローバル責任者のLeo Olebe氏は自身のFacebookページで「オーバーウォッチ」のライブ配信を行なったことを報告し、「265のビュー数が大したことないと思うかもしれないが、これが世界中で行なわれているということを考えると、そのボリュームはもの凄いことになる」と、17億のユーザーを抱えるFacebookでライブ配信を行なうことの意味を強調した。
「LGS」が行なえるのは、現状、Blizzardをはじめ、いくつかのメーカーのタイトルに限定されており、「LGS」が盛り上がるかどうかは、我々エンドユーザーやメーカーがというよりは、Facebook自体の取り組みに掛かっているといえる。
続いて紹介されたのは「インスタントゲーム」。Facebookのメッセンジャー機能「メッセンジャー」アプリで手軽にゲームが楽しめる新たなゲームサービスで、PCブラウザのみならず、スマートフォンのメッセンジャーアプリでも利用できるクロスプラットフォームサービスとなる。HTML5ベースで、ダウンロード、インストール不要で、キャッシュのみわずか5~10秒でゲームを開始することができる。ローンチは17タイトルで、30カ国でスタートする。
Facebookは実は数年前から同様のコンセプトをGDC等で発表していたが、あくまでキャンバス(Facebook上で広告等の任意のコンテンツをクリックすることで展開されるフルスクリーンのフォーマット)での実装にこだわっていたが、メッセンジャーへと方向転換する形で実装された。
Facebook Games パートナーシップ部門アジア太平洋地域責任者のStephen Chun氏は、「インスタントゲーム」の発表から実装まで時間が掛かった理由について、「Facebookはマネタイズに入る前に、まずサービスとしてのスケーラビリティを担保しようとする。我々はFacebook Gamesをメッセンジャー上のエンターテインメントプラットフォームとして充実させようと考えたため、まずメッセンジャーをグローバルでスケールさせることに注力し、その後にゲームなどを入れて行こうとしたため時間が掛かった」と説明してくれた。
ちなみになぜキャンバスではなく、メッセンジャーにしたかというと、これもまた“シェアによってすべてをオープンにしていく”というFacebookの理念により叶ったものだからだ。
Facebook Gamesの中核事業であるブラウザゲームやモバイルアプリは、フレンドの意思に関わらずスタートすることができる一方、Facebook上でリクエストを求め続ける設計になっているため、強制的に巻き込んでしまうというデメリットもあり、これが伸び悩みの原因になっていた。今回スタートした「インスタントゲーム」は、メッセンジャー上で行なわれるため、Facebookページには影響を与えずに、ゲームを好きなフレンド同士でゲームをきっかけに、スコアを競い合ったり、ゲーム話に花を咲かせたりなど、コミュニケーションの基点にすることができる。1対1でもいいし、グループチャットだとより楽しいだろう。時間を掛けただけあってよく練り込まれたサービスだと感じた。
ちなみにエンドユーザー向けには11月29日よりサービスを開始している「インスタントゲーム」だが、対メーカーに対してはまだクローズドβテスト中ということで、今後も継続してメーカーとのコミュニケーションを増やし、SDKを充実させた上で、提供するゲームを増やしていきたいという。マネタイズについても「まだ時期が早すぎる」とし、マネタイズについて考えるのは、まずはゲームプラットフォームとして素晴らしいプラットフォームとゲームを提供するのが先という考えを示した。
今回日本のメーカーを代表してゲストとして招かれていたタイトーの西脇剛志氏は、「17億人のユーザーに向けてビジネスを展開できることを嬉しく思う」と挨拶し、「今回提供を開始した『アルカノイド』や『スペースインベーダー』は、いわゆるレトロゲームとなるが、シンプルだが奥深いゲーム性を備えており、それがインスタントゲームのコンセプトにマッチしていると考えている。当時を知る人は懐かしみながら、まったく知らない方はゲームを通じて8bit、ドット絵の魅力に気づいて貰えたら」と抱負を語った。
ゲーマーでもあるというOlebe氏は、17タイトル中7タイトルが日本のタイトルであることを嬉しそうに報告し、「『スペースインベーダー』がメッセンジャーでプレイできることはアメージングだ」と喜びを爆発させた。今後もユーザーエクスペリエンスの向上と、デベロッパーリレーションの両輪をファーストプライオリティにサービスを充実させていく考えを示した。
最後にFacebook Gamesのプライオリティとして、インスタントゲームとLGSの2つのサービスに注力していくことを表明。これは現在Gameroomを通じて提供しているブラウザゲームより優先度を高くするという決意表明で、今後はゲーム事業のメインストリームをメッセンジャーでのインスタントゲームと、Facebookのフィードを使ったライブゲーミングストリーミングサービスに力を注いでいくことになるようだ。LGSはまだ利用できるタイトルは限られているが、インスタントゲームは今すぐにでも始められるため、まずは一度試してみてはいかがだろうか。
【インスタントゲームローンチタイトルリスト】
• ARKANOID (TAITO CORPORATION)
• Brick Pop (Gamee)
• Endless Lake (Spilgames)
• EverWing (Blackstorm)
• Galaga (BANDAI NAMCO Entertainment Inc.)
• Hex (FRVR)
• PAC-MAN (BANDAI NAMCO Entertainment Inc.)
• Puzzle Bobble (TAITO CORPORATION / Blackstorm)
• Shuffle Cats Mini (King)
• SPACE INVADERS (TAITO CORPORATION)
• Templar 2048 (Vonvon)
• The Tribez: Puzzle Rush (Game Insight)
• TRACK & FIELD 100M (Konami Digital Entertainment Co., Ltd.)
• Wordalot Express (MAG Interactive)
• Words with Friends: Frenzy (Zynga)
• Zookeeper (Kiteretsu)
• 2020 Connect (Softgames)