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「World of Tanks」、大阪にて第2回トレーニングキャンプを開催
Caren TigerとB-Gamingの混成ドリームチームがチームバトルをレクチャー
2016年12月4日 00:00
ウォーゲーミングジャパンは12月3日、大阪のイベントスペース味覚糖UHAにおいて、「World of Tanks」のトレーニングキャンプを開催した。
「World of Tanksトレーニングキャンプ IN OSAKA」は、「WoT」ユーザーを対象に、「WoT」のプロリーグであるWGLのゴールドリーグで活躍する日本チームの選手たちを講師に迎え、1日かけて「WoT」のチームバトルを学ぶブートキャンプイベント。
マップは、WGLでもお馴染みのヒメルズドルフのみで、Tierは上級者を目指す初中級者が対象ということで前回と同じTier 6限定。今回も講師としてシドニーのAPAC FinalsやニューヨークのChallenger Rumbleに日本代表として出場したB-Gamingと、ポストシーズンではB-Gamingに全勝し、国内最強のCaren Tigerの2チームから主力選手が招かれ、会場で即席で編成された全8チームに講師を1人ずつ付ける形でトレーニングキャンプがスタートした。
参加者たちは5人1組で、あんこうチーム、カバチーム、カモチーム……とどこかで聞いたことのあるような8つのチームに振り分けられた後、いきなり講師陣とのエキシビションマッチが行なわれた。まずはプロの実力を見せつけ、講師たちの凄さを肌で感じて貰おうという考えだ。対戦希望者を募ると、腕に覚えのある参加者から次々に手が挙がったため、チーム単位で対戦することになった。
結果は恐るべき内容で、3戦とも5輌すべて生存というワンサイドゲームで講師チームが勝利した。3戦やって1輌すら撃破できない。「WoT」を知っていればこの結果がいかに凄いかがわかるはずだ。
講師チームは攻撃側、防御側のいずれでも理想的な試合運びをみせ、まさに完勝の試合展開ばかりだった。たとえば、攻撃側では、敵に見えない位置から2輌同時にキャップを仕掛け、敵が戦力を集めてキャップを切りに来るのにあわせて一斉に引き、残りの戦力を回り込ませて包囲殲滅するという市街戦のお手本のような戦いを見せた。防御側に回れば、敵の進行位置を予測して絶妙な配置で待ち構え、参加者チームはキャップ地点にたどり着くことすらできないという有様で、参加者チームも、ヒメルズドルフを遊び尽くしている猛者が多かった模様だが、チームバトルを極めているユーザーと、そうでないユーザーの差がハッキリ出てしまった格好だ。
まずはプロ選手による座学。使える戦車、使えない戦車はどれ?
その後、昼食を挟んで座学が行なわれた。司会進行役はウォーゲーミングジャパンの“taro_jp”こと加持太郎氏、ゲストとしてv_samo_v選手(B-Gaming)、講師としてtakkyyyy選手(B-Gaming)と、aki00v選手(Caren Tiger)の2人が登壇。座学の内容は、カテゴリ毎にオススメの車両と、その理由を解説し、その都度、会場からの質問を受け付けるというもの。
「Tier 6の機動力重視車両」では、T37とクロムウェルをチョイス。takkyyyy選手は、「ヒメルズではクロムウェルは使わない」と言い切り、その理由として「一見、T37と比較してクロムウェルのほうが諸性能が良いように見えるが、一番大事なのは照準時間で、短ければ短いほど締まりが速い。T37はここが非常に優秀で、さらにT37はこの表には記載していないがレティクルの拡散も少なめで精度が高いため走り撃ちにも向いている」と、事実上T37の1択とした。
v_samo_v選手はtakkyyyy選手(B-Gaming)の意見に同意しつつ、補足として「前回は鉱山でクロムウェルが人気だったが、鉱山はヒメルズドルフと比較してマップが広く、足を使った攪乱が重要だったため」とマップによってはクロムウェルが輝けるポイントがあることを補足した。
参加者からの質疑応答は、「(私の好きな)●●は何故リストにないのか?」、「(私の好きな)リストにない●●はどうやったら輝くか?」という、「WoT」ならではの“俺の戦車”に関する質問がほとんどだった。
これに対し、B-GamingでBat.-Chatillon 25 tの使い手として知られるtakkyyyy選手は、中戦車のスペシャリストとして、これらの質問をズバズバ回答していった。「では、どういう戦い方ならクロムウェルを使えるか?」という質問については、「T37との1対1なら有利で、視界を取りに来たT37をダメージ交換で倒すのには使える」とバッサリ。
T-34-85については「正直中途半端、使えないわけではないが共に中途半端で、T-34-85を使うぐらいなら重戦車のほうがいいと思う」。Tier 6のオートローダー戦車AMX 12tについては、「正直微妙。6発で全段当てて700ちょっと超えるぐらいで、倒しきれる車両がいない。逆に瞬間火力の高さを活かしてキャップに入れるのはあり」と、使用ケースを限れば使えるという考え方を示した。「A43を入れていないのは弾薬庫が壊れやすいからか?」という答えを先回りした質問に対しては、「リストに載せていないだけで、ほぼクロムウェルと同じ性能で十分使える。モジュールは関係ない」と、“当たらなければ問題ない”という考え方を示した。
次にTier 6重戦車については、T150、M6、O-Iの3輌をチョイス。T150については「バランスが良く、単発火力が高く、装甲もあって一番使い重戦車」とし、M6は「貫通力もあって、足も速いため、“Tier 6の113”みたいな使い方もできなくない」と独特の表現で評価。O-IについてはTier 6としては別格の装甲を備えているものの、主要武器の榴弾が同格では貫通しないため使いづらいと、最終的にT150に軍配を上げた。
「WoT」最大の“愛され戦車”であるTOGIIについては、takkyyyy選手は、「前回選んだが誰も使ってくれないので外した。ワンポイントのアタックとしては使える」とし、その使い方について尋ねられると、「攻撃側であまりあるHPを使って、TOGIIを狙いに来た敵を後ろから回り込んで撃つ」という、B-Gamingのマウス戦法に似た戦法を提案していた。ちなみに、この発言は、エキシビションマッチで自ら実証して見せた。
KV85については、「M6と同等のDPMでも使いやすいと思う」と評価し、チャーチルVIIに足りない要素については、「硬さ、単発ダメージ、履帯にもダメージが入ってしまうこと」とぼろくそで、ARL 44については、aki00v選手が「正直、T150とKV85の2枚でいい。あまり色々出しても良くない」とチームバトルではある程度車種を揃えることが大事だとした。
続いて彼らプロ選手達が主戦場としているTier Xの話題に移った。中戦車では実質的にBat.-Chatillon 25 t 1択になっている現状について、takkyyyy選手は「瞬間火力の高さと、相手がバットを使っているからこちらも使わざるを得ないというところはある。逃げているバットを追えるのはバットだけ。1対1であたるとバットが圧倒的に強くて、Object 140といえどもバットが1対1で戦うとバットに勝てない」と、やむを得ず使っている現状を報告。
重戦車に話題が移ると、重戦車の使い手であるaki00v選手がマイクを握り、E 100が増えている現状については、「WGLのようなトップランクの試合では、1発を外すことはほとんどなく、抜いて当然で確実にダメージを与えてくる。この点、E 100の750という単発ダメージの高さは魅力で、加えてHPも高い」とその魅力を説明。加持氏が、「E 100は、弾道も山鳴りで当てにくく、砲塔も柔らかいが、T100E3のような駆逐戦車でも抜けるのか?」と問うと、「平気で抜いてくる、どんどん抜かれます」と、プロレベルのE 100のインパクトを語った。
T110E5については、「砲塔が硬くて俯角もあるため、頭出しで戦う分には強い。単発ダメージが400と低いが、DPMは高いのでバランスはいい」とし、113については「足が速くて中戦車の速度についていけるので機動戦でよく使う」と解説。
FV215については、会場からの熱心なイギリス推しに苦笑しつつ、「使われないわけではないが、後部砲塔で攻撃機会を得にくいというところと、燃えやすいため消化器が必須になる」と注意点を解説。v_samo_v選手が後を継いで「WGLのシーズン初期ではDPMが高いので使われていた。ただ、前の車輪を出した瞬間に一方的に抜かれるので使いづらいが、俯角を取れるマップで出すことはある。あと、使われる使われないのトレンドの影響はある」と補足した。
戦車のほかにも、スキルについても解説が行なわれた。第六感、偵察、修理、戦友、消火を挙げ、チームバトルで活躍するためには第六感を含めて3つぐらいは欲しいと語った。
チームバトルについては、v_samo_v選手が同じチームのメンバーと共通の作戦に則って行動する。戦闘中もメンバーと繋がっていてカバーして欲しいときにカバーして貰えるとその魅力を語り、両チームともボイスチャットには、チームスピークを利用しているという。Skypeを利用しない理由は、常時マイクがオンのため、喋っていない間も、扇風機の音などの環境音をすべて拾ってしまってうるさいためだという。
日々の練習については、B-Gamingはマネージャーが、メンバーのスケジュールを確認してメンバーが揃う日を調整した上で、Caren Tigerや韓国、NA、ロシアのチームと日程を合わせて練習を行なっているという。ロシアはウラジオストックにもアクセスポイントがあるためPingはそこまで悪くないと言うことだ。
もっとも優秀な講師は誰か? 8チームによる実戦形式の練習試合とトーナメント
座学の後は、チーム毎にわかれて、あらかじめ指定されたチームと実戦形式で練習試合を行ない、そのまま8チームによるトーナメント大会に突入した。優勝チームには、講師チームとのエキシビションマッチにチャレンジできる権利と、ゴールドが贈られる。あんこうチームのみはチームに欠員が出たため、講師のOotori選手(B-Gaming)自身も選手の1人として参加し、プレイングマネージャーとしてチームを引っ張っていた。
練習試合の様子を後ろから見ていると、講師によって教え方は様々で、試合中は静かに見守り、試合後にアドバイスを送る講師もいれば、試合開始直後から手取り足取りすべての指揮を執るという講師もいて、個性が出ておもしろかった。
参加者も単に「WoT」経験者であるだけでなく、有力チームに所属していた“元選手”やトップランカーも参加していて、かなりハイレベルだった。スタッフによれば、応募者はすべて戦績をチェックし、少なくとも1人である程度プレイしている経験者のみを選んでいるということだ。見ていた限り、作戦会議もスムーズで、この参加者の中から、ゴールドリーグを目指してチームバトルに参加する人も生まれてきそうだ。
トーナメントを勝ち抜いたのは、Ootori選手が講師兼選手のあんこうチームと、 xenlon選手(Caren Tiger)が講師のアリクイチーム。
Ootori選手を擁し、鉄壁の布陣で守るあんこうチームに対して、攻め手を欠いて攻めあぐねるアリクイチームだったが、一瞬の隙を突いてAラインを守るあんこうチームのT150に瀕死のダメージを与え、そこを突破口にキャップに入り、後ろに控えていた頼みの綱であるO-Iがキャップを切りきれず、まさかのキャップ負けを喫した。
真っ先に解説のv_samo_v選手がチームメイトのOotori選手に、「O-Iの榴弾で、Aラインのキャップを切れなかったっけ?」と問いかけると、Ootori選手は「切れるけど、そこまで教える時間がなかった」と悔しそうに回答。v_samo_v選手によれば、Aラインの建物の影に隠れてキャップを狙う敵に対して、A4地点からギリギリの地点に榴弾で狙うことで、爆風で榴弾を当ててキャップを切ることができるという。
第2戦はあんこうチームが攻撃側となり、AMX 12tを操るOotori選手が敵を引きつけつつ、主力がキャップを始め、戦力を分断することに成功する。アリクイチームのT37がAMX 12tの撃破に成功するものの、自らも撃破され、アリクイチームは最後まで戦力を集中しきれず全滅してしまった。
最終戦は、アリクイチームが攻撃側で、理想的な布陣で守るあんこうチームに対し、思い切った正面突破で、キャップ位置を守るT150を速攻で撃破。その後ろで守るO-Iが決定的な機会で榴弾を外し、万事休すとなった。個人スキルはあんこうチームが上だったが、最終的にはチーム力に勝るアリクイチームの優勝となった。
イベントの締めくくりとして行なわれた講師チームとアリクイチームのエキシビションマッチでは、アリクイチームが攻撃側、講師チームが防衛側となった。直前でOotori選手がいるあんこうチームより進化した形でアリクイチームの侵攻を待ち構え、横綱相撲で講師チームの勝利となった。アリクイチームも2輌の撃破に成功し、トレーニングキャンプの成果を見せていた。
試合後の解説を行なったtakkyyyy選手は、決勝戦で敗れたあんこうチームのキャップ負けを受けて、「この位置(A5)に戦車を置いておけば、Aラインのキャップが切れることを教えたかった」と、このエキシビションマッチ自体が、最後のレクチャーだったことを明かした。ただ勝つだけではなく、学びの要素を盛り込むというプロらしい演出だった。今回、一参加者として観覧して解説を聞いているだけでも「なるほど」と思えることも多く、さらに一歩上を目指すプレーヤーにとってはとても良い機会だと感じた。「World of Tanks」のトレーニングキャンプは今後も定期的に開催していく予定とのことなので、ぜひ参加してみてはいかがだろうか。