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「World of Tanks」、“チーム戦”を学ぶ訓練イベントを開催

「Caren Tiger」と「B-Gaming」が指南。参加者が劇的な成長を見せる!

7月3日 開催

場所:レッドブル・ジャパン

会場はレッドブル・ジャパンの提供で実施された
今回のイベントのための5対5ルール。「鉱山」集中というのポイント

 ウォーゲーミングジャパンは、Windows用オンラインタンクバトル「World of Tanks」のオフラインイベント「World of Tanks トレーニングキャンプ 2016」を7月3日に開催した。場所はレッドブル・ジャパン。

 「World of Tanks トレーニングキャンプ 2016」は、「World of Tanks」のプレーヤーを対象として、チーム戦でのチームプレイを中心としたプレイスキルの向上を目的としたオフラインイベント。「WoT」のトーナメント大会でも活躍するチーム「Caren Tiger」と「B-Gaming」のメンバーを講師に迎え、座学や実戦を交えた講座が開催された。

 イベントでは、2勝先取の5対5、Tier 6上限、攻撃/防衛戦、マップは鉱山(Mines)というルールが採用された。公式トーナメントで採用されるルールとはまた異なっているが、参加人数が少なくなることでより対戦がカジュアルになり、さらにマップを1つに絞ることで「鉱山」への理解をより深めることができる。

 さらに、このイベントは台湾でも開催されており、本イベントの参加者を対象とした日台合同のオンライントーナメント「Cross-camp exhibition match」が7月9日に実施される。この大会でもイベントと同じルールが採用され、イベントで磨いた腕をここで競うこととなる、という趣向だ。

 本稿ではイベントの模様に加え、普段のゲームプレイにも役立つ座学の内容やチーム戦の考えををお届けしていきたい。

講師陣が“チーム戦での心得”を講義で伝授!

座学で講師を担当した「B-Gaming」のtakkyyy選手(左)、「Caren Tiger」のAki00v選手(右)
今回のルールでは、中戦車は「Cromwell一択」。ただ実戦では、この他の戦車も多く登場した

 座学では、「B-Gaming」よりtakkyyy選手、「Caren Tiger」よりAki00v選手が講師として登壇し、今回のルールで主流となる車両の選択やスキルの選択、またチーム戦の考え方などが話されていった。

 takkyyy選手は、車両の選択として中戦車ではCromwellを真っ先に挙げた。今回のルールでは車両数が少ないため、機動力が重視された選択だという。選択肢としてはT37も候補ではあるが、HPの差で1対1の撃ち合いになればCromwellが上回るため、鉱山では「Cromwell一択」になるとした。なおCromwellの場合は武装に榴弾が使える「3.7-inch Howitzer」を搭載できるため、候補の1つとして考えておくと面白いとした。

 また重戦車では、「他は足が遅すぎて使えない」という理由でM6がオススメという。ただしTOG II*は、機動力はないが体力の高さが魅力であり、「使って勝ったらカッコいい」という理由で候補に挙がるとした。

 このほか、「押さえておきたいスキル」も話された。オススメとして紹介されたのは、共通スキルの「戦友」を中心として、車長は「偵察」、「なんでも屋」、「第六感」、砲手は「連射」、「射撃の名手」、操縦手は「オフロード走行」、「スムーズな運転」、「クラッチの名手」と紹介された。なお中国限定となるが、中国の装填手は無線手のスキルを使用できるという特徴があるため、視界範囲を増大させる「状況判断力」を装填手に付けられて「お得感がある」ので、知っておくと良いとした。

 拡張パーツについては、照準時間を10%短縮する「砲垂直安定装置(Vertical Stabilizer)」と装填時間を10%短縮する「装填棒(Rammer)」は必須であり、ほかは好みであるものの、搭乗員のスキルを向上させる「改良型換気装置(Improved Ventilation)」と消耗品の飲食物をセットで使用することで、戦車と搭乗員スキルがより向上するため、これらをセットで選択するのがオススメだそうだ。

 続いて話題はチームの戦術面について移っていった。Aki00v選手が戦術で最も重要になるのは、「フォーカス」と「ヘルス管理」だと語った。「フォーカス」は1つの戦車に集中して砲撃することで、「ヘルス管理」は撃たれない場所に移動したり、味方が倒されないようにカバーしたり、「死なないような行動」を取ること。「WoT」ではHPが1であっても生き残っておくことで、勝つ可能性が大幅に上昇する。そのため「ダメージを稼ぐことよりも生き残ることの方が大事」だとした。

 「鉱山」での戦術としては、西側と中央での戦闘が中心になり、中央の丘上を取ることがセオリーになるとした。これは中央の丘上を取ることでマップの広い範囲で視界を取れるので、地上と丘上の2カ所からの射撃が可能になるなど優位な立場になる。

 その上で、対戦中の考え方としては、「数的優位」を念頭に置くことが大事になる。たとえば味方と敵が3対2で対峙すれば攻撃を仕掛ける、不利な状況であれば有利な状況に展開する必要があるなど、戦略上の基本になる。例として紹介された実戦では、自走砲が睨みを効かせている場所であれば味方車両+1両でカウントでき、見た目上2対2でも、計算上3対2なので攻めに転じて勝ち切る様子が見られた。

 なおB-gamingの場合、チーム練習のスケジュール管理にはGoogleスプレッドシートを使っており、ボイスチャットにはTeamSpeak3でサーバーを借り、また試合後の反省会にはマップを張って状況を分析できる「StratSketch」を使っているという。ただしボイスチャットについては、通常はSkypeでも十分であるとした。

Tier 10だったら何を選ぶ? というテーマでもオススメの戦車が紹介された
「ヘルス管理」については、動画でも解説。味方がピンチになったとき、体力がある戦車が“盾”になってカバーをする、という連携プレイが紹介された
マップ写真とマグネットを使っての戦術解説も。具体的で非常にわかりやすかった

優勝チーム、劇的な成長で講師陣に一矢報いる!

練習時間中、PCに向かっていない時はメンバーで作戦会議。講師陣がつきっきりで丁寧に解説していた

 イベントは各チーム同士で練習試合を行なった後、本番となるトーナメント戦が実施された。

 実戦に突入してきて感じられたのは、5対5のルールでは戦車の選択肢という点で限られてくるものの、観戦する立場としては試合を構成する要素がシンプルになって試合の動きがわかりやすいということ。

 どの車両がどの場所にいて、どのような動きをしたかも把握しやすくなるほか、試合の勝因、敗因がよりはっきりと浮き上がってくる。チーム連携という点でも1つ1つの行動が試合に大きく影響するため、チーム戦への理解を高める目的としては、5対5は非常に良い選択に思えた。

 トーナメントでは、東側を中戦車1両で大きく回っていく作戦があったり、じりじりとした睨み合いからのラッシュ攻勢、それを冷静に捌いていく対処が発生するなど、各チームは当日の即席ながらしっかりとした連携を見せていた。

試合と試合後の解説が繰り返されていく。射線を見越しての移動の仕方など、見ていても参考になることが多かった

優勝したEチーム。ときどき笑顔も見せながら、楽しそうに戦っているのが印象的だった
優勝後、講師(mubesi選手。右から3人目)も混ざって記念撮影

 試合で最も盛り上がったのは、トーナメントの優勝者が決まった後に行なわれたエキシビションマッチで、このエキシビションマッチでは優勝したEチームと講師陣の混合チームが行なわれた。

 イベントの最初には、講師陣の混合チームと編成が発表されたばかりの参加者チームの試合が行なわれており、ここでは講師陣チームが余裕の勝利を決めていた。

 つまり実践練習を通してどこまで講師陣に肉薄できるか、という試合になったのだが、番狂わせだったのはEチームが講師陣チームから1戦目で1勝を獲得したということ。Eチームは5両すべてをCromwell Bで構成し、開幕直後に中央ラインから一気に攻め上がって、態勢が整っていなかった講師陣チームを急襲する。

 恐らく練習前であればそこで対処されて終わっていたところを、Eチームは確かな「フォーカス」と「ヘルス管理」によって講師陣の戦車を落としていき、最終的に2対1に持ち込んで勝利をあげた。

 その後は講師陣が堅実な2連勝で完全勝利とはならなかったが、Eチームは東側のキャップを狙う作戦を実行するなど、思い切りの良さで最後まで来場者を楽しませた。Eチームの講師に付き、最後に講師陣チームとして参加したCaren Tigerのmubesi選手は「Eチームは、教えたことの2、3倍の量を吸収していくヤバい奴らです。今回講師陣チームがなんとか勝てましたが、今回のことを糧にがんばってください」とエールを送っていた。

 イベント後にEチームの選手に話を聞いたところ、それぞれが2万戦、3万戦を戦っている猛者であるそうだが、それでも今回のイベントで学んだことは「知らないことばかり」だったそうだ。特に鉱山に集中し、1チームに1人が講師についたことで、どこに行くことで何ができるようになるか、位置取りに関する知識は「マスターレベル」まで高めることができた、と話してくれた。

 イベントは初心者も安心して参加できるものになっており、参加前はオフラインイベント自体に参加までのハードルを感じていたが、最後まで楽しむことができた、という話も聞くことができた。次回の開催を望む声も多く上がっていたので、今後のウォーゲーミングジャパンの施策に期待しておきたい。

一気に講師陣チームに向かっていくEチーム(緑側)。良いフォーカスで次々に講師陣を仕留めていった
この日初めて登場したEチームによるキャップ作戦。ただし講師陣に見事に阻まれていた