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セガ・インタラクティブ、ACからスマホまで「プレイしたい人にゲームを届けたい!」

マルチデバイス×ワンサービスを展開

10月25日 発表

セガ・インタラクティブの杉野行雄代表取締役社長
今後リリース予定の「マルチデバイス×ワンサービス」戦略タイトル。ただし、これらタイトルにとどまらず、様々なタイトルをリリースしていく構えだ

 セガ・インタラクティブは10月25日、アーケード用として開発したゲームタイトルのIPを様々なデバイスに提供する「マルチデバイス×ワンサービス」戦略を展開すると発表した。同時に同戦略を推進する新規タイトルとしてAC「SOUL REVERSE」、Android/iOS用「CODE OF JOKER Pocket」、Android/iOS用「StarHorsePocket」を順次リリースする。

 「マルチデバイス×ワンサービス」戦略とは同社による造語となるが、同社の想いとしては「ユーザーが求めているものをデバイスにこだわらず提供していくこと」となる。その中心にあるのは、同社が得意とする“アーケードゲーム”ということで、同社の杉野行雄代表取締役社長は「我々が得意とし、業界を牽引している自負のある分野」からゲームを発信し、デバイスを選ばずに展開していきたいとしている。

 同社はセガのグループにおいてアミューズメントゲーム機器の開発製造販売を行なっているが、すでに セガゲームス セガネットワークスカンパニーの「チェインクロニクル」、「ワールドチェイン」などをはじめ、コンシューマーゲームの開発も手がけている。コンテンツのデバイスボーダー化への下地としてのノウハウや実績はすでに十分すぎるほど積まれている。

 アーケードゲームタイトルのマルチデバイス化のポイントとしては、たとえば時と場所を選ばず遊べるスマートフォンゲームが入り口となりアーケードゲームのゲーム人口が増えることが期待される。一方でアーケードとスマートフォンで同じゲームがプレイできる場合、スマートフォンでのプレイ人口は増えてもアーケードゲームのゲーム人口が減少することも考えられる。

「セガNET麻雀 MJ」の例を挙げてアーケードタイトルとスマホタイトルとの連動を説明

 この点について杉野氏は「(その可能性は)ゼロとは言わない。ただトータルでは良くなる」と語り、すでにサービスが行なわれている麻雀ゲーム「セガNET麻雀 MJ」を例に挙げ「良い数字が出ている」と語った。同時に「『アーケードゲームをプレイしたいな』と思ってもらえるような仕様も入っている」としている。

 もちろん、アーケードと他デバイスで提供されるタイトル間において、新しい連動サービスの価値の提供も考えられている。アーケードゲームとF2P(フリー・トゥ・プレイ)のシステムは相性の良いこともあり、リンクさせることで新たなるサービスを提供していきたい構えだ。

 杉野氏によれば「マルチデバイス×ワンサービス」戦略に死角はなく、今後リリースされるタイトル、過去のタイトルすべてにおいてこの戦略に沿ってリリースタイトルを検討するという。

 その基準となるのは「ユーザーが何を求めているのか?」という点にある。アーケードゲームとスマートフォン用ゲームを同時に出すのか? スマートフォン用ゲームを先にリリースするのかはタイトル・バイ・タイトルで検討される。ただどんな状況でもアーケードゲームが中心にあることに変わりは無く、「オリジナルの(アーケードゲームを制作する)チームが、プレーヤーの気持ちを汲んですべてのデバイスで手がけていく(杉野氏)」としている。

 杉野氏は今回の戦略について単なる多方面へのデバイス展開ではなく、「いろいろな環境で(エンターテイメントを)楽しんでもらえるよう、どこでもエンターテイメントを提供できる会社でありたい」と会社のエンタテイメントへの取り組みの方針として戦略が設定されていると説明した。

ゲーム市場の概況を説明。アーケードゲーム市場はコンシューマーとほぼ同様
現在のスマートフォンタイトルのセガゲームスグループ内での切り分け
「マルチデバイス×ワンサービス」戦略とは?
しっかりとしたアーケードゲームをリリースすることで、多方面に展開する「マルチデバイス×ワンサービス」戦略
セガゲームス セガネットワークスカンパニーの岩城 農COO

 一方で、スマートフォンゲーム業界の側面から見ても「マルチデバイス×ワンサービス」戦略は理にかなっているという。

 市場規模としてはコンシューマーゲームとアミューズメントゲームは横ばいから縮小傾向にあるが、スマートフォン向けのゲームに関しては売上高は爆発的な伸びを見せている。しかしスマホ向けコンテンツ業界的には、スマホのデバイス需要が一巡したこともあり、ダウンロード数は伸びていないという。売り上げは伸びているが、ダウンロード数が伸びていないと言うことは、コンテンツ間でプレイ時間の取り合いが起こっているということで、飽きるとすぐにコンテンツ感でユーザーが移動する現状が指摘されている。

 このコンテンツ過剰の中で、他のコンテンツと差別化を図りながらユーザーにどのように楽しんでもらえるかについては、各社が試行錯誤を繰り返している。この点についてセガネットワークスカンパニーの岩城 農COOは、セガゲームスグループとしての強みを強調。あらゆる市場にリーチする高い開発力、F2Pタイトルの開発実績を多数行なうことでのノウハウの集積、マーケティング力を持つグループとしてこの強みをより生かすための戦略が「マルチデバイス×ワンサービス」戦略であるとしている。

 前述の通りAndroid/iOS用で大ヒットを記録した「チェインクロニクル」はセガ・インタラクティブ開発によるタイトルで、そういった意味ではそういった開発タイトルをアーケードゲーム化することについてはどう考えているのか聞いてみると、「ぷよぷよ!!クエスト」を例に挙げ、「グループとして積極的に考えている。チャンスがあればやりたい」と杉野氏はコメントした。

 アーケードゲームは下降気味と言われてきたが、「NETFLIXなど動画配信サービスの登場で映画はなくなると言われたが、今年は『君の名は』の大ヒットなどで盛り上がっている。CDは売れなくてもライブには人が集まる。良いコンテンツを提供することが重要」と語り、今後のアーケードゲーム市場についても「外に出てゲームをプレイして同じゲームをプレイする知らない人たちと友達になる。その場のエネルギーはすごい」とかたり、今後ともアーケードゲームの市場を広げていきたいと語った。

スマートフォン用ゲーム上の現在。売り上げは伸びているが、アプリのダウンロード数は減少。コンテンツの供給過剰の中でプレイ時間の取り合いに陥っている
差別化を行なわなければならない中で、セガグループの強み
「マルチデバイス×ワンサービス」戦略は、スマートフォンゲーム業界の側面から見ても理にかなっている