ニュース
「ミニ四駆ジャパンカップ2016 チャンピオン決定戦」開催
シャーシがねじれる秘密ギミックで東京最終予選勝者が優勝!
2016年10月17日 00:00
タミヤは10月16日、お台場・MEGAWEBにて「ミニ四駆ジャパンカップ2016 チャンピオン決定戦」を開催した。この大会では、6月より日本全国で行なわれた予選を勝ち残った選手達が集い、日本一となるチャンピオンを決定した。
当日は最後の予選も行なわれた。「ミニ四駆ジャパンカップ」の予選はコアな社会人チームも多数参加する。彼らは1つの地域での予選大会ではなく幅広い地域、例えば静岡のチームが愛知や広島の大会まで“遠征”を行なう。そうした予選大会でも、東京予選は規模が大きく、この時のために全国からのユーザーが集まる。
最終予選はその後のチャンピオン決定戦があるため、これまでの予選と比べ時間も募集人数も半分ほどだが、最後のチャンスをかけて、これまでの予選で練り込んだセッティングで気合いを込めて挑む選手達が多かった。
「ミニ四駆 ジャパンカップ 2016」で使用されるコース「ウルトラ バーニング サーキット2016」はかなりの難コースだ。特に車体が激しく上下に動く「ジ・アルプス」は多くの選手を悩ませた。ここは以前の「ナイアガラスロープ」をさらに難しくしたようなところで、かなりスピードが乗った状態で急な上り坂を登り、その後水平になってから、急な下り坂が待っている。
さらに今回の象徴ともいえる仕掛けが「バーティカルチェンジャー」だ。コースを変更する際のチェンジャーであり、5周の間1回しか通過しないのだが、今回は高さ170cmまで車体が駆け上がらなくてはならない。駆け上がるにはパワーが必要で、登り切るとかなりの急斜面を降りるので猛スピードとなり、車体の安定性も著しく低下する。もちろん他にも難所はいくつもある。
今回の選手達の“流行”は「可動ボディ」である。シャーシに取り付けるボディの全面にちょうつがいを取り付け、車体がはねたりしたときにボディが動くことで路面に車体を押さえつける仕掛けだ。これはこれまでの車体後部にバンパーパーツを組み合わせて作っていた「ちょうちん」と呼ばれる仕掛けがあった。
可動ボディはこの仕掛けの改良版になる。ちょうちんは全くの別パーツだったが、ボディと一体化下仕掛けになった。さらにボディそのものもポリカーボネートを使用している。これにより軽量化とボディの剛性も確保しているという。ちなみにファンの呼び名は「ボディちょうちん」とそのままなのも面白い。大会を通じ多くの選手が様々な手段を考え、“流行”につながり、そして洗練されていく流れが見えた気がした。
6月より開催された「ミニ四駆 ジャパンカップ 2016」だが、4カ月の間に選手達はいくつもの会場を巡ったり、仲間内で情報を共有したり、ネットで他の人の意見を参考にしたりしている。そのためか予選では完走する車が多く感じた。コースの“攻略”はかなりされていたようだ。
しかし、全国を勝ち進んだ猛者達による決勝戦では完走者ばかりかというと、そうでないのが面白い。今回は大会優勝者達が参加できる「チャンピオンズ」、中学3年生までの「ジュニアクラス」、制限なしの「オープンクラス」の3つのチャンピオン決定戦が行なわれたのだが、コースアウトする車も多かった。
今回の試合の中で最も見応えがあったのはやはり「オープンクラス」の決勝戦だ。全国から勝ち抜いてきた選手達のマシンは安定性とスピードを兼ね備えそしてめまぐるしく順位を変えて進んでいく。終盤火花を散らしたのはトップを走る黒い谷川選手のマシンと、黄色の川井選手のマシン。黄色のマシンは黒いマシンを猛追し、そしてラスト、「バーティカルチェンジャー」でタイムロスとなった黒いマシンを見事に抜き去り、黄色のマシン、川井選手が優勝となった。
川井選手はこの決定戦の前の予選大会で今回の出場をもぎ取った。1日で2回表彰台に上がったこととなる。川井氏自身もこの結果に驚いているように見えた。川井氏自身はコミュニティと深い繋がりを持っているようで、たくさんの人に祝福されていた。
試合後川井選手のマシンを見せて貰ったのだが、ボディ部分がない、シャーシむき出しに見えるユニークな外見だ。「工夫したところは?」と質問すると、川井選手は「フレキシブルなところです」と、車体を“ねじって”みせたのだ。このマシンはシャーシから大きく手が加えられており、シャーシが前後でわかれて軸で繋がれており、路面の傾きに合わせて前輪と後輪の角度を変えることができるのだ。この機構がより安定した走りをもたらすという。
筆者はこんな機構は見たことがなかった。タミヤの製品ではシャーシは1枚の板になっており、これを切り離し動かすというのは実車のサスペンションの発想に近いものなのではないだろうか。非常にユニークで新しい発想だと感じた。これからのミニ四駆の“進化”に大きく期待させるアイディアだ。選手達は本当にすごいし、ミニ四駆は楽しいと強く感じられた大会だった。