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「ハースストーン」新日本チャンプが魅せた圧倒的な“運と実力”
「日本夏季選手権」優勝、Gundam Flame選手の今後の活躍に期待大!
2016年9月11日 22:15
ブリザード・エンターテイメントは9月10日と11日、Android/iOS/Windows/Mac用デジタルカードゲーム「ハースストーン」の大会「ハースストーン日本夏季選手権」を開催し、優勝がGundam Flame選手と決定した。
「ハースストーン日本夏季選手権」は、オンライン予選を勝ち抜いた16名で争う日本大会。ルールはいわゆる「BO7」形式で、最初に異なるヒーロー5種類のデッキを提出し、お互いに1種類のデッキを排除(BAN)。残った4つのデッキを使い、それぞれで1勝ずつ、合計4勝を挙げれば勝利となる。大会は2日間に渡り、優勝したGundam Flame選手は「アジア太平洋選手権」へ駒を進めることとなる。
「アジア太平洋選手権」は10月1日と2日にアメリカのロサンゼルスで開催され、さらにそこで優勝すれば、11月4日と5日開催のブリザード・エンターテイメントのプライベートイベント「Blizzcon」での世界選手権への出場権を獲得できる。
世界大会へ向けた最初の足がかりとなるのが本大会だが、Gundam Flame選手が決勝戦(対yutori選手)で見せたのは、その爆発力だった。もともと「強いデッキをミスなくプレイできるプレーヤー」(yutori選手)というプレイイングへの評価が高い選手ではあったが、この日はそこに圧倒的な引き運が付与。
たとえば、呪文を唱えると追加の1ダメージをランダムな2体に放つ「フレイムウェイカー」の追加ダメージが、当たってほしいミニオンにきっちり入る場面が何度も登場した。その運の良さはカードで大会MVPを挙げるとしたら「フレイムウェイカー」だと本人が語るほどで、特にランダム要素のあるカードがことごとく上手く作用した印象だ。
圧巻だったのはGundam Flame選手2勝、yutori選手1勝で迎えたドルイドVSハンターの1戦。Gundam Flame選手のドルイドは、後攻の初手で「練気」(0マナ:2マナを付与)と「ファンドラル・スタッグヘルム」(4マナ:3/5、効果を選べる「選択」カードの効果が両方発動する)を引き、「コイン」(0マナ:1マナを付与)を組み合わせ、1ターン目で「ファンドラル・スタッグヘルム」を登場させる。
さらに手元には「選択」を持つ「野生の力」(2マナ:味方のミニオン全てに+1/+1、または、3/2のヒョウを1体召喚)と「妖獣の激昂」(3マナ:自分のヒーローに同ターンのみ攻撃力+4、または装甲を8獲得)があるという盤石の態勢。さらにその後も「魔力の巨人」(12マナ:8/8、使用した呪文1つにつきコストが1減る)に「なぎ払い」(4マナ:ヒーローかミニオンに4点のダメージを与え、それ以外のミニオンとヒーロー全てに1点のダメージ与える)というフィニッシャーをきっちり引いて、速さが強みのハンターに対し、わずか6ターンで投了を選択させた。
こうした完璧すぎるカード運は「途中から導いてくれるかのように完全に引きが最高だった」と本人も振り返るように、観客の立場から見ていても、引くカードすべてがGundam Flame選手に味方しており、怖いくらいの最高形の戦いを間近で見ることができた。
対するyutori選手も負けてはおらず、呪文を唱える度にスタックが成長していく「クエスト中の冒険者」とローグの低コスト呪文によるコンボや、呪文ダメージ+5を持つ「マリゴス」と「なぎ払い」のコンボで決定打を放つなど、常に最高のカードを持つGundam Flame選手にベストな試合を見せていた。
しかし最後は運が味方したと言うべきか、Gundam Flame選手は「ここで『猟犬を放て!』を引ければ勝利」という場面で見事に「猟犬を放て!」をドローし、劇的にyutori選手を撃破することに成功した。
試合だけ見れば圧倒的な運によって勝利したかのようにも見えるが、大会に備えて1日2~3時間の練習を欠かさず、新たなデッキ情報は必ず自分で試してから採用を検討しているなど、コツコツとした努力が基礎にあってこそ故でもある。
yutori選手との対戦については「ローグが強いイメージ」でありながら、「ローグは上位のヒーローだとは考えておらず、BANしないことを決めていた」としており、実際にyutori選手のローグをメイジとウォリアーで破っており、そこにも勝機があったようだ。
アジア太平洋選手権に向けては約3週間の時間が空くが、それまでに「みっちり練習する」という。ただし「ドルイドのプレイイングに怪しいところがあった」と課題も残しており、大会に向けての調整が楽しみだ。
Gundam Flame選手は試合後、アジア太平洋選手権のみならず、「Blizzconでも優勝します!」と堂々の宣言。実力と運を兼ね備え、圧倒的な勝利を決めた試合ぶりは今振り返っても清々しいくらいだが、この勢いに乗り、アジア太平洋選手権でも存分に話題をさらってほしいと思う。