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「マフィアIII」、1シーン1シーンを大事にした記憶に残るバイオレンスアクションに
次の標的は金庫番のTony。蜂の巣にした上にビルの最上階から突き落とす!
2016年8月21日 18:32
gamescomの2K Gamesブースは、E3と同様にほぼ「マフィアIII」一色の展開だった。ブースではニューオリンズを模したニューボルドー風の巨大なシアターを展開し、シアター形式で「マフィアIII」の魅力をアピールしていた。会場の内外でも至る所に「マフィアIII」のポスターが掲示され、今年のgamescomでもっとも目立っていたタイトルといっても過言ではない。今回も残念ながら試遊は行なわれなかったものの、今回gamescomで公開されたトレーラーの内容とはまた別の、最新バージョンのデモを見ることができたのでご紹介しておきたい。
今回もニューボルドーを構成するディストリクト(地域)の紹介から入った。ニューボルドーは全部で10のディストリクトで構成されており、敵対するマフィア組織マルカーノ一家が支配するBayou Fantom、高級住宅地であり、白人至上主義を掲げる団体が存在するFrisco Fields、かつて主人公リンカーン・クレイが所属していた黒人マフィアの支配地であり、現在は麻薬生産地となっているDelray Hollow、そして高層ビルが建ち並ぶ中心地ダウンタウンなどなど、地域によってまったく表情が異なるのがおもしろい。
クレイは、復讐を目的にそれぞれのディストリクトに赴き、抗争を繰り広げ、地域を支配するマフィアのボスを殺害することで自ら支配していく。暴力に対してそれ以上の暴力で塗り替えていくバイオレンスゲームだ。
今回のデモでクレイのターゲットとなったのは、マルカーノ一家で金庫番を務めるTony Derazio。スキンヘッドにメガネを掛け、パリッとスーツを着こなしている。一見、デキるビジネスマン風だが、デモでは裏切りものに対して直接乗り込んでピストルで射殺する冷酷な一面も覗かせていた。
Tonyはダウンタウンにあるホテルの最上階をオフィスとしており、無数の監視カメラとガードマンで身を固めている。クレイはこのホテルに単身乗り込み、Tonyを殺害することが目的となる。
クレイは、呼びつけたバンから武器と弾薬を購入して武装を整え、クルマでホテルに向かう。高音質過ぎるのが気になるが、カーラジオから流れるジャズサウンドを聴いているとこれから人殺しに行くとは思えない。
クレイは地下のガレージからエレベーターを使ってオフィスに乗り込むと、さっそく無数の敵が迎え撃ってくる。「マフィアIII」のシューティングは、「Grand Theft Auto」シリーズでもお馴染みの3人称視点からカバリングアクションを基本とした比較的ベーシックな内容だが、メリハリを付けるために導入しているのが敵に近づいてとどめを刺すフィニッシングムーブだ。
このフィニッシングムーブは1種類や2種類どころではなく、立ち位置やタイミング、武器によって変わる。共通点としては無防備な状態にしてから無慈悲に殺すというマフィアスタイルでトドメを差すところ。目を切りつけたり、蹴倒したり、背負い投げから流れるように撃ち殺したり、むごたらしくナイフを突き立てたり、あるいは壁に身体を押しつけて後頭部を撃ったり、とにかくバリエーション豊富だ。
TPSのアクションシューティングは、障害物に身を隠しレティクルを睨みながらひたすら射撃とリロードを繰り返すだけの流れ作業になりがちだが、「マフィアIII」ではプレーヤーによって異なる展開、違ったトドメの刺し方になるため、個々のシーンが強く印象に残るようになっている。
締めくくりのTonyとの戦いは、抵抗らしい抵抗もなく、Tonyに数発当てたところで自動的にカットシーンに入った。Tonyは銃弾を受けておびただしく流血しており、死ぬのは時間の問題。「とっとと殺せ!」と強がるTonyに対してクレイは会話らしい会話もせず、無言で掴み上げホテルの屋上から突き落とす。落下地点はちょうどホテル1階の車寄せ部分で、ちょうど停車した車のルーフトップに落下してベコベコに粉砕する。周囲には警察やメディアも駆けつけており、見せしめとしてはこれ以上のものはない。この後、物語はどういう展開になるのか気になるところだが、デモはここで終了となった。
「GTA」シリーズや「ケイン&リンチ」シリーズをはじめ、海外には遊び応えのあるクライムアクションゲームが数多く存在するが、映画や小説など他のストーリーテリングの手法と比較すると、良くも悪くもインタラクティブであるため、肝心のバイオレンス表現は抑え気味なのが通例だ。しかし、「マフィアIII」は、ディテールの描写において過去のクライムアクションの枠組みを完全に突き抜けてしまっており、ゲーム表現という点において新たな領域に突入している。「マフィアIII」がどこを目指しているのか、覚悟を持って最後まで見守っていきたいところだ。