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【特別企画】本格派デジタルTCG「Shadowverse」、そのプレイフィールを解説する
「考えて勝つ」快感。戦略性のあるバトル、そして「進化」が面白い!
2016年6月30日 00:00
6月17日にCygamesよりリリースされたiOS/Android用トレーディングカードゲーム(以下、TCG)「Shadowverse(シャドウバース)」。正式サービス開始より2週間を待たずして200万ダウンロードを突破するほどの人気タイトルなので、すでに体験された方もいるかもしれない。
本稿では、まだ本作に触れていない方々を中心に、この人気TCG「Shadowverse」がどのようなゲームなのか、その基本情報と、より具体的なプレイフィールの解説として、筆者が良くプレイしているデジタルTCG「ハースストーン」との比較をお伝えしていきたい。
なお、本作のメインプランナーである宮下尚之氏には、以前のインタビュー記事において、「Shadowverse」に関する制作秘話を伺っている。ご興味があれば、そちらもぜひ併せてご覧いただきたい。
美麗なイラストと完成されたシステムが融合した本格派TCG!
「Shadowverse」は、「マジック・ザ・ギャザリング」や「ポケモンカードゲーム」といったアナログTCGの流れを汲んで作られたデジタルTCGである。近年は同系統の有名なデジタルTCGとして「ハースストーン」などもあるので、それらをご存知の方はそちらをイメージしていただくとわかりやすいかもしれない。
ゲームは、「エルフ」、「ロイヤル」、「ウィッチ」など7タイプの「クラス」に合わせたカード(一部共通カードあり)から40枚のカードを選択し、それを用いた「デッキ」と呼ばれるカードの山を用いて行なわれる。
カードの種類にはフォロワー(兵士)を増やすもの、スペルを発するもの、敵味方に何らかの効果を発揮するものなどさまざまなものがあり、その組み合わせは自由。同じクラスを選んでいても使い手のセンス次第でカード構成も異なり、最終的に完成するデッキのタイプは無数にあると言ってもいいほどだ。
ちなみに、このカード群にはファンタジーRPG「神撃のバハムート」でも使われた美麗なイラストが使用されているのが特徴。そこから400種類以上もの枚数のカードが採用されており、本作の世界観をビジュアル面で力強く支えている。
対戦のルールは至ってシンプルで、お互いの用意したそれぞれのデッキから順番にドローしていき、入手したカードで相手の「クラス」を攻撃することでその体力を減らし、先に相手クラスの体力をゼロにした側が勝利するというもの。戦略は同じでも引けるカードにランダム性があることで同じ展開にはならず、何度でも対戦を楽しむことができる。
そんな本作の面白さは、やはり対人戦に凝縮されているということは間違いないだろう。相手の自慢のデッキを圧倒し、自分が作ったデッキが想像した通りに機能し勝利したときは、得も言われぬ高揚感が身を包む。一方、敗北してしまっても、つぎの勝利のために新たなデッキ構築をしていると色々と戦略も浮かんできて、この時間がまた楽しい。いったんハマると、対戦とデッキ構築の繰り返しによってどこまでも遊べてしまう、ある意味おそろしいゲームだと言える。
独自のゲームシステム「進化」が面白い!
ここまで解説してきた内容はほかのTCGでも味わうことができる楽しさと言えるが、「Shadowverse」には独自の要素も用意されていて、それがゲームにさらなるアクセントを与えている。それが注目のゲームシステムである「進化」だ。
進化は先攻が4ターン、後攻が3ターン経過後、自分のターン中に任意のタイミングで使用可能となるもので、先攻は2回、後攻は3回という使用制限がある。これを任意のフォロワーに使う、すなわちフォロワーを進化させるとカードのビジュアルがより豪華に変化し、それにともない能力値も上昇する(一部例外あり)という特典が発生する。
進化を遂げたフォロワーは、プレイ(場に出すこと)されたターンでも動けるようになり、そのターンに出したフォロワーだった場合は相手リーダー以外の標的を攻撃可能(前のターンから出していた場合はリーダーも攻撃可)。さらに、進化時には全体攻撃を行なったり、分身するといった特殊な能力を発揮するフォロワーもいるので、強烈な先制、または逆転の一手としても非常に有効だ。このあたりのプレイ感覚は、本作ならではでとても面白い部分であると言えるだろう。
1人用と対人戦、どちらも心ゆくまで楽しめる親切設計!
本作には1人用と対人戦のどちらでも楽しめるように、複数のモードが用意されている。1人用のコンテンツとしては、本作の世界観を知ることのできる「メインストーリー」ならびに、CPUを相手に練習できる「プラクティス」があり、どちらもゲームプレイのためのスタミナ消費など一切ナシで自由に遊ぶことが可能だ。
チュートリアルも兼ねて遊べる「メインストーリー」
メインストーリーは「Shadowverse」に登場するクラス個々の視点から、本作の世界観に関わる物語を追っていくことができるモードだ。これはストーリーパートとCPUと対戦するバトルパートに分かれていて、それらを交互に繰り返して進めていくことになる。
なお、クラスには「エルフ」、「ロイヤル」、「ウィッチ」、「ドラゴン」、「ネクロマンサー」、「ヴァンパイア」、「ビショップ」という7タイプが存在。どのクラスでも自由に選べるが、ストーリーはクラスごとに用意されているので、すべてのストーリーを見ようと思ったら個々にプレイしていく必要がある。
このパートでは、初めてゲームを行なうプレーヤーのために、あらかじめ用意された各クラス用のカードでプレイできる。ストーリーは章立てされていて、章が進むにつれて敵も強くなっていく傾向にあるようだ。なお、1章はチュートリアルも兼ねており、そのクラスでの戦い方を学ぶことが可能。また、章によってはクリアすると強力なカードも獲得できるため、デッキをパワーアップしていけるのもうれしい。
ストーリーを一通りプレイし終えると、報酬獲得によってある程度強力なカードも揃ってくる。これらのカードは、カードメニューの「デッキ編成」にてデッキに組み込んでおきたいところだ。「何のカードを入れたらいいかわからない」というプレーヤーは、自動編成機能を利用してみるのもいいだろう。
本格的な対人戦に向けた練習ができる「プラクティス」
「プラクティス」は組み上げたデッキの挙動や戦術の確認を、CPUの操作する各クラスを相手に実戦に近い形で行なうことが可能なモードとなっている。難易度は初級、中級、上級と3段階から選択可能。とくに初級は相手の体力だけが通常の半分の10になっているので、慣れないうちはこの初級を相手に腕を磨いていくのがよさそうだ。
上級のCPU相手にコンスタントに勝てるようになってきたのであれば、それはデッキの内容が安定しつつあり、腕前も上がっているということ。つまり、対人戦である「バトル」への参加も検討していい段階と言えるだろう。
他のプレーヤーと対戦ができる「バトル」
バトルは対人戦専用のコンテンツで、ランダムに選ばれた相手と戦える「フリーマッチ」、ランクの変動が行なわれる「ランクマッチ」、特定の相手と戦うことができる「ルームマッチ」の3種類が収録されている。
フリーマッチはその名の通り誰とでも戦えるモードだが、相手を選ぶことはできず、ランダムにマッチングされる。対戦に負けても失うものはないので、まずはここで本格的な対戦の空気というものを感じてみるといいだろう。
ランクマッチはランキングに影響するモードで、フリーマッチと同様に相手を選ぶことはできない。対戦に勝利するとバトルポイントを大量に獲得し、一定量が貯まるとランクもアップしていく。ランキングを狙うのであれば、こちらを積極的にプレイしていくのがよさそうだ。
ルームマッチは、おもに知り合いとプレイするためのモード。ルームは自分で作ることも相手が作った部屋に入ることもできるが、ルームを作った側がチャットツールやメールといった何らかの手段でルームIDを戦いたい相手に知らせなければならない(ゲーム内に伝える機能はない) 。このモードではランクなどの変動は一切ないほか、先に紹介した2つのモードとちがって同じ相手と連戦ができるので、心ゆくまでゲームを楽しめる。
慣れないうちはフリーマッチやルームマッチで対戦の感覚をつかむ、というのが一般的かもしれないが、勝敗を気にしなければ最初からどんどんランクマッチに参加して、経験を積んでいくのも一興だ。
デジタルTCGの先駆者「ハースストーン」との気になるちがい
「Shadowverse」をプレイしてみて感じたことは色々あったが、そこでどうしても浮き彫りになってくるのがデジタルTCG「ハースストーン」とのちがいだ。個人的にどちらも同じぐらいに楽しませてもらっている作品だが、ここではそれらの似ている部分、また独自の部分についての感想などを述べていきたい。
「PP(プレイポイント)」の運用
まず思ったのが、「PP(プレイポイント)」、つまり、「ハースストーン」で言うところの「マナ」だが、このPP運用が意外に難しいということ。「ハースストーン」には「ヒーローパワー」という消費マナが2の行動がある。これは戦略的にも重要なものだが、ほどよい低コストのため、余ったマナを消費するのにも適している。一方の「Shadowverse」にはカード以外にPPを消費する術がない。場合によっては、出せるカードがないために何もせずターンを終えることもあるぐらいだ。
そういった点で「Shadowverse」プレイ時は空きターンが出ないよう、ドロー系カードを増やしたり、低コストカードを多めに入れるなどデッキ構築に一手間かける必要があるように感じられた。ただ、これはコストの低いカードの活躍する場が多くなるということでもあり、それだけでも「ハースストーン」とはひと味ちがったプレイフィールを楽しめる。
フィールドに置けるフォロワーの数
つぎに感じたのはフィールドのちがいである。「ハースストーン」における盤面には最大7体のミニオン(兵士)が配置できるが、「Shadowverse」には5体のフォロワーしか配置できない。長いこと「ハースストーン」をプレイしていた筆者にとって、初めて「Shadowverse」をプレイしたときは「なんて窮屈なんだ!」と思ったものだが、プレイを進め、ゲームを理解するほどに適正だな、と思える広さになってきた。
とくに、「Shadowverse」では各プレーヤーのリーダー、つまり「ハースストーン」における「ヒーロー」だが、この体力が20点しかない。これを減らすのに仮に6体以上のフォロワーが置けたとなると、例えばロイヤルのような序盤で比較的簡単に高い火力を出せるようなクラスだと、かなり強い立ち回りができてしまうかもしれない。インタビュー記事でもメインプランナーの宮下尚之氏が述べていたが「盤面の見やすさを考慮した上で5体とし、それを踏まえたバランス調整を行なった」というのはとても納得できる話だ。
1デッキの規定枚数
デッキに入れるカードの規定枚数は、プレイを重ねた今でもとても気になっている部分だ。「Shadowverse」は1デッキ40枚と、「ハースストーン」より10枚も多い。このおかげで、筆者はこれまで対戦中にカード切れが起きたことは1度もないのだが、一方で「欲しいカードがいつまでたっても回ってこない」というはがゆい負け方をしたことも何度もある。
これについては1デッキに最大3枚まで同じカードを入れられる(「ハースストーン」は1デッキ同カード2枚、レジェンドは1枚)ため、そこでフォローをしていこう、ということなのだろう。しかし、ブロンズレア、あるいはシルバーレアぐらいまでのカードならまだしも、ゴールドレアやレジェンドといった貴重なカードを3枚揃えるというのはなかなか大変だと思う。
本作では「レッドエーテル」と呼ばれるポイントを消費して「カード生成」を行なうこともできるが、こちらもそう簡単に貯められるものでもなく、理想のデッキを作るにはやはり課金するのが1番の近道ということになる。ちなみにカードを作り出すシステムは「ハースストーン」にも「作成」という同様の項目が用意されている。
余談ではあるが、本稿については無課金で進めた上での話を執筆させていただいている。しかし、ネタがまとまり執筆も終わろうという頃に、理想のデッキ作りを目指す気持ちに、ちょうど「クリスタル超お買い得キャンペーン」(6月25日~27日開催)が重なり、これを2口(1万円分)購入してパッケージ76個分にあたる7,600クリスタルを入手した。
それだけ本作にハマっているということでもあるのだが、いまは少しずつクリスタルを使用し、パッケージを開封している段階。しかしゴールドレアやレジェンドを大幅に獲得するには至らず、未だ理想のデッキにはほど遠い状況である……。
独自要素「進化」をいつ仕掛けるかの駆け引きが熱い
本作の特徴の1つである進化については先にお伝えした通りだが、これは本当に奥が深いと感じさせられる。この進化については「ハースストーン」にも似たような効果を持ったミニオンがいるもののメインのシステムではなく、いわば例外というところだ。
この進化は、たとえ弱めのフォロワーしか場にいない場合でも進化を実行することでいきなり主力フォロワー級の力を持つこともあるので非常に頼りになる。また、同時に相手の進化についても警戒しなければならないため、いつもスリリングなゲーム展開が楽しめる。
また、進化は規定ターン数が訪れたあとは任意のターンに実行が可能となることもあって、いつ使うのかのタイミングは状況しだい。できるだけ相手に先に使わせつつ、それを安全に処理していきたい部分もあり、使いどころの見極めは非常に難しいと言える。この進化の使い方、または対処法1つでもプレイングに大きく差が出てくるので、何度も実戦で試してその呼吸を覚えていきたいところだ。
この進化という要素自体は、例えば「ポケモンカードゲーム」でも見られたギミックではあるが、本作の場合は進化による恩恵が多種多様で、それだけに戦略の幅も大いに広がっていく、ある意味、独自と言ってもいい要素として仕上がっている。どのフォロワーでもフィールドに出しただけで進化の対象、つまり逆転のトリガーとなるので、困難な局面でも希望を持ってプレイできる。
チュートリアルや、CPU戦などが充実していることでTCG初心者でも比較的始めやすい「Shadowverse」。今はサービスがスタートしたばかりで対戦相手も多く、さくさくマッチングできるのもうれしいところだ。基本ルールを覚えてデッキが整ったのならばすぐにでも対人戦を始め、進化を含めたプレイングの醍醐味をぜひとも味わってみていただきたい。
(C)Cygames, Inc.