ニュース
RTS界のダークホース「グランドエイジ メディーバル」をプレイ
一地方の領主から皇帝を目指す! シビアさへの理解で面白さが跳ね上がる1作
2016年6月10日 12:09
6月9日にユービーアイソフトよりプレイステーション4用ソフトとして発売された交易:外交シミュレーション「グランドエイジ メディーバル」。プレーヤーは11世紀のヨーロッパを舞台に地方の領主となり、他の領主たちとときに協力し、ときに争いながら自勢力の拡大を図りつつ皇帝の地位を目指すことになる。
本作はいわゆるリアルタイムストラテジー(RTS)であり、RTSと一口に言ってもライトなものからがっつりと作りこまれたものまでさまざまだが、今回ご紹介するこの「グランドエイジ メディーバル」はそのなかでもとくに細かく作り上げられているのが特徴となっている。初めてプレイしたときにはその複雑さにたじろぎもするが、ひとたび理解すると面白さが跳ね上がるタイトルと言える。今回は、そんな本作のプレイフィールをお届けしていきたい。
本作には1人で遊ぶモードとして、壮大なストーリーに沿ってゲームを進めていく「キャンペーン」と、初期状態や敵の数、敵の強さを自由に設定して遊ぶことができる「オープンゲーム」の2種類が用意されている。また、オンラインによるマルチプレイも楽しむことが可能で、こちらは勝利条件を設定しておき8人の城主(CPUを設定することも可能)がその目標に向かって突き進む、というものになる。
他の領主との外交や戦争などやれることは多いゲームだが、目標はあくまでもヨーロッパ全土を掌握し、自らの帝国を築くことにある。そのためにもまずは、自分の街を確実に発展させていかなければならない。ここであえて「確実に」と書いているのは、本作においては「街を発展させる」という通常のRTSなら比較的普通にやれるようなことが、かなり難しいからにほかならない。
交易を通じて街を発展させていこう
本作をスムーズに進めるにあたって、最初に重視していきたいのは経済の部分。とりわけ「生産」と「交易」の2つは経済において欠かすことができない要素となっている。生産においては、木材、レンガ、穀物、果物など、さまざまな生産物を扱う施設を街に設置することが可能だ。これらの施設を増やせば街にはその労働力として街に人々が集まり、その結果、繁栄度が高まって発展していくことになる。ただし、1つの街で作れる生産物は最大5種類まで。より大きく発展させるにはもっと多くの生産物が必要なため、必然的に種類が足りないということになる。
そこで必要となるのが交易だ。「商人」を雇用して自分の街と他の街を行き来させ、物資の売買を行なわせることで安定的に街に生産物を供給していけば、街もより発展させることができるようになるのである。逆に、いつまでも必要な生産物が供給できないままでいると街はやがて衰退していき、人口の減少とともに労働力も低下し、赤字を抱えて発展することが難しくなってしまう場合もある。
ただし、すぐに交易を行なおうとしてもそう簡単にはスタートしない。まず、事前に交易対象の街と「外交」を行なわなければいけないのだ。ちなみに外交においては、交易の許可を得るだけでなく、贈り物をして相手領主の好感度を上げたり宣戦布告をしたりとさまざまなことが可能となっている。ともあれ、自分の街が発展途上であるうちは、まず交易ができる形へと持っていくのがいいだろう。そのために金品を送ったりする必要もあるが、交易によって今後何十倍もの利益が得られることを考えれば、ここはうまく約束を取り付けておくほうが得策だ。
この街づくりと外交・交易がもたらす絶妙なバランスによって街が発展していくさまを見るのはとても楽しい。最初のうちは、人口が増え、収入が増え、施設を増強してまた人口を増やす……という連鎖を繰り返すだけでもそこそこ遊んだ気分になれるだろう。しかし、もちろん本作の魅力はこれだけではないのである。
新たな街を作って領地を発展させる
ある程度まで街が繁栄してくると人口も頭打ちになり、発展にも限界が見えてくる。そんな場合には「開拓者」を雇い、新天地に新たな街を築くことを考えたほうがいいだろう。新たな街ができると、そことも物資のやり取りができるようになるだけでなく、領土も拡張できて一石二鳥。ちなみに領土が増えるとその広さに応じて「ランク」が上がり、「開発ポイント」が獲得できる。この開発ポイントを使うと新たな素材を生産できるようになったり、新施設や強力な兵士を雇用できるようになるといったメリットがある。つまりは、発展しやすくなるということだ。
街を新たに作った場所に応じて、生産される物資が変化するという部分にも注目したい。例えば、海辺に街を作れば塩や魚などを、山あいなら石炭、平野なら蜂蜜を獲得できるようになる。基本的にはどこに街を作るのも自由ではあるが、街を作るためには一定の広さが必要なほか、街同士が重ならないようにある程度距離を置く、といったルールがあるのでその点だけは注意するべきだろう。なお、序盤のうちは新たな開拓者を雇うための物資(木材、レンガ、穀物)を獲得しやすい場所を選ぶと、以後の発展もやりやすくなるようだ。
新たな街を作ることはメリットも多く、ついたくさん作りたくなるのだが、施設を発注するためにも資金が必要。また、設備が増えればおのずと維持費も増加する。つまりは採算の取れる街作りをしていかないと、あっという間に破綻してしまうのである。
「施設を作れば何かしらプラスになる」などという甘い考えでプレイをしていると、すぐに赤字経営を余儀なくされてしまい、ゲームを最初からプレイせざるを得なくなる。このシビアさは現実世界にも通じるものがあってなんとも言えない気分になるが、ともあれ、経済の仕組みが絶妙に組み込まれたことで力押しのような雑なプレイもできなくなっていて、そこが本作をよりいっそう面白くしているように感じられるのである。
軍備を整え敵対勢力に対抗せよ
本作は街の運用と交易がプレイ時間の大部分を占めているゲームではあるが、もちろん戦争要素も用意されている。ただし街の人々は戦闘要員にはならず、戦闘を行なおうと思った場合には、あらためて軍事部隊を雇用する必要がある。
軍事部隊の種類には「長柄武器」、「鈍器/刀剣」、「遠距離攻撃」、「騎馬」などのタイプ別部隊のほか、フランスならば「騎士」、といった感じの地域限定の部隊も存在しており、どの部隊にも特徴や相性が存在する。また、先にも少し触れたように、開発ポイントを消費することで新たな部隊が雇用できるようにもなるので、序盤で強力なユニットを開発しておき、戦争特化の領主となるのも面白いかもしれない。
戦争の方法は簡単で、攻撃させたい部隊を選択したあとに、対象となる部隊を選択するだけ。戦闘中は基本的に見ているだけのオートバトルだが、「攻撃重視」、「防御重視」、「自動退却」という戦闘方針を与えられるほか、状況に応じて強制的に退却させることも可能。一方、敵の街を攻撃する際は包囲戦となり、「自動退却」以外の戦闘方針は実行できない(強制退却は可能)。ちなみに部隊には経験値があり、これが最大になった部隊は攻撃力が2倍になるというボーナスも付与される。兵を使い捨て感覚で投入するかどうかも、戦争に勝利するためのカギとなっていきそうだ。
本作はスケールが大きなゲームということだけあって、1プレイの時間も5時間や10時間では終わらないほどの内容だ。しかも経済主体で高めの難易度となれば、RTS好きにはたまらないゲームと言えるのではないだろうか? 今年に入ってからいくつかRTSタイトルを遊んでいるが、現在のところ個人的にはこれが1番のヒットだった。
なお今回は発売前のプレイとなったためマルチプレイには触れていないが、システムを理解すればオフラインでもオンラインでも楽しめるタイトルだろう。その細かさ、難易度の高さから初心者にはオススメしづらくはあるが、願わくば1人でも多くのプレーヤーにプレイいただきたいタイトルだ。
(c)2016 Kalypso Media Group GmbH. All rights reserved. Developed by Gaming Minds Studios. Published and distributed by Ubisoft Entertainment under license from Kalypso Media USA, Inc. Grand Ages Medieval is a trademark of Kalypso Media Group GmbH and is used under license. Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. All other logos, copyrights and trademarks are property of their respective owner.