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18歳の若きヒーロー誕生!「ハースストーン日本春季選手権」決勝レポート
脅威の引きと「Jako算」発動! 準決勝以上の熱戦の模様を紹介
2016年6月7日 00:00
ブリザード・エンターテイメントは、横浜にある「DMM VR THEATER YOKOHAMA 」にて6月4日、5日の2日間にわたり「ハースストーン日本春季選手権」を実施した。本大会は日本一の「ハースストーン」プレーヤーを決めるための戦いであり、優勝者は「アジア太平洋春季選手権」の出場権を獲得することができる。
なお、今回の大会においては、決勝大会実施2時間前にオフラインイベント「炉端の集い」も開催された。この「炉端の集い」とは「ハースストーン」プレーヤーなら誰でも参加できるイベントで、お互いを知らない来場者同士が気ままに対戦を楽しんだり、会話に興じたりすることができるというもの。
今回は屋外の敷地内にもテーブルが並べられ、多くの来場者が楽しめるようにセッティングされていたのだが、開催時間はちょうど大粒の雨が降っていたこともあり、プレーヤーは早々に会場内へと避難。ただし、当日に並行して実施された「コインゲーム対戦会」は予定通り実施され、各プレーヤーは入場時に受け取ったコインを賭けて周囲の相手と戦っていた。規定時間経過後はコイン獲得数上位者たちが賞品獲得の権利を手に入れ、映画「ウォークラフト」のチケットやホガーのぬいぐるみ、ヒーローのポスターから自分の好きな賞品を選び持ち帰っていた。
メインイベントの決勝大会では4人の選手が王座を賭けて争う!
「ハースストーン春季選手権」の決勝大会では、「Jako1910」選手、「ARST」選手、「Tredsred」選手、「Zarathustra」選手の4人による戦いが行なわれた。決勝大会のルールは、「5ヒーロー1禁止のコンクエスト」、すなわち5人のヒーローを選択し、そのうち1つを対戦相手に禁止され、残ったヒーローを使って勝負するという形式。どのヒーローで戦ってもいいが、1度勝利したヒーローはその戦いでは再度使用できず、残ったヒーローを使わなくてはならない。このルールで7戦を行ない、先に4勝した選手が勝利となる仕組みだ。なお、敗者復活戦は実施されない。
準決勝第一試合/「Jako1910」選手 VS 「ARST」選手
ARST選手が選んだのはウォリアー、ローグ、ハンター、シャーマン、ウォーロックで、BAN(禁止)されたのはウォリアー。一方のJako1910選手が選んだのはウォリアー、シャーマン、メイジ、ウォーロック、ドルイドで、BANされたのはウォーロックという形でスタートした。
第1戦目はARST選手がハンターで、Jako1910選手がメイジという戦い。お互いが体力を奪い合う展開のなかで、終盤ARST選手が大量のミニオンで一気に押し切りかけたが、これを「アイスブロック(体力がゼロになる攻撃を受けても踏みとどまって倒れず、かつ、そのターンは無敵になる)」で防ぐJako1910選手。そうしておいて、自分のターンでJako1910選手が「パイロブラスト(10ダメージ)」で逆に相手の体力をゼロにして見事に1勝を上げる。つづく2戦目はARST選手のハンターとJako1910選手のシャーマンとの戦いだったが、Jako1910選手のトーテムの運用がうまくハマり、またもやJako1910選手が勝利。
3戦目はARST選手のハンターとJako1910選手のウォリアー。ここで何としても流れをつかみたいARST選手は、終盤、自分が体力を15点残した状態で、盤面にミニオンはいないもののJako1910選手の体力を6点+装甲2点の計 8点まで追い詰める。しかし、手札には「連射の一矢(3ダメージ+カード1枚ドロー)」を持つのみで決定打がない。Jako1910選手のターンが終了し、つぎのARST選手がドローで5ダメージ以上を与えられるカード(この場合は「荒野の呼び声(獣の相棒を3体すべて召喚)」)を引けなければ負けがほぼ確定、という厳しい状況だったが、そこはARST選手の強運が発動。「荒野の呼び声」をドローし、ピッタリ8点のダメージを与えてARST選手が勝利した。
4戦目、ARST選手はローグを選び、Jako1910選手はウォリアーを選択。終盤、ARST選手が体力8点まで追い詰められた時点で、長考の末Jako1910選手のミニオンを攻撃しはじめたが、操作が間に合わず時間切れになるという手痛いミス。結局、劣勢をしのげないままARST選手は敗北宣言を選択し、Jako1910選手が勝利した。5戦目、ARST選手は再度ローグで、そしてJako1910選手は最後に残ったドルイドでの勝負。何としても勝ちたいARST選手ではあったが、中盤以降、Jako1910選手に複数のミニオンを展開され、対処が追いつかずに投了。こうしてJako1910選手が決勝戦進出を果たした。
準決勝第ニ試合/「Tredsred」選手 VS 「Zarathustra」選手
大会をウィナーズで勝ち上がり、直近の公式大会でも16戦無敗という圧倒的な戦歴を持つTredsred選手と、対してこちらも強豪として知られるZarathustra選手との一戦。Tredsred選手が選んだのはウォリアー、ドルイド、ハンター、シャーマン、ローグでBANされたのはドルイド。Zarathustra選手が選んだのはウォーロック、メイジ、ウォリアー、シャーマン、ローグで、BANされたのはウォーロックという形でスタート。
1戦目はTredsred選手がウォリアー、Zarathustra選手がシャーマンという勝負。中盤以降のZarathustra選手の盤面支配を覆すことができず、Zarathustra選手がまず1勝。つづく2戦目はTredsred選手がハンター、Zarathustra選手がメイジを選択。中盤、終盤とミニオンを盤面に保持していたTredsred選手だったが、メイジの呪文攻勢に耐え切れず2連敗を喫することになる。
流れを変えたいTredsred選手は、Zarathustra選手の残りヒーローを見越して再度ハンターを選択。一方、Zarathustra選手はウォリアーで戦いに臨む。中盤、Tredsred選手が「サバンナ・ハイメイン(断末魔で2体のハイエナを召喚)」を出しつつZarathustra選手のミニオンを一掃。さらにつぎのターンでは手札に持っていた「フフラン王女(味方ミニオン1体の断末魔を発動させる)」で「サバンナ・ハイメイン」の断末魔を発動させ、残ったマナで「巨大ガマ(断末魔でランダムな敵に1ダメージを与える)」も配置するという強力な布陣を構築。全体除去ができないZarathustra選手は地道にミニオンの除去を始めるが、これに「荒野の呼び声」も追加されTredsred選手が盤面を圧倒。ここでZarathustra選手は敗北宣言を行ない、3戦目はTredsred選手が勝利した。
4戦目、Tredsred選手はウォリアーを、Zarathustra選手はローグを選択。ここはTredsred選手の海賊系のカードがうまく相乗効果を発揮してZarathustra選手を寄せ付けず、8マナの時点でローグを撃破し2連勝とする。
5戦目では最初のカード交換の時点でTredsred選手は決して悪くはなかった手札をすべて交換。これが見事にハマり「トンネル・トログ(オーバーロードのたびに攻撃力アップ)」、「トーテム・ゴーレム(オーバーロード1)」、「ドゥームハンマー(2回攻撃可能、オーバーロード2)」という最高の手札になり、会場もどよめく。中盤、Tredsred選手のミニオンがすべて除去され、Zarathustra選手のミニオンのみになったところでは体力が削られるのを承知で「ドゥームハンマー」によるミニオン除去を敢行。これを2ターン連続で行ない体力があっという間に30点から14点まで落ちるTredsred選手のシャーマンだったが、その3ターン後には場に出していた「炎まとう無貌のもの(オーバーロード2)」と「血の乾き(味方の全ミニオンに攻撃力+3)」で勝利というすばらしいプレイングを見せた。
Tredsred選手が3連勝したことであとのなくなったZarathustra選手は、Tredsred選手が最後に残したローグに自らもローグをぶつけるという戦略を選択。しかしここは健闘むなしくTredsred選手のローグが勝利し、決勝にはTredsred選手が進出を果たした。
決勝戦/「Jako1910」選手 VS 「Tredsred」選手
18歳にして勢い十分なJako1910選手と、無敗のまま突き進んできたTredsred選手との戦い。Jako1910選手側はウォリアー、シャーマン、メイジ、ウォーロック、ドルイドで、BANされたのはウォーロック。Tredsred選手はウォリアー、ドルイド、ハンター、シャーマン、ローグでBANされたのはハンターという形になった。
第1戦目は終盤、8マナの時点でローグを選択したTredsred選手が勝負をかけにいく。体力が残り26点のウォリアーに対し、2体のミニオンとヒーローパワーによる攻撃で計15点を減らし、さらに「隠蔽(すべてのミニオンに隠れ身を付与)」でミニオンを守りつつターンエンド。これに対し、Jako1910選手が手持ちのミニオンをほぼ総動員し、20点あったTredsred選手のローグの体力を残り1点まで減らしてターンエンド。
ただし、ウォリアーの状況はこのとき場にいた「鎧職人(味方がダメージを受けるたび装甲+1)」と「死憎悔いのグール(自身以外のミニオンに1ダメージ)」の効果により装甲が7点追加され、計18点になったうえ、場には挑発(自分しか攻撃させない効果)持ちのミニオンが1体いるという形に。ここでTredsred選手は敗北宣言を行ない、Jako1910選手がまず1勝を獲得した。
2戦目はTredsred選手がドルイド、Jako1910選手がシャーマンを選択。ここはTredsred選手がドルイド特有の「練気(1ターン限定でマナクリスタル2個獲得)」、「ワタリガラスの偶像(ミニオンまたは呪文を獲得)」、「滋養(マナクリスタル2個またはカード3枚を獲得)」といったカードでデッキを回す。対するJako1910選手側は序盤は対応していたものの、後半はカード供給が追いつかず、体力20点を残して敗北宣言。
1対1となっての3戦目、Tredsred選手がウォリアー、Jako1910選手がシャーマンという組み合わせでの戦い。7マナの状態で残り体力7点となってしまったJako1910選手だったが、Tredsred選手側にも決めきるカードがなく、つぎのターンにJako1910選手が一気に逆転し、2勝目を上げる。さらに、4戦目はTredsred選手のウォリアーに対し、Jako1910選手のドルイドは無駄のないカード引きで一気に盤面を固めて早々に勝利を重ね、優勝へとリーチをかけた。
5戦目は最後に残ったJako1910選手のメイジに対して、Tredsred選手はローグを選択。Tredsred選手はメイジ、とりわけJako1910選手が使用しているフリーズメイジと呼ばれるデッキとの戦い方を研究しており、勝つ自信は十分にあるという。これをJako1910選手がどうやって対処していくのかに注目が集まる。
動きが出てきたのはTredsred選手が6マナになったターンから。ここで盤面に14点分の攻撃力を持ったミニオンを揃え終え、この時点でJako1910選手のメイジは残り体力が21点。これを受けたJako1910選手が「ブリザード(敵全体に凍結+2ダメージ)」でしのぎ、つぎのターンへ。
Tredsred選手は「ガジェッツァンの競売人(呪文使用のたびにカード1枚ドロー)」を出し、さらに「ナイフの雨(敵全体に1ダメージ)」で残ったJako1910選手のミニオンを除去。これに隠蔽を加えてターンエンドし、さらに盤面を充実させていく。これに対してJako1910選手は、「ソーリサン皇帝(ターン終了時手札のコストが-1)」で手を軽くしつつ、「フロストノヴァ(敵全体を凍結)」でターンエンド。
ミニオンが動けない状態がつづくなかで、Tredsred選手はさらに「大地の円環の遠見師(体力を3回復)」でローグの体力を回復させつつ、「エドウィン・ヴァンクリーフ(同ターン内で先にプレイされたカード1枚ごとに攻撃力と体力が+2)」も場に出して、場の点数だけでも31点を揃えてターンエンド。ここでJako1910選手は「魔力なる知性(カード2枚ドロー)」で手札を充実させつつ、「アイスブロック」でガードを固める。さらに「魔力なる知性」、「初級エンジニア(カード1枚ドロー)」で手札を増やし、「ファイアーボール(6ダメージ)」とヒーローパワーを合わせて使い、ローグの体力を20点まで減らす。
「アイスブロック」の効果によって次のTredsred選手の攻撃をやり過ごし、さらに次のターンでJako1910選手が「パイロブラスト」を使用。ローグの体力を10点に減らしたのち、再度「アイスブロック」、「アイスバリア」を使ってターンエンド。Tredsred選手は攻撃以外の対応がなく、メイジに貼られた秘策2種類を消去してターンを終えた。
最後はJako1910選手が「ファイアーボール」、「フロストボルト(3ダメージ+凍結)」、「アイスランス(凍結、または凍結している相手に4ダメージ)」と撃ちこみローグを撃破。これにて、Jako1910選手が優勝を果たした。
大会後は表彰式も実施されたのだが、このときサプライズとして前回の「ハースストーン日本冬季選手権」で優勝をしたmattun選手の授賞式も同時に行なわれた。これはmattun選手本人も知らされていなかったらしく、とても驚かれていたようだ。最後に優勝したJako1910選手に次回アジア選手権大会への意気込みを尋ねると「絶対に優勝してBlizzConへ行くぞ!」と気合十分なコメントをいただくことができた。今後のJako1910選手の活躍にも、ぜひとも期待したい。
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