ニュース
【スマホアプリ今日の1本】「VALKYRIE ANATOMIA」儚げなストーリーに思わずホロリ
「ヴァルキリープロファイル」踏襲のバトルが楽しめるシリーズ最新作
2016年6月3日 00:00
「ヴァルキリーアナトミア」の3大ポイント
・シリーズ作を踏襲したバトルシステム
・踏襲ゆえに敵に攻撃が当たらないことも。賛否がわかれる箇所か
・英雄たちの儚い物語に魅力アリ
コンシューマーやアーケードだけでなく、ここ近年はスマートフォンタイトルの拡充にも力を入れているスクウェア・エニックス。その新作の中でも注目作と言えるのが、戦乙女ヴァルキリーの始まりの物語が綴られるAndroid/iOS「VALKYRIE ANATOMIA-THE ORIGIN-(ヴァルキリーアナトミア ジ オリジン)」だ。サブタイトルに「ジ・オリジン」とある通り、プレイステーションやプレイステーション 2、ニンテンドーDSなどでも展開した「ヴァルキリープロファイル」シリーズの起源が語られる。
まだ世界が9つにわかれていた太古の昔。ヴァン神族のヴァンナヘイムやアース神族のアスガルド、そして人間たちの住むミッドガルドや冥界など、それぞれの世界はバランスを保って存在していた。しかし、そのバランスはある日を境に崩壊し、9つの世界すべてを巻き込んだ戦いが始まる。戦乱の日々のなかで人々が待ち望んだのは、この悲しみの先に現われるという“戦乙女ヴァルキュリア”の降臨だった。
本作のメインストーリーは、主人公であるレナス・ヴァルキュリアが、“死にゆく英雄の魂”を選定し「エインフェリア」として仲間にしていくというもの。メインストーリーは英雄たちの物語が章立てで構成されており、1つの章ではストーリーパートとステージ攻略パートがセットになっている。
各ステージは複数のエリアで構成されており、エリア同士は通路で繋がっている。各エリアには敵が待っていたり宝箱が置かれており、「ボスを倒す」などの条件を満たせばステージクリアとなる。エリアの移動などには「AP」を消費する。APは時間の経過で少しずつ回復するほか、特定のアイテムを使えば、短時間で一気に回復させることも可能だ。
敵のいるエリアへ進むと、敵と味方が交互に行動するターン制バトルに突入。各キャラクターは1ターン内に行動できる回数が決まっており、すべてのキャラクターが行動を終えると敵のターンへ移行する。これをくり返して、敵を全滅させるか、味方のHP(すべてのキャラクターで共有)が尽きるとバトル終了。味方が勝った場合はつぎのエリアへ進めるようになり、負けた場合はそこで終了となる。
バトルでは、画面の下側に表示されているキャラクターのアイコンをタップして攻撃を行なう。攻撃は1キャラクターにつき3回まで可能で、攻撃が連続で決まればコンボが発生する。しかし本作の場合は、出した攻撃が敵の位置によって「外れる場合がある」のが最大の特徴。これは「ヴァルキリープロファイル」シリーズ過去作のバトルシーンを踏襲しているスタイルだ。
もっとも攻撃が外れやすい武器「弓」の場合で具体的に説明しておくと、弓は敵に向かって矢を放ったり、空中から斜め下方向に矢を放つのだが、このとき別のキャラクターの攻撃で、敵が上方向に吹き飛んでいたり、地面に叩きつけられていたりすると、矢が敵に当たらず、素通りしてしまう。
つまりこうした空振りを防ぐには、敵のダメージリアクションを考えつつ、攻撃を繰り出す必要がある。たとえば弓なら、最初に(=ほかのキャラクターの攻撃を敵に当てる前に)攻撃するか、敵が吹き飛ばされる直前やそのあと落ちてきたところを狙い撃つ、ということになる。
個人的にはこのシステムは、プレイの手応えにつながっていると思う。タイミングを計ることなくタップするだけのバトルは楽だが作業感が出てしまうし、このシステムなら“自分が戦っている”実感を得られる。さらに、当たりにくい攻撃をうまく繋げてコンボを成立させたときの達成感も得られる。「コンボを繋げる」という目標を設定することで、バトルそのものが飽きにくくなっていると思うのだが、せっかくの攻撃が空振りだった場合はがっくり来てしまうのも事実だ。過去作を踏襲しているとはいえ、カジュアルなゲームと相性の良いスマホゲームだからこそ、このシステムは賛否両論あるだろう。
そして、もう1つ触れておきたいのがストーリー。「エインフェリア」は「死にゆく英雄」であるからして、当然ながら何らかの事情で死んでしまうのだが(死ぬまでのスーリーが語られ、死んだ時点で仲間になる)、これが非常に儚げで良い。
たとえば、家族の仇を討つために最強の剣豪に弟子入りし、敵討ちは果たすものの、最終的には剣豪の腕のなかで息絶える少女。人間と人魚のハーフゆえに過酷な生を強いられ、ようやく心の通い合える友に出会えたのも束の間、人間同士の争いに巻き込まれて倒れるハーフブリード。とくに、人間たちから迫害されてきたハーフブリードの2人が心を通わせながらも死に別れていくシーンは、思わずホロリときてしまった。
やや暗い話が多いため、ストーリーについてもバトルシステムと同じく賛否のわかれるところだとは思う。しかし、感動系のストーリーが好きな筆者はかなり楽しめる。「ヴァルキリープロファイル」シリーズを知らなくても問題なくプレイできる点も良い。
むしろ、これまでに「ヴァルキリープロファイル」シリーズをプレイしたことがない人でも、これをきっかけに興味を持つようになるかもしれない。北欧神話をモチーフとし、死にゆく英雄たちと彼らの魂を選定する女神の物語――「ヴァルキリープロファイル」シリーズの物語の起源にぜひ1度触れてみていただきたい。