Game Developers Conference 2009現地レポート

任天堂、岩田社長のGDC基調講演でWii/DSの新情報を発表

DS「ゼルダ」新作公開、Wii本体バージョン4.0は本日配信


3月23~27日 開催(現地時間)

会場:サンフランシスコ Moscone Center



GDC3日目の最初の講演。広い会場もほぼ満席の状態だった

 Game Developers Conference 2009の3日目となる3月25日(現地時間)、任天堂株式会社の岩田聡氏が、「Discovering New Development Opportunities(新しい開発の機会を発見する)」と題した基調講演を行なった。

 岩田氏はこの中で、WiiおよびニンテンドーDSにおける新サービスや新作タイトルを発表した。本稿ではその内容に絞ってお伝えする。




■ DS用「ゼルダ」新作を年内投入

「ゼルダ」の次の新作はDSで登場する

 今回の目玉となる発表は、講演の最後に発表された「ゼルダの伝説」の新作、DS用「Legend of Zelda: Spirit Tracks」だ。発売時期は2009年内予定としている。

 会場では開発中のゲームのムービーが流された。ゲームは前作「ゼルダの伝説 夢幻の砂時計」と同じく、3Dグラフィックスで描かれたデフォルメスタイルのリンクが主人公。汽車に乗って移動するシーンから始まり、これがゲームの重要なテーマになっていることを感じさせる。また汽車に積まれた砲台から弾を撃ち出して、行く先に立ちふさがる敵を倒していく場面も見られた。

 戦闘シーンは俯瞰視点で見慣れた雰囲気のあるものだが、リンク本人のほかに、鎧を着込んだ大きなキャラクターをタッチペンで操っていた。敵と戦わせているうちにリンクが背後を取るといった戦術的な動きや、リンクでは移動できない場所に行かせて仕掛けを突破するといったトリックの鍵となる要素も入っていた。

 ボスキャラクターとの戦闘では、上下の2画面を突き抜けるような巨大なモンスターも現われ、迫力のあるバトルが展開されていた。

ムービーは上映されたものの、ゲーム内容についての解説はなし。汽車が出てくる世界観や、タッチペンによる新たな操作など、楽しみな要素が見られた



■ Wii本体バージョンが4.0にアップデート。SDカード専用メニューを追加

SDカード専用のメニューが追加され、コンテンツをすっきり管理できるようになった

 Wiiの本体バージョンのアップデートも告知された。バージョンは4.0となり、北米では25日から提供されるという。

 変更点としては、SDカードに専用のメニューが用意されている。以前はバーチャルコンソールやWiiウェアをダウンロードすると、Wiiメニューがどんどん圧迫されるという構造だったが、今後はSDカードに退避させれば別メニューとして表示されるため、Wiiメニューのトップはすっきりした状態で管理できる。

 会場では実際にSDカードメニューのデモ使用が行なわれた。Wiiメニューの左下に新設されたSDカードのマークを選ぶと、SDカードメニューに移行する。4×3でアイコンが並ぶデザインはWiiメニューと同じだが、背景が黒くなっている。また下部にはページ数も表示されており、デモでは20ページ用意されていた。

 SDカードのデータはメニューを開くたびに読みに行くようで、素早くページ移動するとメニューが一部読み込み中となるが、数秒程度で全て表示されていた。またデモではバーチャルコンソールの「リンクの冒険」をSDカードから直接起動。読み込みは数秒で完了しており、ほとんどストレスなく使えることをアピールしていた。

 さらにアップデートにより、従来は使用できなかったSDHCカードにも対応する。これによって今までは2GBまでしか使用できなかったSDカードから、最大32GBの大容量ストレージが使用可能となる。上記のSDカードメニューの追加と合わせて、SDカードの利便性が一気に高まる。




■ Wiiウェアに「バーチャルコンソールアーケード」を投入。「ファイナルファンタジー」シリーズも提供

バーチャルコンソールにアーケードゲームが登場する

 Wiiウェアでも新たな展開が発表されている。まず、過去の家庭用ゲーム機のタイトルを配信していた「バーチャルコンソール」に、新たにアーケードゲームが加わり、「バーチャルコンソールアーケード」として展開されることになった。こちらは北米では25日より展開される。

 発表されたタイトルは、「ギャプラス」、「マッピー」、「ドルアーガの塔」、「イシターの復活」、「エメラルディア」、「ソルバルウ」、「スターフォース」、「スペースハリアー」の8本。

 またスクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジー」シリーズの展開についても発表された。まずWiiウェアの新作として「FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES: My Life as a Darklord」が投入される。また携帯電話で展開されている「ファイナルファンタジーIV ジ・アフター -月の帰還-」の移植も発表された。さらに日本では「ファイナルファンタジー」の1作目から5作目までをバーチャルコンソールで提供するとした(北米では1と4のみ)。

 このほか、バランスWiiボードの対応タイトルとして「Rock'n Roll Climber(ロックンロールクライマー)」を発表し、デモプレイを実施。ロッククライミングを題材にしたゲームで、足元でバランスを取りつつ、Wiiリモコンとヌンチャクで次につかまる岩を探して登っていくというものだった。


「ファイナルファンタジー」シリーズから、「クリスタルクロニクル」の新作や、「ジ・アフター」などが投入される
ロッククライミングゲーム「Rock'n Roll Climber(ロックンロールクライマー)」。真剣にプレイしている姿も妙に滑稽で、パーティゲームとして人気が出そう

(2009年 3月 26日)

[Reported by 石田 賀津男 ]