インタビュー

「FFXIV: 蒼天のイシュガルド」アーリーアクセス直前インタビュー

ビスマルクもラーヴァナもワイワイ戦える気軽な蛮神!? しかし、極になると……

ビスマルクもラーヴァナもワイワイ戦える気軽な蛮神!? しかし、極になると……

レベルキャップ解放に伴う新技能追加で戦い方に大きな変化があるジョブも

――新アクションの追加でずいぶん戦い方が変化しそうですが、ロールなど戦闘バランスの設計などに変更はありますか?

吉田氏: バランスの思想はバトルシステムを大きく変えない限りは変えるべきものではないと思っています。8人のパーティでは、8つのジョブがバラバラに存在しているほうがバランスが良くなる作りだったり、ロール間の中で一定のジョブだけが仲間外れになってしまうような状態や、逆にこのジョブがいないとバトルが成り立たないようなジョブをできる限り作らないという、そのあたりの方針は一切変えていないです。

 ただ今回はさらにアクションが増えますので、今まで以上に「パーティに対する貢献」という部分をより均等化というか、それぞれにユーティリティがあるようにという考え方をしています。「新生エオルゼア」を1年半運営してきて、皆さんがどうジョブを使うのか、特性をどう理解しているのかについて、我々開発チームもたくさん勉強させていただいてきました。例えばモンクのINTデバフが強い結果、「大迷宮バハムート:真成編」ではモンク必須と言われるような部分は、今回さらに気を付けるようにしています。

――私はたまに海外ユーザーがメインのワールドでも遊ぶのですが、日本のプレーヤーとは攻略の方法が違っていたり、日本では余裕の敵でも結構苦戦したりとプレイスタイルにも差があるように感じます。ゲームをデザインするうえで、そういうリージョンごとのプレイスタイルの差で苦労することはありますか?

吉田氏: あまりないです。いま海外はものすごい数の復帰者と新規の方がいるので、その人たちが混ざっているため、ということもあると思います。もともとのコンテンツクリア率は、それほど隔たりがありません。日本のような予習確認文化はそれほどありませんので、「ヒャッハーいくぜ、ウヒャー全滅したからもうワントライだ!」という感じです。特に一定以上のプレーヤースキルを持っている皆さんは、日本のプレーヤーさんたちと何も変わりはないので、あまりそこを気にかけたことはないですね。

――強さやデザインを考えるときには、どのリージョンのプレーヤーを基準にしているのですか?

吉田氏: 少なくとも高難易度レイドに関しては、難しくあるべきだと思っているので、初動で何割がクリアして欲しいという考え方では作っていません。絶望感が強すぎてもとっつきが悪いので、そうならないようにはしたいと思っていますが、易しくクリアできる難易度になったものを、難易度を上げるためにアップデートするのは難しいので、どちらかと言えば強めに調整するくらいでしょうか。後は数学的な計算に則って作っているというぐらいです。

――プレーヤーに合わせるというよりも、「とりあえずこれを倒してみろ」と提示する形ですか?

吉田氏: 「とりあえずやってみろ」というと、クリアできるかどうかわからないように聞こえてしまうので、それは違います。数値上は必ずクリアできるように作っていますので、そういう上から目線的な作りはしていません。理論上のダメージをパーティとして出せるチームが一定割合クリアできるようになり、その後、よりたくさんの人にクリアを経験して欲しいので「超える力」をかけています。あまりにもギミックの理解度がバラバラになる傾向が強かったり、特定ギミックがあまりにも難しすぎた場合は早めに調整を入れた方が良いと学習した面もあります。邂逅編5層の初期ツイスターのところなど、僕たちも勉強させられました。ただ、邂逅編5層は、その調整をいれる前日に北米FCのBGの皆さんがクリアしたので、すごいなと思いましたね。

――攻略のトップにいる人たちは本当にすごいですね。

吉田氏: 先日も真成編攻略世界最速だったFC Lucreziaの皆さんが、アイテムレベルを極限まで下げて、邂逅編5層に挑戦し、それを生放送しながらクリアしていました。開発チームは想定クリア下限アイテムレベル、その装備でのヒーラーを覗くジョブの最大トータルDPS、さらにその値から-15%程度数値を差し引いてリリースしていますが、その15%分をきっちり100%出したうえに、僕らがダメージリソースとして想定していないヒーラーのDPSと薬、食事を全部つぎ込んで、さらに想定下限アイテムレベルを下回ってのクリアですので、本当に凄いなと感じました。

 デスセンテンスも鼓舞やストンスキンだけでは凌ぎきれないタイミングでは、「かばう」や「原初の魂」を駆使して、リキャストタイマーも計算しているのかな? という感じで。「邂逅編」5層が攻略され始めた当時は、あそこまでのプレーヤー練度はまだありませんでした。

 でも「侵攻編」、「真成編」を通してすべての練度が極まった人たちが集まると、計算上の余力をあれだけ埋めていき、かつ上回っていける。数学的に計算して作ってあるものが、きちんとその数値に到達するとクリアできるという証でもあったかなと思います。見ていて感慨深いものを感じました。そのあと今度は全員本気装備でやると4分でツインタニアが沈むのを見て、アイテムの強さというものも同時に感じました。アイテムレベル制の目指した通りの状態になれたかなと思います。

今回は「機工城アレキサンダー:起動編」という名前になる

――新レイド「機工城アレキサンダー」では、アレキサンダーのパーツを順番に攻略していくということですが、体全体がワンセットで「大迷宮バハムート:邂逅編」に当たる分量になるのですか?

吉田氏: そこはネタバレなのでまだお話しできません。「3.0」スタートの瞬間にアレキサンダーは動き出していますが、まだ挑戦することはできないので、そこの楽しみを奪ってしまうのはまだ早いかなと思っています。とりあえず、今回は「機工城アレキサンダー:起動編」という名前がついています。

――1回では終わらないということは確実なわけですね。「大迷宮バハムート」と同じ4層構成ですか?

吉田氏: はい、4層構成です。あれだけカリカリにチューニングして作れるコンテンツの数はなかなか増やしにくいですね。しかも今回はノーマルとハードと両方作っているので、同じアセットではありますが、バトルチームの作業として8階層分作っているに等しいです。

――ハードはノーマルをクリアすると入れるようになるのですか?

吉田氏: ノーマルのクリアが必須条件になっています。ノーマルはどちらかというと、たくさんの人に試してみてもらいたいです。今回もいろいろ凝ってますので、楽しんでいただけると嬉しいです。

――今回はアリゼーは出てこないのですか?

吉田氏: アリゼーは絡みませんが、新キャラがいます。

――アレキサンダーは“巨大な蛮神”ということですが、メインストーリーの中に絡んでくるのですか?

吉田氏: 誰が召喚して、それで何をしようとしているのか……メインストーリー上の必須にはなっていませんが、召喚した側にも新キャラ側にもなぜそれを追いかけようとしているのかというところも描かれます。

雲神「ビスマルク」
武神「ラーヴァナ」

――蛮神戦では、先日のPLLでラーヴァナが登場しましたね。どのような蛮神なのですか?

吉田氏: ラーヴァナは戦闘中に……武器がああなったりこうなったりするので、この間最終調整の8人プレイをしたのですが、なかなか落としどころが難しかったですね。でも、どちらの蛮神もワイワイとやれると思います。

――難しいのですか? 今までの蛮神戦とは全く違う?

吉田氏: そうですね。必ず新しくはしているので。これまでのアップデートでは、ストーリーに出てくる蛮神戦は1、2回全滅したらそのままのパーティでクリアして欲しいという気持ちがあったのですが、今回は「3.X」シリーズの開幕でもあるので、「新生エオルゼア」が始まった時の真タイタンや真ガルーダほどとは言わないまでも、あの体験を多少なりとも味わって欲しいと開発チームは思っています。僕としてはストーリーでつまってほしくないという思いもあって、なかなかギリギリのバランスにしました。

――かなり手ごたえがありそうですね。

吉田氏: そうですね……。結構DPSの値には悩みました。仲のいいFCでいけばさくっと倒せると思いますが、安定感を欠いた時にどうかなあという。開発チームの中でも、割とカジュアルにプレイしている4人と本気勢4人で、本気勢はできるだけメインジョブじゃないものに替えてやったりするとDPS不足で苦戦するのですが、がっちり8人そろえると余裕すぎるし……と。なかなか苦労しました。その分だけ極はかなり手ごたえがあるものにしたつもりです。

――最初の頃の極タイタンみたいに、これはもう無理だというくらい?

吉田氏: そんなところまでは……どうかな(笑)。

――蛮神ビスマルクはいかがですか?

吉田氏: ビスマルクは全く今までとは毛色が違う蛮神です。こちらもあれこそれお話ししながら、攻略を楽しんで下さい。

――ラーヴァナの方が強いのですね。

吉田氏: 人によって得手不得手はあるでしょうが、どちらが強い、という感じではないですね。

――蛮神はストーリー上で戦うことになるのですか?

吉田氏: そうですね。先ほど言った3つのストーリー、竜詩戦争編と三国政変編それからガレマール再興編の中に4つめの軸としてイシュガルド地方の蛮神問題が組み込まれています。

――「新生エオルゼア」のように中盤以降から徐々にという感じですか?

吉田氏: 中盤の入り口にどちらかがいて、後半にもう1つがいるという形です。

――インスタンスダンジョンにも、今までにないような攻撃をしてくるボスはいますか?

吉田氏: 結構多いです。毎回飽きないように作ってはいるので。ダンジョンのボスは3系統あります。1つは全く新しいタイプ。次は今までのレイドに似たギミックを使ってくるもの。「真成編」などのレイドで使っていたギミックの簡易版を入れて、レイドに行ってない人もこれを使って覚えてねというものです。最後はネタ系です。「真成編でこいついたわ、でもちょっと違う?」というずっとプレイしてきた方がニヤリとできるような。だいたいこの3系統です。

――「城塞奪回 ストーンヴィジル」にランダムターゲットのボスがいますが、ああいった実験的な要素は入るのですか?

吉田氏: ランダムターゲットのものも入ってはいます。

――吉田さんが今回テストプレイしている中でお気に入りのボスはどれですか?

吉田氏: 皆さんが会うのは結構後半じゃないかな……。結構面白いことをやってきます。今回レイドも含めて、モーフィングというか、姿かたちが戦闘の途中で変わるようなやつが結構いて、それがかなり面白いです。

――これまでモブハントにはその地域の勢力限定の報酬がありましたが、イシュガルドのモブハントにもあるのでしょうか?

吉田氏: 今回のモブハントはイシュガルド側のモブハント協会が改めて正式に発足しているので、もらえる通貨も、それで交換できるものも変わります。今までのものも交換できるようにはしますが。あとはSランクのモブは、正式サービス開始の数日後まで、意図的にポップをマスクすると思います。大混雑になると思うので。

――サーバー負荷的にということですか

吉田氏: そうです。レベリング中のキャラクターでは倒せませんし、ズルズルと戦いが伸びて人が集まりすぎると判断しました。MMORPGの開幕直後の混沌は楽しいですが、さすがにサーバーを落としても意味がないので、少し様子を見てから開放しようと思っています。

――デイリーの討伐クエストは最初から入るのですか?

吉田氏: もちろん用意はされていますが、ある程度レベルが必要なのと、今回「初級」、「中級」、「上級」に分かれていてサブクエストをクリアすると解放されるようになっています。「初級」のサブクエストがレベル53から解放されて、それをクリアするとデイリーのモブハントが受けられるようになります。

――該当のレベルまでいかないと遊ぶことはできないということですか。

吉田氏: そうなります。それもイシュガルド側のコンテンツの1つになっているので。

――イシュガルドには所属はできないのですか?

吉田氏: まだ戦争中でグランドカンパニーというものが存在しないので。

――ではまず竜詩戦争を完結させなければいけないわけですね。

吉田氏: そうですね。でも終わるかどうかわからないですね(笑)。

(石井聡)