インタビュー
「チェインクロニクルV」プロデューサー&ディレクターインタビュー
緩やかなつながりを重視した「チェインクロニクルV」の今後に迫る!
(2015/5/15 00:00)
去る4月22日に第2部「絆の新大陸」がオープンになったPlayStation Vita用ソフト「チェインクロニクルV」。基本は先行しているソーシャル版「チェインクロニクル」に追随するが、「チェインクロニクルV」ならではの施策もいろいろと検討しているという。と、いうわけでユーザー動向から、今後の展開まで「チェインクロニクルV」のあれこれを本作のキーマンふたりにぶつけてみた。
異なるユーザー像が見えてきた「チェインクロニクル」と「チェインクロニクルV」
――4月22日から第2部「絆の新大陸」が実装されたPS Vita版「チェインクロニクルV」ですが、スマートフォン版とPS Vita版の両方をプレイしているユーザーはいるのでしょうか?
山田氏:「チェインクロニクル」ファンということで、両方やってくださっている方々も結構いらっしゃいますが、コンシューマーゲームをメインで遊んでいる人と、スマホでゲームをやっている人というのは多少壁があるというのが現状です。
今時って情報がセレクティブで、自分が好きなものの情報は山ほど入って来るけど、興味のない方向だと何も出て来ない傾向があるんです。それはメディア的にもSNSでも同じで、PS Vitaを持っているユーザーの中では、スマホではメジャータイトルである「チェインクロニクル」がまだまだ受け入れられているわけではないようです。「コンソールのゲームで遊ぶ合間にストアを見たらあるからやってみようかな?」とか、そういう方のプレイが多く、積極的にフリープレイのものをやっていこうという層ではないんです。スマホ版とPS Vita版では、そういった属性の違いが出ている気がします。
――「チェインクロニクルV」ですが、プレーヤーの年齢は若めですか?
山田氏:PS Vita版の方が上ですね。それはスマホよりPS Vitaを持っている人の方が年齢層が上だからですね。
――そう考えると「何故スマホでやらずにPS Vitaなのか?」というのが気になりますね。年齢層が高いのであればスマホも持っていると思いますし。
山田氏:ゲームはゲーム機で遊ぶという、そういう文化の方が多いのだと思います。スマホでゲームを遊ぼうという感覚があまりないという方ですね。数字の裏付けがあるわけではないので、肌感覚の話になってしまいますが(笑)。
「チェインクロニクルV」をやる前はPS Vitaで「サムライ&ドラゴンズ」というタイトルをずっとやらせていただいていたんです。あれも元々は「キングダムコンクエスト」というスマホ用のゲームをPS Vitaに持って来たものだったのですが、あのときも全くユーザー層が違っていたと思います。「キングダムコンクエスト」をやったことがある人は数パーセントで、「知っている」程度のレベルの人もごく少数でした。第1作目の頃はセールスランキングの上位に入るくらいの人気だったんですが。スマホで1番売れているゲームでも、PS Vitaのユーザーには全く知られていないというような状況でした。
それから多少なりとも変わっては来ているんですけど、そういう部分は大きいですよね。そのときの経験で、運営やゲームの中身もコンシューマーのユーザーを意識したことをやらなければならないという意識が僕らの中でありました。だから「チェインクロニクル」自体は素晴らしいゲームだと思っていますし、F2PであれだけRPGの面白さを発揮できているゲームは他にないので、是非PS Vitaでやりたいと言っていたのですが、それでも「PS Vitaユーザーがどういう人たちなのか?」ということを考えながらコンテンツの運営や追加要素をやっていかないと難しいのではないかと思っていました。そういう気持ちを持って、追加の開発やイベントの打ち方を考えています。
――スマホ版とPS Vita版のユーザー数の違いはどのようなものですか?
山田氏:スマホとPS Vitaの市場規模の大きさの違いというのが、ストレートにあると思います。コンテンツのタイプにもよると思うのですが、スマホゲームの中でもユーザー間の繋がりがすごく強くて張り付きを強要されるようなゲームは、ユーザーがたくさん来たとしても徐々に落ちていくタイプだと思うので、「チェインクロニクル」のようにひとりで遊べるゲームはやっぱり間口が広いので、ユーザーが沢山いるという形にはなると思います。
緩やかなつながりを重視した「チェインクロニクルV」
――「ハードの特性に合わせて、ユーザーに合わせたサービスをする」というお話をされていましたが、PS Vita版はこの先スマホ版と何か変わっていくのでしょうか?
山田氏:このたびPS Vita版も第2部に突入しましたが、そこは「チェインクロニクル」の中でもズラしてはいけないポイントだと思うんですね。一貫性のあるストーリーの展開や、その世界観に基づいたキャラクターの設定は、僕らがあまりひっかき回しても仕方ない内容だと思うんです。
だからそこは充分なんですけど、当初から意識していたのは、明らかにスマホの方がユーザーの流入が多いわけです。それに対してこちらは来たユーザーをなるべく逃さないようにしていかなくてはいけない。ですからスマホ版よりはユーザー同士のコミュニケーションや所属意識を活性化しなくてはいけないと思ったんです。
そういう機能を考えていきたいなと思っていて、これは第1部からある違いなんですが、まず「勢力」を用意して、その中のどこに所属しますか? というところから「ゆるいコミュニケーション」を発生させていきたいと。「ギルド」となるとどうしてもハードルが高いのですが、「チェインクロニクル」ではゲームを進行していく上で「勢力」の中にお気に入りのキャラクターができたり、所属意識を煽るようなポイントが自発的に出て来るんですね。そういう流れの中であまり意識せずにコミュニティーに入っていけるという形を想定しています。そこを中心にイベントや追加コンテンツは考えていきたいですね。このようなことが第2部でも新しい要素として入ってきます。
――例えばどういったことをお考えでしょう?
土田氏:今まで勢力ごとにイベントをやって来たのですが、例えば各勢力ごとにポイントを稼いでいくルールや、勢力同士の対抗戦がありました。それで各勢力でコミュニケーションができてきた状況もありますので、今後は全勢力で協力して共通の敵と戦うようなイベントを仕込んでおります。
元々PS Vita版を始めたときに、何かコミュニケーション要素を用意しようというところもあったので、「共闘」をテーマにしてまして、それを今まで勢力別でやってたことを「今度は全勢力で」という形にして共闘要素をさらに強めたイベントを打ち出していきたいなと。既に今仕込み始めているものもありますので、第2部の段階でそのイベントを大きく打ち出したいなと思っております。
――スマホ版でも全プレーヤーの「撃破ポイント」が一定を超えれば達成というイベントがありましたが、ああいった感じのものになるのでしょうか?
土田氏:勢力要素がありますのでもっと具体的に、それぞれががんばったから次になにかが起こるというような見せ方をしていこうと思っています。
――ちなみに今一度「勢力」とはどのようなシステムなのでしょう?
土田氏:7つの勢力を用意しておりまして、イベントの期間外であればユーザーが自由に所属を選べるんです。イベントのときには1つ自分が所属する勢力を決めて、勢力規模で競い合うシステムです。
――ユーザーの勢力間の移動はあるのですか?
土田氏:各勢力ごとに異なる報酬をもらえるようにしておりまして、それを目当てに所属を変える方もいます。チャットの機能もあるので、その前のイベントで仲間になった人たちとまたここでがんばろうというコミュニケーションもあるようです。
――「勢力」における今後の新要素は?
土田氏:いままでは各クエストを勢力ごとにポイントを競って楽しんでいただくものだったのですが、これから実装される新しい要素としてイベント専用のマップを用意します。各勢力が円形に配置され、それぞれ中央を目指すというイベントを仕込んでいます。中央までたどり着くにはどこかひとつの勢力だけが進んでも駄目で、ある程度まで進んだら他の勢力を助けることもできます。そうして勢力全体で同じ目標を目指してがんばろうと。
――自分の勢力が1番乗りすれば良いわけではないのですね。
土田氏:そうです。他の勢力を助けた分だけまた報酬がもらえる仕組みです。いかにこのマップを攻略して、ポイントを稼いで大きい報酬をもらえるかというイベントになります。いつどうやってみんな攻めようかというのを勢力ごとのチャットで話していただいて、ここの勢力が弱いから助けてあげようというような会話も生まれると嬉しいなと思っております。
――PS Vita版オリジナル要素である「共闘」システムは、ユーザーからの評判はいかがですか?
山田氏:コミュニティーを作ってそこで何ができるかというのは、色々と試している状態です。「勢力」自体は好意的に受け取ってもらえていて、各コンテツに関してはご意見をいただきながらやっている感じですね。ただ、すごく積極的に色々な意見をいただいておりますので、ユーザーさんもこのゲームをより良くしようと思っていただいているようでありがたいです。
――リクエストが反映されたのはどのような部分でしょう?
土田氏:要望があったのは「勢力間でもっと協力できたら」というものと、「同じ勢力だからできること」というのもので、今その機能を追加しています。
山田氏:所属意識を色々なところで高めていくことができたらいいなと思っています。そこに所属しているプライドを持ってほしいのです。「俺らの勢力が好き」とか、「勢力の中でこの人は神」みたいな(笑)。そういう人が現われてくれるのが理想ですね。それも僕らが勝手に作るものではなくて、ユーザーさんの方からアウトプットしてもらえるような流れが理想ですから、そんな状況になるように考えていきたいですね。
――「勢力」というカテゴリで戦っていく上で、帰属意識が生まれるのは楽しいと思います。
山田氏:とはいえメインで進める部分に制限を加えるのは良くないと思っているので、プラスアルファで楽しんでもらえる要素を考えています。基本の部分を阻害しないような形にしていますね。
土田氏:元々のゲーム性がひとりでも楽しめるというものですので、まずそれを守りつつというのを気にして作っています。なのでコミュニケーションをしないとゲームが有利に進まないということはありません。
――確かに誰とも繋がりたくない人も世の中にはいらっしゃいますもんね。
山田氏:コミュニケーションを強要されると疲れてしまうので、結果ユーザーが少なくなってしまうんですよ。スマホゲームで上位に来ているものも、大抵ひとりでもプレイできるタイプのものですよね。他人との密なコミュニケーションを強要されるのはみんな辛いんだと認識しています(笑)。そういう形よりはより広いユーザーさんが自分のペースで楽しめるものの方が良かろうという風には思っています。
――密でなく、かといって疎でもない。中間地点というか、完全にひとりでもなく誰かと協力することも自由なのが「チェインクロニクル」であると。
山田氏:そういう程よいところは狙いたいんですけど最近の傾向を見ていると、実は高校生くらいから下の若い人たちはMMOのRPGがあまりない時代だったせいなのか、意外にそういうコミュニケーションを楽しんでいる部分もあるんじゃないかと思います。
MMO的な楽しみがある他社の作品などは、昔からブラウザMMOとかをやってた人が主にプレイしているのかなと思ってたんですけど、実際にやってみるとすごく子供が多いんですよ。「母ちゃんに怒られたからそろそろやめる」みたいな(笑)。そういうものがない世代にはまだウケることもあるんだなとは改めて思いました。
チャットがずっと画面上を流れてるゲームなんてスマホのソーシャルゲームではあまりなかったんですよね。基本的にスマホゲームのフレンドはゲーム上の損得だけで付き合う他人ですけど、若い子は意外とそうじゃないものも楽しめるのかなって思ってきて。コンテンツを考える上での参考事例だと思います。
コンソールゲームユーザーのために
――PS Vita版は年齢が高めだとおっしゃっていましたが、案外若年層はそういったウェットな関係性も好きであるということで、今後はスマホゲームよりも重いゲーム性のものが好まれるのかもしれませんね。
山田氏:当初と比べればPS Vita自体も若い人に浸透していると思いますし、コンソールの後継機というところではPS Vitaに集約されて来るんだと思います。少なくとも日本市場はそういう状態になるのではないでしょうか。そういった意味でPS Vitaに可能性があると思います。PS Vitaは素晴らしいハードですし、もっと広まってほしいですね。非常に気軽に遊べますし。
ただスマホのように持ち歩くというより、通信環境の問題もあるのでWi-Fiで接続して家でプレイしている人の方が多いようです。ですからゲームバランスもそこに合わせて調整はしています。スマホだとどこでも起動して一定時間やったらやめて、またログインしてという形だと思うのですが、PS Vitaだと中々そうはいかないユーザーさんも多いと思うので、まとまった時間でプレイできるようにバランスを含めて調整しています。
――具体的にはどういった部分が異なるのでしょうか?
土田氏:「魔神イベント」などの各種イベントがありますよね。スマホ版だと何かの合間に少しずつやるということができるんですけど、PS Vita版だと家でしかプレイしない方もいると思いますので、ワンタイムでできるように消費するポイントなどの回復時間を早めたりしています。回復するためのアイテムを多めに配ったり、1回で遊べる時間をどうやって調節するかというのはリリース当初から気にしているところです。
――「チェインクロニクルV」のオリジナル展開として「シャイニング・レゾナンス」とのコラボレーションがありますが、これはどのような経緯だったのでしょう。
山田氏:PS Vita版におけるオリジナルコラボはこれが初めてですが、これも属性の違いが関係しています。比べてみたらスマホ版ユーザーが喜ぶものとPS Vitaユーザーが喜ぶものは違うということが数字的にはっきりして来たんです。
例えば「英雄伝説 閃の軌跡」はスマホでコラボするよりもPS Vita版の方が明らかにウケが良いんです。やっぱりコンソールのユーザーさんが慣れ親しんでいるIPとコラボするほうが価値が高いわけですよね。
「シャイニング」シリーズに関して言いますと、私は「サムライ&ドラゴンズ」の頃からずっと「シャイニング」のお世話になっていると(笑)。「シャイニング」というとセガの中では鉄板IPなわけです。TONYさんの絵はやっぱり色気があって、欲しくなるんです。しかもそのちびキャラが動くっていうのはシリーズ本編でも見られないものですからね。これはコンソールでやっているユーザーさんは欲しいものだと思います。やっぱりPS Vitaというところを考えると属性の違いが出ていますね。コンシューマーゲームが好きなユーザーさんは、密接に長くコンシューマーゲームに思い入れを持ってやってらっしゃる方が多いので、彼らのマインドを刺激するようなものができればと良いなと思います。
――ちなみに今後コラボするとしたらどんなものがやりたいですか?
山田氏:それはさすがにあんまり言えないんですけど(笑)。なんでも出したいと思ってますよ! なんでも出したいです。
――例えばPS Vitaで展開しているゲームとのコラボという方向性なのでしょうか?
山田氏:そこはあまり限りはないですけど、ユーザーさんとって意外性があるようなものでありたいですね。僕も通り一辺倒なものが好きなタイプではないので、ユーザーさんに「おおっ!」と思ってもらえるようなものを出したいとはいつも思っています。それが実現できるかどうかは別ですけど。
――スマホ版だと「範馬刃牙」コラボが来たときは衝撃でした(笑)。折角セガですから「バーチャファイター」が来たら嬉しいですね。
山田氏:セガでやるのはアリなんですど、あんまりやり過ぎると手弁当になってしまうので……。ちょっと内輪っぽい感じが出過ぎちゃうのは「チェインクロニクル」ではやめておこうと思っています(笑)。
――目下交渉中ということで。いずれ驚きのコラボが発表されることを楽しみにしています。
山田氏:そのときは関係各所の努力によって実現したんだと思っていただければ(笑)。
――第2部のストーリーはスマホ版と同じ形で進む訳ですね。
山田氏:そうですね。ただユーザーさんの進度がスマホ版と異なるので、色々とやり方は考えています。
――ちなみにスマホとの連動予定は?
山田氏:これは何回か話に出ていますね。検討中でございます(笑)。両方やっている方もいらっしゃいますし、できればあるべきだろうとは昔から話されているので、考えていきたいと思っています。
ユーザーさんの目線でなるほどと思ったんですけど、RPGって1回クリアした後に2周目をやったり、1年後にもう1回やってみたりするんですね。作品の世界観が好きだったりストーリーが好きな人ってそういうことがあると思うんですけど、スマホゲームは1からできないし、本当に1からやるのは嫌じゃないですか(笑)。
そういう意味で、スマホ版で最初のうち上手くいかなかったことを、もう1回やったときにこうやったら上手くいくんじゃない? ということをPS Vita版で試してるというユーザーさんも結構いらっしゃるんです。
――スマホ版で培った知識を持って、PS Vita版で強くしてニューゲームを始めると。
山田氏:イメージ的にはそうですね。最初の編成はこういう方が良いよねとか、このキャラクターがここで入ってくるからこうしよう、みたいな形で攻略しているユーザーさんも結構……特にサービス開始の直後からやってる方にはいるみたいです。確かにそういうのはスマホゲームやF2Pのゲームではできないと思いますね。
――知っているが故にスタートダッシュができるということですよね。
山田氏:それだけじゃなくてRPGというの中でストーリーを進めるって、お話を読んでるだけじゃないんですよね。ユーザーの中で戦闘や育成を進める流れの中に、お話やイベントが設定されているので、単体だけで読んでもあまり面白くないんですよ。お話を読むというより体感しているというのがRPGというの良さで、後からイベントを回想するのではなくそれを味わい直したいというマインドがそこに繋がっているんだと思います。
――ということは両方やってらっしゃる方はPS Vita版の初期から始めて、未だに両方続けている方も多いと。
山田氏:スマホ版の第2部公開された頃にPS Vita版が開始したので、スマホの方が煮詰まってるからPS Vita版をプレイしようとか、色々な動線があるようです。
土田氏:大きいイベントがスマホ版とPS Vita版で重なると、「大変です」っていうお問い合わせが来たりします(笑)。
「チェインクロニクルV」ならではのオリジナル要素を多数準備中
――PS Vita版で今後実現したい方向性などはございますか?
山田氏:(今回のインタビューで)結構言っちゃったような気がするんですけど(笑)。やっぱりもっと帰属意識が色々なところに出て来るように考えていきたいです。「この勢力に所属しているんだ」ということがユーザーにとって心地良いことになれるような形を考えていきたくて。
それで色々な要素を提案はしています(笑)。こういう風にして欲しいということは開発の方に伝えています。あとはPS Vitaでのオリジナル機能をもっと充実させたいですね。アイディアは沢山出て来ているので、意外なものが入って来る可能性もあります。期待していただけるとありがたいかなと思います。
――時期的にいつ頃というのはありますか?
山田氏:うーん……どうですかね(笑)。
土田氏:所属意識の部分では、先ほど言った部分がもう次回の勢力イベントから実装されますし、オリジナルに関しても動き始めてはいるので、できるだけ早い内に。勢力の機能で言うと、当初予定していたものがまだ全然入れられていない状況なのでそれを早く入れたいと思います。
――実装待ちのものも沢山あると。
土田氏:画面内でも仮になったままのものがいくつかありまして。具体的には勢力にどれだけ貢献したかでランクが上がっていく階級制度が、最初から予定していた中でまだ実装されていないので。それに加えて各勢力の魅力を高めて所属意識を向上させたいですね。まだまだやらなくてはいけないことがいっぱいあります。
――それは階級が高い方が良い報酬がもらえたりするのでしょうか?
土田氏:そうですね(笑)。そういうところも入れていきたいです。自由に動ける部分と、所属していることに意味があることの両軸で作っていきたいと思っています。
――PS Vitaならではの機能ということですが、PS Vitaならではのインターフェイスを活かすような試みは?
山田氏:「PS Vitaならではの部分」というのは、背面パネルなどのハード的なことではなく、PS Vitaのユーザーさんが求めているようなコンテンツであって、ゲーム的な部分だと思っています。ゲームの魅力を高めるような追加機能ということですね。
どんな新しい機能がハードに追加されても、ユーザーさんが求めているものは「長く遊べるもの」だと思っているので、そのゲームをよりやり込めるだとか、よりディープな体験ができるようなコンテンツであるということが最優先です。他の物は客寄せに近い部分だと僕は思っているので。それはゲーム屋としては作っていかなければならない部分だと思っています。
――コラボはある種お客さんを呼び込むためのものであると。
山田氏:そうだと思います。ユーザーさんが求めているものを出すというのが最優先ですが、主軸はコンテンツがどうあるべきかということだと思いますし、どんどん新しいゲームが出て来ている中でスマホ版もがんばっていますし、僕らもがんばっていかなくてはならないので。そういった部分でユーザーさんが求めているものを違う形で実現できれば良いんじゃないかと思います。
――ちなみにコラボ先に関するリクエストが来たりするのですか?
山田氏:いただきますね。PS Vitaでもリリースされている作品が多い印象です。
土田氏:両方プレイしている方からは、過去にスマホ版でやったコラボを是非やってくださいという話も来ますね。「ログ・ホライズン」なんかの要望が多かったです。
――期間が終わってしまうと手に入らない、見ることすら叶わないですからね。
土田氏:こちらはスケジュールの関係でイベントの順番を入れ替えたりすると、その間にあったイベントをやらないんじゃないかという問い合わせが殺到したりもしました(笑)。順番と出し方はちょっと変えさせていただいているので、スマホ版を知っている方は「あれ? これ抜けてるぞ?」と不安にさせてしまうこともあり、課題の1つと考えています。
――カタログもあるので埋まらないと気持ち悪いですよね。
土田氏:スマホでプレイしていたときに取れなかったので、PS Vita版では取りたいという気持ちの方も多いのかなと受け取ってます。
――最後に「チェインクロニクルV」のユーザーの皆さんに一言お願いします。
山田氏:本当はもっと早く第2部に進められるようにしたかったんですが、ちょっと時間が掛かってしまって、ようやくPS Vita版独自の機能を充実させる段階まで来たと思います。今までは第2部実装を優先してさらせていただいていたので。
ユーザーさんの意見を参考にしながらより良いコンテンツを目指してやっていこうと思っていますし、ユーザーさんを「あっ!」と驚かせてこその開発だろうと思ってますので、そういう部分を大事にしてやっていこうと思っています。今後ともよろしくお願い致します。
土田氏:スマホ版からの移植をしつつ、やっぱりPS Vita版ならではの要素を増やしたいというのはずっと言ってまして……長らくできていない現状がありますので(笑)。急いで入れていきます。がんばります!
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