インタビュー

「新生FFXIV」、「パッチ2.4 氷結の幻想」実装直前吉田Pインタビュー

パッチ2.0シリーズも終盤戦。物語は「蒼天のイシュガルド」に向けて疾走を開始!

10月7日収録



スクウェア・エニックス本社

 「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア(以下、新生FFXIV)」の最新メジャーアップデート「パッチ2.4 氷結の幻想」がいよいよ明日実装される。正式サービス以来4度目の大型アップデートとなる今回は、「双剣士」と「忍者」という新クラス/ジョブの追加が大きな目玉となっている。また、「大迷宮バハムート」の完結編となる「真成編」や、「蛮神シヴァ」など多くのコンテンツも新たに追加される。

 10月18日、19日に開催されたラスベガスでのファンフェスと、25日のロンドンファンフェスではついに拡張パック「蒼天のイシュガルド」も発表された。イシュガルドを舞台とした新章の布石となるメインストーリーは、いよいよこのパッチから始まることになる。

 今回、「新生FFXIV」のプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏から、来たるべきパッチ2.4の内容や、その後の展開について話を聞いてきたので、ぜひご注目いただきたい。

コンテンツの方向軸がパッチ2.3まででひと通り揃った

「新生FFXIV」のプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏

――まずはパッチ2.3について総括的なことをお聞きします。色々なものが追加されましたが、手応えはどうでしたか?

吉田氏: 「新生FFXIV」は、日本のオンラインゲームでは、見たことのない価値観の連続だったと思います。例えばアイテムに対してウィークリーの取得制限がかかっていたり、デイリーで遊べるコンテンツがあるなど……。アイテムレベルという概念もそうです。正式サービスと同時に入ったパッチ2.0の約4カ月はまだコンテンツも少なく、フィールドの至る所に人がいて賑わっている……というわけでもないし、コンテンツファインダー(CF)は便利だけれど「FFXI」と比べると友達も作りにくい気がするぞ……など、戸惑いも多かったと思います。

 パッチ2.1でPvPが入って、ハウジングがスタートして、「ああ、なるほど。難易度の高いコンテンツという縦への軸だけでは無く、横へも広がるのね」という印象に変わり、パッチ2.2から「ゾディアックウェポン」という時間消費型成長コンテンツが加わり、それまで最難関だったコンテンツの緩和も始まり、目まぐるしく変わっていくエオルゼアだったと思います。さらにパッチ2.3で大規模なPvPとして「フロントライン」が入りました。とにかくワーワーしていれば決着が付いて、戦ったという雰囲気もあって、これで「PvPってわりと面白いな」多くの方に思っていただけたと感じています。同時に「モブハント」というフィールド全体を使った、やはりこれも無制限に報酬を稼げるコンテンツも入ってきました。そんなふうにちょうど1年が経って、一揃い揃ったというのがパッチ2.3までの感想です。

――当初、説明だけではなかなか伝わらなかったものが、実際に入ったことでユーザーもその楽しさが体感できたということですか?

吉田氏: 価値観ですので、やはり実際に遊んでみて、そのコンテンツに馴染む方もいれば、馴染まない方もいます。当初「FFXIVは週制限が強い」と多くの方が戸惑われたと思いますが、パッチ2.3がリリースされ、フィードバックの中に「毎週やれることが決まっていて、日々それをこなしていく」という「FFXIV」のペースが掴めていたのに「(モブハントで)フィールドで時間を掛ければ、かけたものが勝つみたいなコンテンツは入れなくて良かったのに」というお声もいただきました。慣れもそうですが、価値観は1つに決めるものではないと思うのです。

 とにかく「新生FFXIV」はなんでも全部入れていくつもりなんだ、ということもお伝えできていれば幸いです。パッチ2.3までで、2.0シリーズとしては予定していた「新生FFXIV」の基礎構成はひとまず全部揃ったことになります。ここから先は「ゴールドソーサー」や「チョコボレース」もそうですし、飛空艇を使った遊びなど、「ファイナルファンタジー」や「新生FFXIV」でしかできない遊びを広げていくフェーズに入るかなと思っています。

――この1年のビジネス的な評価はいかがですか?

吉田氏: 最初の1年というのは、お客様の出入りが激しい時期です。そんな中でも新規流入はずっと続いていて、直近の大規模MMORPGの中では、幸いにもお客様の定着率が高い状況です。「新生FFXIV」というブランドが定着してきて、やっと安定飛行に入った状態なのかなという気はしています。

 市場的に見れば中国版もサービスを開始でき、さらに韓国版のリリースを予定していますので、ビジネスとしてはさらに拡大し、得られた利益を開発費やサーバー費用、まだイベント運営など、プレーヤーの皆さんに還元させていただきたいと思っています。

 ビジネス以外では、パッチ2.3でたくさんの方に「フロントライン」を遊んでいただけているのが個人的に特に嬉しいです。「モブハント」でもモブを追いかけて走り回るのが楽しいと言ってくださる方たちを見ると、やはり全方位的になんでも入れるべきだなと思ったパッチでもあったので、2.38の土地の追加が少なかったという事以外は、僕自身も楽しんでプレイしている状況です。

――それではパッチ2.3は当初の想定通りということですか?

吉田氏: 「モブハント」は想定以上でした。みなさんレアポップのモンスターを追うのがお好きなんだなと……。僕も実際にやっていると、確かに楽しいです(笑)。情報が飛び交い、集まって倒して、さあ次! というあの時間感覚も。パッチ2.4でアイテムレベルが変わるので、エオルゼアのフィールド状況にもまた変化があると思いますが、そういう波がパッチで交互に来るのも「新生FFXIV」だと思います。

――これまでの反省点としては、土地の供給量が少なかったことですか?

吉田氏: 単純に家が欲しいという多くの需要に対して、追加できた土地が少なかったため、申し訳なく思っています。またフリーカンパニーで購入する土地の値段と、個人の土地の値段は同じにならない、という発言について、説明の方法に慎重さを欠いてしまったために、多くの皆さんにお叱りをいただきました。

 「フリーカンパニーのハウスと個人のハウスの違いはほぼありません」というお話をしてきたのですが、これも前述のイメージからなのか「個人ハウスはもっと手軽な家かと思っていた、言っていたことと違う」というお声を頂戴し、改めて早めに情報をお伝えすることと、仕様確定前のニュアンス、確定後のニュアンスなど、もう一度キチンと考え直さなければと思った出来事でした。

――それはもう開発というより、運営手法の反省点ですね。

吉田氏: 何もかも早めにお伝えするのが悪いのか、期待感を出し過ぎてもいけないのか……、でも結局そう言い出すと、今までの他のMMOの運営スタイルとなんら変わらないことになってしまいますし。悩ましいです(笑)。

――最初はスタッフがフロントに出てきていても、だんだん姿が見えなくなってしまうゲームは多いですね。

吉田氏: 本当に開発都合のものに関してはだんまり……というパターンがどうしても多くなってしまうのは、同じく運営をしていますので、心情的に理解できます。ですが、リスクはあったとしても、きちんとお話していくというベースはこれまで通り崩さず、かつもう少し柔軟にというか、お互いに剛速球を投げあうのではなく、皆さんとテンポの良いキャッチボールができるように、引き続き頑張ろうと思っています。ハウジング関連は皆さんにご迷惑をおかけしたこともあり、少し気落ちしていたのですが、東京ゲームショウ(TGS)で沢山の方に「楽しみにしているから頑張って下さいね!」と言っていただけて、とても励みになりました。

 「新生FFXIV」で初めてMMOをプレイした方からは、自分がこんなにハマるとは思っていませんでしたとか、家族4人でプレイしていますという方にも、ご家族皆さんでお越しいただけて、MMORPGの良さを再認識できたTGSにもなりました。皆さんいつも本当にありがとうございます。パッチ2.3までの総括としては、最初に描いていたところへ着実に近づくパッチになったと思いますし、得たものも大きいですが、大きな反省点もあったという点では、これからに向けて良い1周年を迎えられたパッチになったと思っています。

(石井聡)