インタビュー

「新生FFXIV」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(前編)

新サーバーやPS4版のDirectX 11対応、Mac版など気になる話題について

新サーバーやPS4版のDirectX 11対応、Mac版など気になる話題について

Mac版は個人の希望(笑)という吉田氏。ぜひ実現してもらいたいものだ
PS4版のβテストは、初回からオープンテストで、フェーズ1、フェーズ2の後は、予約者限定のアーリーアクセスのみとシンプルな内容になっている
PS4版の影に隠れがちだが、Steamでの配信も開始された。これでグローバルユーザーが手に入れやすい環境が整った
PC版でサポートされているコンフィグデータのバックアップ/復元機能。これとはまた違い形でPS3からPS4へのコンフィグデータの移行を考えているようだ

――さて、2月22日よりいよいよPS4版のβテストが始まりますが、これにあわせて新サーバーはオープンするのですか?

吉田氏:まずフェーズ1の段階で、日本にβ専用のワールドを複数公開します。

――それはあくまでテストサーバーであって、公開サーバーではないんですよね?

吉田氏:はい。PS4用のテストサーバーです。フェーズ2の段階から改めて北米DCと日本DCに新ワールドを設置します。

――その複数のテストサーバーをそのまま本サーバーにスライドさせるような感じですか?

吉田氏:いや、そこはデータワイプしちゃうので別ですが、ワールド名もテストサーバーの名称をそのまま使うことになりそうです。

――それがPS4版向けの新サーバーという形になるわけですか?

吉田氏:一応βの盛況ぶりを見て決めますが、各DCに最低2つの新規ワールドを足すことになっています。あとPC版についてはSteamの販売もまもなく始まりますので、そのユーザー増加も見ます。

――Steam版は通常のPC版と何か違うところがありますか?

吉田氏:いや、Steamウォレットで決済できるくらいです。

――Steam版の販売はいつからですか?

吉田氏:まだわからないです。最終日程調整中ですが、2月中の予定です。

――日英独仏の4言語対応ですか?

吉田氏:そうです。日本ではまだあまりSteamについて知られていませんが、5,500万人の会員数を持っているので。

――通常版だけでなくコレクターズエディションもですか?

吉田氏:はい。Steamはデジタルだけなので、デジタルダウンロード版になります。

――ちなみに既存ユーザーが現在使っているマクロやホットバーへの登録はPS4へ移行できますか?

吉田氏:PS3版でお使いのマクロなどのローカル保存データをPS4版に移動させることは、SCEさんが用意している仕組みを利用して、なんとか実現できそうです。正式リリースに間に合うかどうか、あとは時間との勝負という感じです。ただ、PC版からPS4版へは、ファイル形式の違いも、レギュレーションもあって、簡単にはいかないのです。やはりサーバーを用意して保存してもらい、どのプラットフォームからでも読み込めるのが理想ですが、数千万の投資が必要になって……。旧FFXIV The Lodestoneのサーバーマシンなど、色々転用して用意できないかと試行錯誤中です。

――ちなみに今回のPS4版は、グローバル展開の中でどういうポジションになりますか?

吉田氏:まず今回グローバル版としてサポートさせていただいている日、英、仏、独の4言語版に関しては、その地域すべてでPS4の発売予定もしくは発売がすでにされているので、そこはそのままPS4版のサポート範囲内になります。

 次に今後展開していく中国に関しては基本PCのみです。現在、PS4も中国国内で発売できそうな流れが中国政府との間で出てきていたりしますが、それはそこが決まってから。SCEさんがやりたいという話になればたぶん少しずつ動くのでしょう。僕らがいまサービスを行なっているグローバル版の4言語以外は、まずはPCでいくつもりです。ただ、今僕はオーストラリアのPS4のセールス台数を見ていて、オーストラリアのコンソール市場もかなり大きいなあと。「FFXIV」のプレーヤーにも沢山オーストラリアの方がいらっしゃるので、もう少し手厚くPRしてもいいのかなと思っています。

――私先週まで台湾にいたのですが、台湾でも「FFXIV」のサービスを望む声は大きかったです。台湾もサービス予定地域のひとつに挙げられていますが、これは台湾ではパブリッシャーさんを立てるのか、それともSCETさんがサービスすることになるのですか?

吉田氏:台湾に関してはいくつかお話をいただいていて、パブリッシャーさんを立ててやることになります。

――それは、近い話だと期待してもいいのでしょうか?

吉田氏:進めば一気かもしれません。台湾を中国に巻き込んでしまうという手もありますし。

――Shandaさんが台湾もまとめてサービスするということですか?

吉田氏:例えばですよ。ただ、ゼロからやるよりも、同時にやったほうが時間は掛からないと思います。いろいろなオプションがあるとは思います。

――Shandaで展開を予定している中文版というのは、簡体字だけではなく繁体字の両方に対応するのですか?

吉田氏:簡体字のみです。繁体字を入れてしまうと逆に台湾サービスの意味がなくなってしまうので。

――それから個人的に今日のプレゼンで気になっていたのは、Mac版です。吉田さんがMac版について言及されたのは初めてではないかと思うのですが、あれはどのくらい期待していいものなのですか?

吉田氏:まだ僕が開発でたまに冗談で言ってるくらいのレベルです(笑)。

――といいながら、実は裏でもうゴリゴリ開発しているということは?

吉田氏:それはないです(笑)。

――本当ですか?

吉田氏:「Xbox Oneは対応しないの?」という話はよく開発内でも出ます。「Xboxのクローズドネットワークの概念が変わらない限り難しいね」と話してるのと同じ程度で、「Macの需要はでかいからな~」とか、「Mac版欲しいな~」とか僕自身が1人でぼそぼそ言っているレベルです(笑)。

――ぜひ実現して欲しいところですが、さすがに年内に発売とかそういうことはなさそうですね。

吉田氏:それはないですね。残念ながら、今開発ラインに余裕がありませんから。

――そういう意味ではもう既に発表されているDirectX 11版。これがいつになるのか、PC版としてはPS4版という強力なライバルがでてきたので、何時だろうと気になる方は多いと思いますが。

吉田氏:DX11に対応した瞬間、動けばPS4でもDX11に対応しちゃうような気がします。

――そういうことができるのですか?

吉田氏:アップデートで可能です。ただ、重いのかな、うーん、MMORPGとして成立できるかどうか次第ですね。PC版のほうは、クライアントを分ける形になると思います。

――DX11版の登場によってPS4のグラフィックスも綺麗になる?

吉田氏:まずは、PC版から全力でいきます。PS4は対応できる限り。

――将来的にさらに絵が綺麗になるというのはPS4版を買うモチベーションにはなりますよね。

吉田氏:今朝のプレゼンでもお話したように、例えば水濡れ表現などでもそうですが、僕ら「FFXIV」チームは、グラフィックス班という専属チームを持っているので、彼らは四六時中どうやってさらに綺麗にするか、フォーラムとにらめっこしながら、ずっとそればかりを考えてくれています(笑)

――PS4版にもグラフィックス的な拡張性があるというのは嬉しい誤算ですね。拡張性も含めてPS4版はオススメですね。

吉田氏:そこは間違いなくそうだと思います。ただ逆に、ハードウェアの性能が固定だからこそ、最適化しやすいですが、やはり限界もまた見えるということです。それゆえに、何かを足せば、何かを犠牲にするという、足し算引き算が出てきます。

 PC版はグラボやメモリ、CPUを積み替えてしまえば、どれもこれもという状況ができますが、やはりPS4は固定ハードなので、例えばこれ以上リフレクション強度を上げるのであれば、かかるものを選択してください、例えば水にはかかるけれど、他のガラスとかにはかからないようにするとか、やらなくてはいけないと思います。双方オンでも良いですが、フレームレートが激落ちしますよとか。インターフェイスは別描画なので、UIのレスポンスは落ちませんが、描画はそういったことになると思います。ただ、これはあくまで、さらにグラフィックスクオリティをガシガシ上げようとした場合のお話です。

(後編へ続く)

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(中村聖司)