インタビュー

【BFG 2013】「Wolfenstein: The New Order」クリエイティブディレクターJens Matthies氏インタビュー

オリジナルストーリーはMatthies氏自身が制作。ブラックジョーク満点の作品に

オリジナルストーリーはMatthies氏自身が制作。ブラックジョーク満点の作品に

「このブラックジョークはスウェーデン風か?」という質問に笑顔を見せるMatthies氏
彼女が“ナチ婆”

――今回ハンズオンでプレイできたステージはかなり難しかった。最初からプレイしていけばそれほど苦労せずにクリアできるものなのか?

Matthies氏:London Nauticaは1/3ぐらい進んだシーン。難しかったことについては2つ理由がある。まず、難易度はまだ微調整していて、製品版では難易度調整できるようになる予定。もうひとつは、現代のシューターに慣れている人だと、ヘルスが自動回復したり、仲間とカバーし合いながら戦うことが普通になっていると難しく感じるかも知れない。動き回って敵を倒して、ヘルスを拾って戦うことに慣れるとだいぶ変わってくるはず。

――プレイした印象では、道を探すイメージがあった。かなり頭を使わないと先に進めないゲームという印象を覚えた。

Matthies氏:ステージに関してもまだデザインを見直している最中。誰がプレイしても迷わずにプレイできるように設計するつもりだが、迷うようなら調整する。ただ、道を探して見つけた時の達成感も大事にしたいので、あまり簡単にはしたくない。瞬間、瞬間を楽しめるようにしていきたい。

――ストーリーについて聞きたい。ロンドンステージの後半にラジオボイスとして登場した女性キャラクターは何者か?

Matthies氏:年配の女性の名前はキャロライン・ベッカー。レジスタンスグループKreisau Circleのリーダー。過去の「Wolfenstein」シリーズにも登場したキャラクター。

――ベルリンに向かう列車のシーンは、ゲーム全体のどの辺か? 彼は囚われたのか?

Matthies氏:ゲームは全部で16のチャプターで、列車のシーンはチャプター3の終盤。ロンドンのシーンはチャプター6。列車のシーンは囚われたわけではなく、アーニャと一緒に、偽の書類でベルリンまで潜入捜査しているところ。アーニャがウィリアムと呼んでいたが、本名のBJだと親近感がわかないので、親近感をわかすためにウィリアムと呼んでいる。

――“ナチ婆”は殺せるか?

Matthies氏:ネタバレになるのでノーコメント(笑)。

――ドイツで出すつもりか?

Matthies氏:ドイツではナチスシンボルが出せないなど、法律上の問題があるので多少変更するが、可能な限りオリジナルに近い形で出したいと思う。

――マルチプレイをカットした理由は?

Matthies氏:我々の情熱の矛先がシングルプレイ経験だから。これまで得意としてきたし、成功してきたのもシングルプレイ。この方針はベセスダも受け入れてくれた。

――ストーリーテリングについてはどのように考えているか?

Matthies氏:ストーリーは非常に重要な要素。ただ、その他の要素よりも重要というわけでは無く、ゲームプレイやビジュアル、オーディオ、アニメーションなど色んなもののバランスが大事であって、ストーリーはその中の重要な要素のひとつではある。難易度を調整して誰でもクリアできるようにしたい。

――オリジナルの「Wolfenstein」との関係性はどうなっているのか?

Matthies氏:ストーリーは一応自己完結型になっている。時代が違うため過去作品と直接繋がっていることはないが、歴史と矛盾する形でもない。そのまま続いているような感じになっているが、だからといって過去の作品をプレイしておく必要があるわけではない。

――「Wolfenstein」のオリジナルストーリーにない設定はどのようにして補完しているのか?

Matthies氏:初期の段階からストーリーの概要や企画などを考えて、idに持っていって相談をして、idが賛成してくれたものを採用している。新しい要素に関してはすべて彼らと打ち合わせをして許可を取っているし、idが気に入らない要素は入れたくない。

――新しい部分に関してシナリオライターは誰か有名な人が書いているのか?

Matthies氏:シナリオライターは使っていない。ほとんど僕が書いた(笑)。一部をスタッフのTommyが書いている。

――メカヒトラーは登場するのか?

Matthies氏:そのことに関してはまだコメントできない(笑)。

――ハンズオンではナチスドイツに対するブラックジョークを随所に感じたが、これはスウェーデン風なのか?

Matthies氏:(笑)。かもしれないし、スウェーデン風かどうかは自分ではわからない。深く考えずにおもしろいと思ったものを入れた。

――日本のゲームファンにメッセージを。

Matthies氏:とっても良い作品になると思うので、「Wolfenstein」に興味がある人はぜひ注目して下さい。

【スクリーンショット】
個性的な敵たちも魅力のひとつ。インタビューでも指摘しているようにバトルはかなり難易度が高めだったが、製品版では難易度設定と、全体的な難易度調整が行なわれ、誰でもクリアできるようだ

(中村聖司)