インタビュー

「PsychoBreak」ディレクター三上真司氏インタビュー

ゲームデザイン、バトルデザインについて。敵は高度なAIを持つ

ゲームデザイン、バトルデザインについて。敵は高度なAIを持つ

オープンワールドを避けた理由はホラー性重視のため。明快なロジックだ

――今回オープンワールドではなく、ステージクリア型だということですが、オープンワールドにこだわらなかった理由は何ですか。

三上氏: 1番はホラー性です。これを重視するとあまり広いフィールドを用意すると遊びにくいのです。

――今回のビルドに関して、この内容を切り出した意図はなんですか?

三上氏: サバイバルホラーのホラーの部分が失われがちになっていることについて、まず“すごく怖い”という現実を、銃やその他の手段で打ち壊すことができるということを見せたい。怖くないものを銃でぶち破ってもただの無双系になってしまいます。それってどちらかというとイジメみたいな構図です。弱い物イジメの気持ちが強くなってしまう。それはサバイバルホラーのベクトルとはズレる。恐怖感や緊張感の中、あなたには生き残るチャンスがある。だからもがく、一生懸命プレイする。このベストバランスが保たれるのがサバイバルホラーの理想です。

――三上さんのゲームですので、弾薬は少なめなのかなと思いますが、銃以外の倒し方はどういったものを用意していますか?

三上氏: ブルース・リーの「燃えよドラゴン」ですよ。「戦わずして勝つ」ということです。スニーキングという要素を入れて、敵をやり過ごすパターンと、敵の背後に近づいて行って倒すパターン、そしてトラップです。事前にトラップを仕掛けておいて、敵に襲われたときにそれを作動させて倒します。敵もトラップを仕掛けて待ち構えているパターンもあり、それを利用して逆に敵を倒すということも新しい要素です。

――なるほど、ギミックを活用するような高い知能を備えた敵も出てくるということですね。

三上氏: ただ、序盤はバカばっかりですよ(笑)。少しずつ賢くしようと思います。

――では、結構敵から隠れて戦闘を避けるというプレイも多いのですね。

三上氏: ええ。でも、見つかっても良いからガンガン戦ってゴリ押しでというプレイも、しんどくなるけど否定はしないです。それでクリアできる人はそれはそれで凄いです。

――たとえばバットのようなメレー系の武器で敵を倒すことはできますか?

三上氏: 倒せますよ。ただ、倒せることは倒せますがしんどいです。銃が一番です。しかし、銃の弾は少ないので、知恵を絞ったりする必要があります。使えるものは全部使ってください、というゲームになっています。人によっては縛りプレイにこだわる人もいるでしょうから、トラップでしか倒さない、俺はナイフと斧でスニーキングとトラップで行くという人がいてもそれはそれで良いと思います。

――デモではヘッドショットを狙って結構外してましたが、頭を狙うのは単純にダメージが大きいからですか。それとも頭しか攻撃が効かないようになっているのですか?

三上氏: そういう訳ではありませんが、頭を狙えばだいたいダメージは効きやすいですよね? 最初は燃やさないと絶対死なない仕様を考えました。燃やさない限りは何度でも復活することを考えていました。でも、頭が飛んでも起き上って襲ってくるのは納得いかないと思いました。

――敵にトドメを差す方法のひとつとして燃やすという方法があると?

三上氏: そうですね。弾の節約になるというのは現時点で間違いなく言えることです。

――例えば「Dead Space」シリーズだと、突進してくる敵の足を狙って動きを止めるみたいな戦い方がありますが、本作ではそのような要素はありますか?

三上氏: ある程度突っ込んで来る敵は足を撃って足止めできるような要素は有効にしたいのですが、バランス調整ができていなくて、現時点ではあまり有効ではないのです。

(中村聖司)