インタビュー

「マビノギ」アップデート「THE DRAMA IRIA」開発/運営インタビュー

街からすぐに参加できる「ドラゴンレイド」。魔法と錬金術のリニューアルはこれから

街からすぐに参加できる「ドラゴンレイド」。魔法と錬金術のリニューアルはこれから

ブラックドラゴンのイラスト。かなり強力な敵になりそうだ
6月に実装される「シューター」。新武器「拳銃」を使う
毎週追加されるドラマのタイトル。6月までの全10話の予定だ

――次に「ドラゴンレイド」の概要に関して教えてください。

ファン氏: 今回から、イリア各地にドラゴンが現われます。プレーヤー達は力を合わせてドラゴンに立ち向かっていきます。ドラゴンは決められた場所と時間に現われるのではなく、プレーヤーがイリア大陸にいると、出現メッセージが流れます。街や村にいる場合は、そこからドラゴンのいる場所にNPCを通じてテレポートできます。

 ドラゴンが飛んでくる場所に居合わせると、プレーヤーはクエストを受けることができます。この時のクエストはプレーヤーキャラクターの“才能”で変わり、近接戦闘が得意なキャラクターには戦闘用の、魔法や弓が得意なキャラクターは支援用の、ヒールが得意なキャラクターには回復用のクエストが依頼されます。プレーヤー達はドラゴンとの戦いで、それぞれ受けたクエストの“貢献値”を得ます。

 これまでの巨大ボスはレアアイテムの入手は運でしたが、ドラゴンレイドは貢献度に応じた報酬が得られます。それぞれの役割に応じた活躍をすれば、がんばった分だけいいアイテムが入手できます。得られる報酬の中には、今回追加される新アイテムの素材もあります。

シム氏: ドラゴンはフィールドに降り立つので、戦闘の参加人数に制限はありません。ドラゴンが飛来してくる頻度はランダムですが、1日に数回現われます。ドラゴンの場所に飛ばしてくれるNPCはイリアの街だけでなくウルラなど全ての大陸の街にいるので、気軽に参加できます。ドラゴンレイドのブラックドラゴンはこれまでのプレーンドラゴンより遥かに大きく、強力です。力を合わせて戦ってください。

――新職業「シューター」は、どのような存在ですか。

ファン氏: 2丁拳銃を使って戦う新職業で、6月頃に登場予定です。「マビノギ」は昨今のアクション性の高いMOと比べると、戦闘が地味に見えてしまう。では、「マビノギ」ならではの“アクションスタイル”はどんなものか、というところを追求して生まれました。スタイリッシュなアクションで戦える職業です。“銃”はプレーヤーからの要望の高い武器の1つした。

――ライフルやショットガンなどは登場しますか?

シム氏: 2丁拳銃だけです。

――昨年の「格闘家」からどんどん新職業が導入されています。コアプレーヤーにとっては楽しい要素ですが、スキルを育てていくのに膨大なAP(アビリティポイント:レベルアップ時に入手)が必要で、ライトなプレーヤーにはどんどん職業が増えても追い切れないという感覚もあります。

ファン氏: 私達は、新職業とスキルはキャラクターの幅を拡げる存在だと考えています。「マビノギ」は自由にスキルを取ることができ、無限の組み合わせのキャラクタービルドが可能です。全ての人にシューターを強制するのではなく、選択肢が増えたと考えていただきたいと思います。スタイリッシュに戦えるスキルを持っているので、シューターの戦い方を気に入ってくれればうれしいですね。今後も新職業や新スキルを増やし、もっともっとキャラクターの幅も拡げていこうと思います。

――新職業だけでなく、錬金術・魔法のアップデートも行なわれるとのことですが。

ファン氏: こちらのスケジュールはまだ未定ですが、新職業やダイナミックシステムなどが実装されていく中で、錬金術・魔法のアップデートの要望も高まっていました。オフラインイベントでは「上級魔法」といった存在にも触れましたが、現在どんなアップデートをしていくかは企画の真っ最中で、まだ決まっていません。

 現在、錬金術・魔法は他の職業に比べ弱い職業になっているのではないかとプレーヤーから指摘を受けています。リニューアルのコンセプトは「もっと簡単に、もっと戦いやすくしたい」というもので、中級魔法でも移動しながらキャスティングできるようにするなど、様々な可能性を今検討しています。

 錬金術に関しても、結晶を使うなど使用するための準備がいるので間口が狭いところもある。また、ゴーレムの強化など、ゴーレムに特化した方向性も検討しています。

――次に日本の運営に関して伺いたいと思います。昨今でのプレーヤーからの要望で目立っているものはありますか。

糸井詩織氏: プレーヤー間での不満や要望といったところでは、現在の所運営側に上がるほどの大きなものはないという認識です。新コンテンツへの予想なども盛んですが、各要素のバランスに関しての要望や提案は多いです。錬金術・魔法のアップデートに関しては、プレーヤーからの要望をまとめて開発側の提案していこうと思っています。

 昔から錬金術と魔法にこだわっていたプレーヤーにとっては、リニューアルは期待と共に不安もあると思うんです。こういった部分に関してはプレーヤーの意見や要望はたくさんいただきたいと思っています。

――これは「マビノギ」に限らない問題ですが、MMORPG、オンラインゲームはプレーヤーが減少傾向にある。「マビノギ」ではこの点に関して、プレーヤーを増やすための施策は何か準備していますか。

糸井氏: 「マビノギ」ならではの、「マビノギ」らしいイベントを、ゲーム内だけでなくWeb上などでも何かやれればと考えています。具体的なことはまだこれからですが、コンテストやキャンペーンに参加することで、ゲーム内アイテムがもらえるような方法を検討中です。特に今回は「DRAMA」として毎週エピソードが追加されるので、多くのプレーヤーが新コンテンツをほぼ同じ時期で体験することになる。次の話の予想などでコミュニティが活性化してくれればと思っています。

――「マビノギ」といえばゲーム内の演奏ですが、現在、著作権問題のため、プレーヤー達が活発な活動ができない状況が続いています。この点に関しての施策はありますか。著作権をクリアした楽譜を王城で配布するといったこともできると思うのですが。

糸井氏: こちらは内部で検討している案件で、もう少しお待ちいただければと思います。音楽に関しては特設ページで「DRAMA」のイメージソングの募集を行なっていきますが、今のところゲーム内演奏との連動は考えていません。街中で演奏する人も少なくなっていますので、今後の課題として取り組んでいきたいと思います。

 私は昨年の5月から「マビノギ」担当になったのですが、昨年でゲームがリニューアルし、今年はストーリー要素がたくさん入っていきます。錬金術・魔法のアップデートもありますので、もっと盛り上げていきたいと考えています。

――初心者と上級者の繋がりという部分は、難しい課題ですが、何か取り組みを行なう予定がありますか。

糸井氏: 初心者、というわけではないのですが、4月23日から特別なタイトルがゲットできる8周年記念イベントがあります。ここで得られるタイトルはパーティメンバー全体に影響を与えるので、新しい出会いに繋がってくれればと思います。

シム氏: 初心者の獲得に関しては開発側も取り組み続けている課題で、今年中に何らかの初心者向けのコンテンツの実装を目指していますので、期待して欲しいです。

――今後のコンテンツに関してですが、現在のストーリーコンテンツは1人プレイばかりで、友だちと一緒に遊んだり、手伝ってもらう要素が少ないと感じます。開発側としてこのことに関してはどう考えていらっしゃるですか。

ファン氏: 実は「ソロプレイでやらせて欲しい」という要望が本当に多いんです。「友だちがいないからストーリーが進められない」という声が多かったんですね。このため、リニューアルした「G1」~「G3」もソロで進めるようにして、ストーリーを楽しんでもらうようにしたんです。

 友だちとのプレイや、他の人達との協力プレイに関しては、「ドラゴンレイド」が魅力的なコンテンツとなっています。人と遊べるコンテンツに関しても用意していく予定です。今後は、「友だちと楽しめる」コンテンツも増やしていきたいと思っています。

――現在、例えばギルドで友達と話していても「メインストリームをやるから」と輪から外れてしまう人がいるのが寂しいと感じていました。ソロでもプレイできるけど、2人になると敵が増えて協力プレイで進められるといった、パーティプレイも可能になる“幅”を持たせることはできるのですか?

ファン氏: それは可能ですね。ただ、今回の「DRAMA」に関してはストーリーにより没入してもらうために、1人でプレイしてもらいたいと考えました。しかし、テレビをみんなで見るように、一緒に楽しむというのも魅力的なので、今後の開発のヒントとして考えていきたいと思います。今回はまず、没入感を楽しんで欲しいと思います。

――最後に、プレーヤーへのメッセージをお願いします。

ファン氏: 今回は久しぶりにストーリーが楽しめるコンテンツです。去年はリニューアルが中心だった分、様々な準備を進めていました。皆さんが喜んでいただけるコンテンツを実装していきます。要望などはどんどんください。今後もいいコンテンツを作っていきます。

シム氏: 「マビノギ」の特に日本のプレーヤーさんはそういった傾向が強いと思っています。お待たせしましたが、8周年というこの時期に実装できるのはとてもうれしいです。4月23日から2カ月半、たっぷり楽しんでください。もちろん、その他のコンテンツも楽しんでいただければと思います。

糸井氏: ドラマは、毎週1話、2話という形で追加されます。私は1話はすでにプレイしたのですが、これまでよりもキャラクター・人物に焦点を当てた話になっていて、親近感を感じられる、とても面白い話になっていました。ぜひご期待ください。

――ありがとうございました。

(勝田哲也)