インタビュー

3DS「ファンタジーライフ」ディレクターインタビュー

気になる「大型DLC」
オンラインマルチの挑戦や“やりたかったこと”を入れるべく鋭意制作中

気になる「大型DLC」。オンラインマルチの挑戦や“やりたかったこと”を入れるべく鋭意制作中

2013年配信予定の大型DLC。インターネット経由でのマルチプレイが可能になるほか、多数の要素が追加される

――ここまでのお話ですと、オープンワールドを1人で楽しむという方向性が強かったですが、マルチプレイについてはどうだったのでしょう? 途中から入れることになったのでしょうか?

菅野氏:いえ、まずは世界を作りこんで、ある程度できあがってから着手したものではありますが、マルチプレイが楽しめるゲームにしたいという考えは、当初からありました。

――マルチプレイと言えば、やはり気になるのは大型DLCです。インターネットでのオンラインマルチプレイも可能になるということですが。「ファンタジーライフ」をプレイした人が1番興味のあるところかと思います。

菅野氏:そうですよね。少しでも早く届けられるように開発陣が頑張っています。もうしばらくお待ちください。僕らも「ファンタジーライフ」の開発が終わってからの話で、「オンラインでもプレイできたらいいよね。DLCという方法もあるよね」、「なるほど、それいいですね」というところからスタートしていて、今も頑張っているところです。

――現在は鋭意制作中ということですね。DLCが入ると「ファンタジーライフ」というゲームがどんな風に変わるのか興味深いところです。オンラインでのマルチプレイが可能になると、結構遊び方の軸が変わるのかなとも思います。

菅野氏:僕らも、オンラインでのマルチプレイができるようになったら、どういう風に遊んでもらえるのかというのが楽しみです。もちろん既存の要素の調整はできる限りやりますが、メインは追加されるコンテンツになります。新しいマップとか、それをオンラインでいろいろな人と一緒に遊べるようになります。そこでユーザーさんがどんな楽しみ方をしてくれるのかは楽しみです。

――オンラインゲーム的になるのかなという予想もあって。世界を3人プレイで楽しむ、MORPGのような側面も出てくるのかなと。

菅野氏:どうでしょうね。そこまでの変貌かはわからないですが、1人でも遊べるという部分は変えずにWi-Fiでもフレンド同士で遊べて、全体がまた底上げされるようなイメージになると思います。

――DLCを配信するのは、「やりたかったけどやれなかったこと」を入れられるチャンスという考えもあるのでしょうか?

菅野氏:もちろん、パッケージでやりきれなかった要素をDLCで入れたいという気持ちはあります。あと、ライフが全部「でんせつ」になりましたというほど「ファンタジーライフ」を遊び尽くしてくれた人にも、もっと楽しめる要素を追加したいと思っています。オンラインで遊べるようにするというのはまた新しいチャレンジでもありますしね。

 中心になるのは、オンラインプレイと、もっと遊びこめる拡張で、それにプラスアルファとして入れられなかった要素をどこまで入れられるかだと思っています。

――すれ違い通信などを見ると、やりこんでいる人は本当にすごく遊びこんでいますよね。今時だと、これだけたくさんの人がやり尽くすぐらいにプレイするゲームというのもなかなか無いというか。

菅野氏:ありがたいですね。個人的な話なのですが、知り合いのお母さんに「ファンタジーライフ」をプレゼントしたんです。その方は全然ゲームをやったことがない人なのですが、3カ月後にはレベル80とか90で、200時間ぐらいプレイしていて(笑)。あまりゲームをやったことがない人でも遊べるようになるといいなと思っていたので、「ああ良かった」と思いました。

――気になるリリース時期なのですが……雪が降る頃ですかね?

菅野氏:……いやぁ。もうちょっと早く出せるんじゃないですかね。

――雪は降らない?

菅野氏:雪は降らないですね。

――葉っぱが赤くなってる?

菅野氏:うーん、葉っぱも赤くないかもしれないです。今は、これ以上はご勘弁ください(笑)。ユーザーのみなさんはお待たせしていますが、一同、一生懸命に作っていますので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。

――わかりました。楽しみにしております。

大型DLCでは、新マップ、新クエスト、レベルキャップの解放などさらなるやりこみ要素が追加される。そして、パッケージ版ではやれなかったこともプラスアルファとして盛り込まれていく

最後に。プレイしてくれたすべての人に「遊んでくれてありがとう」と伝えたい

発売から3カ月経った今、プレイしてくれた人がハッピーになれる暖かなゲームを目指した菅野氏は、努力してくれた開発スタッフ、そして遊んでくれたユーザーのみなさんへの感謝の気持ちを語ってくれた

――それでは発売から3カ月後というちょっと変わったタイミングのインタビューですので、何かこのタイミングで伝えたいことなどがあれば、ぜひ伺いたいです。

菅野氏:開発スタッフにいろんな人がいたというお話をしたのですが、作り手側としてはシンプルな話ではなかったんですよ。本当に苦労の連続で、その中でみんなが頑張ってくれました。その結果、「ファンタジーライフ」を発売することができました。

 僕らもその作った世界観にすごく愛情があって、それをすごく楽しんでくれた人がたくさんいるということが、すごく嬉しいです。「ファンタジーライフ」という作品は、すごくハッピーなゲームになってくれたと思います。

――良いゲームですよね。例えばゲーム関係の仕事をしていると「自分に子供ができたとしてどのゲームを遊ばせる?」なんていう話が出たりしますけど、「ファンタジーライフ」はむしろ遊ばせたいなと思えます。

菅野氏:ありますよね(笑)。なので、親子でやってもらえたらと考えて作ったところもあります。もちろん、親子だけじゃなく友達同士でもいいんですけど、他人に勧めたくなるゲームを作りたいという理想があって、昔勇者だったお父さんが鍛冶屋をやっていて、魔法使いだったお母さんが裁縫師で、息子が王国兵士で冒険するという光景が生まれてくれたらなと思っていました。

――あ、なるほど。マルチプレイはそういう光景を意図したところもあったのでしょうか?

菅野氏:そうなんです。マルチプレイは3人で遊べるので、親子で一緒に楽しんでもらいたいと想定していました。実はメインストーリーも、どれも家族の話になっているんですよ。本当は、ゲーム中にもプレーヤーがそういう家族的な繋がりを楽しめるシステムを入れたかったのですが、そこはちょっとやりきれなかったことの1つですね。

――それでは最後に、ゲームファンの人へ向けて一言頂ければと思います。

菅野氏:はい。ユーザーのみなさんに「ファンタジーライフ」の世界っていいよねと言ってもらえるように作ったゲームです。この作品をみなさんに気に入ってもらえれば、これからもいろんなことに挑戦できそうな気がします。次を待っている人もいるでしょうし、もっとこうなって欲しいという要望もあると思います。僕たちはそういう声をもっとたくさん聞きたいと思っていますので、どんどん意見をお寄せください。

 遊んでくれた人の中には、もうたっぷり遊んで食べ尽くしちゃったから、おかわり下さいっていう声もお聞きしています。今は(DLCを)調理中なので、待って頂ければ、一生懸命作ったものをお届けします。もちろん、まだプレイしていない方が周りにいましたら、ぜひ勧めていただければと(笑)。

 開発初期から振り返っても、良いスタッフに恵まれたと思います。楽なプロジェクトではありませんでしたが、見てくれていた日野もそうですし、たくさんの人に支えられてできた作品で、すごく感謝しています。そんなゲームを楽しんでもらえたことがとにかく嬉しいです。ユーザーのみなさんにはスタッフみんなの気持ちも込めて、「遊んでくれてありがとう」と伝えたいですね。

――ありがとうございました。

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(山村智美)