インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(前編)

PS3の性能限界に挑戦しているPS3版。グラフィックスはほぼ完成

PS3の性能限界に挑戦しているPS3版。グラフィックスはほぼ完成

吉田氏:最後がPS3版です。お待たせしました。改めてですが、「FFXIV」ではプレイステーション 3版も同発します。もちろんWindowsとPS3双方のプレーヤーは同じサーバーに接続して、一緒にプレイできます。完全クロスプラットフォームです。

 PS3版はβテストフェーズ3からβテストに参加していただけるようになります、そしてこれは胸を張って言えますが、世界初のMMORPG専用のゲームパッドUIを搭載しています。もちろんPCでもそのモードを使えますけど、PS3にフォーカスして作られた家庭用ゲーム機でグローバルスタンダードMMOを寝ながらプレイできるところを目指しています。

 で、ちょっと完成版ではないので申し訳ないのですが、PS3版の映像を流しますのでご覧ください。これウルダハですね、階段のモアレがPS3っぽいでしょう?

【PC版(左)とPS3版(右)の比較ショット】
比較的近いシーンを選んでPC版(左)とPS3版(右)を並べてみた。そもそもの表示解像度、レンダリング解像度が異なるため、直接比較するのはフェアではないが、こうして静止画で見るとほとんど違いが分からない。サムネイルで見ると見分けるのは不可能に近い。ただ、実機では、まだPS3版はパフォーマンスのチューニング中ということでまだカク付きが感じられた。あとは実機でどの程度のパフォーマンスが出せるかに注目したい

――おお、確かに動いてますね。これは完成度何%くらい?

吉田氏:これ今、最後の最適化だけが残っていて、それが75%くらいですね。最適化があと25%くらい残ってる感じです。

――ちょっとまだカク付きがありますが、この20フレームぐらい出ているのでしょうか。

吉田氏:もうちょい出てますね。左奥の風景を見ていただくとわかるようにLoDが結構効いてますね。自分の周りを見ている限りはPC版と遜色ないと思います。

――すでにサウンドも実装されていますが、PS3とPC版はサウンドのクオリティは同じなんですか?

吉田氏:同じですね。ファイル自体は同じなので。これは夜の十二神大聖堂ですね。これたぶん何も言わなかったらPS3版とはわからないのではないかと。

――これ、UIはわざと消してるんですか?

吉田氏:はい。まだゲームパッドモードをPS3に最適化している最中ということで。

――キャラクターの表示数は、PC版と同じですか?

吉田氏:いや出ないです。さすがにメモリが無理ですね。そこはどうしてもPC版と差が出るところです。

――ただ、草や木などの表現はあまり違いがないですね。

吉田氏:はい。ただ、描画範囲が広くなると、やっぱり数は間引かれますね。このPS3版については、SCEさんにもご協力を頂いて、性能の限界に挑戦しています。

――具体的にどんな協力をしてもらっているんですか?

吉田氏:最適化ですね。GPUとSPU(Synergistic Processing Unit)のそれぞれの処理の振り分けを何ミリセカンドという単位で今ご協力を頂いてやっています。

――それはSCEのエンジニアが常駐するような形ですか?

吉田氏:している場合としていない場合とかあります。あとは、ゲームパッドモードで、MMOを感じさせない、触ってすぐに遊べるコンソールゲームっぽいインターフェイスを実現したつもりです。クロスプラットフォームプレイに対応しているので、1つのアカウントでPCでもPS3でも両方ログインすることができます。

――「FFXIV」はクロスプラットフォーム対応ということですが、今後、状況に応じてPCとPS3を切り替えて遊ぶユーザーも出てくると思います。ゲームパッドモードのマクロ登録はサーバーに記録して出し入れできるんですか?

吉田氏:PS3のパッドUIに関してはPS3側にセーブされるので、どうしてもそこの連動は難しいと思います。

――それではPCとPS3で同じマクロを呼び出してゲームパッドで楽しむという遊び方はできない?

吉田氏:サーバーで保存しておいて、両者行き来ができるようにはしたほうがいいだろうという話はしています。

――それは努力目標として、そういう課題があるものの、まだそういう仕様にはないっていないということですか?

吉田氏:はい。間に合えばローンチまでにやりたいと思います。

――過去の事例だと「FFXI」も、他社さんのPS2向けMMOも、ユーザーからの強い要望があって事後対応という形で対応しましたよね。だから、要望はあると思うんです。

吉田氏:ええ、絶対そうだと思います。結構ハードルが高いのです。サービスが始まって会員数と負荷が見えてこないと、そこにリソースを回していいのかどうかわからないんですね。全キャラクターのセーブデータを使うので、負荷が安定してからじゃないとリスクが高すぎてダメなんです。そこは慎重ですね。安定性を考えれば、なんでもかんでもセーブすればいいってもんじゃないということです。

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(中村聖司)