インタビュー
「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(前編)
ゲームパッドモードについて。吉田氏「皆川はもうゲームパッドでしかプレイしてない」
(2013/2/22 00:00)
ゲームパッドモードについて。吉田氏「皆川はもうゲームパッドでしかプレイしてない」
――このPS3版はUIが消されているのがちょっと寂しい感じですが、PS3のゲームパッドモードを実機で見ることはできますか?
吉田氏:今はPS3版用に開発しているゲームパッドモードをPCで見ていただきます。PS3版は処理負荷が高いので、今はまだ外しています。
――入れると重くなりますか?
吉田氏:製品版では当然問題ないですが、今は最後の最適化中ですので。凄まじいパラメーター量で、0.5マイクロセカンド削ってっていうのをやっている最中。その中でUIを被せちゃうと、今度は何がボトルネックなのかがわかりにくくなるので、最終追い込みのために外してるんですね。
――だから今回PCだけ見せてるわけですね。
吉田氏:ゲームパッドモードはβテストフェーズ1ではまだ使えず、フェーズ2から使えるようになります。そこで最初にフィードバックを頂いて、それを全部PS3にフィードバックしていくつもりです
――PC版のゲームパッドモードもここまでできてるのに、敢えてフェーズ1では入れない理由は何ですか?
吉田氏:まさに使い勝手を今調整中だからです。
――PC版でもまだ重くなったり、不具合があるのですか?
吉田氏:いえ、PC版に関しては全く問題ないです。使用感の微調整です。実際、皆川(裕史氏、「FFXIV」UIアーティスト)はもうゲームパッドでしかプレイしてないですね(笑)。
――「FFXI」でもパッドでプレイしていたので、早くゲームパッドでプレイしてみたいですね。
吉田氏:11年前、「FFXI」が日本のコンソールプレーヤーの初めてのMMOだったように、「新生FFXIV」は新しい世代のコンソールプレーヤーに初めてのMMO体験を届けていきたいなと思っていて、その為にPS3に全力を尽くしています。
――ゲームパッドモードに関してはPCとPS3で内容は全く同じですか? PC版の場合は、キーボード&マウスモードとワンキーで切り替えができるのですか?
吉田氏:同じです。PC版の場合はハウツーの問題があるので、ワンボタンでというわけではないですが、切り替えは可能です。コンフィグから切り替え可能です。再起動などは不要ですよ。
――しかし、このゲームパッドモードは、PC版でもここまで綺麗に実装されていると、PS3で遊ぶモチベーションが若干下がりますね(笑)。
吉田氏:わざわざネガティブポイントを見つけないでくださいよ!(笑)
――そうではなくて、ゲームパッドモードはPC版にとっても初の試みになるわけですが、よくここまで違和感なく綺麗に実装したなということです(笑)。ちなみに吉田さんの発言のなかでちょっと気になったのが、パッドの方がアクションが早いかもしれないという発言です。あの真意は?
吉田氏:ゲームパッドは、瞬間的に「こいつをターゲットしたい!」って思ったときに、どうしてもその十字キーとかショートカットを駆使した場合でも、そこはどうしてもマウスには勝てない。直接ターゲットを指定する操作はマウスが有利なんです。ただ、キーボードのWASD移動だと、ホットバーにさっと手が届くのは1、2、3、4、5キーぐらいまでなんですよね。
そこがゲームパッドモードだと、16個のキーが本当に使えるんですよ。さらに、パレットを変えるだけでさらに16個ってなっていくので、慣れていくとアクションの実行は凄く早い。究極を突き詰め始めるとMMOの廃人プレーヤーってキーボードよりも、ゲーム専用マウスを使い始めて、結局キーボードよりも、PCゲーム専用オペレーションになってくる。それと同じで自分専用のオペレーションを使いこなしてしまうと、もしかしたらゲームパッドの方が最終的にはパフォーマンスが早いかも、というのが作りこんでいての感想です。
――コメンタリーでも語られていますが、上下キーで味方だけのターゲット指定ができるのは便利ですね。
吉田氏:そうですね。最低限の誤爆をしないように。やっぱり8人とか4人のインスタンス詣でが多いので、全員をターゲットしていくものとパーティーだけをターゲットするものがあれば一通り遊べるので。やっぱりクエスト導線からクリアしていくパターンで、ほとんどソロでいけるじゃないですか。そうなるとそんなに上下を使うシチュエーションというのもダンジョンくらいしか出てこないですし。
――PS3版に関連してですが、2月20日にSCEさんが新しいハードを発表する予定になっています。
吉田氏:何かしら発表があるとは聞いています。
――PS3版で現在進行形で密接な協力関係にあるのですから、様々なレベルで情報交換されていると思うのですが、新ハードについてどのような期待をもっていますか?
吉田氏:ハードのジェネレーションが一段上がること自体はポジティブではあります。現世代と1つ前の世代は、映像的な見栄えはそれなりに上がりましたが、ゲーム体験的にクリティカルに変わった部分は少なかった。それが結局HD機が今伸び悩んでいるポイントだと思っているので。
次の世代に関しては大幅な進化を期待しています。日本の場合、ゲームエクスペリエンスでいったらもうスマホで十分になっちゃってて、みんな、わざわざテレビの前でゲーム機の電源を入れて座ってコーヒーやタバコやビールを用意して遊ぶというのが面倒になってしまっている。そこまでして「ゲームってやるほどの価値があるのか?」という風潮ですかね。よっぽど好きな人しか、もうゲームをやってないと思うんで。そこをどうするかという点も含めて、もう1段上にいくという意味で、可能性にはものすごく期待しています。
――仮に新ハードが発表されたら、「FFXIV」は対応するのでしょうか?
吉田氏:えーと、まずそもそも正式に発表されていないので、対応するかしないかというお答えは基本しないスタンスです。まず1つはずっとお約束している通り、PS3版を僕ら全力でローンチしようとしています。なので、何かアクションを起こすとしてもPS3を出してからになります。でも以前からインタビューでお答えしているとおり、社運をかけてここまでやっているプロジェクトなので1つでも多くのハード、1人でも多くのプレーヤーに遊んでいただきたいと思っているので、もちろん可能性がないみたいな言い方はしないつもりですし、いずれ何かお知らせできるタイミングがきたらちゃんとお知らせしていこうと思っています。
――まずは約束しているPS3のファンに対してしっかりしたものを届けるのが先だと。
吉田氏:はい。PS3ではいまもう性能限界に挑戦しているので、これはキッチリと仕上げたい。ただ、僕らにはハイエンドのPC版があるわけです。新ハードのスペックが上がる方向に行くならそこに対応させるのはそんなに大変じゃない。やっぱり今PS3という限られた性能の中に、少しでも高いものを入れようと注力している最中なので、まずそこに全力を尽くしたいですね。
――年末のニコ生で見せた、タッチパネル対応についてはいかがですか?
吉田氏:僕らタッチパネルを売りにしたいわけではないですし、ローンチでどうこういうレベルではないですね。
――タッチパネル対応を発展して考えると、例えばiPadなどのタブレットで遊ばせるつもりなのかなとちょっと思ったりしたんですけど
吉田氏:うーん、わかんないです。5年後くらいにはなんか考えているかもしれないですけど。いまのところはそれはないですね。もし対応するとすれば、色んな機能を削っていかなくてはいけないので。それこそデバイスに見合ったインターフェイスの最適化は、並大抵じゃないのです。そもそも「MMOを外に持ち出してプレイしたいですか?」という話です。それでレイドとか来られても困りますし。
――「お前今日は下手だな、まさかタブレットでやってるのかよ」と?(笑)。
吉田氏:ええ、そうなりますよね(笑)。コンテンツファインダーでパーティーマッチングして挑んでみたら、「なんかあいつ動きおかしいんだけど?」ってことになると、ファインダー自体が使われなくなっちゃいますよね。
今回PS3のゲームパッドモードのコンセプトもそうですけど、マウス&キーボードに負けない、差が出ない物を作っているつもりなので、もしタブレット対応のインターフェイスを手がけるとしたら、1年じゃすまないくらい徹底して作り込む必要があります。差が出ないようにして一緒に遊んでいただくってそういうことなので。そこまでの保障がこの短い期間の中でできるかというと、不可能ですということになる。将来的にもちろん可能性がないとはいわないけど、いま現時点で計画にはいっているわけじゃない。ただ実験していないと、タイミングが来たとき動けないので、そういう意味ではIR的にいろんなことをやってますけどね。