インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(前編)

「新生FFXIV」の基本仕様、世界設定について。「光の戦士たち」とは何か?

「新生FFXIV」の基本仕様、世界設定について。「光の戦士たち」とは何か?

北米向けのスライドの日本語化したものを見せながら、「新生FFXIV」の基本仕様について語る吉田氏

吉田氏:今回のメディアツアーでご説明するのは、「FF」シリーズの話、「新生FFXIV」ってなんなのか、その特徴、そしてPS3版です。

 「ファイナルファンタジー」は、累計1億本を超えている25年の歴史を持っているシリーズで、「FFXIV」でいよいよ14作目となります。あらためてスクウェア・エニックスとして「FF」シリーズは世界戦略上の最重要フランチャイズであり、世界中にファンとコミュニティを持っていて、僕らとしては最高のグラフィックスとストーリー体験を提供していくタイトルだと。世界のファンと一緒に、これからも全力で取り組んでいくということを改めてここで宣言させていただこうかなと思っています。

 「FFXIV」については、MMORPGとしてスクエニが総力を挙げて開発を行なっていますと。それで、ここが最大の特徴なんですが、完全作り直しのリローンチに挑んでいる変なMMORPGです。最近海外では「ネバーだろう」と言われています。つまり、「二度とやる奴はいねーよ」と(笑)。そのイメージを今回のツアーでさらに強調したいと思います。

 「新生FFXIV」は、「ファイナルファンタジー」で、なおかつMMOの専用描画エンジンを積んでいて、サーバーシステムも「FFXIV」専用のものを再設計。バトルシステムも一切コードが残ってないくらい全部作り直しました。ユーザーインターフェイスについては特徴が2つあって、グローバルスタンダードUIというのと、コンソールに特化した、MMOをコンソールで遊ぶ為の専用のUIを搭載していますと。こんなクレイジーなことをやるのも「FF」だけだし、スクエニはギブアップしない、というのを改めて全世界のメディアの方に伝えさせていただこうと思っています。これからお見せするのは「旧FFXIV」と「新生FFXIV」の新旧比較動画になっています。舞台はレッドルースター農園です。

【FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼア フィールドウォークスルーPart 1】
このウォークスルーは、インタビューで見た動画とは若干異なり、新旧「FFXIV」の比較ではなく、Windows版とPS3版の画質の違いを紹介したものとなっているが、インタビューで話題に上っているレッドルースター農園やモラビー湾といった新エリアや、グラフィックスの進化については確認することができるので、こちらもぜひ1度ご覧頂きたい

――レンダリングのタッチが違いますね。これは時間帯が違うのですか、それともレンダリングが違うのですか?

吉田氏:時間経過をかなりフォトリアルに作ったので、単純に明るい時間だからですね。ライトが違いますし、環境セットアップも違います。旧版を再現するのでは無く、改めて自然な表現を目指した結果ですね。旧版はレンズフレアすら出ていないですよね。

【レッドルースター農園】
ここはレッドルースター農園。レンズフレアがあるせいか、まぶしさを感じる

――ただ、こうしてみると「旧FFXIV」のグラフィックスは、これはこれで奇麗でしたね。

吉田氏:そうですね。「旧FFXIV」の空ってものすごく奇麗なので。「新生FFXIV」でこだわったのはこの空気感の表現ですね。遠くのかすむ感じ、濃淡。これがモラビー湾です。海なんですけど、設定的には同じ場所です。

――なるほど、両シーンが同じ場所とは信じられないですね。風景が全然違いますね。

吉田氏:「旧FFXIV」は何もないんですが、「新生FFXIV」ではドックと船があります。軍艦を建造するドックが町としてでき上がっているので、あとは水の感じですね。

【モラビー湾】
モラビー湾には造船廠ができている。塔の左側に見えるのが造船中の船

 次にバスカロン監視所です。バスカロンの酒場と呼ばれているんですけど、これ自体そもそも僕が体制を引き継いでから入れた場所ですが、「旧FFXIV」では入れなかったのですが、新生では入れるようになりました。

――へー、ではバスカロン監視所は2度作ってるということですか。

吉田氏:2度というか、本来はこれをやりたかったんです。要は設定だけになっていた世界なんです、「旧FFXIV」って。それを設定だけでなく、キッチリ作り込んだと。だから、もう別のゲームなんです。

――当然この中ではクエストも受けられる?

吉田氏:はい。これはβテストフェーズ1をプレイしていただければわかるんですが、クエストはさらに大幅に追加されていますよ。

 これがキャンプトランキルです。「旧FFXIV」のキャンプトランキルは、なんにもない。これが新生のキャンプトランキルです。

【キャンプトランキル】

 これがブラックブラッシュ。ウルダハを出てすぐです。荒野ですね、なーんにもない。新生ではこうなります。これが同じ場所です。

――信じられないですね、同じ場所だとは。風景そのものがちょっと変わっちゃってる。

吉田氏:なにもかもゼロから作ったので。

【ブラックブラッシュ】

――ここまで大幅に変わると、世界設計的におかしくなりませんか?

吉田氏:いや、そんなことないですよ。

――たとえば、「旧FFXIV」から「新生FFXIV」への変化の過程で、荒野から水が豊かに出るようになり、風景まで一変した経緯は、何らかの形で冒険者に説明されるわけですか?

吉田氏:特には(笑)。ただ、シナリオでは「なぜ世界は新生したのか」という大いなる謎は存在しているので、その理由の中で納得頂けたらなあ、と。うーん、でも難しいかなあ(笑)

 マップについては美しく冒険心あふれるマップと言うのを今回徹底しましたし、実現できていると思っています。あとは「FF」らしいストーリーを破綻が起きないように一新しました。「FF」シリーズではグラフィックスとストーリー体験というものをプッシュさせていただいていますけど、「旧FFXIV」はストーリーが非常にわかりにくく、かつ複雑になりすぎていたと思いますので、新生にあたって大幅に変更されています。

 新生「FFIX」のストーリーについては3つの柱で構成されています。1つめの柱は惑星ハイデリン。この惑星そのものが冒険の舞台、この惑星にあるアルデナード大陸の北方にあるエオルゼアが舞台になるんですが、ストーリーの骨格としてこの惑星自体が意識を持ち、その集合体がマザークリスタルという存在で、冒険者に深く関わってきます。このマザークリスタルに導かれてプレーヤーは冒険者になって、世界の謎と脅威に立ち向かうと。これが「FFXIV」全体を貫いていく大きな話になっていきます。

 2つ目が、これが「新生FFXIV」ローンチの時のメインストーリー、いわゆるエンディングを見る為にこれをクリアしてくださいというストーリーになります。ガレマール帝国の侵略にグリダニア、リムサ・ロミンサ、ウルダハの三都市のグランドカンパニーが戦いを挑みます。冒険者はここに自由をかけて参戦します。どのGCにつくかという選択があったり、冒険者って自由な存在なので、国の利害をかえりみず、自由の為に戦っていくという部分ですね。キーワードとしては今回「光の戦士たち」というキーワードがシナリオに登場します。

――「光の戦士たち」というのは「FFXIV」では新しいフレーズですね。これは冒険者たちの事ですか?

吉田氏:それはまだネタバレになるので言わないでおきますが、こういうキーワードがシナリオに登場しますと言うところですね。初代「FF」にあった光の戦士というキーワードですが、今回はMMOなので複数形だと思っていただければ。

 そして3つめが召喚獣、蛮神ですね。これを軸としたストーリー、これも「新生FFXIV」のガレマール帝国のストーリーの中に織り交ざって蛮神たちが出てきます。ただガレマール帝国との決着がついても、蛮神たちとの戦いはさらに続いていくと。これも「新生FFXIV」以降のどんどんアップデートで蛮神が増え続けていきます。今回はレベル50以降を「大迷宮バハムート」というコンテンツでそもそもバハムートはどうなったのかとか、第七霊災っていったいなんだったのかとか、物語の最後で語られますが、世界がなぜ新生したのかが、そのコンテンツのなかで語られていきます。

――逆に言うと、なぜ世界が新生したかは、そこに至るまでわからないんですか?

吉田氏:わからないです。というのも、新規プレーヤーの方にはあまり関係がないことだからです。あくまでもレベル50、その帝国との戦いに一区切りついた後、さらに世界の謎は、もうエオルゼアだけの話ではないので、もっと大きなテーマで、それこそ本当に極めたプレーヤーたちが挑むという話になっています。この「大迷宮バハムート」に関しては新生スタートのタイミングから用意しています。「大迷宮バハムート」自体はアップデートされていきますが、拡張ディスクまでには最初の決着を着けるつもりでいます。言わば「第七霊災完結編」ですね。

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(中村聖司)