NHN Japan、OBT直前「スペシャルフォース2」インタビュー
プロデューサー佐野亘氏に聞くCBTの手応えと今後の展望
NHN Japan株式会社、新作オンラインFPS「スペシャルフォース2」のオープンβテスト(OBT)を6月7日より開始する。
「スペシャルフォース2」は、韓国で2011年8月よりサービスが開始されているオンラインFPSで、日本ではNHN Japanで提供中の「スペシャルフォース」の後継作だ。日本では5月3日から5月6日の4日間クローズドβテスト(CBT)が行なわれ、多くのプレーヤーで賑わっていた。
今回は6月7日から開始予定のオープンβテスト(OBT)に先駆け、「スペシャルフォース2」のプロデューサーの佐野亘氏にインタビューを行なった。公開されたレポートを見ながらCBTの手応えや、気になる調整事項、OBT以降の展望などについて伺っていった。
【スクリーンショット】 | |
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6月7日よりOBTが実施される「スペシャルフォース2」。e-Sportsとして世界大会が開催される可能性もある新世代FPSだ |
■ CBTは好調な滑り出し。韓国とのサービス時期のずれは、日本ユーザーのための準備期間
「スペシャルフォース2」プロデューサーの佐野亘氏 |
――先日行なわれたCBTは盛況だったようですが、同時接続数はどのくらいだったのでしょうか?
佐野亘氏:最高同時接続数が3,600人くらいです。
――その数字は「スペシャルフォース」と比べていかがでしょうか?
佐野氏:2006年に始まったタイトルで、その時のオンラインFPSは「スペシャルフォース」しかなかったので、凄く数字が良かったんですね。最近は色々なゲームが出てきて、オンラインFPSも沢山あるので苦戦するかと思っていたのですが、オンラインFPSで3,000を越える数字が出たのは驚きというか、良い結果だったと思います。CBTという参加人数をある程度絞った状態でこの数字が出たのが良かったですね。
――この数字が出た要因はどこにあると思いますか?
佐野氏:弊社の「スペシャルフォース」で遊んでいるお客様はもちろんですが、他のオンラインFPSをプレイしている様なコアなプレーヤーには、「スペシャルフォース2」は結構知られているタイトルだとと思っています。やはりみんなやりたがっていたのだと思います(笑)。
――韓国のサービス開始から日本のサービス開始まで間が空いた理由はなんでしょうか?
佐野氏:実は本当はもっと早くサービスを開始したいという話をしていました。ただ先行してサービスを開始している韓国で、コンテンツの量が他のオンラインFPSに比べて少なかったために苦労していた時がありました。FPSとしてとてもよくできていて面白いのですが、最初にある程度遊べる量のコンテンツがないと、お客様が離れて行ってしまうことがあります。日本ではコンテンツが多いオンラインFPSがあるので、日本でも楽しめるだけのコンテンツ量を溜めていたというか、準備をしていた感じですね。
――ということは溜めていた分、日本でのサービスでのコンテンツ追加はかなり期待しても良いということですか?
佐野氏:韓国のアップデートペースは大体月に1回武器やマップが追加されるといったペースですが、日本の場合はストックがあるので、1カ月に2つくらいのペースでマップや武器を追加できるように調整しています。
――それは楽しみですね。
■ スナイパーライフルは調整の意向。「雪合戦」などのお遊びにも期待
元々扱いやすい設定にしていたというスナイパーライフル。OBT以降では調整も考えているという |
――公式ページで公開されていたCBTのレポートを見ていると、スナイパーが強すぎるという意見がありましたが、どうお考えでしょうか?
佐野氏:バランスとしてそこまでスナイパーが有利だとは考えていませんでしたが、アンケート結果は意外でした。「スペシャルフォース2」のスナイパーライフルは、他のFPSに比べ扱いやすく設定されていました。FPSの中には例えば移動中に素早く反対側のキーを押して素早く止まる「ストッピング」というテクニックを使わないと、弾がまっすぐ飛ばなくなるものもあるのですが、「スペシャルフォース2」はこのテクニックが必要ではありません。これはFPS初心者でもスナイパーを楽しめるようにという仕様なのですが、扱いやすい分、スナイパーがより有利に感じられたのかもしれません。
これは、マップの特性に要因があったと思っています。CBTで実装されていたマップは見通しが良くスナイパーに有利な地形が多くありました。アサルトライフル側はマップを覚えるまでマップ内を歩くので、スナイパーに狙われやすい状態が続いていたと思います。しかし、OBTで追加される予定のマップの1つに「発電所」というマップがあり、建物の中のマップなので、ここではそれほどスナイパー有利ではなくなると思います。
ただ今回のアンケート結果をもとにスナイパーライフルの調整も検討していて、手や足など体の末端に当たったときのダメージを減らしたり、銃の扱いを難しくして、「ストッピング」を必須にできないかなど開発側と相談しています。
日本のサービス開始記念として発表されたステージ「RYOKAN」。仕様は統一となるが、日本発信のものもあるそうだ |
「トグル機能」の実装も予定しているが、2段階スコープのような場合などの課題もある |
――その調整は日本独自になるのでしょうか?
佐野氏:世界大会があるので、仕様は他の国とも統一します。調整については試してみないとお客様の反応がわからないので、日本で先行して実装し、日本で受け入れられれば他の国にも同様の調整を行なう可能性があります。日本で受け入れられても他の国で受け入れられなければ、元に戻すといった可能性もあります。
――ボタンを押している間だけスコープを覗いたり、しゃがんだりする「トグル機能」の実装についての要望がありましたが、実装の目処は立ちましたか?
佐野氏:実装はする予定です。ただいくつか問題があって、ズームが2段階のスナイパーライフルなどがあり、その場合はどうするのか、ということを今議論中です。その結論が出た上で開発がスタートするので、OBTには間に合わないかもしれません。
――レポートのモードのデータを見ると、チームデスマッチと爆破モードに人気が偏っているように見えますね。
佐野氏:チームデスマッチと爆破で大体8割くらいです。脱出と奪取モードがあまりにも遊ばれなかったのでもう少し遊んで欲しかったですね(笑)。
――「ゾンビモードやAI戦などの実装をお願いします」という意見がありましたが、何か特徴的なモードを追加する予定はありますか?
佐野氏:残念ながらゾンビモードが入る予定はありませんが(笑)、韓国では「占領」と「突破」というモードがあります。「占領」は文字通りマップに設置されているポイントを占領するモードで、「突破」モードは「脱出」モードを簡略したようなもので、攻め側が一定のラインを突破できれば勝ちといったモードです。これらが将来実装されるかもしれません。
――韓国では「雪合戦」モードというのが実装されていたそうですが、そういったお遊び的なモードを日本でも追加する予定はあるのでしょうか?
佐野氏:夏には入れないと思いますが、そういうのは個人的にも好きなので、ゆくゆくは実装すると思います(笑)。
――「戦場のカルマ」のマップを追加して欲しいという意見がありましたが、追加される予定はありますか?
佐野氏:CBT参加者の中には「戦場のカルマ」プレーヤーが多かったので、期待されていると思います。実際OBTの初日には実装されないんですが、「戦場のカルマ」の「プラント」というマップと同じ構成のマップが入る予定です。これは「スペシャルフォース」の「ベイエリア」と同じ構成のマップですね。「スペシャルフォース」のマップ実装は今のところ予定していませんが、いくつかいれようとしています。「スペシャルフォース」や「戦場のカルマ」のファンは楽しみにして頂ければと思います。
■ 大会は全国のネットカフェ大会から。ニューFPSのスタンダードを目指す
大会は全国のネットカフェから順に行なっていくという |
――大会などの予定はありますか?
佐野氏:まだ具体的にはなってはいませんが、最初は全国各地のネットカフェで小規模な大会を開催しようと考えています。そして全国各地にクランのコミュニティを作りつつ、夏頃にオンラインの大会を行なって、10月くらいに大きなオフライン大会ができればと考えています。「スペシャルフォース2」は今年の「World Cyber Games」(e-Sportsの世界大会)の種目にノミネートされているので、これに選ばれればこのオフライン大会で日本代表を決めようと考えています。
――最初に各地を回るのには何か意図があるのでしょうか?
佐野氏:なぜ各地を回るかというと、「スペシャルフォース」の時は日本で初めてのオンラインFPSとして世の中に出てきたので、その時はオンラインFPSのノウハウがなく手探りで、ほとんどオフライン大会を行なわなかったのです。
それで日本代表決定戦を「スペシャルフォース」でやったときに、集まったメンバーが完全にオンライン寄りのメンバーで、メンバーが日本各地にいて、代表決定戦で初めて会うということが多かったんです。世界大会に行くと毎日合宿しているようなメンバーばかりで、試合中の勢いが違いました。そういう海外と日本の環境の違いを見たときに、普段から一緒になって試合をやるというのが大事だと感じていたので、地域に根ざしたクランを作りたいと考えました。そのため全国を回って、最終的なオフライン大会に持って行くことを目指しています。
――他国との交流戦も企画されていますか?
佐野氏:交流戦はできるだけオフラインでという風に考えています。「戦場のカルマ」ではタイと韓国と日本のオンライン対戦をしたことがあるのですが、タイは距離的に厳しく、ラグが致命的だったということがありました。
――チート対策についてはいかがでしょうか?
佐野氏:新しいハックツールなどにも迅速に対応するアンチチートツールを導入しています。CBTでも既に何件か検知し遮断されているのを確認していて、今のところ大きな問題はないと考えています。もちろんチート対策ツールに頼るだけでなく、運営メンバーの教育などをして、不正行為には厳しく対処していきます。
――今は「スペシャルフォース」以外にも、オンラインFPSがかなり多いですが、「スペシャルフォース2」のアピールポイントは何でしょうか?
佐野氏:一番言いたいのは、とても面白いゲームだということです。「スペシャルフォース2」独特のモードなどはありませんが、本当に遊びやすいゲームだと思っています。画面はきれいでカジュアルなのに、競技性も高い。触っていただければ誰もが今までのFPSとは違うということを感じていただけると思います。
また「スペシャルフォース」などのオンラインFPSのタイトルはサービス期間も長く、大会などで優勝するチームが常連になっている状況があると思います。それはそのチームが努力した結果ですのでそれ自体は問題ではないのですが、実力があってもわずかの差で上位に上がれないというケースがあると思っています。
新しいタイトルが出てくることによって、オンラインFPSプレーヤーをシャッフルするというか、「スペシャルフォース2」という新しいゲームで、プレーヤーの皆様が平等に自分の腕を試せる場所になったらいいなと考えています。オンラインFPSのスタンダードになれるよう、頑張っていきます。
――最後にユーザーへのコメントをお願いします。
佐野氏:(「スペシャルフォース2」のコピーを引用して)「遊びはもう終わりだ」!
……というのは冗談で(笑)、すごく面白いゲームなのでぜひ1度触ってみて欲しいです。「スペシャルフォース2」をきっかけにして、オンラインFPSが盛り上がって、もっと日本に受け入れられて、もっとみんなで遊ぶような雰囲気が出てくればいいなぁと思っています。e-Sportsなど、ゲームでも感動できることがあるし、それが人生の糧になることもあると思うので、人を撃つというネガティブなイメージだけではなく、世間にもっと認知されればと思っています。
――ありがとうございました。
Published by NHN Japan Corp.
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(2012年 6月 1日)