「JollyWood」プロデューサー上野彰三氏ロングインタビュー
シンガポール生まれの“自然への回帰”を目指したソーシャルゲーム
コーエーテクモゲームスが2011年、特に注力する分野がソーシャルゲームである。2010年3月期の決算報告で、オンライン/モバイル事業が約8億の赤字に転落し、オンラインゲーム業界に衝撃を与えたが、2011年3月期の決算で12億円の黒字に転換。1年にして20億円分の営業利益をたたき出す原動力となったのが、ソーシャルゲームである。
2010年に大ヒットしたソーシャルゲーム「100万人の信長の野望」 |
2010年以降、コーエーテクモゲームスでは、DeNAと共同開発して完成させた「100万人の信長の野望」を皮切りに、「100万人の三國志」、「100万人のモンスターファーム」、「100万人の真・三國無双」、「のぶニャがの野望」などを矢継ぎ早にリリース。プラットフォームもフィーチャーフォンに限定せず、スマートフォン向け、PC向けなど多角的に展開している。来期の経営方針の筆頭にソーシャルゲームを挙げ、2012年3月期では売上高70億、営業利益20億円を見込むなど強気の姿勢を見せている。
こうした中で、新しい一手がFacebookへの展開だ。グローバルでのソーシャルゲーム市場のプラットフォームはFacebookの一強状態であり、今後同社のソーシャルゲームがグローバル展開を目指す上でFacebookの切り崩しは必要不可欠といえる。
今回は、6月より正式サービスを開始したFacebookタイトル第1弾「JollyWood」を開発したTECMO KOEI SINGAPOREシニアバイスプレジデントの上野彰三氏に、同社の「JollyWood」開発の経緯とFacebook戦略を伺った。上野氏はオンラインゲームファンにとっては元「三國志 Online」開発/運営プロデューサーといったほうが通りが良いかもしれない。
■ 「三國志 Online」終了後のTECMO KOEI SINGAPOREについて
インタビューに応じていただいたTECMO KOEI SINGAPOREシニアバイスプレジデントの上野彰三氏 |
5月19日にシンガポールで行なわれた発表会の模様。挨拶をしているのはTECMO KOEI SINGAPOREプレジデントを兼務するコーエーテクモゲームス専務取締役の小林伸太郎氏 |
――上野さんとは「三國志 Online」のインタビュー以来ですから、1年以上前ですね。今回は「JollyWood」について色々お伺いさせていただきます。昨年7月に「三國志 Online」がサービス終了して、それから1年弱になりますが、この間上野さんは何をされていたのか、そのあたりから聞かせてください。
上野氏: 「三國志 Online」終了の後しばらくして再びシンガポールへ行きました。新しくFacebookのゲームを立ち上げるため、2度目のシンガポール駐在ということになりました。
当時、Facebookでは「CityVille」が始まる前で、まだ「FarmVille」が全盛。Facebookというプラットフォームも初めてでしたし、どんなゲームが流行るのか、どういうゲームを作ろうかと言う話から私も加わりました。そこから、作ったり壊したりを繰り返して、やっと今年スタートできる状態になりました。
――TECMO KOEI SINGAPOREについてですが、「三國志 Online」が終わってから規模を縮小したという話を聞いていたのですが、実際どのような状況だったのですか?
上野氏: 「三國志 Online」の後も、コーエーテクモゲームスタイトルを外注の形で受けたりして製作を続けていました。でもやはりコーエーシンガポール単体でオリジナルタイトルを作っていきたいと思っていたので、まずはどういう作品を作ろうかと考えました。元々シンガポールに会社を作った理由としては、物理的な立地と、言語的なものがあります。シンガポールは地理的には欧州と東アジアの中間にあって、日本とは時差が1時間ですし、飛行機でも6~7時間。言語的には英語が普通に使える上に、中国語もほとんどの人が話せます。つまり2つの文化圏に向かって扉が開いている。そのメリットを活かし、元より海外向けの開発拠点として考えられているんです。そういった中でそれらを活かせるFacebook向けのゲームを作ってみたらどうだろうということになり、去年から開発をスタートしたわけです。
――今回Facebook向けのソーシャルゲームを作るというのはトップダウンで決まっていたのですか?
上野氏: いえ、ボトム(現場)からですね。
――シンガポールスタッフの陣容ですが、「三國志 Online」と同じような感じなのですか? それとも総入れ替えに近い?
上野氏: 約半数は残っています。新しいスタッフも入りつつ、多少入れ替わりがありました。シンガポールでは3年ぐらいで人が入れ替わるのが普通で、どこの会社もそういうタームで変わっていきます。ここに長くいたいとずっと在籍してくれるひともいるし、新しく入ってくる人もいます。先日シンガポールで「JollyWood」の発表会を開いたのですが、その際に壇上で話したメンバーは「三國志 Online」の頃から携わっているスタッフたちです。
――「JollyWood」を「三國志 Online」の元スタッフが作ったというと、ちょっと語弊がある感じですか?
上野氏: そういう言い方は少し合わないですね。「三國志 Online」は日本とシンガポールの共同作品として開発していましたが、「JollyWood」では最初から、企画、開発、運営、サポートまでをすべてシンガポールでやっています。
――ポジションはいま開発プロデューサーですか?
上野氏: シンガポールには開発とか運営という言い方がないので、あえていうならプロデューサーです。
――そのシンガポールでの発表会の内容は、日本にはほとんど伝わっていないのですが、どういう発表を行なったのですか?
上野氏: まずはテクモコーエーシンガポールで初めてFacebookタイトルを出すこと、コーエーテクモグループとしても初のFacebookタイトルであるということ、シンガポール法人の設立から、シンガポール政府と協力しながら会社を育ててきて今回初めてオリジナルのIPでゲームを出せるようになりましたということを発表しました。あとはシンガポール政府の方を来賓にお招きしていまして一緒に頑張っていきましょうというご挨拶を頂きました。その後でゲームの内容についてプレゼンテーションしました。
――ちなみにシンガポールを含む東南アジア地域でのFacebook事情はどうなっていますか?
上野氏: シンガポールはFacebookのユーザーが日本と同じくらいいるんです。数にして2~300万人。人口の50%くらいがFacebookを利用している計算になります。
――もの凄いですね。
上野氏: あと多いのはマレーシアとインドネシア。マレーシアは1,000万、インドネシアは3,700万人はいますから。それからタイ、ベトナム、フィリピン、どちらも人数は日本より多いのは明らかですね。
――ただ、日本より所得が低いので、日本ほど利益率が高いというわけではない?
上野氏: そこなのですが、Facebookの場合はそもそもマイクロペイメント(少額課金)が基本なのでユーザー1人あたりの単価が低い。それをたくさんの人から少しずついただくようなビジネスモデルです。なので所得に関わらず、ちょっとだけ出すという遊び方になるので、ターゲットになり得ます。また、ゲームの仕様として決して課金しないと先に進めないとはなっていないです。でももうちょっとだけ人と差を付けて楽しみたいとか、今日は急ぎたいとかというところで少しだけお金を使って頂く形です。
――東南アジア圏での月の客単価ってだいたいどのくらいですか?
上野氏: 急速に変化している市場ですので、潜在能力は感じています。我々としては国別の売り上げ目標はありますが。客単価は日本よりは低いだろうけど、そこは数でカバーするというイメージです。
――今シンガポールオフィスは何人くらいいますか?
上野氏: 今CG担当を合わせて4~50名くらいです。またこれも、まさに今ちょうど増やそうとしているところで、来月にはまた新人が入ってきます。
――ソーシャルゲームに50名は多くないですか?
上野氏: ソーシャルゲームだけではなくて、日本からの仕事を受けたりしています。
――ではメインで開発しているのは30人弱くらい?
上野氏: そうですね。ラインも1本ではなく複数抱えています。
■ シンガポール生まれのソーシャルゲーム「JollyWood」
「JollyWood」のタイトル |
“生意気かわいい”動物たちが自分の木に遊びに来るという愉快で平和的なソーシャルゲーム |
――別のラインについては後ほどお伺いするとして、まずは「JollyWood」についてお伺いしたいのですが、実際にプレイしてみてソーシャルゲームとして色々なエッセンスを混ぜ合わせながら一定のオリジナリティを備えたゲームだなと思いました。そもそもの企画経緯は?
上野氏: 去年の6月、7月ごろに、今、Facebookにどんなゲームがあって、これから作っていくにはどんなゲームがいいかという話し合いをしていました。あの当時よく言っていたのは、Isometricなゲームが多くなってきているということです。たとえば街を作っても、もう思い切り詰め込んじゃう。遊びを求めてやってるのに、ちょっと仕事っぽくなっちゃったなあと。
――わかります。ついつい効率一辺倒の遊び方をしてしまう。
上野氏: そこで「JollyWood」の企画が生まれたのです。「JollyWood」を説明するときに、プランナーのスタッフたちがよく使う言葉が「getaway」です。日本語で説明するのが凄く難しいのですが、我々で1番近い言葉は「避暑地」でしょうか。日々の生活から抜け出して解放感のある場所でリラックスするような。例えば北海道のラベンダー畑という感じとか、軽井沢にいくとか、どこかの海に行くとか、日本の場合は「避暑」という言葉が1番ぴったりなのですが、日ごろの生活から抜け出してなにかほんわりしたいということですね。
――getawayをポジティブな意味でつかっているのですね
上野氏: ええ。普通に訳すと「逃避」ですが、そっちの意味ではありません。辞書を下の方まで見ていくと休暇、保養地という意味があって、今のストレスのあるところから楽しいところに行くと言う感じですね。
――それをゲームでもフィーチャーしたいと考えたわけですか?
上野氏: そうですね。木々を育てながら、その中で動物が遊びにきて色々と自分が用意したファシリティ(施設)を楽しんでくれる。それを見てプレーヤー自身も癒されていくようなゲームになっています。
――なるほど、ちなみにこのキャラクターデザインを考えたのは日本の方ではなくシンガポールの方ですか?
上野氏: そうです。東南アジアというか欧米まで含めて受け入れられるデザインを心がけました。
――あのデザインは東南アジアではポピュラーな感じなのですか? “生意気かわいい”みたいな?
上野氏: そんな感じですね。特にリスなんかは目がつりあがっていて、生意気なんだけれどちょっと賢くて、見方によってはちょっと可愛いよねと。日本ではあまりないタイプかなと私自身も思いますね。
――βサービスでは内容が限られていますけれど、実際に何種類くらい動物はいるのですか?
上野氏: 今は5種類います。ゲーム中には地図があるのですが、それぞれに木があって、テーマがあるんですよ。新しい地図を解放するのに応じて、動物の種類ももう少し増やしていく予定です。
――ある程度木が育ってくると、同じ動物がうじゃうじゃいるような状態になって、もうちょっとバリエーションがあるともっと楽しいかなと思ったのですが。
上野氏: もちろん、今後のキャラクターの追加は予定しています。ただ、この手のゲームの主はどこかといった時、プレーヤーが目を向けるのはデコレーションとか、ファシリティとか、いまだとコネクターの方が強いですよね。それらの組み合わせ方によって動物がどういう動きをするかというところに主眼が置かれています。
――なるほど、あまりキャラクター性を前面に押し出すつもりはないわけですか?
上野氏: キャラクターに関しては木の中での全体的な動きを見て欲しいですね。その動きも1つ1つの動きではなくて、木ができ上がった時にどういう風にキャラクターが動いていくのか。そういったところを見てほしいと思っています。プレイされている方はわかるかもしれませんが、友達の木に行くと作り方が全然違う場合がありますよね。私も友達の木に言ったら、ハシゴが3本ずらっと並んで、上に行くと次は2本、最後は1本と並べているのを見ました。ああこういう作り方をする人もいるんだなと思いましたね。
必ず左右対称になるように作ろうとする人とか、こだわりは様々です。そしてその中で動物たちがどうやって回っていくかというのを見るんです。袋小路を作ると動物たちはパラシュートを開いて飛び降りてくるのですが、その動きをわざとさせてみたりとか、あとはコネクタによっては一方通行になるものもあるので、そこがどういう風に動いていくのかをちょっと考えてみるのも1つの楽しみ方かなと思います。
――動物たちの動きですが、あれは種類によって異なるAIで制御されているのですか?
上野氏: そこまでは複雑なことはしていないです。登場した際に自分が行きたいファシリティに向かって歩いて行くようになっています。
――じゃあバッティングして喧嘩になるということはまず起こり得ない?
上野氏: その場で、ではないです。木に遊びに来たときに、自分が行きたいところに他の動物がいて、そこが開かないと怒って帰っちゃうことはあります。
――例えば、多人数用のバーみたいなところで、動物たちが楽しそうに雑談したり喧嘩が始まったりとか、そういうのを想像していたのですが、そういうのはないのですか?
上野氏: 2人用のシートはすでにありますよ。ゲームセンターのマシンが向かい合っていますが、あれは2人用のツーシートなんですね。そうやって2人で並んでいくのはありますけど、そこで喧嘩を起こすことは考えていないですね(笑)。
――動物同士の感情表現的な部分はほしいですよね。「どうぶつの森」的な朗らかさというか。
上野氏: そうですね。今でもフキダシで自分の感情を出したりしています。この先もそういうのを入れられるといいかなという気はします。でも、なにぶんFacebook上で動かすゲームなので、実際にプレーヤーさんの反応とプレイしての重さをみながら入れていかなければいけないですね。シミュレーション要素というものは、結構ゲームのスピードに影響を与えてくるので。
――コーエーテクモさんはFacebookは初めてですが、モバイルをはじめ、mobageやGREEなどにコンテンツを提供していて、ソーシャルゲームに関しては豊富な開発経験がありますが、実際にFacebook向けに作ってみていかがでしたか?
上野氏: Facebook自体の進化がもの凄く速く、日々進化している感じが凄くしますね。
――あとは今はIEやFirefoxでバージョンアップがたくさんあって、ブラウザベースのゲームとしてはそのあたりにも難しさがありそうですね。
上野氏: そうですね。特に動作チェックが大変です。ついこの間IEのバージョンが上がりましたが、IEは同じマシンに2つのバージョンは入れられないじゃないですか。だから各自のマシンに色々なバージョンを入れてチェックしています。まあ1人当たり3つ4つのブラウザを入れているのですが、同じブラウザの違うバージョンというのがなかなか大変だったりしますね。
――上野さんがかつて担当された「三國志 Online」や「大航海 Online」の開発経験が今回の「JollyWood」に活かされてる部分は何かありますか?
上野氏: 色々ありますが、対比的なものとして見ていくことが結構多かったです。「大航海 Online」や「三國志 Online」をプレイされている方とFacebookのユーザーは全く同じではない。Facebookのゲームは非常にすそ野が広くて、コアな方からライトな方までいる。また月額課金とアイテム課金という違いもあります。どういう形でゲームのモチベーションを上げていくかを考える時にもそれらの対比は役立ちました。あとは環境的なもの、サーバーであるとか通信であるとか、サポートであるとか、データベースであるとかにも経験を活かせました。特にデータベースに関しては今までやっていたことで身についた知識が非常に活きたかなと思います。
――上野さんはオンラインを担当する前はモバイルの担当でしたよね。10年ぶりにモバイルを意識する環境に戻ってきて開発環境の進化は感じましたか?
上野氏: 大枠はそんなに変わっていないなと思いました。結局基本となるプラットフォームが、Linux、Apache、PHPですよね。そういったUNIX系の技術、ネットワーク。それからHTMLとかいう部分の大枠は変わっていないのではないでしょうか。物を作っていく環境としての進化はすごく便利になったなあというのはありますけどね。
――「JollyWood」のゲームサーバーはクラウドを採用しているのですか?
上野氏: そうです。クラウドです。コーエーテクモとしては初めてですね。サーバーが単体の話、サービスレベルがどのくらいの規模でどのタイミングで上がっていくかが測りづらいのです。ところがクラウドならその点が全部追従できるので、他の点を置いてもそれは大きなことですね。
――ちなみに今日接続者数チェックしたら、会員数が10,000人超という数字でした。この数字はどのように見ていますか?
上野氏: そうですね、もうちょっと欲しいところです。ただ、ゲームを始めた方が、その友人に紹介していくというソーシャルな広がりが、どのくらいの角度になるのかまだ読めていないところがありますね。ある一定数以上の方には来ていただきたいなと。またそれが国別に色々な分布が出てきているので今後も注目していきます。
――今1番多いところはどこですか?
上野氏: 米国ですね。私の感覚ですが、USはバックボーンのニーズが全然違います。Facebookのユーザー数1億5,000万人の国ですから。Facebookユーザーの4分の1は米国ですからね。
――なるほど、人口の多い順にユーザーが多いような状況ですか。
上野氏: 上位は人口分布に比例しますが、そこから先はやはり東アジアに寄ったところからきています。でも、傾向として判断するのは、まだちょっと早いですね。この10日間でも、どの国が多いかというデータはめまぐるしく変わってきましたから。今の段階でお答えできるのは「現状は」というデータだけです。
■ 「JollyWood」の抱負と今後の展開について
「JollyWood」の魅力について語る上野氏 |
機能していないためあまり知られていないが、「JollyWood」には全体マップがある |
――サービス開始から2週間ほどが経過しましたが、現状では自己評価としてどうですか?
上野氏: そうですね、大きな不具合が少なかったのは良かったなと思っています。いくつか不具合はあったのですが、もう改修のめども立っています。
――内部でのβテストはやったのですか?
上野氏: もちろんです。様々なチェックをしたり、ストレステストをしたりとか、その辺りはしっかりやってきました。でもβ当初、リアルにFacebookにつなげたら初めて出てきた問題がいくつかあって、何度かメンテナンスを行ないました。
――公式サイトを見ると、色々な言語で意見を言ってて、Facebookらしくて面白いなという感じですね。
上野氏: そこなんですよ。今回やっていて凄く良かったなと思うのは、ユーザーさんのフィードバックを我々だけでなく、プレーヤーの皆さんが見ることができるところです。ただ、非常にくだけた英語なので、このコメントは褒めているのか怒ってるのかどっちなんだろうと。ほかにもポルトガル語など様々な言語でコメントがあるので、これはさすがにすぐには訳せなかったです(笑)。
――ちなみに今は英語だけですが、中文や日本語はどうなのですか?
上野氏: これはシンガポールでの発表会の際に小林(コーエーテクモゲームス専務取締役)から発言がありましたが、中文、日本語版も早いうちに対応する予定です。時期はまだ明かせませんが、数カ月のうちには。
――ゲームについてもう少しお伺いしたいのですが、木の上に動物たちの楽園を作るというコンセプトは非常にわかりやすくて、デザインにもある程度のオリジナリティがあっておもしろいのですが、実際今企画をした中の何割くらいが実装できているのですか?
上野氏: 作っていく中で削った部分もありますので7、8割は実装しています。
――ゲームの動線に関してですが、「CityVille」などのメジャータイトルだと、エナジーとサプライを使い切るまでがワンセット、後は遊ぶ頻度に応じてという感じですが、「JollyWood」はなかなかスッキリと遊びきれないんですよね、エナジーが余っててもやることがないみたいな。
上野氏: そうですね、そこらへんはまだ整理しきれないところがあるのかもしれないですね。そこをチュートリアルやクエストで導いていくというか、うまく道を作っていければと思います。
――後は、プラットフォームを置ける場所が、実は枝の上だけってのは賛否ありそうな部分ですよね。あれは非常にわかりにくい。
上野氏: 実際の木に置くと考えると、枝にくくりつけますよね。ただ枝も左右対称ではないですし、さらにコネクタによっては、プラットフォームの高さをそろえるために調整しなくちゃいけないものがあります。そこのところがこのゲームのパズル的な要素です。よく「どうやってこのコネクタ使えばいいの?」っていう話があるのですが、自分の友達の木や、モデルNPCの「Ylloj」というフクロウの所にいくと、どういうふうに使っているかが見られるようになっていますので、そこをうまく吸収していくと先に進みやすくなるのではないかと思います。
――木をどんどん大きくできますが、クリアみたいなものはあるのですか?
上野氏: 実は世界地図があるのですが、1つの木だけじゃなくて色々なテーマの木が今後増えていく感じになります。
――じゃあ複数の木を育てていくような?
上野氏: そうですね。1つ終わったら次の木という感じでしょうね。終わると言うか、1つの木について、だいたい自分で満足いく感じの状態になるじゃないですか。そしたら次の木で今度はこういうテーマでやっていきましょうと。今遊べる木は凄くオーソドックスで一般的な木ですけども、他の木はちょっと変わったテーマの木であるとか、木の種類であるとかを用意しています。
――新しい木は針葉樹みたいに細くて凄く高かったりするわけですか?
上野氏: 世界地図を見ていただいたらどういう木が追加されるか、想像できるかと思います。今の段階で4つ出しています。
――どういう条件で新しい木が解放されるのですか?
上野氏: そこはクエストでもっていくのかレベルで持っていくのかですね。まだ使える状態にはしていないです。いつ解放するかばっかりはプレーヤーさんの進度を見ないとわからないので。でも、新しい木を入れる準備はもう終わってます。
――今後のアップデート計画を教えてください。
上野氏: いまのところはファシリティを追加していく、コネクタを追加していく、木を追加していくというところを順次入れていく予定です。
――ファシリティは今後どういったものが追加されていくのですか?
上野氏: 基本的には動物たちが遊びたいものを追加していくのですが、特にもう少しアニメーションをするものを増やしたいですね。見た目的に楽しいように。
――なるほど、今後そうしたアイテムの一部が有料化されることになると思うのですが、課金の部分に関しては、現時点では比較的おとなしいですね
上野氏: そうですね。ただ、おとなしいとは言ってもゲームプレイ上でああ、ここはもう課金してしまいたいと思えるようになっているところがいくつかあると思います。何かを手に入れるクエストでも、ドロップを待つか、課金しちゃうか選べます。後は木のサイズを大きくしたくなると思います。
――それは思ったんですが、レベルアップをしないとそれが解禁されないじゃないですか。今だとあそこのリミッターが意外ときつい。
上野氏: なるほど。レベルアップに関しては、正式サービスが始まって、課金アイテムが入った段階でどうなるかということと、クエストがもうちょっとあればすんなりすっと上がっていくのかというところのバランスを調整していこうと思っています。
――課金アイテムはどういう内容を考えていますか?
上野氏: 例えばファシリティであるとかコネクタであるとか、あとはレベルアップしないとアンロックできないものがお金でアンロックできるといった形を考えています。
――開発者から見て、このゲームの1番の魅力はどのあたりだと考えていますか?
上野氏: フリーのレイアウトの結果、自分の思い描いたキャラクターのフローができあがる。というところだと思っています。そのために色々な形のコネクタがあり、様々な長さのプラットフォームがあります。で、そこに訪れる動物たちが行きたがるようなファシリティをその先においてあげる。というのが基本的な楽しみ方です。
――ちなみに「JollyWood」は、効率を考えた木のデザインは考えられるのですか?
上野氏: 考えられると思いますよ。
――動物の移動距離を最短にすると、その分経験値を稼ぎやすくなる?
上野氏: 単純に経験値を稼ぐのであればこういう風にした方がいい、というのは当然あります。でもそのプレイはあまりお勧めしません。ゆったり木を見ながら、「経験値とお金を集めてレベルが上がったからじゃあもうひとつ上のものを作るか」というぐらいの楽しみ方が良いと思います。
――このゲームを「シムシティ」的なコンストラクションゲームだと捉えれば、今後必要なのはお邪魔要素ですよね。例えば、火災が発生したり、嵐が来たりということはないのですか?
上野氏: Facebookのゲームにお邪魔要素が必要かはまだわからないです。それがニーズとしてあるか、ストレスになってしまうかの検証もしていないので、火災や嵐などのお邪魔要素の追加は今のところ考えていないです。ただ、風が吹いたりなど、見ていて楽しい自然の動きはもう少し増やしていきたいと思っています。
――風が吹くとどうなるのですか?
上野氏: パラシュートで降りていく時に、少し降り方が変わったりとか。
――なるほど(笑)。ゲームに影響はない程度に留めるわけですか。
上野氏: はい。そこらへんはあんまり強くすると、今度はこのプレイに対してしわ寄せがいってしまうので、環境的なものにしています。Facebookのゲームではお邪魔要素はほとんどないか、常にプラスになるように作られていますよね。そういった意味でお邪魔要素の実装については慎重に考えています。
■ 「JollyWood」の拡張計画とマルチプラットフォーム展開
上野氏の手元にあるのはドコモ夏モデルとして発売されたばかりのスマートフォン「AQUOSフォン」。今回の一時帰国で購入したということで、SIMフリーにしてシンガポールで使うという |
インタビューの直後に正式サービスをスタート。対応している仮想通貨はFacebookポイントのみとシンプルなシステムを採用している |
――サービスはまだ始まったばかりですが、今後の拡張予定というものがあれば教えてください。
上野氏: 基本的にはクエストとイベントを追加していきます。それから先ほどお話しした木の種類ですね。あと、やっぱりコネクターが凄くゲームの性質をあらわしていると思うので、特に可動型のコネクター。回るタイプとか、ああいう特殊なものを増やしていきたいと思っています。
――今ユーザーからはどのような要望が来ていますか?
上野氏: 今1番多いのは、Facebookなのでなぜまだマネタイズ(課金)アイテムがないんだというものですね。これは正式サービスが始まれば解決します。それから要望ではないですが、「Cute」と言ってくる方も多いですね。
――どんどん課金アイテムを実装してくれよということですか?
上野氏: Facebookの場合は、βサービスの時点からすぐに課金アイテムがあるんじゃないのかというご意見ですね。
――そういう意味では「JollyWood」は大人しいゲームデザイン、つまりお金を払わなくてもにっちもさっちもいかなくなるというゲームじゃないなという印象ですね。
上野氏: そうですね。払ってもいいと思う時に払ってもらうようなペースでやっていけたらなと考えています。Facebookのゲームはミニマム課金なので、負担にならない程度に皆さんがお金を使ってくれる形になります。その分、多くの方に遊んでいただきたいと思っています。
――上野さんもソーシャルゲームをよく遊んでいるのでわかると思いますが、ZyngaやPlayfishのソーシャルゲームは、ディスカウントだったりバーゲンセールだったり、統一されたデザインのアイテムをまとめてアップデートしたりなどなど、その頻度、ボリュームがとにかく半端ではないですよね。「JollyWood」のライバルはまさに彼らということになるわけですが、ああした取り組みはある程度真似ていく、同じようなことをしていくつもりですか?
上野氏: その辺りは我々独自のものを築いていかなくてはいけないかなと思っています。もちろん、デザインパックとか、季節テーマのアイテムを追加していく施策はやっていこうと思っていますが、プレーヤーの皆さんの負担にならないよう、課金部分と無料部分のバランスはうまく取っていきたいと思っています。
――他社のゲームを見ていると、同じ会社でもタイトルごとに課金に対する温度差はありますね。あれはクリエイターの違いが出ている部分でもあるのでしょうね。
上野氏: その温度感は最初のマネタイズアイテムを入れて、感触を得てから決めていかないといけないですね。すごく重要なところです。実際に我々が思う以上に払わないか、払うか。その予想と結果を見てじゃあもうちょっと緩めるか、もうちょっと追加するかというところを決めていかなくてはいけないと思います。
――逆にマネタイズの部分に関しては、上からああしなさいとお達しが来てるわけでもないのですね。
上野氏: そういうことはないです。他の国内でのソーシャルゲームの実績と照らし合わせて、だいたいどのくらいがいいんじゃないかという目安の作り方をしようと思っています。
――客単価はどのくらいを想定しているのですか?
上野氏: これは難しいんですよ。客単価と課金転換率、これがどのくらいのパーセンテージになるか、実際の数値を見るのはまだこれからというところなので。ですから客単価はいくらです、というのは、今はないです。
――なるほど。たとえば「のぶニャがの野望」をはじめ、いくつかのソーシャルゲームで導入されているガチャの導入予定は?
上野氏: 選択肢の1つとしてあるとは思うのですよ。でもまずは通常のアイテムでどのくらいの売り上げになるかを見ていかなくてはいけないと思うのです。最初からそっちに走ってしまうのはこのゲームについてはちょっと合わないかなと。
――では現在考えているのは結構シンプルなビジネスモデルですか?
上野氏: そうですね。何しろFacebookで最初のタイトルなので、数を見ながら、あとは率を見ながら調整していかなければいけません。もちろん最初の指針を決めてはいるのですが、そこを早めにキャッチアップしていく必要があると思っています。
――今後実施される定期アップデートに関してですが、マップとかコネクタの追加はある程度織り込み済みだと思いますが、それ以外で何かありますか?
上野氏: 私が今考えているのはどちらかというとアップデートというところではないかもしれないですね。Facebookのゲームはアップデートによってそれほど複雑化していくものではありませんので、基本的にアイテムの追加であるとか、遊べる範囲を広げていくということになります。まだ「JollyWood」は始まったばかりで、プレーヤーががたどり着いていない部分がかなりあります。これが次の段階に来たら、変えていくところがあるのかなと思います。
――なるほど、今後日本語に対応するということですが、日本展開するにあたって展開の仕方を変えたりということは考えていますか?
上野氏: 日本での展開は、特殊なところがあると思うので、言語以外にも色々やっていかなくてはいけないです。単純に日本語化しました、告知しましたとやっても、まだ日本のFacebookのユーザー数、Facebookでゲームをされる方は少ないですから。
――なるほど、確かに日本ではまだFacebookというプラットフォームはまだユーザーからちょっと遠いですね。
上野氏: はい、Facebookって多くの日本人にとってはまだちょっと対岸にある感覚なのかもしれないですね。そういう点では、今回日本に来て、GAME Watchさんに取り上げていただいているわけですが、むしろ「JollyWood」だけをただ取り上げてもらうのではなくて、Facebookの中にはすでにたくさんゲーム世界が広がっていて、遊べるものもいっぱいあるとというところからお伝えしたいですね。その中でうちの「JollyWood」も遊んでねという話になってくるかもしれません。
――最大手のZyngaさんも「FarmVille」から始まっていま「CityVille」まであるわけですが、「Ville」シリーズ自体がひとつのブランド、大きなユニバースを構築していると思うのですね。当然、コーエーテクモさんも、「JollyWood」単発で終わるのではなくて、ユニバースを構築できるようなラインナップを用意しなければいけませんよね。
上野氏: シリーズというか、複数のタイトルを出していくことが必要になりますね。Zyngaさんがその中で相乗効果を生んで成功されていますからね。
――そうですね。その「JollyWood」の次というとちょっと気が早い話ですが、どういう展開を考えているのか教えてください。
上野氏: 今、Facebookのもう1つのタイトルを企画しているところです。将来的にはこれを商品化していきます。後は今はPC上のFacebookでサービスしている「JollyWood」を様々なプラットフォームで展開することを考えていきます。
――つまりそれはスマートフォンへの展開ですか?
上野氏: そうですね。スマートフォンへの展開については発表会の段階でも触れさせていただいています。
――スマートフォンへの展開はいつ頃を考えていますか?
上野氏: ちょっとまだ確定的なことはいえないですが、年度内くらいには持っていきたいですね。
――「JollyWood」はゲーム性的にもマウス必須のデザインではないですから、開発はそんなに難しくなさそうですね。
上野氏: そうですね。模様替えをしたりとか、新たなファシリティを作るためにちょっとスペースを空けたりとか、コネクタを繋げるためにがらっとプラットフォームの場所を変えたりとか、スマートフォンの操作でもそのまま対応できそうです。
■ 目標は1,000万人、Facebook第2弾タイトルはいつになる!?
Facebook事業の目標を「1,000万人」とした上野氏。「100万人の信長の野望」が本当に100万人を超えたことから、Facebookの目標も遙か高いところに設定しているようだ |
早くもFacebook第2弾を企画中という上野氏。シンガポール駐在は長引きそうだが、シンガポール発のヒット作の登場に期待したいところだ |
――ちなみに次のFacebookタイトルですが、どういった内容を考えていますか?
上野氏: まだ企画段階ですので、現時点でお答えするのは難しいです。Facebookの中でいま流行っているゲームを研究しつつ、今はあまりない新しいテーマで挑戦していこうと思っています。今回の「JollyWood」も、“自然に回帰する”という新しいテーマに挑戦したつもりです。
――2作目のサービス開始時期は?
上野氏: これはまだわからないですね。Facebookで作るにはどのくらいかかるか、もちろんこれから試算して、だいたい何カ月かかるか出していかなくてはなりませんが、今の段階ではまだアイデアを練っている段階ですので。
――全体像としてこのぐらいの数はリリースしたいという希望はありますか。
上野氏: 時期を限らないのであれば、少なくとも4タイトルくらいあれば、相互の連動ができるのかなと思っています。
――日本で開発している「100万人」シリーズも1作目以降の立ち上がりは早かったですよね。
上野氏: まずはこの「JollyWood」のサービスに向け全力でやってきました。実際にサービスしたら、色々な反応であるとか、やらなくてはいけないことが分かってきました・次のタイトルについても早くやりたいですし、2本目だけではなくて3本目4本目のラインをどうやって立ち上げたらいいかというところも考えていきたいと思います。
――コーエーテクモさんの昨年度の決算は、オンライン事業に関しては特にソーシャルゲームの寄与が大きいという評価になっていましたが、当然上野さん率いるシンガポールチームの期待も大きいですよね。
上野氏: 私に限らず、オンラインの中で今ソーシャルを作るものには等しく期待がかかっています。私のところはプラットフォームがFacebookなので、新しい市場を切り開いていくべしという期待もあるでしょう。
――商業的な成功よりも、まずは新しい市場を切り開けと言うことですか?
上野氏: もちろん商業的な成功も求めてますよ(笑)。
――シンガポールチームの目標はどのくらいなのですか?
上野氏: トータルの登録ユーザーで1,000万くらいはいかないとダメだよねと。
――おお、これはかなり大きく出ましたね。
上野氏: これはもう発表会で言ってしまったので(笑)。すでに発表している数字なんです。ただ、他社さんの数をみていると、登録1,000万というのが成功の目安のように思えます。なら、その数字は当然行かなくてはいけないと思いますね。
――今結構メジャーどころは余裕で1,000万人を越えてますものね。その一方で、ゲーム性的には、「100万人の信長の野望」にしても「のぶニャが」にしてもそうですが、シンプルで見た目のわかりやすいソーシャルゲームが受ける傾向にあるわけですけれど、その現状をどのように見ていますか?
上野氏: 世間一般ではソーシャルゲームはもうタイトルがたくさん出過ぎて飽和状態にあるのではという話がありますが、私は本当にそうかなと思っています。同じタイプのゲームは出ていますけれど、コーエーテクモの作っているソーシャルゲームは、その中ではちょっとひと味違いますよね。しっかりシミュレーション部分を作ってあったりとか、遊び方にも凄く気を使って作っています。なので、私自身は、シンプルという言い方で片付けると語弊があると思いますが、そこが多くのユーザーさんに支持を得ているところかなと思っています。
――なるほど。私は初代から「信長の野望」をやっている世代なので、「信長」の最新作か、「100万人の信長」かどっちか選べといわれたら、「信長」の最新作の方を選んじゃうタイプです。でも、「100万人の信長」を実際に遊んでみると、ボタンを押すだけでどんどんゲームが進んで、これで天下統一できるならこれはこれで良いなという気持ちになる(笑)。こういう時代なのかなとも思ってしまいますよね。
上野氏: そうですね。私も初代からとはいいませんが、初期からの「信長の野望」ユーザーですけど、同感です。
――RPGやシミュレーションなど一般的なゲームジャンル以外で、いま注目しているゲームジャンルはありますか?
上野氏: それ言っちゃうと商売のタネが……、という気がしますけど(笑)、Facebookの中のジャンルとしては、次はこういうのだよねと推測して我々はゲームを作っています。でも、今成功しているジャンルや先達を否定する否定するところではなくて、まずはそこからどこまで学べるかということですね。学んだ上で、もうちょっと上のものを作ってみようというチャレンジをしています。
――いまWEBブラウザの上で、あらゆるタイプのゲームが走りつつあります。実際今年のGDCでは、GAIKAIというメーカーが同名のサービスを準備していて、ブラウザ上で「World of Warcraft」が動いてしまう。すべてのゲームがブラウザに溶けてしまう。そんな時代が来つつあります。上野さんはその当たりはどのようにご覧になっていますか?
上野氏: 私が感じているのは、ゲームに限らず今までパソコンでやっていたことが全部スマートフォンの中に入ってしまったなと。だからこの間グーグルさんがChromeのPCを発表されましたけれど、ここまで落とし込むことがあるんだと、すべてがブラウザに落とし込まれる可能性は否定できないと思います。ブラウザの中で、今PCで使っていることのほとんどがこの中に入ってしまっている可能性がある。私は必ずしもそれが最終的な帰着になるとは思っていないですけれど、今非常に大きな流れの1つではあるかなと思います。
――そうした時代の流れの中で、ゲームクリエイターとして表現したいことは何かありますか?
上野氏: 手段は問わないとは思っているのですが、今、スマートフォン、携帯電話というデバイスが、つながり度合いとしては非常に有効な力ですよね。私としてはこれらで何ができるかということにチャレンジしていきたいと思っています。10年前から結局ネットワーク関連のゲームを作っている人間で、何を考えるにもネットワークネットワークになっちゃってますけど、この上で何が描けるのかなと楽しみです。
――上野さんの仕事は今Facebook向けがメインですが、今後はPCに限らず、スマートフォンも視野に入ってきそうですね。
上野氏: その時に最適なプラットフォームを選ぶべしということだと思います。この流行が何年続くのかというのはありますが、今まさにスマートフォンが華やかですし、この中で勝負していく必要があると思います。ただこれも本当に何年で変わるかわからないので、常に最先端の動きをキャッチアップしていかなくてはならないですね。
――半分雑談になるのですが、襟川社長がソーシャルゲームが大好きだと各所で公言されていますが、担当としてやりにくさはないですか?
上野氏: 襟川はソーシャルゲームに限らず昔から基本的にゲームが大好きですよ。私は会社に入った時からそれを身を持って感じているので、やりにくさそれほどは感じないですね。
――国際電話かかってこないんですか? 「あれをどうにかしろ」というような?
上野氏: それはこれからあるかもしれないですね(笑)。
――「JollyWood」の正式サービス後の展開を教えてください。
上野氏: 正式サービスでは、まずマネタイズアイテムを実装します。あとイベントもやっていきます。いわゆる欧米系のイベントだけではなくて、グローバルでリアルイベントってあるじゃないですか。そこをなるべく網羅していきたいですね。
――じゃあハロウィンの時期に、ハロウィンアイテムを用意するような?
上野氏: そうです。かぼちゃがずら~っと並ぶかもしれませんね。
――日本展開もあるということなので、日本にもソーシャルゲームファンに向けてメッセージをお願いします。
上野氏: Facebookのゲームというのは基本的にリアルの知人と遊びはじめると言うところが今までとはちょっと違うかなと私は思っています。そのソーシャルゲームは総じて友達になにかを頼んで、その結果リワードを得て、自分も友達のヘルプをするというリアルのつながりを感じることができるゲームです。
そのゲームで遊んでもらって、その遊んだ内容を友達と「あれはこうだったよね」と話していただいても良いですし、友達が遊んでいるゲームを見ることもできますので、それについて語って頂けます。これは珍しいと言うか、新しい感覚ですよね。今回サービスを開始した「JollyWood」も、友達の木がどんな風になっているのか見ると「あっ!」と思うところがあるはずです。そうやって普段の友達との繋がりをとりもっていけたらと思っています。
――ありがとうございました。
こちらは有料アイテムの一部。日本を意識したものばかりではなく、オリエンタルな雰囲気を漂わせたデザインとなっている |
(2011年 6月 22日)