【本日発売!】セガ、Wii/DS「ソニック カラーズ」開発者インタビュー
2Dと3Dのソニックの完成形を目指して開発されたシリーズ最新作


【ソニック カラーズ】

11月18日 発売予定

価格:6,090円(Wii版)
   5,040円(DS版)

CEROレーティング:A(全年齢対象)


 10月12日、13日にPS3/Xbox 360/Wii/iPhone・iPod touch「ソニック・ザ・ヘッジホッグ4 エピソードI」、11月18日にWii/DS「ソニック カラーズ」、11月20日にXbox 360「ソニック フリーライダーズ」と、10月と11月だけで3タイトルもリリースされるソニックシリーズ。今回はその中からカラーパワーと呼ばれる新たなアクションを使ってステージクリアを目指す「ソニック カラーズ」の開発者インタビューを敢行した。



■ 「ソニック」好きの方にも満足してもらえるようなしっかりとしたプラットフォームアクション

Wii版、DS版「ソニック カラーズ」プロデューサー飯塚隆氏
Wii版「ソニック カラーズ」ディレクター岸本守央氏

―― 10月と11月で3作ものソニックがリリースされますが、その中における「ソニック カラーズ」(以下、カラーズ)の開発コンセプトと魅力を教えてください。

飯塚隆氏: 「ソニック・ザ・ヘッジホッグ4 エピソードI」(以下、ソニック4)は、メガドライブの頃のクラシックシリーズの流れを汲んだ新作ということで、昔からソニックを好きでいてくれるユーザーさんをメインターゲットにしたタイトルです。「カラーズ」は、「ソニックアドベンチャー」以降やってきた3Dの「ソニック」、ハンドヘルド(携帯機)でやってきた「ソニックアドバンス」、「ソニックラッシュ」などの2Dの「ソニック」、この2つの完成形となるような、しっかりとした「ソニック」アクションを目指して開発しました。「ソニック」シリーズの特徴である、走って、ジャンプしてのハイスピードアクションに、これまで「ソニック」シリーズにはなかった新アクションとして、「カラーパワー」を加えてあります。プレイしてもらえれば、ハイスピードアクションの延長上にある新しいアクションであることを体感できると思います。

―― どのような層をターゲットにしているのでしょうか?

飯塚氏: メインとなるのは今の子供達ですね。また、昔から「ソニック」を好きでいてくれる方もターゲットとして考えています。子供達に向けて遊びやすさを追求し、「ソニック」好きの方にも満足してもらえるようにしっかりとしたプラットフォームアクションに仕上げました。

―― DSとWiiの2機種で開発することになった理由は?

飯塚氏: プラットフォームに根付いた完成度の高い作品を目指そうということでWiiに、「ソニックラッシュ」シリーズの流れを汲んだものということでDS、この2機種でリリースすることに決めました。この2機種にはプラットフォームアクションのファンが多いことも理由のひとつです。

―― DS版とWii版の違いは?

飯塚氏: 基本となる舞台設定、「カラーパワー」を特徴としたアクションゲームという面では両方とも同じです。Wii版は最も遊びやすい3Dアクションを目指して開発し、さらに2人協力プレイを搭載しています。一方DS版は「ソニックラッシュ」シリーズでおなじみの、ブーストを使って上下画面を行き来するアクションを踏襲し、さらにニンテンドーWi-Fiコネクションを用いた世界通信対戦を実現しました。

スウィートマウンテンというエリアの画像。左がWii版、右がDS版。共通の舞台ながら、Wii版、DS版でのステージ構成は異なる。画像からもわかるが、プレイしてみてもその違いは明らかだ

―― 開発はどこで行なわれたのでしょうか?

飯塚氏: もちろん、Wii、DS共に日本です。

―― ゲーム中に海外で開発したのかな? と感じられる言い回しがあったので、海外開発かと思いました。

飯塚氏: 「ソニック」のメインターゲットは海外ですので、これまでの「ソニック」シリーズは日本のライターさんにシナリオを書いてもらっていましたが、今回はあえてアメリカのライターさんにお願いしています。日本版はかなりアレンジして書き直したのですが、言い回しやテンポなど、海外っぽい雰囲気が感じられるかもしれませんね。また、今回は話の展開をコミカルにしているので、今までの「ソニック」シリーズとは違い、セリフ回しが楽しい感じになっています。本作の舞台はエッグマンの遊園地で、プレイ中には気付きにくいかもしれませんが、エッグマンによる館内放送が流れています。その館内放送にもアメリカのライターさんならではのネタが入っているので、ぜひ聞いてみてください。

―― 遊園地を舞台にした理由は?

飯塚氏: 街が壊されてしまうなど、ここ最近はシリアスな展開のものが多めでしたが、今回はシリアスなシチュエーションを捨てて、純粋にアクションゲームを楽しんで欲しかったんです。「楽しむ」というのが企画当初のコンセプトでしたので、楽しいイメージから舞台設定を遊園地としました。

―― 「ソニック」シリーズは、覚えることで上達していくハードなアクションゲームというイメージがあります。「楽しい」というキーワードがこのタイミングで出てくるのは意外でした。

飯塚氏: 1つ1つタイトル毎に別のプロデューサー、ディレクターがいて、そのタイトルの売り上げを伸ばすための考えや企画がありました。私は「ソニック4」、「カラーズ」の両方を見る立場にいますが、1タイトルどうこうではなく、「ソニック」というキャラクターをこの先伸ばすために、進むべき方向をそれぞれのタイトルのスタッフに理解してもらい、「ソニック」シリーズ全体での道を引いてあげることも私の仕事です。ですから、今後もタイトルごとに方向性がバラバラにならないようにしていきたいと考えています。

―― 開発期間はどのくらいなんですか?

飯塚氏: 「ソニックと暗黒の騎士」が終わってから開発がスタートしていますので2年弱くらいです。Wiiをベースとして、DS版を制作したので、DS版の方が若干短いですね。



■ 「ソニック」のゲームプレイを阻害してしまうことのないよう慎重に検討が重ねられた「カラーパワー」

―― 「カラーパワー」は自由に使えるんですか?

飯塚氏: 使用できる「カラーパワー」の種類はステージ毎に限定しています。ウィスプを救出すると「カラーパワー」が使えるゲームシステムで、取得した「カラーパワー」をいつ、どこで使うかはプレーヤーの自由です。後半にとっておくことで発見できるルートもあります。

岸本守央氏: ウィスプを救出すると強制的に能力が発動し、一定時間で解除という仕様にすれば、レベルデザインなど、ゲーム作りは楽になるんですが、本作ではプレーヤーがどこで能力を使うのかわからないため、守備範囲を広げなければならなくなり、開発としては首を絞めることになりました。ただ、そこに強制力をかけてしまうと、「ソニック」の走って楽しいという基本を阻害してしまう。「カラーパワー」がなくても、「ソニック」のアクションでプレイできて、「カラーパワー」を発動すれば、同じマップでも別の攻略と新しい発見が用意されている。これを守らないと、「ソニック」のファンを裏切ることになってしまうと考えたんです。

個性的なデザインのウィスプたち。彼らを救出することで一定時間発動できる「カラーパワー」を得ることができる。使用タイミングは任意となっている
レーザー形態に変身し、高速で直線的に移動できる「シアン・レーザー」。地形に触れると反射する特性を活かせば、まとめて敵を撃破することもできるドリル形態に変身し、地面を掘り進むことのできる「イエロー・ドリル」。地面を掘り進むことでしか行くことのできないルートも存在するロケット形態に変身し、空高く上昇する「オレンジ・ロケット」。上昇中は障害物を破壊でき、通常のジャンプでは届かない高さまで飛び上がることが可能

―― 各ステージとも「カラーパワー」を使わなくても進められるように設計されているんですね?

岸本氏: ほとんどのステージが「カラーパワー」を使わずに、「ソニック」のアクションだけで進めることができます。

―― 能力を「ソニック」に与えるのでなく、キャラクターを変えて遊ばせるということもできたと思うのですが、「ソニック」1人でカラーの能力を使わせるようにしたのは何故でしょうか?

飯塚氏: 開発するにあたり、「最高の『ソニック』アクションゲームを作ろう」というのが念頭にありました。ハイスピードアクションに合わないものは極力排除していこうと決めたので、プレーヤーキャラクターは「ソニック」1人に限定したんです。しかし、それだけではアクションがシンプルになってしまうので、「カラーパワー」という形で別の能力を与える形にしました。

―― 「ナックルズ」など、他のキャラクターのファンは少し寂しく思うかもしれませんね。

飯塚氏: そうですね。我々もサブキャラクターを愛していますから。今回、プレーヤーキャラクターは「ソニック」だけですが、サブキャラクターを登場させたくて、DS版では遊園地に「ナックルズ」や「エミー」などが遊びに来ていたり、Wii版では「テイルス」がナビをやってくれています。

―― DS版とWii版は同じチームで開発したのですか?

飯塚氏: 別々のチームです。私は両方のプロデューサーとして関わっていますが、ディレクター以下は全て違います。「カラーパワー」に関しても、最も特徴的なものとして「レーザー」、「ドリル」、「ロケット」は共通ですが、それ以外は独自のものになっています。

―― Wii専用、DS専用の「カラーパワー」もあるんですね。

飯塚氏: はい。赤はDS専用の「カラーパワー」なんですが、岸本は「DSに赤が取られた!」とか言ってましたね(笑)。「カラーパワー」のアイデアは企画時にたくさん出てきましたが、、「ソニック」に合うかどうかなど、まずWiiで基準を決めて、それに従ってDS版の方も選定しました。

Wii専用カラーパワー「グリーン・ホバー」。ホバリングすることで通常では発見できないような場所に隠されているルートやアイテムを発見することができるDS専用カラーパワー「レッド・バースト」。発動後、ソニックの体が炎に包まれ、特定の壁を破壊したり、熱気球などのギミックが使用可能になる

―― ボツになった「カラーパワー」にはどんなものがあったんですか?

岸本氏: スーパーボールのようなものがありましたね。

―― 今の「レーザー」と似てますね。

岸本氏: 当初、「レーザー」はただ速くて直線的に進むものでした。ただ、画面に出してみたらそれだけではつまらなかったんです。そこで、反射させてみたら、動きも面白く、狙って反射させる遊びの要素も入ってずっと良くなったんですよ。結果、似てしまったスーパーボールの立ち位置がなくなってしまったわけです(笑)。

飯塚氏: 「レーザー」や「ドリル」もそうですが、走りながら発動して、その勢いでアクションできるというのが「カラーパワー」のいい所なんです。その場で立ち止まらなければならないものはNGとしました。また、「カラーパワー」は「ソニック」にはできないことをやる、という位置づけなので、「ソニックが光って無敵になる」といった「ソニック」単体でできてしまうものもNGとしました。



■ Wii版、DS版で異なるマルチプレイ

―― Wii版のマルチプレイは協力プレイだそうですが、協力することでどんなことができるのでしょうか?

岸本氏: 2人が同時に「カラーパワー」を使うと、2つの能力が合体した「合体カラーパワー」を発動できます。同じカラー同士であれば1人よりも強力な効果を、異なるカラー同士であれば組み合わせによって様々な効果を発揮します。例えば、「シアン(レーザー)」と「イエロー(ドリル)」だと、「レーザー」と「ドリル」を交互に切り替えることができ、これにより1人では行けないルートを進むことができます。

―― 合体時の操作はどうなるんですか?

岸本氏: 2方向の中間を取ります。声を掛け合いながら、協力してプレイしてもらいたいですね。合体カラーパワーも「いっせーのーせ!」と声を掛け合いながらプレイしてもらいたくて作りました。一緒にプレイしているプレーヤーが隣にいるからこその作りになっています。

―― 協力プレイには「1.5プレイヤーモード」がありますが、どのようなモードなのでしょうか?

岸本氏: 1人+0.5人で、0.5人側のプレーヤーは残機が無限です。さらにメガドライブ版の「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」にあったように、「ソニック」に対するオプションのような形で、あくまで画面の優先権は1Pの人が持っているモードになります。アクションゲームの腕前の差が多い場合に使っていただければと思います。

飯塚氏: 0.5人側のプレーヤーはついていくだけでも一緒に遊んだ気になれますよ。

―― 協力プレイでは味方に踏まれるとよろける仕様になっています。互いの当たり判定をなくすこともできたと思うのですが、なぜよろけるようにしたのでしょうか?

岸本氏: 「合体カラーパワー」もそうですが、せっかく隣でプレイしているので、コミュニケーションをとってもらいたかったんです。「なんで踏んづけて落とすんだ!」など、仲良くケンカ(笑)してもらえればと思います。実際、当たり判定を抜いた状態でもテストしてみましたが、黙々とストイックにプレイして、どちらかというと競争してしまうんです。声をかけることもなく、後ろで他のプレーヤーが引っかかると「チッ」と舌打ちしてしまうような(笑)。また、協力プレイというと、2人で扉を押して開けるなどは簡単に思いつきますが、それでは「ソニック」のスピード感を殺してしまうので、そういうものは排除してあります。

―― ということはマルチプレイを1人でプレイする場合は、2人プレイと同じステージ構成になるのでしょうか?

岸本氏: 全く同じですね。

Wii版のマルチモード(協力)。2人で同時に「カラーパワー」を発動することで1人の時には見られないパワーを発揮できる。実際プレイしてみたが、1人が先行して、リングを回収してしまうと、もう1人がリングを取れなくなってしまうし、「合体カラーパワー」の発動タイミングを合わせるためにもコミュニケーションが重要と感じられた

―― DS版のマルチプレイは、協力ではなく、対戦ということですが、どのようなものになっているのでしょうか?

飯塚氏: 上画面がプレイ画面で、下画面には相手がどこにいて、何をしているかが表示されます。2人で競争して先にゴールを目指すというルールで、下画面の相手の情報を見ながら、オジャマアイテムを使ってゴールを目指します。また、ニンテンドーWi-Fiコネクションに対応しているので、世界中のプレーヤーと対戦できます。

―― コミュニケーションを取る手段があったりするのでしょうか?

飯塚氏: リアルタイムのアクションゲームなので、コミュニケーションの手段は用意していません。逆にいうと、コミュニケーションが取れなくても、言葉が通じなくても楽しめるように作ってあります。

DS版のマルチモード(対戦)。より早くゴールを目指すというシンプルなルールとなっている。ニンテンドーWi-Fiコネクションを用いて世界中のプレーヤーと対戦できる。また、DSダウンロードプレイにも対応しているので、本作を持っていないプレーヤーとの対戦も可能。コース取りだけでなく、オジャマアイテムの使いどころが鍵になりそうだ



■ シリーズで初めて導入された2段ジャンプやチュートリアルについて

―― 本作では2段ジャンプを採用していますが、その理由は?

岸本氏: 「プラットフォームアクションにこだわっています!」という意気込みの表われでもありますね。2段ジャンプは「ソニック」シリーズ以外の多くのアクションゲームで採用されていますが、「ソニック」では頑なに採用しておらず、ハイスピードアクションのみを追求していました。2段ジャンプはリカバリーも効くし、導入したかったんですよ。アクションがストレスなく遊べるよう、ジャンプ自体の制御力も上げています。「アスレチックで楽しいぞ!」という宣言のためにも早い段階で導入を決定しました。

飯塚氏: もともと、「ソニック」はジャンプの性能がいいんです。特にスピードに乗っているとものすごいジャンプができますから、2段ジャンプさせるととんでもないことになってしまう。そういうジレンマはありましたが、プラットフォームアクションをしっかり作るということで、通常のジャンプが2回できるのではなく、プラスアルファとして、遊びやすさの向上を狙って実装しました。

―― シリーズを重ねることでステージ作りなどのノウハウがたまっていると思います。「ソニック」のスピードを活かしたゲーム作りをする点で気を使ったところはどこですか?

岸本氏: 「ソニックワールドアドベンチャー」には昼モードがあり、フォーワードビューとサイドビューが自然に切り替わることをやっています。これは「カラーズ」でも同様に採用しています。

 フォワードビューはジャンプの間合いや何がどこにあるのかといった「奥行き」を直感的に掴みにくいのですが、サイドビューはその点に長けています。ただ、画面のダイナクミックさ、迫力ある動きの表現という点ではフォワードビューには敵わず、昔っぽい画面作りになってしまう。このノウハウをいかして「カラーズ」のアプローチでパワーアップさせてあります。

 フォワードビューではソニックらしいジェットコースターのような爽快な走りを、サイドビューでは攻略要素の強いテクニカルなプラットフォームアクションを遊んでもらって、またフォワードビューに入る、というようにそれぞれのビューが得意とする特徴を強くして全体として「アクションゲーム感」を強くしました。

―― フォワードビューとサイドビューのバランスや切り替えのタイミングはどのように調整しているのでしょうか?

飯塚氏: 「ソニック」シリーズのタイトル全てにおいて言えることですが、プラットフォームアクションには「緊張」があり、テクニックも要する。その緊張と、山を登った後に一息いれるような「解放」のバランスが重要になるんです。緊張感を与え、その後解放できるポイントとして、一気にスピードアップできる地形を用意してきました。「カラーズ」では、それをサイドビュー、フォワードビューという形で実現しています。また、特定のアクトではサイドビューがメインであったりと、ステージごとに個性をつけています。

―― Wii版をプレイして感じたのですが、ナビによるチュートリアルは親切すぎるとうるさく感じられ、足りないと困ってしまう。このあたりのバランスが難しいですが、どのように調整しましたか?

岸本氏: 説明書を見ないでコントローラーを触って楽しめる、挑戦と失敗を繰り返しながら攻略したり発見があったりする、というのが、アクションゲームの醍醐味、楽しさの1つではないかと私は思うんです。ただ、今の流れ、ユーザーの方々のご要望ということを考えると、最低限の操作方法はチュートリアルとして入れざるを得ないと考えました。

飯塚氏: それもあって、設定でナビのON/OFFが選べるようになっています。

岸本氏: 「ソニック」のスピードを殺したくなかったので、強制ではなく、チュートリアル用のヒントリングに触れないとチュートリアルメッセージが出ないようにしてあります。開発途中では、リングを取っていくとヒントリングにぶつかってチュートリアルが表示されるという時期もありましたが、この仕様だと私自身がイライラしてしまったんです(笑)。「チュートリアルを見たい人は、リングの道から外れて触ればいいだろう」という仕様に落ち着きました。

―― チュートリアルは文字だけでなく、「テイルス」の音声でもガイドしてくれるんですよね。

岸本氏: 私は音声までは必要ないと考える方なのですが、ナビをOFFにして、同じステージで複数回ゲームオーバーすると「ナビをONにしてはどうですか?」と聞くようにしたことから吹っ切れて、「やるならとことんやろう」とスイッチが切り替わったんです(笑)。ナビをONにして「うるさい」と思わない人達であれば、がっつりナビゲーションを出していった方がいいだろうと。「ソニック」はスクロールスピードが速いので、落とし穴が見えてからジャンプボタンを押せるまでの時間が圧倒的に短い問題があるんですが、それに対して、「ジャンプしてください」という看板を出すほど親切にしました。とことん親切にする方針から音声もつけることにしました。

飯塚氏: ターゲットがコアファンの方だけでなく、最近もしくは初めて「ソニック」を触る方も含めるということで、そういう対応を岸本にしてもらいました。



■ 最高のプラットフォームアクションを目指して

―― 3Dになってから、幅が広がった感がある「ソニック」シリーズですが、「ソニック」を使って色々なジャンルのゲームを作ることができると思います。今後、様々なジャンルの「ソニック」タイトルがリリースされる可能性はあるのでしょうか?

飯塚氏: 「ソニック」の本道はプラットフォームアクションです。常にプラットフォームアクションで最高のものを作ることが使命だと考えています。それ以外のジャンルについては、マーケットやペリフェラルなどの状況に応じて考えますが、今後もまずはメインのアクションを重視して考えていくつもりです。

―― 昨今、「Wiiはソフトが売れにくいので出さない」という選択をする会社が多かったりもしますが、Wiiで積極的にリリースされている理由は?

飯塚氏: 任天堂さんのプラットフォームは「マリオ」を筆頭にプラットフォームアクションを好きなお客さんが多い傾向があります。ハードの性能云々ではなく、そのプラットフォームを持っているお客さんが何を好むのか? これがプラットフォームを選定する上で最も重要な理由になります。そういう観点で今回のWii、DSという選択はベストな選択であったと思っています。

―― 今まで同様、今後も様々なプラットフォームでリリースするという方針は変わらないのでしょうか?

飯塚氏: そうですね。今後の動向を見ながらになりますが。

―― 今後、PSPでリリースされる可能性もあったりしますか?

飯塚氏: 「ソニック4」では、コアファンをターゲットとしたタイトルで、色々なハードを持っているコアファン、今はゲーム機を持っていないというかつてコアファンだったお客さんも意識してプラットフォームを選定しました。今後もタイトルに合わせて選定していきたいと思います。

 ※「ソニック4」はPS3/Xbox 360/Wiiといったゲーム機だけでなく、iPhoneやiPot touch版もリリースされている



―― 最後に「カラーズ」を楽しみにしている読者に一言お願いします。

岸本氏: 「カラーズ」は「ソニック」ファンの方にハイスピードアクションを楽しんで頂けることはもちろん、今まで「ソニック」をプレイされたことのないアクションゲーム好きの方にも楽しんで頂けるよう、「カラーパワー」や「アスレチックアクション」など、アクションゲームとしてのまとめ方を強く意識したゲームです。より多くの方にアクションゲーム力がアップした「ソニック」を楽しんでもらえたらと思います。

飯塚氏: 「最高のアクションゲームを作ろう」という目標通りに仕上がったと思います。Wii版は今までのシリーズと比べてもボリュームが多く、「カラーパワー」の使いどころも色々ありますし、今までの「ソニック」になかった新しい遊びが多数用意されています。DS版はニンテンドーチャンネルで体験版も配信されていますので、1度遊んでいただいて、「カラーパワー」、「ソニック」の魅力に触れていただければと思います。

―― ありがとうございました。



 1991年の1作目から、毎年欠かすことなくリリースされ続けている「ソニック」シリーズ。シリーズを重ねていっても、決してソニックらしさを損なうことなく、時代やニーズに合わせて進化を続けている。「カラーパワー」という新たな要素の加わった本作を体験してもらえればと思う。



(C) SEGA

(2010年 11月 18日)

[Reported by 木原卓 ]