GMO Games、「英雄島」正式サービス直前の運営スタッフにインタビュー
「ギルドスキル」や「ペット」、「ふたご島」などの新コンテンツを紹介

5月17日収録

GMO Games本社

 

GMO Gamesの「英雄島」運営プロデューサーの吉田哲朗氏(左)と、オンライン事業部マーケティングチームの菅野鉄平氏

 GMO Games株式会社は、5月28日よりWindows用MMORPG「英雄島」の正式サービスを開始する。「英雄島」は中国のShenzhen Domain Network Softwareが開発した2D見下ろし型のMMORPG。現在はオープンβテスト(OBT)が行なわれている。

 「英雄島」は、チーム戦から1,000人規模の大規模な乱戦まで、多彩な対人戦が楽しめるMMORPG。クラスの概念がなく、「英雄」カードを組み合わせることで、近接物理、遠距離物理、魔法のスキルを自由に組み合わせて使うことができる。細かい設定が可能なオートバトルがあり、自分がパソコンの前にいない時でもレベル上げや採取をすることができる。また、ハウジングや生産などコンテンツの豊富さも魅力だ。

 正式サービスに先立ち、GMO Gamesの「英雄島」運営プロデューサーの吉田哲朗氏に話を聞いてきた。正式サービス時に追加される新要素、ペットとギルドスキルの詳細や、今後のアップデート予定など気になる情報を新素材と共に紹介する。



■ 遊んでみたら意外と面白い。CBTでは、対人を楽しむ人多数。

「中国の技術力の高さに驚かされました」と吉田氏
「英雄島」の公式ホームページを飾る女の子たち。ゲーム内で会えるのはまだ先になりそう

編: 間もなく正式サービスが始まりますが、βテストの感触はいかがでしたか?

吉田哲朗氏: クローズドβテスト(CBT)を開始する時に、僕たちがまず危惧していたのは無名のタイトルを、いかにして皆さんに知っていただくかということで、結構苦労しました。

編: ホームページの、胸が揺れるキャラクターはかなり話題になりましたね

吉田氏: あれは、今はもうやめましたけど最後の秘策だったのです(笑)。でもそのおかげで、CBT募集の時には、弊社で今までやった中で1番の募集が取れました。やっぱりああいうのはすごいなあと。この時に入ってくださったお客様には、結構2Dが好きな方が多くて、これまで遊んできたのもほとんど2Dのゲームだったという話を聞きました。宣伝にそれほど費用を割けたわけではないのですが、ちゃんと見てくれるお客様は見てくれているのだなと。そういうお客様に楽しんで頂いて、口コミで広げていけるよう注力しようと思っています。

編: あの女性キャラクターはゲーム内にも登場するのですか?

吉田氏: 「英雄」として出そうかなという話もあったのですが、今のところは出ていません。でも開発会社の人は協力的で、追加してくれとお願いすれば対応してくれそうです。ただOKラインがあるので、それをクリアするのがあのイラストだと難しいのです。ゲーム内にキャラクターとして出す可能性もありますけれど、それは正式後にお客様の反応を見つつ考えたいと思います。

編: 今のところはイメージガールということですか?

吉田氏: そうですね(笑)。今のゲーム内容的には、あの子のキャラクターとギャップがあるのではないかとちょっと躊躇しているところです。

編: 話題になっただけに、ゲーム内で会えないのは残念ですね

吉田氏: あの時には、本当にすごく話題にしていただいてありがたかったです。弊社内でも最初は「これはちょっと……」という声もあったのですが、あのくらいのインパクトがないと無名のタイトルは難しいかと。

編: ちょうど、たくさんのタイトルが発表された時期でしたしね

吉田氏: そうですね。4月は例年たくさん出るのですが、うちはその中ではグラフィックスが弱点だと思うので、その部分で苦戦するかなと心配していました。ゲーム的には、実際やってみたら面白いということで、おかげさまで順調にやらせていただいています。

編: ユーザーはどういったところを気に入ってプレイしているのですか?

吉田氏: やはり英雄システムが人気ですね。対戦相手によってスキルを変えたりといった、カスタマイズ的な部分で好評をいただいています。

英雄のカードを組み合わせて、自由にスキルを変更できる「英雄システム」
各種の対人コンテンツは、「英雄島」で最も人気のある遊び方だ

編: 実際にプレイしましたが、英雄システムは確かに面白いですね

吉田氏: 僕の初プレイは中国のアカウントを支給してもらって、一般のユーザーさんが遊んでいるサーバーでだったのですが、そこでも対人戦がとても面白かったのです。聖地略奪戦のような対人コンテンツ以外にも、定期的に相手国の人が攻めてくるのです。対人戦のためだけに侵入してくるのですね。中国ではユーザーが多いので、その時に1,000人規模の戦いになるのですが、まったくラグがなくすんなり戦えたのです。それでいて、対人に戦略があって楽しかったので、こんなゲームは日本にはないと、すぐ社長に連絡して「こんな面白いゲームがあるので、手配してください」と。それですぐに決まりました。

編: その大規模対人戦は通常のフィールドで発生するのですか?

吉田氏: 「英雄島」では、ダンジョン内でボスを取りあうというコンセプトがあって、敵国とフィールドがつながっているのですが、それ以外にも「最前線」というエリアを通過して、相手国に侵入できるのです。今は日本のユーザーさんもやっていますが、ワープゾーンを封鎖して「通さないぞ」みたいなことをやって、そこで対人戦を繰り広げています。そういうロマンを感じさせるゲームって、昔プレイした2Dのオンラインゲームみたいで、結構アラサーの人は好きなのではないでしょうか(笑)。

編: 今遊んでいる人のメインとなるレベル帯はどのあたりですか?

吉田氏: 最近はレベル25で止める人が多いですね。聖地略奪戦のレベル分けの区切りがそこなので、25で止めておいてスキルを上げるという人が多いです。でも、スキルを上げた人は、新しく入って来た人よりは強いじゃないですか。ですからそのための対策もちゃんと取られていて、聖地略奪戦に150回以上参加すると本来なら5個もらえる復活のためのアイテムが配られなくなるのです。そうなると26に上がらないとゲームが楽しめなくなるよというシステムです。



■ メンバー全員にボーナスがつく「ギルドスキル」、カードを使って変身させる「ペット」

今回実装される「ギルドスキル」は、覚えるだけでギルドメンバー全員の能力を底上げしてくれる便利なパッシブスキル

編: 正式サービスから実装されるコンテンツについて教えてください

吉田氏: 1番の目玉は、ギルドスキルです。ギルドでスキルを成長させていきます。スキルはギルドのレベルが上がると開放されていくのですが、習得するためには、ギルドの人気度とギルド資金のゴールドが必要です。ゴールドはギルドメンバーが寄付をすることで貯まります。さらに強化しようとおもったら素材が必要になるのですが、どれもギルドメンバーがみんなで協力しなくてはならないようなものです。

編: ギルドスキルはギルドのメンバー全員が覚えられるのですか?

吉田氏: 全員が覚える全体スキルと、その中でも特に貢献した人だけが使える個人スキルがあります。

編: 通常のスキルのようにショートカットに登録して使うのですか?

吉田氏: ほとんどがパッシブスキルなので、覚えるだけで個人の能力が強化されます。後は「商業スキル」と「特殊スキル」というものもあります。「商業スキル」はアイテム取引の時若干手数料が安くなったりと、生活にボーナスがつくスキルです。「特殊スキル」はまだ中国でも実装されていないので、我々も確認できていないのです。スキルのレベルを上げるのはかなり大変で、皆で一緒にやらないとなかなか覚えられないです。

ゲームをスタートすると最初のクエストでもらえるペット「ブルース君」
カードを手に入れて使うことで、ペットの見た目や能力を変化させることができる

編: 他にはどんなコンテンツがありますか?

吉田氏: 見た目の大きな変化はペットですね。新しいキャラクターを作ったら、最初のクエストでペットが手に入ります。それを強化していくのです。ペットの強化にはカードを使います。カードには外見を変身させるものと、スキルを覚えるものがあります。レアなカードはスロットの抽選やボスからのドロップになります。

編: 最初にもらえるペットはどのようなものなのですか?

吉田氏: 最初にもらえるのは「ブルース君」という青いモップのような生き物です。CBTからチュートリアルには登場しています。あれがドラゴンになったり、ロボットになったりと姿が変わっていきます。

編: 捕まえたモンスターを、自分の兵隊として使うものと会わせると4人パーティーが組めますね。

吉田氏: 自分の分身を召喚するスキルがあるので、それを入れると5人パーティーになります。このゲームは放置推奨なので、仕事中は狩り場にそのパーティーを放置してレベルをあげることもできるわけです。家に帰ればレベルが上がっているのは、ストレスもなくていいですよ。

編: セットしておいてあとは放置という形は、ブラウザゲームやソーシャルゲームに似ていますね

吉田氏: あのジャンルのゲームと「英雄島」はすごく相性がいいのですよ。お客様の中にも、裏でブラウザゲームをやりながら、「英雄島」は放置しておりという方がいるようです。

編: 他にも新しい要素はありますか?

吉田氏: 「ふたご島」というイベントフィールドが開放されます。毎日20時から21時の間にモンスターを1匹与えられ、制限時間内に餌を与え続けてより良い卵を産ませるというイベントです。良い卵には報酬として経験値とゴールドが与えられます。

編: 以前の取材で「聖塔戦」という新しい対人コンテンツもあると聞きましたが。

吉田氏: 「聖塔戦」は正式サービス時にはまだ入りません。10月くらいを予定しています。

毎日決まった時間に卵を育てるイベントが起こる「双子島」
正式サービスと同時に追加される3種類の「英雄」、「魔徒」と「蛇帝」(上)、「邪神」(下)
「魔徒」を使えば、爆弾を設置する事ができるようになる

編: 他に入るものはありますか?

吉田氏: 新しい英雄が3人入ります。魔法と射撃の属性を持った「魔徒」、魔法系の「蛇帝」、物理系の「邪神」です。個人的にすごく楽しみにしていた英雄で、前半では1番楽しいのではないかと思います。特に「魔徒」という英雄は今までの英雄とは少し違っていて、罠をはれる英雄なのです。爆弾を10個設置して、敵が通過するタイミングに合わせて爆発させることができます。対人に特化した英雄ですね。

編: これからはこういった対人特化の英雄が増えるのでしょうか?

吉田氏: そうですね。前回のアップデートで入った「雷帝」も完全に対人特化です。対人にしか効かないスキルを持っているので、普段モンスターと戦う時には別の英雄をつけておいて、対人で戦う時にはその場で付け替えます。

編: 多彩なスキルがありますが、育てるのが大変なので、割と使うスキルは限定されてきますね

吉田氏: そうなりますね。最初に手に入る「龍王」と「氷帝」はやはり使っているお客さんが多いです。この英雄を使ってみたいなと思っても、今まで使いなれた英雄のほうがわかりやすいので、とりあえず1つだけ切り変えてみて、徐々にシフトしていくというスタイルになっていますね。

編: 切り替えを促していくような仕組みはあるのですか?

吉田氏: 新しく登場するスキルはやはり強いので魅力的です。よくここまで考えたなというくらい、スキルの効果やアイデアが全部違うのです。例えば敵の足を遅くするスキルでも、追加ダメージがあったりと、色々な種類があります。最近の流行ってあるじゃないですか。例えば「修羅」を使う人が多いなら、「修羅」対策になる英雄に組み替えたり、そうすると今度はその英雄に対する対策が出てきたりと、毎日違った戦い方ができると思います。

編: 実装されると、対人戦が今まで以上に盛り上がりそうですね

吉田氏: 7月のアップデートでは「資源戦争」という大きな対人コンテンツも実装を予定しています。新しい「英雄」を使って、思う存分戦って欲しいと思います。

編: ハウジングエリアの農場にある、家畜小屋らしきものは使えるようになるのですか?

吉田氏: 畑から卵が出るのですが、それを育てて収穫すると経験値が入るというものになります。これも10月くらいのアップデートを考えています。

編: 10月辺りに大きなアップデートがあるのですか?

吉田氏: アップデートは毎月行なう予定です。5月と6月の分は5月28日に入るので、次は7月、8月、9月ですね。それぞれ英雄を追加していきます。あとはマップを開放しつつ、アイテムを入れていきます。家に置く家具なども、まだ他に種類があるのですが、今それを徐々にドロップに設定しているところです。

編: 家の裏側辺りにも、何かできそうな雰囲気の場所がありますね

吉田氏: そこは今後実装予定の場所で、僕たちもまだ何がくるのかは教えてもらっていません。

編: 正式サービスからは、課金アイテムの販売も始まりますが、どのようなラインナップになるのでしょうか?

吉田氏: 今、課金アイテムの担当者が開発会社と協力してアイテムのラインナップを作り終えたところです。もともと中国の「英雄島」に考えつくされたアイテムが多々あるので、その料金設定を行なって、あとは使いにくいものや、日本ではあまり使わないようなアイテムをはずして便利なものだけを残すようにしています。

編: アイテム課金が入ることで、βテストでは可能だったプレイが制限されるようなことはありますか?

吉田氏: それはないですね。基本的にはより便利になります。アイテムは、課金していなくてもゲーム内で頑張れば取れるので、「僕は課金しないぞ」という方は地道にやっていただいて、早く育てたいとか育てる時間がないという方には便利なアイテムがいろいろと揃っている感じです。

編: 成長を促進するようなアイテムということですか?

吉田氏: 成長促進というより、便利アイテムですね。例えばペットが自動で落ちているアイテムを拾い集めてくれるようになる掃除機みたいなアイテムとか。後、課金したからといって対人で極端に強くなるようなアイテムは外しています。せっかく対人戦が面白いので、ゲームバランスを崩すようなものは入れないようにしています。

編: 日本独自のアイテムはあるのですか?

吉田氏: まだこれからの話になりますが、アバターの装備品などはこちらからリクエストしようと思っています。今お願いしているのはOBTの修正と、今後のアップデート要請なで、本当にこれからですね。

編: 楽しみに待ちつつといったところですが、こんなにもコンテンツがあると開発する側も大変ですね

吉田氏: 開発はその場でひらめいたものをまずは作って、「どうだ」という形でやっているらしいので、ものすごく開発スピードが速いのです。企画会議ももちろんありますが、アイデアが出たらまずは作ってみるという形で、日本や韓国とは開発スタイルがかなり違います。中国の会社と一緒に仕事をさせていただくのは初めてなので、いろいろな新発見やギャップがありますが、1番感じたのは技術力がすごく高いということですね。中国はオンラインゲームをする母数が大きいので、それに耐えられるサーバーを作る技術や、あとはハッキングもすごく多いらしいので、そこへの対策もしっかりしています。このゲームは、ゲーム内に対策が入っているのでゲームガードが必要ないのです。そこが1番驚きました。



■ ユーザーに悲しい思いをさせないために、セキュリティはガチガチに固めていく

「カスタマーサービスを貫いていきます」と吉田氏

編: 運営としては、RMT対策はどのような方針で行なうのですか?

吉田氏: 発見したらすぐに対応します。このゲームではカスタマーサービスに力をいれていて、例えばゲームが始められないというものに対しては5分以内に対応するようにしています。RMT対策や、不正ツールの監視も強化して、快適にプレイできるように厳しくチェックしていきます。シャウトがあったり、対話が来たりするのって不快ですよね。ですから、見つけ次第対処するのと、ああ言ったことがやりにくいように、ガチガチにブロックを固めていくつもりです。

編: 最近はアカウントハッキングの問題も取り沙汰されることが多いですね。

吉田氏: それは前のタイトルで痛い思いをしています。せっかく楽しんでゲームをしているのに、ハッキングのせいで泣く泣く辞めざるを得ないというのはすごく悲しい状況で、そういう思いを味あわせたくない。日本のオンライン業界の信頼も落ちていきますし、うちのゲームではそういった事態を起こさないようにしたいです。オープン前に最も力を入れたのは実はここなのです。どうすれば不正ができないようなものが作れるか、開発会社ともいろいろ相談したうえで現在の形になりました。

編: しかし、なかなかユーザーが満足する状態にならないことも多いですね

吉田氏: うちの運営チームを構成しているスタッフの中には、ハッキングの被害を経験したことがあるものもいるので、気持ちはわかるのです。すぐに復旧の対応をしていたとしても、数が多すぎるとゲームが崩壊してしまいますから、もう絶対にやらせないという方針を貫いていきたいです。

編:サービス開始後の、直近のアップデートはいつになりそうですか?

吉田氏: 夏前ですね。今はレベルキャップが40ですが、そのころに開放したいと思っています。夏休みにはこのゲームでがっちり遊んでもらいたいと思っています。

編: 今後予定しているイベントなどがあれば教えてください。

吉田氏: イベントには結構自信があるので、やろうと思えば色々とできるのですが、しばらくはセキュリティの強化とカスタマーサービスに注力していきたいので、そちらに余裕が出てきたらゲーム内イベントを開催しようと思っています。ただ、ゲーム内イベントは参加できる時間が限られてくるので、広く全員に参加してもらうためにキャンペーン系もどんどんやっていきたいと思っています。まずは正式サービスが始まるときに、課金何円分相当のアイテムプレゼントをやろうと思っています。

編: 太っ腹ですね

吉田氏: 社長からもやれということなので(笑)。結構魅力的なラインナップで、使えるものを揃えています。不正ができないように取引不可なので、ぜひ参加してもらっていただきたいです。結構長い期間やるつもりですが、どうせなら正式サービスが始まるときのお祭りに参加して欲しいです。

編: 最後にユーザーへのメッセージをお願いします。

吉田氏: 2Dのゲームですが、3Dのゲームをやっていた方にも、オンラインゲームのロマンを感じていただけると思います。オンラインゲームのドラマって、ゲームが強引に起こすものであって、ただ普通にチャットをしていても起きないと思うのです。何かのきっかけがあってこそ、絆が深まるのだと思います。そして絆が深まれば、僕が言うロマンを感じていただけるのではないかと思います。

編: ありがとうございました

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(2010年 5月 26日)

[Reported by 石井聡 ]