WIN「J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう! ONLINE」
最新作の秘密に迫る! 開発スタッフインタビュー

正式サービス中 (4月1日)

 

 4月1日からいよいよ正式にサービスを開始した、PC用オンラインスポーツシミュレーションシリーズの最新作、「J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう! ONLINE」(以下、「JサカONLINE」)。本作は、誰でも気軽にプロサッカークラブの運営を楽しめるオンラインゲーム。オフライン時でも自動的にゲームが進行するため、1日10分程度のプレイで、試合結果や人材を確認して、クラブ強化の過程を味わえる。他のプレーヤーとシーズンごとに各DIVISIONの順位を競い、昇降格を繰り返しながら、最高峰「DIVISION1」のリーグ制覇を目指す。基本無料でプレイできるが、プラチナ会員になれば、さまざまな特典が受けられる。

 本記事では開発を担当した、株式会社セガの瀬川隆哉、佐藤高一両氏にお話をうかがった。(文中敬称略)



■ 「1日10分で遊べる」をキャッチコピーに、手軽に遊べるゲームシステムを実現

株式会社セガ ネットワーク研究開発部 部長 瀬川隆哉氏

――「J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう! ONLINE」の開発がスタートしたのはいつ頃からでしょうか?

瀬川 企画自体は2年ほど前に立ち上げました。当時はすでに欧州を題材にした「プロサッカークラブをつくろう! ONLINE」(以下、「サカつくONLINE」)と「プロ野球チームをつくろう! ONLINE」(以下、「野球つくONLINE」)のサービスを始めていたのですが、お蔭様でたいへんご好評をいただいておりましたので、今度はJリーグ版「サカつくONLINE」を、ということで開発をスタートしました。

――以前の「サカつくONLINE」と違って、今回はタイトルの冒頭に「J.LEAGUE」とあるように、今までのシリーズのように海外チームや選手を登場させなかったのには何か理由があるのですか?

瀬川 過去に家庭用ソフトで発売した「サカつく」シリーズにおいて、Jリーグ版が欧州版よりもよく売れたというのが理由のひとつです。また、Jリーグを題材にしたオンラインゲームが無かったので、フロンティア精神を発揮したかったという思いもあります。PC用オンラインゲームでは、すでに欧州を題材にした「サカつくONLINE」があったので、同じものを新しく作ってもあまり意味が無かったので。

――本作では、新しく選手を獲得する際には選手のトレーディングカードを買って補強する、というシステムになっていますが、この方式を取り入れた理由や狙いはどこにあるのでしょうか?

瀬川 これまでの家庭用の「つくろう!」シリーズでは、プレーヤーが自分の好きな時間に、自由にチームを成長させていくという遊び方になるのですが、オンラインの場合は、野球にしてもサッカーにしても、最高に強いチームを作ろうと思ったら最後はみんな同じメンバーばかりが固まってしまうので、そうなってしまってはつまらないと思いました。

 そこでトレーディングカード形式を使うことで、プレーヤーごとに全然違ったチーム編成になりますし、それに引いたカードを見ながら自分で選手を並べていくと、なんだか自分が監督になったみたいな気分になれて面白くなるだろう、というのが最初の発想ですね。また、オンラインゲームの場合、その都度マニュアルを見ながら遊ぶ形式はなかなかなじまないですから、誰でも簡単にプレイできるという観点で考えると、カードを使ったほうがいいだろうと考えました。

――すると、「JサカONLINE」では選手カードごとにコスト値が設定されていて、その合計が上限を超えるチームではプレイできないようになっているのは、「みんなが同じ選手ばかりで固めたチーム」にならないようにする意味もあるわけですね?

瀬川 はい。また、我々が作るオンラインゲームは、「1日10分で遊べる」のをコンセプトにしています。最近は忙しい方々が多いので、ゲームのために長く時間を取ることができなくなっていますので、毎日少しずつ、且つ長期間遊べるゲームにしていくことを考えているうちに、コストの上限が毎日1つずつアップするシステムを導入することにしました。コストが1つ増えるだけでも、プレーヤーの方々が、「次回はあの選手を使ってみようかな」などと考えるようになって、いろいろチームを編成してみたくなりますしね。ポジションごとに使用できる範囲で平均的な能力の選手を集めるとか、自分がひいきにしているクラブの選手で固めるなど、いろいろと選択の幅が広がるようになっています。

――カードの種類は全部でどのぐらいありますか?

佐藤 現役の選手が実名で1,000名以上登場し、さらに三浦知良選手や中山雅史選手といった昔から活躍している選手は、クラブごとに1枚ずつレアカードとしても登場します。さらにすでに引退したアルシンド選手や堀池巧選手といった往年の名選手がレジェンドカードとして登場します。カードを開けると誰が出てくるのかは完全なランダムです。

――同じ選手のレアカードと普通のカードとでは、どんな性能差があるのでしょうか?

瀬川 パラメーター自体はどちらも同じですが、スキル(※)が上がったときの成長率はレアカードのほうが高くなっています。よって、同じ選手でもレアカードのほうが、同じコストでありながら、より能力を高くすることができるようになります。また、レアカードは、スキルエリアが全てオープンになっているので、最初から多くのスキルチップを設定することができます。佐藤 たとえば三浦知良選手のレアカードがあれば、すぐに多くのたくさんのスキルを設定できるので、かつて日本代表でも活躍していた高い能力の状態を、プレーヤーが自分なりに再現するといった楽しみ方ができるわけです。

※注:スキルは「スルーパス」、「センターブロック」、「マリーシア」など多くの種類があり、それぞれ1~5まで5段階のレベルのものが存在する。スキルはカードの裏面に設定するスペースがあり、ここに設定することでそれぞれのスキルに対応した能力がアップするようになっている。ノーマルカードの場合、起用当初はレベル1・2のスキルしか貼ることができないが、一定の試合数をこなすことでレベル3以降の高いレベルのスキルが設定できる仕組みになっている。なお、スキル自体はスキルショップで一定のポイントを支払うことで購入できるが、ここでもトレカ方式になっており、どのスキルが出るのかはランダムで変化する。

瀬川 コストが高い選手ほど当然パラメータも高くなりますが、同じコストでも選手によってパラメーターはかなり異なっています。ただ、サッカーは個人競技ではありませんので、勝敗を分けるポイントは個人の能力だけでなく、チーム全体の選手層や連携などの要素も影響します。また、選手の調子の良し悪しも影響するように作っています。

 実は選手ごとの調子(コンディション)は、ゲームの中での変動だけでなく、実際のJリーグの試合の結果が反映するように作っています。定期メンテナンス日の直前の試合で勝ったチームの選手は調子が上がりますので、Jリーグと一緒にゲームが楽しめるようにもなっています。選手の調子が変動するたびに、メンバーを入れ替えながら戦うという楽しみ方もあります。

佐藤 連携については試合に出続けることでアップしますが、選手の性格に基づいたタイプごとの相性も関係してきます。他にも現在同じクラブに所属していたり、さらに個人的なつながりが特に深いものについては、連携しやすいといった要素もあります。これは以前からのシステムを踏襲しています。

――スキルの数はどのぐらいあるのでしょうか?

佐藤 同じ名前のスキルでもレベル1~5までの5段階があり、またジャンルも「オフェンス」「ディフェンス」など6種類のジャンルごとにたくさんあります。瀬川 たとえ選手コストが1で、初期の能力がそれほど高くない選手であっても、試合に出続けると高いレベルのスキルをどんどん貼れるようになりますから、頑張って育てればクラブコストがかなり上がったときでもずっと使うことができるようになります。自分の思い入れ重視で選んだメンバーでも十分ゲームが楽しめるようになっていると思います。
株式会社セガ ネットワーク研究開発部 企画セクション ディレクター 佐藤高一氏

――特定の選手にトレーニングをさせることで能力をアップさせる機能がありますが、トレーニングメニューの一部をプレーヤー間の「投票」で選ぶシステムを導入した狙いはどこにあるのでしょうか?

佐藤 ゲームを最初に遊ぶ際に、プレーヤーは必ずJリーグのクラブの中からサポートクラブを選択することになっているのですが、多くの方々は、普段から応援しているクラブを選択するかと思います。そこで、同じクラブをサポートしているプレーヤー同士で、いろいろと協力しながら楽しむ要素を入れたいと思って考えました。自分で票を入れたものが、後で実際に使用できるようになると嬉しいですし、初めからずっと同じメニューをやり続けていると、徐々につまらなくなってしまいますので。

――プレーヤー同士が公式戦を戦うときは、「対戦する」などといったコマンドを入力する必要がなく、たとえログアウト中でも決まったタイミングで自動的に試合が始まるようになっているみたいですね?

瀬川 はい。公式戦に限りますと、毎日決まった時間に自動的に試合が始まるようになっていて、2時間おきに1試合ずつ、1日につき7試合を消化する仕組みになっています。これも「1日10分で遊べる」というコンセプトを体現するためのシステムです。「JサカONLINE」は、社会人のプレーヤーが非常に多いということもありますので、毎日夜に帰宅してからゲームを起動して試合の結果をチェックしながら、勝敗の原因についていろいろと考えつつ、スターティングメンバーを入れ替えたり新しいスキルを設定して、また次の日の試合後に結果を分析してもらう、というような楽しみ方ができるようにしてあります。

――公式戦はどのようなルールになっていますか?

佐藤 最初はビギナーリーグに所属してビギナーリーグを戦うことになります。ビギナーリーグを終えると、DIVISION6(6部)からスタートして、1リーグ18チームのホーム&アウェー方式で合計34試合を戦うリーグ戦になります。1日につき7試合ずつ自動的に消化するようになっており、5日間で1シーズンのリーグ戦が終了する形になります。また、第2シーズンと第4シーズンのリーグ戦が終わると、ディビジョンカップという、所属するディビジョン同士での最強チームを決めるトーナメントが開催されます。さらに第6シーズンのリーグ戦が終了すると、サイクルの最後として全クラブが参加するワールドトーナメントが開催されます。瀬川 ワールドトーナメントは、ある意味お祭りみたいなものです。自分が今、同時に参加しているプレーヤーの中で何位なのかがわかるようになっています。佐藤 3ケタ以内の順位に入れた方は自慢できると思います。

――エキシビジョンマッチでは、プレーヤー同士での対戦以外にも、実際のJリーグのクラブ(CPU)とも対戦できるようになっていますよね?

佐藤 はい。Jリーグのクラブに勝つと、J2のクラブの場合は800ポイント、J1だと1,500ポイントがもらえるようになっていますので、ポイントを稼いで選手カードやスキルチップを購入するのに役立ちます。まだゲームを始めたばかりのプレーヤーだと、J2のクラブでは、のジェフユナイテッド千葉や柏レイソルが最初のカベになるかと思います。いきなりJ1のクラブと対戦することもできますが、さすがに最初はかなわないかと(笑)。瀬川 そもそもコストの合計値が全然違いますので、自分のチームが少しずつ成長していく際に、現在自分のチームがどのぐらいの実力があるかという目安として対戦していただくとよろしいかと思います。

――試合シーンを見ていると、ときどき設定している戦術が表示されることがありますが、これはその戦術が効果的であったことを示しているのでしょうか?

佐藤 はい。ちゃんと発動したときには、戦術が表示されるようになっています。ただし、表示されたからといって、ゴールが必ずしも決まるわけではないのですが、意図して設定した戦術が機能したことを示す演出を入れておかないと、プレーヤーが今の戦術がメンバーに合っているかどうかを知ることができなくなってしまいます。試合中に戦術が表示されたかどうかを見れば采配をふるうときの参考になります。

――それからチームのメンバーを更新すると、ときどき「ハイタワー」とか「ダイナモ」などのチームカラーが発生しますよね? これらの発生条件には何か法則があるのでしょうか?

瀬川 はい。編成したメンバーが一定の条件を満たすことで、いろいろなチームカラーが出てくるようになっています。これは「野球つくONLINE」ですでにあるのですが、高度なチームカラーを出現させることができれば、選手全員のパラメーターが伸びてさらにチームを強化することができます。自分のお気に入りの選手をただ使うだけではなく、新しいチームカラーを探しながら遊ぶのひとつの楽しみ方です。佐藤 チームコストが低くて、Jリーグのクラブになかなか勝てないときは、何らかのチームカラーを見つけてチームを強化することもひとつの攻略法になります。

――チームカラーは同時にいくつまで使用できますか?

佐藤 条件さえ満たせば同時にたくさん出現させることもできますが、無料会員のプレーヤーが使用できるのは1つです。プラチナ会員になると2つ使えるようになり、オプションサービスでさらにひとつ追加させることができます。

■ ゲームだけでなく、サッカー大好き人間たちが集まって盛り上がれるコミュニティの確立も目指す

――2年前から開発を続けてきたということですが、今回の「JサカONLINE」の開発にあたり、最も苦労した部分はどこですか?

瀬川 基本的なシステムは、以前のシリーズで培ったノウハウがありましたので、特に技術的な問題などはありませんでした。大変だったのは試合の勝敗に関わる部分で、プレーヤーが試合でなかなか勝てなくなったときに、プレーヤーに対して勝てない原因をどのようにうまく伝えることができるかについては随分考えました。また、今回は以前のシリーズにはなかった新要素をかなり入れましたので、遊ぶ時間が長くならないようにすることについてもいろいろと考えて作りました。

――すでにユーザーさんからは、ゲームに対するいろいろな意見や感想が寄せられているかと思いますが、現時点でのユーザーさんの反応はいかがですか?

佐藤 実在のJリーグの選手が登場しますので、思い入れの強い選手に対して、能力値の設定などに関する熱い意見を出してくる方がかなりいらっしゃいます。また、「今後レジェンドとして登場するOB選手は誰?」とか、「○○選手を出してほしい!」というお問い合わせも多いです。瀬川 チャットを利用して、プレーヤー同士で「レジェンドのカードは誰が出てくるのかな?」みたいな話をしていることも多いですね。それとプレーヤーのみなさんは、チャット機能を利用してJリーグや日本代表が実際に試合をしている間は、それを見ながら試合の話でリアルタイムで盛り上がったりしてみなさん楽しんでいらっしゃいますね。サッカー好きのプレーヤーばかりが集まっていますから、かなり熱い議論が日々交わされています。我々としてもゲームを面白く作るのは当然ですが、やはりオンラインゲームとして出す以上は、みんなが集まって楽しめるコミュニティの場を提供することもすごく大事です。ゲーム内のインフォメーションエリアやオフィシャルサイトには、日刊スポーツさんが提供するサッカーニュースがリアルタイムで流れるようにもなっていますので、こちらもチャットでの話題作りに役立つと思いますよ。

――ちなみに、「JサカONLINE」で最も多いプレーヤーの年齢層はどのあたりですか?

瀬川 オープンβテスト時から20代後半~30代の方が多いです。「サカつくONLINE」から引き続き遊んでいたり、「野球つくONLINE」から新たに流れてきたプレーヤーの方もいらっしゃいますので、野球とサッカー両方を楽しまれている方も多いと思いますよ。佐藤 正式サービス開始時からは、Hangameさんとの連携を始めましたので、今後は若いユーザーさんが増えることが予想されます。

――これからサイト内でイベントを実施したり、将来的にアップデートなどによって新しいサービスを追加する予定はありますか?

瀬川 選手のパラメータについては、1年に3回ずつ見直しをして変更するようにしています。また、それに合わせて大型のアップデートの実施を検討しています。佐藤 オープンβテストの頃は2010年2月版の選手データを使っていたのですが、4月1日の正式サービス開始時点では新シーズンが開幕した時点でのデータに変えてあります。例えば、スペインのRCDエスパニョールから横浜F・マリノスに移籍した中村俊輔選手のカードが追加されています。これからも移籍やシーズン中の活躍度を見て、パラメータやコストの更新はどんどんやっていきます。瀬川 それから、隔月ぐらいのスパンを目処に更新を行なったり、「野球つくONLINE」での全国大会のようなイベントを開催したり、他の企業様とのコラボレーション企画も実施しようかと、今いろいろと考えています。佐藤 6月には、ゲームにマネジメント(経営)の要素を盛り込む大幅なアップデートを予定しております。8月には先程瀬川が申し上げた全員参加型のイベントも予定しておりますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。
瀬川、佐藤両氏とも、本作をサッカー好きがたくさん集まって熱く語れるコミュニティにしていきたいと力説していた姿が印象的だった

――それでは最後に、読者のみなさんにメッセージをお願いします。

瀬川 「JサカONLINE」は、サッカー好きの方であれば必ず満足していただけるゲームなので、ぜひ会員登録して遊んでみてください。もうすぐ4年に1度のサッカーの祭典も始まることですし、ゲームを遊びながら日本代表の試合を見つつ、チャットなどを使ってみなさんで盛り上がっていただきたいです。サッカーをリアルタイムでとことん語り合える場はなかなか存在しないと思いますので、そんな場を求めている方にもぜひご利用いただければと思います。佐藤 普段からみなさんが書かれているチャットや、お寄せいただいたご意見やご要望は日々チェックしていますので、これからもできるかぎりご要望にお答えしていきたいと思います。また、みなさんと共により面白いゲームとサッカーのコミュニティを作っていきます。全国のトップを目指してぜひがんばってください!

――本日はお忙しいところ、取材のご協力ありがとうございました。今後ますますのご活躍を期待しております!


(2010年 4月 19日)

[Reported by 鴫原盛之 ]