NHN Japan、WIN「大戦略WEB」開発者インタビュー
生誕25周年にしてシリーズ初のオンラインブラウザゲーム化を実現!
システムソフト・アルファー社長の宮迫靖氏らが狙いを語る


12月13日 収録


「大戦略WEB」のイメージイラスト

 戦略シミュレーションゲームの定番シリーズとして、8ビットCPUのPCの時代から根強い人気を誇るシステムソフト・アルファー株式会社の「大戦略」。11月より、NHN Japan株式会社が運営しているゲームポータルサイト「ハンゲーム」にてオープンβテストを実施中の最新作「大戦略WEB」の秘密に迫るべく、スタッフ3名のインタビューを敢行した。ブラウザゲームとして新たに生まれ変わった「大戦略」の魅力とは、はたしていかに?

 インタビューにお答えいただいたのは、システムソフト・アルファー代表取締役社長の宮迫靖氏と、NHN Japan ゲームプライズ事業本部の里吉洋樹氏、同社テクノロジーセンターの村上春樹氏。




■ 「大戦略」をブラウザゲーム化した理由とは?

ご存知、「大戦略」シリーズの生みの親である、システムソフト・アルファー代表取締役社長の宮迫靖氏。「今までにない形の新しい『大戦略』ができた」と自信を見せていた

――まずは宮迫様にお伺いします。今回「大戦略WEB」の開発を始めるようになったきっかけから教えてください。

宮迫靖氏: 弊社開発のオンラインゲームの第1弾をどれにしようかと考えたときに、やはり看板タイトルの「大戦略」しかないだろうということで、社内ではごく当たり前のように話が進みました。今までに多くのバリエーションを登場させてきた「大戦略」ですが、いずれはオンラインゲームで出そうというのが、もはや必然的な流れとして社内にあったんですよ。今年で「大戦略」の第1作目が発売されてからちょうど25年になりますので、ひとつの区切りとしてもいい時期なのかなと。

――今回新たにブラウザ用のオンラインゲームとして、「ハンゲーム」から配信を開始するに至った経緯を教えてください。

里吉洋樹氏: 弊社の「じっくりゲーム」のカテゴリでは、韓国製のゲームを日本で配信する権利を買ってきてサービスする形がかなり多いのですが、最近では運営権を買い付ける際のリスクが非常に高くなってきています。それを踏まえ、自社でコンテンツを作ってコントロールするのも1つのリスクヘッジとして考え、宮迫さんとお話させていただいて、「大戦略」というコンテンツを使って一緒にビジネスをできないかと交渉した結果、実現しました。

宮迫氏: オンラインゲームを開発するに当たり、一から十まで自分達だけでやろうとすると、どうしても実現が難しいという面もあったんですよ。

里吉氏: それと、「大戦略」のようなミリタリーものは国内だとややニッチなポジションになるのですが、海外にも展開しようと考えた時には、世界中どこの国でも一定層のファンは必ず存在すると考えました。たとえニッチでも、ワールドワイドで展開すればビッグビジネスになりうると考えたわけです。実際、先日もとある海外のパブリッシャーさんとお話しして好感触をいただけています。

宮迫氏: 「大戦略」は世界的に見ても他に類似製品がほとんどないんですよ。弊社の製品の中でもオリジナリティの最たるものですから、今後もこれを柱にして事業展開していくということは変わらないと思いますね。

里吉氏: かく言う私も、PC-9801版の「大戦略II」の時代から、Windows版でインターネット対応に至っても、ずっと遊んでいた経験がありますので、ゲームの面白さは自分自身よくわかっていることもありました。未来を考える上でも、最近のオンラインゲームでは類似作品が存在しない、オリジナリティのある「大戦略」というのはすごくいいコンテンツだと思います。

――開発期間はどのくらいでしょうか?

宮迫氏: ちょうど1年ほどですね。

――今回の「大戦略WEB」をブラウザ型のゲームにした理由は?

里吉氏: ブラウザゲームにしないと、将来的にビジネスが難しくなるだろうという考えからです。従来のダウンロード型コンテンツですと、インストールの手順ひとつとっても難しかったり、PCの動作環境を選ぶ手間があったりするせいで、その段階でお客様が離れていってしまうことがよくあります。そういう意味でも、ブラウザゲームなら集客しやすいですし、今回の「大戦略WEB」にしても、普通にブラウザが動く環境とFlashさえインストールしてあれば、すぐに遊べるようになっています。ブラウザ対応にすれば、Windows以外にもMac OSやUNIXのPCでもFlashさえ使えれば遊べますので、間口がさらに広くなるというメリットもあります。

宮迫氏: 当初は「大戦略」をブラウザ対応にして本当にいいのかどうか、かなり悩みましたね。今にして思えば、ここが自分たちにとっては1番大きな選択でした。「大戦略」はこれまでシリーズを重ねるにつれて、ユーザーのニーズをいろいろ反映させてきた結果、内容的にかなり複雑かつ肥大化しているところがあります。最初にハンゲームさんからブラウザゲームにすると聞いた当初は、本当にできるのかどうか不安もありましたが、長年オンラインゲームを手がけていらっしゃるNHN Japanのみなさんがそうおっしゃるならということで、チャレンジしてみることにしました。

里吉氏: その後、宮迫さんとお話しして、従来の作品のように地形効果を見たりしながら、相手ユニットの弱点を突いたユニットの配置を考えるようなシステムは、ブラウザゲームにおいては捨てることを決めました。この「大戦略」本来の醍醐味は、システムソフト・アルファーさんが出されているパッケージ版のソフトでやっていただければいいかなと。「大戦略WEB」は、「大戦略」を知らない層に向けて広げていこうという位置づけで出すほうが、ビジネス的にもいいのではないかとお話ししたところ、ご快諾をいただけたという次第です。

宮迫氏: あまりゲームを複雑化させてしまうと、どうしてもお客様の数が減ってしまいますし、従来のパッケージ型だけの展開ではどうしても限界があります。そんなタイミングで、オンラインゲーム化の話をいただけましたので、「大戦略」の知名度を広げていくにはとてもいいだろうということでゴーサインを出したわけです。




■ ゲームシステムを「村ゲー」化

本作品のプロモーションなどを担当している、NHN Japan ゲームプライズ事業本部の里吉洋樹氏。自身もPC-9801時代から遊んでいたという「大戦略」好き
「大戦略」の伝統であるヘックス型マップは本作にも継承されている

――そんないきさつがあったからこそ、「大戦略WEB」は既存のシリーズ作品とはまったく違う画面構成になっているのですね。

宮迫氏: ええ。ですから「大戦略WEB」と聞いて、従来の「大戦略」がそのままオンラインゲームになったというイメージでいた方は、以前と全然違うものになっているので、きっとびっくりするのではないかと思います。

里吉氏: 実のところ、システムソフト・アルファーさんが売られているパッケージ版の「大戦略」にも、既に通信対戦機能は入っています。であれば、わざわざ同じものをブラウザ用にもう1回作り直す必要はないだろうと。従来のようなターン制のシステムではない、新しい「大戦略」とはどのようにするべきかと考えた結果、「大戦略WEB」はいわゆる「村ゲー」と呼ばれるタイプのゲームシステムになりました。シミュレーションとしての「大戦略」の妙味の1つに、都市などを占領して資源を手に入れてユニットを作るというものがありますが、この資源を手に入れてユニットを作るという、「大戦略」ならではのシステムが、「村ゲー」としての方向性ととてもマッチしていると思ったのです。また、宮迫さんからは「大戦略」シリーズの伝統であるヘックス形(6角形)のマップと地形移動のシステムはぜひやってほしいというご要望がありましたので、そのお話しを反映しつつ作った結果、現在のような構成になりました。

――11月からオープンβテストが始まっていますが、ユーザーさんからの反応はいかがですか。

里吉氏: お蔭様で、予想を上回る数のご登録をいただいています。オープンβテストを実施するにあたり、事前に特別なプロモーションをかけたわけではないのですが、やはり「大戦略」自体の知名度が圧倒的に高いのと、ハンゲームを通して「無料で遊べます!」と宣伝した効果が大きかったのではないでしょうか。また、「大戦略」のようなミリタリーシミュレーションゲームのリリースが最近なかったということもあったようです。今回はメインビジュアルを全てシステムソフト・アルファーさんに作っていただいたのですが、いわゆる萌え系の女の子キャラクターがバナーにズラリと並ぶご時勢にあって、ちょっとマジメかつおバカっぽい独創的な絵のウケがすごくよかったみたいです(笑)。現在でも、「じっくりゲーム」で配信中の全タイトルの中で人気上位に入っていますし、今後もかなり期待が持てますね。

――グラフィックスデザインについてはシステムソフト・アルファーさんのご担当ということになるのですか?

宮迫氏: ええ、グラフィックス関連と兵器ユニットに関するデータ全般については弊社で担当しています。ハンゲームさんのご担当はプログラム開発の部分ですね。

里吉氏: 弊社のほうで、各国ごとにどんな兵器があるのかを1から調べるのはとても無理ですからね(笑)。

宮迫氏: イメージイラストのデザインは比較的すんなり決まったのですが、地形などのグラフィックスについては、ハンゲームさんからのご要望に合うものがなかなかできなくて、途中で何度も作り直しましたね。最終的には、弊社のグラフィックス担当のスタッフを総動員して仕上げました。


ゲームスタート時に好みの秘書を選べる。もちろん全員が女性

――「大戦略WEB」を初めて起動させたときには、秘書の女の子が出てきてゲームシステムを説明するようになっていますよね。戦略シミュレーションという硬派なゲームでありながら、女性キャラクターをあえて登場させた理由は何でしょう。

里吉氏: そこはビジネス的な都合ですね。運営する立場から言わせていただくと、コンテンツの中に女の子が出てこないと怖いんですよ(笑)。オンラインゲームの全体を見渡しても、女っ気のないコンテンツはまず存在しないといってもいいような状態ですから。弊社のユーザープロフィールを見ても、85%が男性で、かつ20代後半の方がとても多いので、どう考えても女性を登場させたほうがいいということです。

宮迫氏: ゲーム中には部隊を指揮する指揮官が出てきますので、秘書を登場させる直接的な意味はないかもしれませんが。まあ潤いみたいなものがあってもいいだろうということですね(笑)。

里吉氏: 「大戦略WEB」では、どちらかというとコアなユーザー層に寄っているパッケージ版の「大戦略」とお客様を取り合おうという発想は全くありません。ハンゲームに来ていただいているお客様の特性を考えると、今までとは違ってカジュアルな方向に持っていったほうがいいだろうと思っていました。ですので、たとえばメッセージウィンドウではただ文字を並べるのではなく、秘書のキャラクターが喋っているのがいいだろうと考えました。

村上春樹氏: まずゲームを始めると、自分だけの基地が世界地図上にひとつ作られた状態でゲームが始まります。以後、ゲームにログインするたびに秘書が「おはようございます」と挨拶するようになっています。そうすることでプレーヤーが自分の居場所を持つことができるという意味もあります。

――いわゆる「村ゲー」のようなシステムにすることは、すでに企画当初から決まっていたのでしょうか。

村上氏: 企画当初は、そこまで考えてはいなかったですね。

宮迫氏: 今までよりも簡単な「大戦略」にしようという考えではいたのですが、なかなか具体化するところまではいかなかったですね。しばらくして村上さんから、「いいアイデアが思いつきました!」というお電話があり、ブラウザ対応型で「村ゲー」にしようというご提案をいただきました。

里吉氏: ビジネス的なお話をしますと、限られた時間やコストを範囲内で作ろうと思ったときに、前例のないゲームを作ろうとすると、どうしてもリスクが高くなってしまいます。先ほど宮迫さんがおっしゃられたように、簡単な「大戦略」を作ろうということであれば、システムの中身が見えているので比較的作りやすいだろう、ということなのです。ですからディレクターの村上から「村ゲー」にしようという話が出た時には、弊社では今までそのようなゲームを作ったことがなかったので、開発の難易度が高くなってしまうのではないかという心配もありました。それでも、村上が情熱を注ぎ込んで作りたいというのであればやってみようかということで開発を進めました。「村ゲー」タイプにしておけば、オンラインとの親和性が高いですし、ビジネス的にも成功する可能性が高いのかなと思いました。もっとも、本当はもっと小さめの規模にしようと思っていたのですが、作っているうちにどんどん規模が……。

村上氏: 膨らんじゃいましたね(笑)。

里吉氏: でも、結果的には今の形にしてよかったです。実際、お客様にたくさん来ていただいていますし、中途半端に妥協したものではない、オンラインゲームとして非常にいい場所に着地できたと思っています。


ユニット数のバリエーションも「大戦略」の特徴。「まだ200種類」といえるところが強みだ

――ゲーム中に登場するユニットの数はどのくらいですか?

宮迫氏: 現時点では約200種類ですね。これまでの「大戦略」シリーズの中には、多いものですと1,500種類ぐらい出てくるタイトルもあるのですが、「大戦略WEB」でいきなりそれだけの数を入れてしまうのはさすがにどうかと思いますので、新しいユニットを少しずつアップデートで追加するような形をとりたいと考えています。もっとも600種類くらいでしたら、今すぐにでもデータをご提供できる態勢はできています。

里吉氏: オンラインゲームビジネスにおいてアップデートはとても重要ですから、こちらとしてもそうおっしゃっていただけると本当に心強いですね。

村上氏: ユニットに関しては、これから数年間は大丈夫だろうと思っています(笑)。

宮迫氏: そこは弊社が20年以上かけて作り上げてきたデータがありますからね。




■ 「ハンゲーム」にないゲーム内容で集客に成功

NHN Japan テクノロジーセンターの村上春樹氏。「大戦略WEB」では主にゲームシステムの構築などディレクション業務を担当している

――私も早速「大戦略WEB」を遊ばせていただいたのですが、とりあえずCPUキャラクターである敵のテロリストと何回か戦って勝つことはできました。今後、ユニットをたくさん生産したら、他の多くのプレーヤーたちと戦うことになるわけですよね?

里吉氏: はい。ですが、今まで他のプレーヤーから攻撃されなかったのは幸運でしたね。油断していると、突然ものすごい数の爆撃機が攻め込んできますから気をつけてください(笑)。

村上氏: ただしゲームを始めてから最初の3日間は、他のプレーヤーから攻撃されないようになっています。それと、自分の基地には「地下倉庫」を必ず作っておくことをおすすめします。たとえ誰かに攻撃されても、貴重な資産の略奪を防ぐことができます。

――同時にたくさんのプレーヤーを相手にしなくてはいけないので、なかなか大変そうですが、その分やりがいもありそうですね。

里吉氏: 1つの世界の中に、各プレーヤーの拠点となる基地が2万あって、そこを基点として資源地などをプレーヤー同士で奪い合うわけです。それから、「大戦略WEB」では他のプレーヤーと同盟を結ぶこともできます。プレーヤーがお互いに連合しながら戦えるのは、オンラインゲームならではのよさですね。

村上氏: 自分の勢力を伸ばすため、近隣のプレーヤーにメールで連合を持ちかけたりすれば、ゲームの世界がどんどん広がるようになっています。

里吉氏: もし、どこの連合にも入らない状態で他のプレーヤーを攻撃すると、相手がどこかの連合に入っていた場合は、仲間の部隊と一緒に集まって反撃されますから注意してください。宮迫さんも実際に遊んでいたら、あるとき突然別のプレーヤーに絶え間なく攻められて大打撃を被ったそうです(笑)。

宮迫氏: 私自身、オンラインゲームで遊んだ経験がほとんどなかったのですが、自分の基地が攻め倒されたおかげで、優れたユニットが手に入るのであればお金を払ってでもやるぞという、プレーヤーの心理というか、アイテム課金の必要性がよくわかりました(笑)。

――フィールドマップ上にある、中立の都市や採掘場などの「資源地」は味方のユニットを派遣することで占領できるわけですよね?

村上氏: まず自分の基地の中に、「資源管理局」という施設を建設することが条件です。ただし、1度に占領できる「資源地」の数には上限が設定されています。

宮迫氏: 「大戦略」という観点から見ますと、基地に施設を作って大きくしていくというシステムは全く別のゲームなのですが、これはこれで新しい形の「大戦略」なんだと私自身はとらえています。プロセスこそ違いますが、お金や資源を集めて兵器を作るという親和性もちゃんと残っていますしね。

――オープンβテストを通じて、プレーヤーのみなさんの反応はいかがでしたか?

里吉氏: お蔭様でたくさんのご意見を頂戴しました。確か、アンケートのメールだけで4千件ぐらいあったかと思います。もう盛りだくさんですね。

村上氏: いや、今ではもう7千件ぐらいになっていますね。毎日読むのがたいへんなほどですよ(笑)。

里吉氏: しかしお寄せいただいたご意見をちゃんとフィードバックさせるのが、オンラインゲームでは重要です。

――ユーザーさんからはどんな意見が1番多かったですか?

村上氏: 最も多かったのは「レスポンスが悪かった」というご意見です。これは運営を開始した当初、サーバーの負荷が想定以上にかかってしまったのが原因でした。それから、「もっと戦略的な楽しみ方ができるようにゲームバランスを調整してほしい」という意見もたくさんいただきました。

里吉氏: 設計段階から「お客様はこういうふうに楽しむだろう」と想定はするのですが、オンラインゲームでは実際に運営を始めてから見えてくるものが往々にしてあります。それを見た上で、今いらっしゃるお客様に対して最適な調整にしていくわけです。

宮迫氏: よそのネット掲示板なども覗いてみたのですが、初めのうちは「こんなの『大戦略』じゃない!」といった書き込みもかなり見かけましたね。ですが、だんだん遊んでいくうちに「あ、こういう楽しみ方もあるんだな」ということに気がついていただけると思いますよ。

里吉氏: 例えばMMORPGでは、1度狩りに出かけるだけで1時間もかかってしまうようなゲームだと、途中で離脱してしまうお客様が結構いらっしゃいます。しかし「大戦略WEB」は、ほんの5分程度の時間でいつでも遊べる設計になっていますから、気軽にできますし、日々のプレイが大きな負担になって止めてしまうようなことはまずないと思います。

――施設の建設中であろうが部隊の出撃中であろうが、プレーヤーがいつでも好きなときにログアウトできるようになっていますね。

宮迫氏: そこがひとつ大きなポイントですね。それと、「大戦略WEB」では本拠地だけは絶対に占領されないように作ってあります。ゲームを始めていきなり基地を取られたりしたら、さすがにモチベーションを維持するのが難しくなってしまいますからね。

村上氏: それと「大戦略WEB」を通じて見えてきたのは、「ハンゲーム」の既存のお客様は「大戦略」のようなゲームを遊んだことがなかった人がかなり多かったようで、そういう意味でも作ってよかったと思います。

宮迫氏: 弊社のスタッフを見てみますと、今までオンラインゲームにずっとはまっていた連中よりも、全く遊んだことがない人のほうが、「大戦略WEB」に夢中になっていますので、私としても狙い通りのものができたのではないかと思っています。

里吉氏: 海外で作れるようなゲームは、わざわざ自分たちで作る必要はありません。どうせ新しいものを作るのであれば、新しいお客様を呼べるようなものにしようと思いました。なおかつ知名度の高い「大戦略」の存在を以前から知っていても、今までオンラインゲームでは遊んでいなかった人も取り込もうと考えると、今回の「大戦略WEB」の立ち位置はとてもいいですね。

宮迫氏: 弊社としても、「大戦略WEB」によって新しい可能性が開けたのではないかと感じますね。



■ 正式サービス開始に向けて、「大戦略WEB」が目指すものとは?

今後も正式サービスに向けて改善を続けるとともに、モバイル対応や世界共通サーバーなど、大きな夢も語ってくれた

――「大戦略WEB」の正式サービス開始はいつからの予定ですか?

里吉氏: 2010年2月3日の予定です。オープンβテストは2010年1月29日までの実施になります。

――正式サービス開始後には、何かイベントを実施する予定はありますか?

里吉氏: まずはゲームのバランス調整と、通信の安定性を整備することから考えています。私が思うに、日本のコンシューマー用ゲームは、昔からインターフェイスのよさを始め、細かい部分にまでこだわって作ってきたからこそ、ずっと評判がよかったのだと思っています。これまでに海外から日本にやって来たブラウザゲームを見ていますと、システム的に新しいことはやっていても、作りの粗い部分が見えたりします。「大戦略WEB」はせっかく自分たちで考えたものですから、ウインドウが開いたり閉じたりするときのアニメーションひとつにしても、本当に細かいところにまで気を使って作っています。また、実際に作ってみたところでわかったユーザビリティの向上というところにも、正式サービス開始までには注力していきたいと思っています。

――ビジネスモデルとしては、やはり有料のユニットなどを販売するアイテム課金方式になるのでしょうか?

里吉氏: はい。既存の「村ゲー」にあるような、資源や時間を短縮したり、あるいは部隊を指揮する指揮官を育成する課金システムを考えています。それと、我々「ハンゲーム」お得意の「ガチャ」(毎回ランダムで入手できるアイテムが変化する)も導入する予定です。それから国内に関しては、開始当初はメインターゲットとして20~30代のサラリーマン層を考えているのですが、2次集客のタイミングで大きなアップデートをしようと現在計画中です。

――途中でゲーム内容をガラリと変えたりするのですか?

里吉氏: そうではありません。例えば「大戦略WEB」を職場のPCで遊ぼうと思っても、普通のオフィスで働いている人だとゲームの画面を開けませんよね。そこで、一見するとExcelのような画面で遊べる「大戦略WEB」を作ろうと考えています。

宮迫氏: 私も自分のオフィスで、実際に指揮官の育成でExcelみたいな表にデータを打ち込みながらやっています(笑)。従来のオンラインゲームですと、時間をたくさん使ったプレーヤーのほうが有利になるようにできているかと思うのですが、それだと普通のサラリーマンはどうしてもついていけませんよね。その点「大戦略WEB」に関しては、短時間でも遊べるようなコンセプトにしてありますので、それをサポートする意味でもExcelみたいなものですぐにパッと遊べるようなものがあれば、さらにいいですね。

――将来的には、たとえばモバイル端末でも遊べるようにする予定はありますか?

里吉氏: はい。まだいつからとは言えない段階ですが、ぜひモバイルにも展開したいですね。Flashが動くブラウザがあればどんな機種でも遊べるようにしましたので、Android携帯みたいなモバイルでも、動作環境があればちゃんとプレイできます。最初にもお話ししましたが、導入時のハードルの高さを考えれば、これからはクライアント型よりもブラウザ対応型のゲームが伸びる時代になると思っていますので、順次対応していきたいと考えています。

――海外への展開もお考えですか?

里吉氏: もちろん考えています。最終的には、日本と同じサーバーを使って運営することにより、海外のプレーヤーと日本のプレーヤーとがいっしょに遊べるようにしたいですね。

――それでは最後に、「『大戦略WEB』のココを見てほしい!」というセールポイントを交えつつ、読者のみなさんにメッセージをお願いします。

宮迫氏: 今までずっと「大戦略」シリーズを遊んでいただいている方から見ると、「大戦略WEB」はかなり違ったゲームになっているとお感じになるでしょう。ですが、実際にプレイしていただければ、ブラウザゲームとして新しい「大戦略」の形ができあがっていることがわかっていただけると思いますよ。今はオープンβテストの段階なので、いろいろ不備もあるかもしれませんが、そこはこれから改善していきます。単に「大戦略」という名前だけをかぶせたわけではない、従来のシリーズ作品のテイストを持ちつつもさらに進化した「大戦略」ができあがると、私からも自信を持って言えますので、既存のシリーズのファンのみなさんにもぜひ1度遊んでいただきたいですね。

里吉氏: 今後もいろいろなアップデートを行ないつつ、モバイル端末への対応もぜひ実現したいと思っています。弊社は「大戦略WEB」を始めとして、これからも新しい領域のコンテンツ開発・配信にどんどん取り組んでいきたいと思っていますので、みなさんぜひご期待下さい!

村上氏: 「大戦略WEB」はまだまだ成長段階にあるコンテンツですので、まずはゲームバランスのさらなる改善と、システムの安定化を進めて、より快適に遊べるようにしていきたいと思います。現在は「クリスマスキャンペーン」も実施中ですので、ぜひこの機会にプレイしてみてください!

――来る2月の正式サービス開始までに、多くのプレーヤーに喜んでもらえるようないい作品ができあがることを期待しています。本日はお忙しいところ、ありがとうございました!




 最後に読者の方にお知らせ。現在、「大戦略WEB」ではクリスマスキャンペーンが開催されている。キャンペーン中には秘書がクリスマス用にコスチュームチェンジしたり、雇用候補者リストの中に「サンタクロース士官」が期間限定で登場するという。期間は12月28日12時までとなっているので、ご利用はお早めに!


【サンタクロース秘書】

【サンタクロース士官】


(C)2009 SystemSoft Alpha Corporation (C)2009 NHN Japan Corporation

(2009年 12月 25日)

[Reported by 鴫原盛之]