インタビュー

【年末座談会】e-Sportsと共に進化していくゲーミングブランド「Logicool G」

古澤明仁氏、StanSmith氏、DustelBox氏、梅崎伸幸氏が振り返るe-Sports今と将来

 ゲーミングマウスやゲーミングキーボード、ゲーミングヘッドセット、各種アクセサリ類など、「Logicool G」ブランドの多種多様なラインナップでゲーミングデバイス市場をリードしつつあるロジクール。それらのハードウェア製品を軸に近年、より力を入れつつあるのがe-Sportsマーケティングだ。

ロジクール、シニアクラスターマーケティングマネージャーの古澤明仁氏
今回、上記の古澤氏に加え、StanSmith氏、DustelBox氏、梅崎伸幸氏という、e-Sports界のキーマンを交えて座談会を行なった

 ゲーム大会等のイベントに協賛し、そこで活躍するゲーマーたちを支援し、消費者(ゲーマー)と製品(ゲーミングデバイス)の間にある垣根を、トップレベルで活躍するプロゲーマー達の力で橋渡しをしていく。これまでになくゲーミング文化そのものにどっぷりと浸かった製品開発と販売戦略が、今後は市場の特性そのものを変えていくことになるかもしれない。

 そんな近年のLogicool Gブランド展開における重要ポイントを「プロダクト、アスリート、イベント」の3本柱にあると語るのは、製品の日本展開を担当するロジクール、シニアクラスターマーケティングマネージャーの古澤明仁氏だ。古澤氏のいうとおり、いまやゲーミングデバイス製品は、単なる性能、単なる品質の差だけでなく、トップレベルの現場で「誰が使っているか」ということも、重要なフィーチャーになりつつある。

 その最前線に立つのが、界隈で活躍中のプロゲーマーたちだ。Logicool Gのブランドアンバサダーとして活動するStanSmith氏、人気配信者として知られるプロゲーマーのDustelBox氏、そして、日本初の給与制プロゲーマーチーム「DetonatioN Gaming」。現在ソフマップ秋葉原本館にオープンしたLogicool G専門ショップ「Logicool G Arena」では、デバイスそのものではなく、彼らの顔こそがLogicoo Gブランドそのものを代表している。

 こういったロジクールによるe-Sports方面への積極的な取り組みは、今後さらに、我々ゲームファンにとっても有益なものになるかもしれない。ロジクールは、単にデバイスを売りたいだけというよりは、もっと遠大な視点を持ち、国内にe-Sports文化を根付かせ、花開かせることを真剣に考えているからだ。

 今回は、上述のロジクール古澤氏、StanSmith氏、DustelBox氏、DetonatioN Gaming代表の梅崎伸幸氏とともに、ロジクールとe-Sportsの2015年、そして2016年への展望を語り合う機会を持つことができた。本稿ではその内容から、ゲーミングデバイスとe-Sportsを取り巻くトレンドの流れをご紹介していきたい。

e-Sports文化の開花を望む「Logicool G」。これまでの取り組みは多大な成果を挙げた

名だたるe-Sportsプレーヤー達を看板に立てる「Logicool G」ブランド
Logicool Gが取り組むe-Sportsマーケティングについて語る古澤氏
ソフマップにオープンした専門売り場「Logicool G Arena」。今後他店舗にも拡大予定だ
デバイスだけではなく、選手が顔となる。リアルのスポーツマーケティングと全く同じだという
プロダクト、アスリート、イベントの3つを柱として展開するLogicool Gのブランド戦略

 世界最大のPC向けペリフェラルメーカー、ロジクール(Logitech)がゲーミング専門のブランド「Logicool G」を設立してはやくも2年8カ月あまり。その間にロジクールからは速くも3世代〜4世代に渡る各種ゲーミングマウスやゲーミングキーボード、ゲーミングヘッドセット等の定番製品が産声をあげてきてきた。

 現行世代の代表格としては、ゲーミングマウスではFPS向けとされる「G402」、MOBA向けに最適化された「G302〜G303」、調整機能を充実させて多目的にフィットする「G502」、MMORPG向けに多くのボタンを搭載した「G600r」、そしてワイヤレスの最高峰「G700s」などが人気だ。Logicool Gでは個性的な製品を多数用意することで、ゲームジャンルやプレイスタイルへの適正を幅広くカバーする、強力なラインナップを実現している。

 ゲーミングキーボードにおいても、Cherryスイッチを独自に進化させたRomer-Gメカニカルスイッチが2014年12月デビュー。多目的・ハイエンドタイプのゲーミングキーボードとして「G910」、テンキーレスで省スペースな「G310」が立て続けに発売され、e-Sportsシーンの中心的存在となった。

 こういった強力なプロダクトラインナップをもってしても、真の意味でユーザーのニーズを満たすことは難しい。そう考えているのが、ほかならぬロジクールの古澤氏だ。2013年4月のLogicool Gブランド設立当初からe-Sports文化へ積極アプローチしてきた古澤氏は、この2年間の取り組みを振り返り「野球やサッカーなどと同じ、スポーツマーケティングと全く変わらないな、と思いました」と語っている。

 「実際、ナイキやアディダスのショップにいくと、彼らが約束しているブランドイメージをどうやってファンにエンゲージメントしているか、明確にわかります。そこにはわかりやすく陳列されたギア、躍動感のあるアスリートのイメージと、力強いエモーショナルなブランドコピーが際立っているんですよね」(古澤氏)。

 e-Sports自体、Logicool Gの立ち上げ以降急速に規模が拡大し、「World of Tanks」、「League of Legends(LoL)」といった国際的なゲームタイトルで、本格的にプロ活動を行なうセミプロもしくはプロゲーマーが、国内でも多くの注目を浴びるようになってきた。特に米Logitechでは2013年当時から「LoL」に注目し、早くからRiot Gamesと関係を作ってきたことで、ここ日本国内でもロジクールと「LoL」界隈とのつながりは深い。国内トップリーグである「League of Legends」Japan League(LJL)への協賛や、プロチームDetonatioN Gamingへのスポンサーシップはその一例だ。

 古澤氏は、こういったe-Sportsへの支援活動を通じて、消費者動向にも変化が現われてきたと語る。ネットの実際の声として聞こえてくるのは、例えばStanSmith選手が使っているから欲しい、DetonatioN FocusMeのCeros選手が使っているから欲しい、というものだ。これこそが、「スポーツマーケティングと全く変わらない」とする部分といえる。選手が使っているからこそ性能・パフォーマンスへの信頼が担保されるし、その選手たちの顔がそこにあるからこそ、幅広いユーザーに適切な製品の情報が届けられる。

 古澤氏によれば、こうしてゲーミングデバイス自体の裾野が広がっていくと同時に、Logicool G自体の業績も急激に成長しているという。前述の「Logicool G Arena」では、彼らプロゲーマーを前面に押し出したことで、オープン前と比較して同店舗で2.3倍の売り上げを達成。全体の業績としても、ゲーミングマウスにおいては市場シェア圧倒的ナンバーワン、ゲーミングキーボードにおいても2番手からトップに躍り出て、来年以降も二桁成長を見込んでいるという。

 こういった成長を見せた2015年は「LoL」とのタイアップを中心にe-Sportsマーケティングを展開。LJLへの積極支援や、学生団体による「e-Sports甲子園」へのサポート、あるいは東京ゲームショウ2015におけるゲーム大会「Logicool G CUP」の開催。特にこの独自カップ戦ではTwitch、ニコニコ生放送での配信にも力を入れ、延べ23万人もの視聴者を集めたという。他団体のイベント支援だけでなく、ロジクール自身によるイベントの独自開催にも非常な手応えを感じているようだ。

 ロジクールとしては今後このような活動をさらに強化する意向で、「来年以降は、協業タイトルをより広げていきたい」と古澤氏も語っている。2016年の課題としてはゲーミングキーボードのさらなるラインナップ拡充、Logicool G専門売場「Logicool G Arena」の展開強化、そして支援中の各プロゲーマーに連動した独自のグッズ展開(選手専用マウスパッドといった特注品のイベント会場限定配布など)を行なうことで、ブランドへのエンゲージメントを高めていくことなどが挙げられた。

 それでは、これらの活動の最前線に立つプロゲーマーたちは、どのような手応えを感じ、今後どのように成長していこうと考えているのだろうか。引き続き、StanSmith氏、DustelBox氏、DetonatioN Gaming CEO梅崎伸幸氏へのインタビューをお伝えしよう。

「GAME WITH PASSION. WIN WITH SCIENCE」、というLogicool Gのブランドスローガンとともにあるのは、DetonatioN FocusMeのCeros選手
選手が使っているから同じデバイスを買いたい。ユーザーの購入動機に大きな変化が現われてきている

(佐藤カフジ / 中村聖司)