インタビュー

「メイプルストーリー」、「RED」アップデートインタビュー

短期間で3度の新要素投入! 大きく変わるメイプルワールド

12月11日 新マップ「コメルツ」追加/冒険者改変

12月24日 新職業「神の子、ゼロ」実装

2014年1月 新職業「ビーストテイマー」実装

 ネクソンはMMORPG「メイプルストーリー」において、“「RED」アップデート”を実施する。このアップデートは3度に渡って行なわれ、第1弾は12月11日で、新しい大陸であるドーンヴェールに新マップ「コメルツ」が追加され、ストーリー性の強いクエストと、「交易」システムが追加される。

 さらに冒険者と呼ばれる戦士、魔法使い、弓使い、盗賊、海賊の5つの職業が“改変”され、バランスが調整される他、ストーリークエストや4次職を変更できる「自由転職システム」が導入される。

 「RED」アップデート第2弾は、12月24日の新職業「神の子、ゼロ」の実装となる。男のαと、女のβをという2人のキャラクターを切り替えて戦うというこれまでにないタイプの職業となるという。そして第3弾として2014年1月にさらなる新職業「ビーストテイマー」が実装される。

 今回は、12月1日に渋谷ヒカリエで開催された「メイプルストーリー 10周年記念オフラインイベント」に合わせて来日した開発スタッフと、日本運営スタッフにインタビューを行なった。話を伺ったのは、韓国NEXONメイプル本部本部長のオ・ハンビョル氏、メイプル本部ライブ2室室長ベク・ドゥサン氏、メイプル本部ライブ2室日本メイプルチームチーム長ミン・ヨンミン氏、メイプル本部ライブ2室メイプルブーストチームチーム長キム・ヒョンソン氏、そして日本運営のネクソン運用チームの中西啓太氏である。

韓国先行で実装された「冒険者の改変」と、「神の子 ゼロ」

韓国NEXONメイプル本部本部長のオ・ハンビョル氏
メイプル本部ライブ2室室長ベク・ドゥサン氏
メイプル本部ライブ2室日本メイプルチームチーム長ミン・ヨンミン氏
メイプル本部ライブ2室メイプルブーストチームチーム長キム・ヒョンソン氏
日本運営のネクソン運用チームの中西啓太氏

――「メイプルストーリー 10周年記念オフラインイベント」の感想を聞かせてください。

オ氏: リハーサルの時は、「もし人が少なかったらどうしよう」などと思っていましたが、とてもたくさんの方に来ていただいて、改めてたくさんの人が「メイプルストーリー」を愛してくれていると実感しました。今回が初めてのオフラインイベントですが、今後はどんどんやっていきたいですね。

ベク氏: 思ったより年齢の高いユーザーさんが多かったですね。長くプレイしていただいているからだと思っています。ゲーム開発のターゲットを考える、という意味でも参考になりました。それと共に、低年齢層にさらにアピールする方法も考えていきたいですね。

――10年の開発を振り返って、どのような感想をお持ちでしょうか。

オ氏: こちらとしては毎年新しいタイトルに取り組んでいる、という気持で開発しています。アップデートでも常に新しいコンセプトを打ちだし、プレーヤーのニーズに応えて開発しています。もちろん積み重ねているものも多いですが、ずっと新しいことを追いかけ続けての10年で、感無量です。これからも皆さんにお見せしたいものもたくさんありますし、今後さらに10年続けていくためにどうするか、悩みながら続けていこうと思います。

中西氏: 日本の運営側の視点では、初期のプレーヤーと現在のプレーヤーは大きく性格が変わっているなと思います。何度か大きな影響を及ぼしたアップデートがありまして、最初はアイテム課金制への移行、最近ではゲーム内のバランスが大きく変わった「ビックバン」アップデート……。こういった大きな動きがあったとき、プレーヤーさんが離脱したり、新しく始めたり、戻ってきたりという動きがあります。今後の目標としては、新規獲得はもちろんですが以前遊んでいた方にどう戻ってきて貰うかを考えていきたいと思います。

――今回のアップデートで、初期職業である「冒険者」に手が加わるところも、以前のユーザーにアピールするところだと思いますね。

中西氏: そうですね。「冒険者」の改変はそういう側面も大きいですが、今後の予定、5次転職など将来を見越したバランスへの改変です。

――一方で、韓国のユーザーの変化はどうですか?

オ氏: 10代の若いユーザーが多いですね。13~18歳くらいのプレーヤーが持続的に遊んでくれています。ただこちらでも10年間のユーザーの変化は感じています。「ビックバン」アップデートと、その次の「レジェンド」アップデートでゲームのバランスは大きく変わりました。ここでライトユーザーが多く入りましたね。

 韓国の場合、昨今はより簡単で、楽なゲームを好む傾向があると思います。このための施策も行なっていますが、それが日本でそのまま通用するわけではありません。日本では難易度を上げたコンテンツを投入したりしています。

――今回発表したアップデート内容は韓国ではどのように実装されていますか。

中西氏: 新職業の「神の子 ゼロ」と、「冒険者アップデート」は夏に入っています。「ドーンヴェール」と、新職業「ビーストテイマー」は日本が先行する予定です。

オ氏: 「神の子 ゼロ」はストーリー性でかなり評価が高かったです。これまでの「メイプルストーリー」にはなかった、と喜ばれました。ストーリーのテイストは日本のRPGに近い、という声も貰いました。

――神の子は男のαと、女のβを使い分けるとのことですが、具体的なイメージを教えてください。

ミン氏: αは太刀を使いフィールド狩りに有効なスキルを持っています。βは大剣を使いボスと戦うのに適しています。状況に応じて使いこなす事で有利に戦えます。さらに「アシスト」により2人が協力して戦うということもできますし、「コンビネーションシステム」で2人が力を合わせ派手な大技を繰り出すこともできるのです。これはスキルを連携して戦うことができます。

 ゼロは“時間の超越者”と呼ばれる強力な存在に転生するはずでしたが、暗黒の魔法使いにより男と女に分離させられ、鏡の世界に封じられてしまうのです。ゼロの目的は、真実の自分を目指すため、鏡の世界を脱するというところから始まります。

オ氏: ただ自分探しよりも、なぜ2つに分けられたのか、魔法使いに対抗するためにはどうすれば良いのか、というところがストーリーの中心になる感じです。

――今回、冒険者に手を入れた理由を教えてください。

キム氏: 戦士、魔法使い、弓使い、盗賊、海賊の5つの職業からなる「冒険者」は「メイプルストーリー」の基本となる職業で、多くの人に好まれています。その後様々な新職業が入り彼らの派手な外見に比べ、冒険者は10年前のままで、今回新しいパーツを追加しました。新キャラクターでこの新パーツを使うことができます。

中西氏: 日本のユーザーからも反響は大きいです。今回のパーツは新規キャラクターのみで、既存キャラクターの改変は今回ではありません。今後髪型の変更などの対応は考えています。

――冒険者のスキル改変のコンセプトを教えてください。どういった考えで改変を加えたのでしょうか?

キム氏: 全体的にその後の職業に比べスキルが弱いという部分がありました。そこで改変ではスキルを強く、各職業の特色もより強調しました。例えばスキルエフェクトも槍を使う場合は上級職がダークナイトなので、この最後のコンセプトに合わせ、前の職業にも暗い雰囲気を持たせるといった事をしました。

 また、氷と火を使う魔法使いに関しても、初期のスキルに関しても「氷と火を使っているんだ」とわかるように改変しています。古さを感じさせるものを今の感性に合わせリニューアルしました。

 もう1つ大きな要素としては「自由転職システム」があります。冒険者は新職業に比べキャラクター育成が難しい、レベルアップがしにくいという評価があり、4次職に到達したとき違う選択肢のキャラクターを作りたいと考えたときかなり負担になると考えました。そこで上級職である4次転職は自由に変更できるようにしました。

オ氏: 韓国では自由転職システムは歓迎されましたが、「初期クエストから進めるのが楽しいのに」という声もありました。自由転職システムはあくまで選択肢の1つとして楽しんでもらえればと思います。

【神の子 ゼロ】
男女に分けられてしまったというゼロ。ボス用とフィールド用の特性を切り替えて戦う

【冒険者改変】
新規キャラクター用の外見が追加。4次職を切り替えることが可能に

(勝田哲也)