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セガ、奥成洋輔氏特別インタビュー

PS2アーカイブスから3DSVCなど復刻タイトルについて語る


7月12日 収録



 株式会社セガの復刻タイトルを主に手がけているキーマンの1人、奥成洋輔氏。毎年のようにお話を伺っているが、昨年Xbox 360「ガーディアンヒーローズ」以来、気がつくとニンテンドー3DSの「バーチャルコンソール」でゲームギアタイトルのリリースを始め、プレイステーション 3/Xbox 360での「SEGA AGES ONLINE」の配信、「NiGHTS into dreams...」の発表とラインナップが一気に充実。

 さらに7月25日よりスタートしたPS3でプレイステーション 2のタイトルをプレイできる「PS2アーカイブス」のセガの初期のラインナップが「ドラゴンフォース」、「ダイナマイト刑事」、「ガンスターヒーローズ 〜トレジャーボックス〜」と「SEGA AGES 2500」でかつてリリースされたタイトルだったこともあり、久々にお話を伺うこととなった。


■ PS2アーカイブスの3タイトルについて

PS2アーカイブス「ドラゴンフォース」

● まずは、PS2アーカイブスに「ドラゴンフォース」や「ダイナマイト刑事」、「ガンスターヒーローズ 〜トレジャーボックス〜」のラインナップが決定した経緯からお話を伺えますか? 「SEGA AGES 2500」シリーズから3タイトルが登場することになったのはどうしてですか?

 まず、ソニー・コンピュータエンタテインメントさんの方から「PS2アーカイブスが始まります」というお話を頂いて、お客さんがどのようなタイトルに1番期待しているだろう、というところを考えました。そこで最初は「1番セガっぽいゲーム」の中から特に「懐かしいもの」を選んでみました。具体的に「何にしようか」というときに、僕のほうから「ドラゴンフォース」をリクエストしました。(「SEGA AGES 2500」シリーズで)僕が最初に手がけたタイトルであると同時にとても反響が大きかったので、たぶん今も喜んでいただけるお客さんが多いのではないかということですね。

 同様に、これまでPS3にはセガサターンの移植タイトルをリリースしていなかったので、「ダイナマイト刑事」を選びました。そしてアーカイブスとは別に、「NiGHTS into dreams...」も出ると(笑)。こちらは全然違う経緯で開発していたのですが。あとは、後期に多く出した「複数本パックものも出してみよう」ということで、いくつかの候補の中から、「ガンスターヒーローズ 〜トレジャーボックス〜」を選んでみた、というところですね。今後は、これらのタイトルでのお客さんの反響を見つつ、もちろん「SEGA AGES」に限らず、次のラインナップを考えているところです。

● 過去のプラットフォームで動いていたものをエミュレーションする、という方法で持ってきているPSアーカイブスというものがありつつも、PS2アーカイブスではセガさんは過去の別のプラットフォームのタイトルをPS2で起こしなおしたものを持ってきているのが不思議な感じなんですが(笑)。今回のラインナップは、「SEGA AGES 2500」シリーズのリリース時とは違った反響があるのかな、と感じます。……お値段もお安くなってますし。PS2版の「NiGHTS into dreams...」もそうですが、当時、リリースされていたことを知らなかった人もいるのかな? という。

 そうですね……。せっかくですので価格帯的にもお手ごろなところを狙ってみたかったので、ちょっと思い切った設定で出してみました。PS2の「SEGA AGES」に関しては、後半のラインナップは結構知らなかったという方もいらっしゃるみたいなので是非この機会に(笑)。僕が関わったタイトルの中だと、たぶん「ドラゴンフォース」が1番売れました。第1弾でチョイスした理由もそれですね。

● PS2アーカイブスに関して、「SEGA AGES」シリーズがシリーズ化する、という認識でいいんでしょうか?

 それはちょっと違います。セガとしては、PS2アーカイブスに関して、これからもどんどんタイトルを出していくと思いますが、それは「SEGA AGES」だけでなく、他のPS2タイトルも出していきたいと思っています。次の発表を楽しみにお待ち下さい。ただ、「SEGA AGES」の担当としてお話すると、この3タイトル以外にも「SEGA AGES」のタイトルは出すつもりです。

 今回、「SEGA AGES 2500」や「Vol.〜」という表記をタイトルから外したのは、1から33まで全部順番にリリースできたら面白かったんですが、さまざまな事情もありすべては出せないでしょうし、リリース順もバラバラになったからですね。1番はわかりやすくシンプルにして、お客さんに見つけてもらいやすくしたかったという理由です。価格も2,500円ではないので意味不明ですし(笑)。

 ソフトとしては、ほぼそのまま動いているという状態なんですけれども、面白いのは、マニュアルが画面上で読めます。ですので、今回のラインナップだと「ダイナマイト刑事」や「ガンスター」では、当時のスタッフコメントもそのまま収録してありますので、ボリュームのあるマニュアルを最後まで楽しんでいただければと。

● プレイデータのセーブ回りなども、そのまま動いている、ということなんですか?

 セーブデータの仕様に関してもそのまま動いています。ですが、初代PS3でPS2のソフトを動作させたものとのセーブデータには互換性はありませんのでご注意下さい。(詳しくは公式サイトを参照)

 今回の3タイトルに関しては、既に販売終了してしまっているタイトルなんですね。今でも時々「再販して欲しい」というご要望も頂くんですけれども、さすがに難しいので、こういう機会がいただけたのは非常に嬉しいですね。800円という価格は、決めた自分でいうのも何ですがかなりお買い得だと思いますし。

 ただ、あくまでPS2のソフトをそのまま提供するサービスですので、「SEGA AGES ONLINE」にあるようなオンラインの協力プレイや、ネットワークランキングなどはありません。そういう機能への要望が大きいようであれば、反響次第では今後、SEGA AGES ONLINEなど別の形で作ることもあるかもしれませんね。反響には個人的にいろいろ期待しています。

● 現行機での復刻タイトルのリリースに関して、メガドライブのタイトル、サターンのタイトル、ドリームキャストのタイトル、アーケードタイトルなど、とかなり幅広くなりましたね。

 いっぱいありますね(笑)。サターンで「SEGA AGES」というブランドが立ち上がったころからコンセプトは変わっていないんですが、セガの長い歴史の中で、「名作」とお客さんが呼んでいただけるようなタイトルがあって、それがハードが変わると遊べなくなったり、ゲームセンターから無くなったけど家庭用ハードに移植されていないタイトルがあって、そういったタイトルをもう1度遊びたいというお客さんに、過去の名作を提供したい、というのが基本コンセプトです。それがだいたい最初にゲームが出てから10年くらい経って希望が大きくなるんですね。まずサターンのときは「10年前に遊んだ体感ゲームを家で遊びたい」というのがあって、 PS2のころにはサターンのゲームが入ってきて、今、PS3やXbox 360の時代ではドリームキャストも懐かしのゲームタイトルになってしまいました。……当たり前の話ですけど、時代が経つにしたがって「セガの懐かしいタイトル」が広がっているということで、そういうお客様の声をサポートしていくことで、幅が広がることにつながっていますね。

 逆に、どうしても近年のタイトルに注目がされがちなので、とても古いゲームの復刻はどうかと、8bit時代の「アレックスキッド」をPS3やXbox 360に移植したりということも今回やってみました。目に見えるかたちでの要望は少ないのですが、続けられるかはお客さんの反応次第です。こういうのも続けられればと思いますね。

● 手ごたえとしては、どういったものが反応がいいですか?

 そこは明確に、新しい時代のものほど反応がいいです。今、ゲームを1番遊んでくださっているお客さんというのが、おそらく30歳ぐらいまでのお客さんですね。そのぐらいの年齢層の方が、「懐かしい」と思うのが、彼らが10代、20代で始めてゲームに触れた頃のタイトルなので、つまりここ10年〜20年前のタイトルが特に反響があります。具体的には今だと1990年代〜2000年代の頭のあたりのものです。

 タイトルの選定と同時に、復刻の手法に関してもどういう形で提供していけばいいのかも変化しています。サターンのSEGA AGESの時代は「完全移植」というところが1つの目標として挙げられていましたが、PS2のころにはより喜んでもらえる方法を模索するなかで、「リメイクしたらどうだろう」とか、「名前とコンセプトだけ残して新しいものを作ってみよう」といったものを経て、「忠実移植プラスアルファ」をやっていこう、と変わってきました。ですが「SEGA AGES 2500」シリーズが立ち上がってから、さらに時代が経って10年近くが経過しています。今のお客さんのニーズは当然変わっているので「そのまま遊べればいい」というお客さんもいれば、やっぱり「オンラインでの協力や対戦はないと困る」というお客さんも当然いらっしゃるわけです。グラフィックスに関して言えば、極端な話「ドットのゲームをTVではやらない」という方もいらっしゃいますし。じゃあ3D立体視にしたらどうかとか、とにかく、1度出た答えというものはずっと同じわけではありませんので、時代のニーズに合わせて使える技術を駆使して、お客さんの楽しんでもらえる方法を模索していく、という感じで続いています。

 あとはハードにあわせて「なにがいいか」ということを考えますね。そういう意味でWiiの「バーチャルコンソール」にメガドライブを提供したことは成功したといえますし、今はニンテンドー3DSのVC向けの「ゲームギア」タイトルに関しても、想像以上に反響があって喜んでいます。3DSを遊んでいるお客さんがゲームギアというハードをご存知だったということが嬉しいですね。20年前にゲームギアを遊んでいたお客さんが今3DSを持っているということですよね。最新作の「シャダム・クルセイダー」は92年のリリースで、今年で20周年というタイトルなんですが、ゲームギアで遊んでいなかったお客さんはまったく知らないゲームだと思います。ですが、ゲームギアを知っているお客さんには「名作」として認知のあったタイトルなんですよ。ゲームギアが登場して2年経ってリリースされたタイトルなんで、技術もこなれてきて、オートセーブだったりだとか、携帯ゲーム機のソフトとして練り込まれた内容になっているので、3DSで遊んでもすごく遊びやすいんです。



■ 3DSVCのゲームギアタイトルについて

3DSVC「シャダム・クルセイダー」

● 元が携帯ゲーム機で、新しくリリースされるのも携帯ゲームという意味で、なじみがいいということなんでしょうね。たくさんのラインナップがあって、ユーザーさんの評価の高いタイトルが第2、3弾と出てくるあたりが、「らしいな」という気もします。

 そこは当時の自分であったり、お客さんだったり、それまでの流れの中での「知名度」や「人気」を試したい、ということもありますね。最初にリリースした3作でいうと、「ソニック&テイルス2」は、WiiのVCでもマスターシステム版として3作リリースしていましたので、4作目を出したかった、というのと、「The GG忍」はちょうど3DSでも「Shinobi 3D」をリリースしていましたので、古い「忍」も遊んでみてください、ということで選びました。その2本のほかに「あとなんだろう?」といったときにあえてメジャーシリーズではない「ドラゴンクリスタル ツラニの迷宮」はどうかなと。ゲームギアならでは、携帯機としてのゲーム。据え置き機でリリースしても遊んでもらえないだろうけれども、とても3DSと親和性が高いタイトルとして、反響としてもなかなか健闘しているので、よかったなと思っています。価格としてもかなりがんばったので、お客さんに「とりあえず遊んでみようか」と勧められたのでしょうか? まだ遊んでらっしゃらない方はぜひ(笑)。

● 3DSのVCに関しては、凝ったことをやられていますが、開発としてはどうだったんですか?

 任天堂さんが3DSのVCを始められてから、だいたい1年後ぐらいにリリースしたんですが、「任天堂さんがやっていることは、最低限僕らもやらないといけないよね」と開発のM2さんと話しまして。ゲームギアタイトルをリリースしたときは、システム回りについてすごく良い反響を頂いてありがたかったんですが、「ゲームボーイタイトルでもやってるよ?」ということを皆さん知っていただきたいなと任天堂さんに代わって強く言っておきたいです(笑)。本体を3D表示するとか、残像のON/OFFだとか、画面表示の環境の再現はまず任天堂さんが最初にやられていて、僕らもときめいたんで。Wiiと同じでそのまま、ということではなくて、そういうシステム部分は我々も最初からやらなきゃ、ということで苦労はありました。とはいえ、ゲームギアはカラーバリエーションがあったし、とか、そういうところを考えていくうちに、ついついM2さんが凝りはじめて、結果あんな感じに……(笑)。

 いろいろ凝ってみたので当時の雰囲気を味わっていただければと思います。最後の最後にできたのが、3DSの充電池が切れてくると、ゲームギアのバッテリーランプも暗くなっていくというところですね(笑)。これもゲームボーイの方でも再現されていたと思うんですけど。電池が切れそうだと思ったら、1度ゲームギアタイトルを立ち上げてみてください(笑)。

● あの立体視で画面の中にハードウェアが表示されているというのは、新鮮でした。エミュレーションって画面だけ、という概念を覆されたというか。

 メニューでカーソルがあったときに、ゲームギアが立体で表示されるところは、ゲームギアが横型ハードでよかったと思いました。いい感じで収まっていて。

● ゲームギアのVCを見てしまうと、システムとしてゲームギアのすべてが乗っていて、もうそこまで開発が終わっていて、あとはROMのイメージ的なものを実装すれば、すべて動いてしまうのではないか? と勘ぐってしまいそうですが、どうなんでしょう?

 WiiのVCのときもそうだったんですが、まずは動作させるところから始まって、次にバックアップカートリッジの対応をやって、その次にセガタップによる4〜5人同時プレイをやったんですね。そこまでで1年ぐらいかかってるんですが(笑)。本当だったら、全部最初から出せればよかったんですけれども、技術的に凝りだしちゃうところもあって。今回、「シャダム・クルセイダー」が出せたのも、ようやくバックアップセーブ対応の再現ができたと。なので、これから、これを採用しているゲームを出していけるぞと。

 さらに次は「対戦ケーブル」を再現しようと動いています。そこで3DSに対戦ケーブルを繋いで……というわけではなく、そうではないやり方として「ローカルプレイ」を実装すべく準備中です。去年の春に発表したラインナップが5本あって、うち2本はラインナップしていたのにまだ出ていなくて(笑)。そんなタイトルが……。

● ローカル対戦の再現はやはり難しいんですか?

 難しいんですよ。そこを「技術のM2」がですね(笑)、「さすがセガ」、「さすがM2」と言ってもらえるようになるべく早く提供できるようにがんばっています。いつリリースできるのかはまだお伝えできませんが、楽しみにしていてください。

● ゲームギアタイトルって定番あり、携帯ゲーム機ならではのものありといろいろありますね。

 ゲームギアはわりとコンセプトを持って、オリジナルのゲームを出してきていたハードだと思いますね。持っていらっしゃらなかった方は、「ベア・ナックル」だったり、「エコー・ザ・ドルフィン」だったり、「ガンスターヒーローズ」だったりと、「メガドライブのゲームのダウングレード」的なタイトルが出ていたイメージが強いのだと思います。でも実際は「ドラゴンクリスタル」だとか、「The GG 忍」とか、移植ではないオリジナルのゲームもたくさん出てるんですよ。「ソニック」も移植タイトルはほとんどなかったですし、「コラムス」も対戦ルールが加わるなどプラスアルファがあったりとか。セガの8bit機向けゲームを長年開発してきたスタッフが、ゲームギアはゲームギア用のオリジナルを作り出そう、とやってきていたんです。だから(VCを待っている)お客さんも、なるべくそういったタイトルを遊びたいと考えていらっしゃると思うので、ラインナップはオリジナルタイトル中心で進めています。

 ゲームギアタイトルは「シャダム・クルセイダー」でようやく7タイトル出せましたので、今後もなるべく月1ぐらいのペースで続けていきたいと思います。

 あとは、3DS向けにはVC以外のこともやってみたいと思っています。まだリリースまでにはしばらくかかると思いますが、楽しみにしていてください。

● 何が来るのか、とても楽しみにしています!


■ PS3/Xbox 360でのサターン、ドリームキャストの復刻/「SEGA AGES ONLINE」など

● あとは据え置機、サターンやドリームキャストのタイトルをPS3/Xbox 360へ、というラインナップについてですが、基本的にはHD対応がメインですよね。

PS3/Xbox 360「NiGHTS into dreams...」

 「SEGA AGES 2500」などPS2時代はサターンまでをターゲットにやってきましたが、ドリームキャストをやるならHD機で、ということで、まず「ソニックアドベンチャー」、「クレイジータクシー」、その1年後に「スペースチャンネル5」と「ゲットバス」と続けてきて、その次に何を出そう? ということで今やっているのがいくつかあります。一部は海外では発表されていますが、国内で出せるかどうかを今調整を続けております。仕様について完全な確証ができてから、すっきりした形で発表させていただければと思います。あとドリームキャスト以外のタイトルとして、HD版の「NiGHTS into dreams...」や、春にPS3で発売した「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」の「3」と「4」も同じラインで開発しています。

● 最初の4タイトルがリリースされて、反響はいかがでした?

 面白いのは、「ソニックアドベンチャー」はドリームキャストの看板タイトルとして、当然反響はあると思っていたんですけれども、日本では「クレイジータクシー」の人気がソニック以上に高くて、去年のプレイステーションアワードでも特別賞をいただいたぐらい反響をいただけまして、成功を実感できました。この2タイトルが健闘してくれたので、「スペースチャンネル5」と「ゲットバス」は当時から作っていましたが、「これからも続けよう」という形で進めることができました。

● サターンやドリームキャストの復刻タイトルはセガ上海で開発しているんですか?

 「NiGHTS」はPS2版開発の流れもあるので、セガ上海が開発しており、もう1ラインが別のドリームキャストタイトルを開発していますが、ドリームキャストタイトルに関しては、実は別の開発会社でも開発しています。

● PS2の「NiGHTS into dreams...」のときもお話をお伺いしましたが、ソースレベルからの移植ってことになるんでしょうか?

 はい。ソースがあるとないとでは、やれる自由度が変わってきますね。「SEGA AGES ONLINE」も、ソースが残っているゲームとないゲームがあって、ソースのないゲームはトロフィー・実績をつけるときの難易度が全然違いましたね(笑)。HD機にリリースするゲームは、最低限オンラインの実績/トロフィーを入れなければならないので、ソースの無いゲームでいかに面白いトロフィー・実績をつくるかというのは苦労したところです。

 「SEGA AGES ONLINE」で1番やりたかったのは「トライアルモード」でした。「オリジナル版やこれまでの移植版にはなかった、もう1度新鮮に楽しめる新たなゲームモードを入れよう」というところがコンセプトにあって。そこを凝りたいときは、ソースがあればプログラムの深いところまでいじれるので凝れるだけ凝れるんですよね。ソースがないと、ない範囲でどこまでできるか、ということで相当苦労しました。

 僕が「SEGA AGES 2500」をやってきて、「なるべく忠実なものを移植していこう」というコンセプトの中で「スペースハリアー(II)」からやっていくうちに、プラスアルファの集大成として最終的に「ファンタジーゾーン コンプリートコレクション」でゲームのリメイク的な新作としてのSYSTEM16版「ファンタジーゾーンII」になっていったわけですが、実は「ファンタジーゾーン コンプリートコレクション」の中には、SYSTEM16版「1」のオマケモードとして、タイムアタックモードが入っていたんです。これは単なるタイムアタックではなくて、基地の耐久力などを変えて、1周クリアまでのスピードを速めるという、タイムアタックに適したバランスをとったうえでの1つのモードだったんですね。もともとM2さんが好きに作って来て、「面白いので入れよう」ということになったんですが、あの方向性を商品化したのが「SEGA AGES ONLINE」の「トライアルモード」です。

 「トライアルモード」の中でも特に傑作だったのは「モンスターランド」のファイヤーボールだけで戦うものですね。ファイヤーボールが無限に出せるけれども、1ミスで即死という、ゲームバランスとしてはオリジナルからかなりめちゃくちゃに狂うものなんですが。序盤はファイヤーボールを撃っているだけでクリアできちゃいますが、時間にシビアなステージでは、体力がない分、砂時計に到達するまでの忙しさがゲーム性になっていたりとか、後半はやはりミスなく進むのは難しい、という状況が生まれて……最終面をクリアするのは、通常プレイに比べるとよっぽど難しいことになっている、というところが、ゲーム的に新鮮で面白いというモードになっています。ああいうモードは、オリジナルを楽しんでいた方が、そのギャップを楽しむモードとして……それがメインにはならないし、オリジナルよりこっちが面白い、って言ってくれる人はそうそういないと思いますが……今まで見たことがないモードで遊べる、という意味では、忠実な移植と完全リメイク、という間の1つとして、面白いんじゃないかなと思っているんですよ。

 「SEGA AGES ONLINE」のポイントは、オリジナルを当時遊んでいた人、または今も遊んでいる人が新しく楽しめる……メガドライブは今もすぐに立ち上げられて遊べるから、なくてもいいや、っていう人が、これを遊んでもらえれば、ゲームモードは増えているし、オンラインランキングも含めて当時できなかったことを実現している、というコンセプトですね。

 ちなみに「トライアル」のもうひとつのコンセプトは、これまでクリアできなかった人が自力でクリアできる練習モードとしての存在です。あえてリトライの難しい後半のダンジョンやボスと戦えるモードをトライアルに用意することで、トライアルで練習して、本番は通常モードで、という遊び方を狙っています。

● それが面白い付加価値の付け方だなと思っていて。「ファンタジーゾーンII」の「SYSTEM16版」のときも思ったんですが、やっていそうでやっていないことだなと。「ゲームを遊んでいたからこそのアレンジの仕方」で、技術的な遊びを超えて、作っている方々がゲームが好きだからこその仕掛けだなと。

 ああいうことは何度もできることではないので、チャンスがあればまたやってみたいなと思っているんですが。当時も言ってましたが、あのリメイクが正解かどうかはわからないですが、1つの答えとしてはありなんじゃないかなと。FZ1とFZ2という、実はまったく違う2つのゲームをくっつけたときの方向性としてどこへ持っていくか、というときの1つの回答として、こちらに行き着きましたという。だから当然SYSTEM16版よりマスターシステム版が面白い、という意見もあると思いますし。でもそういうことが話せるのが、「IF」の面白さですよね。リメイクの形にしても、グラフィックスを3Dにすればいい、ということなのか、いろいろありますよね。

● こういったタイトルを単体で起こすのは大変かもしれませんが、この方向性は続いてほしいな、という気がします。

 PS2の時代にいろいろ実験、チャレンジして出してきたものが、今年結実しています。私がPS2でリリースしてきた「SEGA AGES 2500」や「NiGHTS」は実は日本でしか出なかったので、それをワールドワイドで発売して反応を見てみたい、ということが1つあって。2009年以降仕込んできたものがやっと花開いたというターンです。

 「SEGA AGES 2500」で、M2さんと一緒にやってきた「忠実な移植」を極めた、こだわったものを、発展系という形で提供したものが「SEGA AGES ONLINE」で、こだわりをもった移植というものが海外で通用するのかやってみたかった。たとえば「ベア・ナックルコレクション」には、日本版、海外版全部のバージョンが入っていますが、そのうちの「ベアナックルIII」の海外版、「STREET OF RAGE III」が、日本版と比べて難易度がやけくそに高くて、それまでシリーズを遊んできたお客さんも「難易度が高くて遊べない」と言っているゲームだったんですが、今回初めて海外のお客さんに、適正な難易度である日本版を遊んでもらいたいということで、トライアルにも日本版をあえて入れてみたりしました。

 もう1つは「NiGHTS into dreams...」。サターンは日本でしか成功しなかったハードですが、初代「NiGHTS」はもっと海外のお客さんに知ってもらいたいなと思っていたんで、ダウンロードコンテンツという形で、ようやく海外でも出せるのはうれしいですね。もちろんそのままではなくて、HD化したりいろいろ加えているわけですけれども、海外でもうひと花咲かせられるといいなと。

● PS2の「NiGHTS into dreams...」からもう4年経ってますし。拝見させていただきましたが、PS3/Xbox 360版は、基本的にPS2版をベースにHD化したものということですか?

 そうなります。グラフィックスに関してもシステム周り以外はそのままですが、ドリームキャストの復刻版と同様、解像度が上がったことで印象はより良くなっています。あとはもちろんオンラインでのランキングや、トロフィー・実績も対応しています。

 最近発表に伴って、なぜか今になってPS2版の公式サイトに掲載した内田の開発時の苦労話が大きな反響を受けているらしく、当人もいろいろな人から激励されて驚いていましたが(笑)、あの時の苦労があったからこそ今回HD版が開発できたので、当時頑張った甲斐がありましたね。実はセガ上海は今年で設立10周年なので、「NiGHTS into dreams...」もその記念のタイトルになった気がします。配信時期はまだ発表されておりませんが、開発は今最後の追い込みでスタッフ一同、頑張っております。HDになった「NiGHTS into dreams...」を楽しみにしていて下さい。

 2005年の「ドラゴンフォース」から最新作まで、お客さんの移植希望の声をできるかぎり実現させつつ、皆さんの想像の上を行くプラスアルファの遊び方をこれからも模索していきたいと思いますので、今後とも応援よろしくお願いします。

● ありがとうございました。


(C)SEGA

(2012年 7月 26日)

[Reported by 佐伯憲司]