C&Cメディア、MORPG「タルタロス」開発/運営チームインタビュー
シナリオの行方から開発内部の1番人気キャラまで、開発秘話を公開!

6月24日収録

シーアンドシーメディア本社

 

 株式会社シーアンドシーメディアがサービスしているWindows用MORPG「TARTAROS -タルタロス-」が、サービス開始から約半年を迎える。「タルタロス」はこれまでほぼ毎月アップデートというハイペースを維持しており、この7月1日には夏のアップデート「海の伝説」の第1弾となるUPDATE.7「海の伝説-港町ベルト-」が実装された。

 「タルタロス」はMOでありながら、フルボイスの個性豊かな9人のキャラクターとコンシューマゲームのようなストーリーが特徴。3人のキャラクターを切り替えながら同時に操作することで、戦略性の高いアクションが楽しめる。

 アップデートを前に、韓国の開発会社INTIVSOFTのCEOで、シナリオを担当しているLee Ju Won氏が来日してインタビューに応じてくれた。「タルタロス」の開発秘話や、今後のアップデートについての情報について、色々と聞いてきた。

 また、日本の運営についての情報は、シーアンドシーメディア「タルタロス」運営プロデューサーの槇原之康氏に話してもらったので、そちらも合わせてお届けしたい。


INTIVSOFTのCEO、Lee Ju Won氏韓国でパブリッシングを行なっているWemadeのHwang Kyuwan氏シーアンドシーメディア「タルタロス」運営プロデューサーの槇原之康氏



■ 夏のアップデート「海の伝説」には、高レベル向けダンジョン「エターナルダンジョン」が登場

「海の伝説」は夏らしく、海がテーマのシナリオとなる

編: 「タルタロス」はWindows向けのオンラインゲームですが、非常にコンシューマゲームライクな所がありますね。こういったゲームを作ろうと思ったきっかけを教えてください。

Lee Ju Won氏: オンラインゲームをユーザーとしてプレイしていた頃、後から考えてみるとあまり面白くなかったのにお金だけたくさん使ってしまったりと、いい思い出がなかったのです。昔、日本のコンシューマゲームをプレイした時のことを考えると、エンディングがあって、すごく面白かった、楽しかったという思い入れがあるのです。だからオンラインゲームもコンシューマゲームのようにいい思い出になるように作ってみたいという想いから「タルタロス」を作りました。

編: オンラインゲームには終わりがありませんし、ある程度のボリュームが必要だと思います。コンシューマと同じようにエンディングを作るのは難しいのでは?

Lee氏: オンラインゲームの中では、コンシューマゲームのようにエンディングがあったらそこで終わりという訳ではなくて、テレビドラマのようにシーズンごとにストーリーがあって、そのエンディングでユーザーに感動を与えられるようなゲームが作れると思います。コンシューマゲームは面白いですが、ゲームの中にいるのは自分だけで、なんとなく寂しさもあるじゃないですか。オンラインゲームならログインしたときに、ほかのユーザーがいてコミュニティがあるので、それがメリットになるのではないかと思います。

編: 現在のアップデートでストーリーはどの程度進行しているのですか?

Lee氏: 今入っているのは全体の半分くらいです。残り半分が終わると、違うストーリーになります。

編: 現在は、オボロスという神秘の石を見つけ出し、世界を二分しているタルタロス結界を超えてピンコの母親を見つけ出すという物語ですが、この話が終わった後にまた新しいストーリーがあるのですか?

Lee氏: このストーリーが終わったら、次は「エリアーデン王国」という場所に行くことになります。今度はキャラクター視点ではなくて、「タルタロス」という世界の中で広がる新しいストーリーになります。

編: 現在のオボロスを探すというストーリーとは、全く違うものになるのですか?

Lee氏: そうですね、完全に違う話になります。

編: サービス後に2人のキャラクターが追加されて、これで一通り発表されているキャラクターは出そろったわけですが、今後のストーリーの中でさらにキャラクターの追加はあるのでしょうか?

Lee氏: もともとは新規のキャラクターを追加する計画はなかったのです。しかし、韓国でも日本でも新規キャラクターを追加して欲しいという要望が来ているので、開発でも真剣に考えています。

編: 現在の開発状況を教えてください

Lee氏: 7月にアップデート予定の「海の伝説」は開発が完了しています。新しいスキルが追加されますし、新しいギルドvsギルドのコンテンツ「コロシアム ver3」が実装されます。これは今までものとは違ってパズル的な要素が入った対人コンテンツになります。もう1つ、「エターナルダンジョン」という、こちらは高レベル向けのPvEコンテンツです。ユーザーが協力してレアモンスターを倒して行きます。

船上での戦いでは、今までにない雰囲気を味わえそうだ
新NPCのバロン。かなりのマッチョだが、どんなキャラなのだろうか?

編: 「海の伝説」の見どころを教えてください

Lee氏: 海を中心としたシナリオが展開されるのですが、7月、8月のアップデートなので1つは季節に合わせたアップデートになるということ。あとは船で戦うフィールドが出ます。ほかのフィールドとは一味違う、特別な雰囲気を持つ場所ですね。

編: 「エターナルダンジョン」は今までのダンジョンとどこが違うのですか?

Lee氏: 「エターナルダンジョン」にはフロアがあります。1階から10階までそれぞれにボスがいて、上のフロアに行くほどいい報酬がもらえるというシステムです。

編: 「コロシアム ver3」のパズル要素はどういったものなのですか?

Lee氏: 今までの「コロシアム ver」は誰が1番敵を倒したかというキル数で勝敗が決まっていました。今回は、フラッグ戦のようなシステムを利用して、ユーザーが考えながらみんなで協力して楽しめるようなものです。

編: そういったシステムを入れたのは要望があったからですか?

Lee氏: 日本からも要望がありましたが、台湾などでも、対戦モード以外にもなにか特別なモードが欲しいという要望がありました。「タルタロス」のキャラクターは凄く個性があるのに、対戦だけで終わるのはもったいないのではないかと思い、それで「コロシアム ver3」を開発するようになりました。6月24日には「トゥリモン争奪戦」という「コロシアム ver3」のコンテンツがアップデートされましたが、今までのタルタロスとはまた別の楽しみが感じられると思います。

海と言えば水着。夏にぴったりのアップデートだ

編: 装備やファッションについてはどうでしょうか?

Lee氏: NPCが着ている衣装のコスプレができる「NPCアバター」が人気なので、今までとは違う種類のものを入れる予定です。NPCの衣装に人気があるのは、キャラクターだけではなくてNPCもユーザーに人気があるということなので、とても光栄です。それから夏ですので、水着をいれたいと思っています。



■ プレーヤーの生活まで考えたバランスの良いゲーム作りが理想

「ゲームとプレーヤーのバランスが大切」とLee氏。長時間遊び続けるようなプレイスタイルは日本でも批判されることが多いだけに頷ける話だ

編: 月1回のペースでのストーリーのアップデートを維持していくのは、ペース的に難しくはないですか?

Lee氏: このペースを維持していくのがベストだと思っています。開発をするのは確かに大変ですが、ユーザーたちに楽しんでいただくために、頑張って開発したいと考えています。

編: MOはコンテンツの寿命が短い傾向にありますから、大変そうですね。

Lee氏: 最初に「タルタロス」を作った時には、軽く遊んで、たまに遊びに来てという形のライトなゲームを作りたかったのです。でも始めてみるとユーザーが、ログアウトせずにずっとゲームの中で何かをやりたいと思っているのが、韓国でも日本でも凄くよくわかりました。それで悩みながらもいろいろなコンテンツを開発しています。MOがコンテンツをクリアするスピードが速いということはわかっていますから、新しいコンテンツをどんどん入れるのも大切だと思います。しかしもっと大切なのは「タルタロス」というゲームとユーザーの間のバランスを取ることだと思っています。

編: バランスを取るというのはどういう意味ですか?

Lee氏: 社長ではなく、1人のプレーヤーとして考えると、「タルタロス」のプレイ時間は1日3時間くらいが丁度いいのではないかと思うのです。3時間以上やるのは、ゲームのプレイが日常生活にまで影響を与えてしまい良くないのではないかと思い、疲労度システムを入れたわけです。ユーザーのために新しいシステムをどんどん入れるのも大事なのですが、そういったバランスも大切だと思います。

編: 適度なプレイ時間ということですか?

Lee氏: そうです。事業的な面では、ユーザーがたくさんいてお金を稼ぐのが1番の目的だと思いますが、「タルタロス」を愛してプレイしてくれているユーザーの立場から考えると、それだけではいけないと思うのです。ただコンテンツを用意するだけではなくて、そのコンテンツで遊ぶユーザーのことを考えなくてはいけないのではないかと思います。そこは事業者として悩んで、すごく考えなければならない部分です。



■ 日本の1番人気はルコ、韓国はナギ、台湾ではピンコ

「恋愛が成就した話を書かないのは、私が独身だからに違いないと韓国で言われているのですが、まんざら間違ではないかもしれません(笑)」とLee氏
日本で1番人気のルコは、正式サービス後の2月11日に実装された
後半のシナリオは、キャラクター同士の関係を描くものになる

編: 「タルタロス」には魅力的なキャラクターが多いですが、韓国では誰が人気ですか?

Lee氏: 韓国ではナギが1番人気のあるキャラクターです。国ごとに違いがあって、台湾ではピンコの方が人気があって、日本ではルコの人気があります。シュバルマンというキャラクターに対しては、韓国、台湾、日本とも同じで、すごくいじめられるキャラクターという認識です。

編: キャラクターを生み出すのは大変だと思いますが、どのキャラクターで苦労しましたか?

Lee氏: キャラクターは見た目や、性格などもそうですが、1番悩んだのは声です。「タルタロス」ではボイスが入るので、キャラクターに合う声優さんがいるだろうかとすごく心配だったのがピンコです。ピンコの性格は、普通とは若干違うので悩んでいたのですが、日本でも韓国でもピンコの性格にぴったりの声優さんに声を担当していただけて良かったです。収録中のエピソードなのですが、韓国でピンコの声を担当していただいた声優さんに、録音をしながら「このキャラは本当にへんな性格をしてるよね」と言われました。

編: 開発内部で人気のあるキャラクターはいるのですか?

Lee氏: 男性陣はほとんどがナギですね。たまにシュバルマンのこともありますが。女性陣はほとんどがソーマ、後はクロモドです。シナリオがあがった時に、自分たちがお気に入りのキャラクターのセリフが少ないと「どうしてソーマのセリフはこれしかなの?」とか「もっと長くして」と開発内部で言いあうので、次のシナリオを作る時に苦労しています。

編: シナリオはLeeさんが1人で担当しているのですか?

Lee氏: 私がメインのシナリオを作って、ほかに2人ほどNPCのセリフや演出を考えるスタッフがいます。最初は私が1人で企画を考えて、それをスタッフに見せて意見をもらってから修正して完成させていきます。それと、ピンコの性格はヘンですが、私の性格がヘンというわけではありませんからね(笑)。

編: シナリオはもうかなり先までできているのですか?

Lee氏: シノプシスはエンディングまで完成しています。細かい部分までできているのは、今年の11月に入るアップデートのものまでです。その後に関しては、いま企画を進めている段階です。

編: これからクライマックスにかけて盛り上がっていくわけですが、後半の見どころを教えてもらえますか?

Lee氏: 今現在入っているシナリオでは、9人のキャラクターが出会うストーリーがメインになっていたのですが、これからは9人の感情や、キャラクター同士の関係が感じられるような展開になります。「消えたイリシア」では、イリシアの過去の話などが出ますし、「海の伝説」ではピンコがストーリーの中心になってきます。



■ セキュリティ向上のために、携帯認証を検討中

「GMイベントやオフラインイベントも積極的に行なっていきたい」と槇原氏

編: 日本からの要望はどのように現場に届いているのですか?

Lee氏: 開発が韓国なので、直接のやりとりはできないのですが、開発元でも日本のコミュニティサイトやニコニコ動画を見たりして、ユーザーの反応を確認しています。後は運営から、ユーザーの要望事項を受け取って、それでユーザーがどんなふうに考えているかを確認しています。日本のユーザーに直接話を聞いてみたいですね。クオリティの高いゲームを作るためには、ユーザーの意見が大切ですから。

編: 「タルタロス」にはどんな不正対策が入っていますか?

槇原之康氏: それは運営サイドからご説明します。今は正式サービスと同時に、ユーザー様から課金をしていただく段階からセキュリティカードを導入しております。セキュリティカードを入れられない場合は、正式開始日を延ばすくらいにプライオリティを高くして導入しました。今の所、セキュリティカードにきちんと対応していただいているユーザーさんからは、不正の被害は出ていません。

編: 対応していないユーザーもいるということですか?

槇原氏: 我々としては、まず気軽に遊んでもらい、「タルタロス」を楽しんでいただくことを考えております。そして「タルタロス」を気に入っていただき、続けて遊んでいただける方や課金をしていただける方には、きちんとセキュリティーカードを発行してくださいとね、という形をとっています。それだけではなく、定期的にカード発行キャンペーンで、使ってくれた方にいくらかポイントをさし上げますという形で促進も図っています。それと合わせて今進めているのが、携帯電話からの認証です。これは今後の予定として検討しています。セキュリティについてはいたちごっこの部分があり、新しいセキュリティを入れるとそれを突破してという形になります。ですから、常に被害の一歩前の段階で止められるよう、検討を進めて実行してまいります。

編: 最後にユーザーへのメッセージをお願いします

Lee氏: 「タルタロス」というゲームを愛していただいてありがとうございます。サービスが始まって5カ月くらい経ちましたが、これからもユーザーのために頑張って開発をしていきたいと思います。

槇原氏: この半年間、本当にありがとうございます。いろいろ問題がありつつも、楽しんでいただいているかと思います。ここから先の半年間に関しては、我々の方でも開発元と協議してアップデートの準備を進めています。「タルタロス」はすごく愛着を持ってくださるユーザーさんがたくさんいらっしゃいますので、その方々に末永く楽しんで頂けるよう、愛されるゲームにしていきたいと考えています。アップデートだけでなく、GMイベントやオフラインイベントなど、みなさんが楽しんでいける仕掛けを随時追加していきたいと思っています。期待に応えるため最善の努力をする開発と運営チーム、スタッフたちですので、これからも期待していてください。

編: ありがとうございました。


【イベントスクリーンショット】
7月8日からイベント「たーまやーっ!かーぎやーっ!夏祭り花火大会!!」がスタートする。夜空を彩る花火や、屋台で楽しもう

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※画像は開発中のものです。

(2010年 7月 2日)

[Reported by 石井聡 ]