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祝! セガ、PS3/Xbox 360「ドリームキャストタイトル配信」
プロデューサー奥成洋輔氏インタビュー

6月23日収録

会場:株式会社セガ

 

 2010年秋、プレイステーション 3/Xbox 360のPlayStation Network/Xbox LIVE向けにドリームキャストのタイトルが配信される。現在発表されている配信タイトルは「ソニックアドベンチャー」と「クレイジータクシー」の2つ。この反響は大きいようで、Twitterやブログなどでもこの話題が取り上げられているのをよく見かける。いざ移植が発表されたものの、「どのようにしてドリームキャストタイトルの配信が決まったのか」、「なぜこの2タイトルが選ばれたのか」、「どのような形で移植されるか」など、気になる点は多い。

 今回のプロジェクトに関わるキーマンの1人、プロデューサーの奥成洋輔氏にインタビューを行なうことができた。これまでに発表されていない情報も数多く聞くことができたので、興味のある方はチェックしてほしい。

 インタビューの際には、E3会場に出展されたものと同じバージョンをプレイすることができた。なんとも懐かしい印象を受けたが、HD解像度対応やフレームレートの向上など、今回の配信バージョンならでは追加要素も確認できた。

「ソニック」シリーズ初の3Dタイトルとなった「ソニックアドベンチャー」
BGMや爽快なプレイが人気の「クレイジータクシー」


■ 世界を見据えたドリームキャストタイトル配信プロジェクト

プロデューサー・奥成洋輔氏

―― PS3/Xbox 360にドリームキャストタイトルを配信することになった経緯を教えてください。

奥成洋輔氏: これまでマスターシステム、メガドライブ、セガ・サターン(サターン)、アーケードと数多くの移植をやってきました。この流れからして、ドリームキャストを移植しようという話は常にありました。そんな中、昨年9月がアメリカでのドリームキャスト10周年だったんです。その時にセガ社内でドリームキャスト移植の気運が高まり、開発がスタートすることになりました。

―― 本プロジェクトの企画発信は日本から?

奥成氏: アメリカです。ダウンロード系の市場も日本より海外の方が大きいため、アメリカやヨーロッパから発信されることが多いのです。メガドライブと比べドリームキャストは開発のハードルが高いですが、日本だけでなくアメリカやヨーロッパの市場も視野に入れると、ドリームキャストタイトルの配信がビジネス的に成立すると考えました。

―― バーチャルコンソールなど、これまでセガさんが配信されてきたタイトルという観点から見ると、マスターシステム、メガドライブと来て、「次はサターンなのでは?」と思えたりもしますが、何故サターンではなくドリームキャストなんでしょうか?

奥成氏: 世界向けとなると、ジェネシス(メガドライブ)、ドリームキャストは有名ですが、サターンは無名なんです。あの頃はプレイステーションやニンテンドウ64は海外で成功していましたが、サターンは正直成功できなかった。このことからドリームキャストに決めました。ただ、サターンを無視しているわけではないです。「NiGHTS(ナイツ) into dreams...」などを移植していたことからもわかっていただけると思います。

―― サターンの移植も期待できると。

奥成氏: 今回発表させていただいたのはドリームキャストでデビューしたタイトルを連続して配信していくというプロジェクトです。それとは別にサターンのタイトルの移植ももちろん考えています。これまでSEGA AGESとバーチャルコンソールが別々に存在していたのと同じです。サターンの移植をするつもりがないわけではありませんので、是非リクエストをいただきたいです。

―― 2010年秋配信とのことですが、2タイトル同時に配信されるんですか?

奥成氏: 同時ではないですが、2タイトルとも秋を目標に進めています。

―― 日本と海外で配信時期や配信タイトルに違いはありますか?

奥成氏: 同じ時期に配信します。日本時間と海外時間で考えたら日時の差はあるでしょうけど(笑)。今回の配信タイトルは日本、海外ともに出しますし、基本的には全て日本でも出すつもりです。

―― どれくらいのペースで配信されるのでしょうか?

奥成氏: クオリティを保って配信したいので、ペースはあまり気にしていません。中途半端なものは出せませんから。ですが、コンスタントに出したい気持ちはあります。SEGA AGESよりはコンスタントに出せるようにがんばりたいです(笑)。

―― 移植はどこのスタジオが担当されているんですか?

奥成氏: PS2「ダイナマイト刑事」、「NiGHTS into dreams ...」などを担当したセガ上海が行なっています。

―― オリジナルのスタッフも開発に関わっていらっしゃるのでしょうか?

奥成氏: 「ソニックアドベンチャー」であればソニックチーム、というように監修という形で関わっています。

―― PS3とXbox 360で違いはありますか?

奥成氏: 基本的に同じになるように進めています。ハードの違いによる発色など若干の違いはあるかもしれませんが。

―― バーチャルコンソールのあるWiiが移植対象のプラットフォームに入っていませんが、Wiiに移植されないのでしょうか?

奥成氏: ドリームキャストは1GBのディスクを使っていましたので、容量的な問題から、Wiiは難しいですね。ただ、その分、WiiはWiiで他にやりたいことがありますし、バーチャルコンソールへのタイトル開発は現在も続けていますし、これからも続けていきたいと思っています。



■ 完全移植ではなく、プラットフォームに最適化された移植を目指して

「ソニックアドベンチャー」は60フレームで遊べるように
「クレイジータクシー」は16:9に対応

―― ドリームキャストと言えば、「ビジュアルメモリ」が思い出されますが、ビジュアルメモリの要素はどのようになるんでしょうか?

奥成氏: DLCということもあるので、ビジュアルメモリの要素については割り切っています。ただし、配信されるバージョンではチャオに名前を付けられるようになっているなど、ドリームキャスト版ではできないことも実装しています。あくまでベースはドリームキャスト版ですが、Windows版やニンテンドーゲームキューブ(ゲームキューブ)版など、良いところを吸収して移植しているんです。今回はあくまでドリームキャストのタイトルを現行機で遊べるように提供するのが目的であって、完全移植にはこだわっていません。

 例えば「ソニックアドベンチャー」であれば、キャラクターのモデルはクオリティアップされたゲームキューブ版「ソニックアドベンチャー デラックス」のモデルを使っています。見比べるとわかるのですが、クオリティが全然違います。どうしても「おさんぽアドベンチャー」を遊びたければドリームキャスト版をプレイしてもらうしかないですね(笑)。

―― 解像度やフレームレートに関してはいかがですか?

奥成氏: 解像度は720Pに対応しているので、ドリームキャスト版よりも高い解像度で遊べます。フレームレートに関しても、ドリームキャスト版は30フレームですが、今回のバージョンでは60フレームを目指して開発しています。ゲームキューブ版「ソニックアドベンチャー デラックス」も部分的に60フレーム出ていますが、ほとんどのケースで30フレームなんです。

―― 「HD化」、「クオリティアップ」、「ビジュアルメモリ関係はオミット」というのがベースコンセプトになるのでしょうか?

奥成氏: パッケージほど開発規模は大きくないので、その中でできるだけ高いクオリティを実現できるように移植しています。「ソニックアドベンチャー」であれば、ドリームキャスト版だけでなく、過去に移植されたゲームキューブ版やWindows版もあるので、そこのいいところは反映させています。ムービーもドリームキャスト版より解像度が上がっています。

―― ドリームキャストタイトルの移植に関しては、エミュレーター上で動かす形式を採用しているんでしょうか?

奥成氏: エミュレーターの研究はしていますが、今回のプロジェクトに関して言えば、エミュレーターは使っていません。実際にやってみると簡単にはいかないのですが、エミュレーターを作って、ソフトを放り込んでいくという手法も確かにあります。ですが、今回はPS3やXbox 360用に調整したかったので、素のままを出すエミュレーターより、ソースコードから移植する方が適していたんです。例えば「クレイジータクシー」なら16:9に対応しています。ソースコードからの移植であれば、こういうメリットが出せるわけです。開発中の未発表タイトルについてもエミュレーターは今のところ使っていません。

 技術的な話をすると、ドリームキャストのエミュレーションは現行のハイスペックPCでも不可能なんです。ドリームキャストのPowerVR2というGPUは半透明ポリゴンのピクセルソート(ポリゴンの位置関係に応じてきちんと並び替え表示させること)ができます。これはドリームキャストの特徴的な点でした。ですが、この概念自体が現在主流のGPUには存在しない機能なんです。これをエミュレーションするとなると、ピクセル単位で処理しなければならなくなりますし、ソフトウェアで処理することになるので、現行のハードウェアでは処理が追いつかないでしょう。処理の簡易化やピクセルソートを使っていないタイトルであれば問題ないでしょうが、いちいちそこに手を加えてエミュレートするのは効率的ではないですね。



■ 移植タイトル選定にはユーザーの声が大きく影響。タイトルによっては通信対戦機能が搭載されることもあるかも!

―― ドリームキャスト本体と同時に発売されたセガブランドタイトルは「ゴジラ・ジェネレーションズ」と「バーチャファイター3tb」だったと思うのですが、第1弾に選ばれたのは「ソニックアドベンチャー」と「クレイジータクシー」でした。どうしてこの2タイトルが選ばれたのですか?

奥成氏: ここは悩まなかったところです。ドリームキャストの顔といったら「ソニックアドベンチャー」ですし、「クレイジータクシー」も「ドリームキャストを代表するタイトルといえば?」と10人に尋ねたら必ず出てくるタイトルに間違いないので。これについては誰からも異論はありませんでしたね。

―― 「クレイジータクシー」のBGMはどのようになっているのでしょうか?

奥成氏: 配信される「クレイジータクシー」のBGMは今回オリジナルのチョイスになっています。多くは新たに加わった曲ですが、一部PSP版で選んだBGMも入っています。カスタムサウンドトラック機能がありますので、ドリームキャスト版のBGM曲でプレイしたい場合は、別途サウンドドラックを用意してもらえれば再現できます。カスタムサウンドトラック機能はXbox 360だけでなく、PS3でもできますので、ご安心ください。

―― 第2弾以降に配信されるタイトルは決まっているのでしょうか?

奥成氏: 決まっていますが、まだ開発中で発表できない状況です。開発終了の目処が立ったら発表しますのでお待ちください。次に発表するタイトルもドリームキャストを代表するものになっています。

―― 「ジェット セット ラジオ」など、ユーザーから移植希望のあるタイトルは数多く存在しますが、ユーザーの声は移植タイトルに大きく影響を与えますか?

奥成氏: 私自身、弊社宛に届くメールやアメリカのSEGA Forumなどもチェックしていますし、タイトル選定の際には、そこで見かけたタイトルの優先度を上げたいとも考えています。もちろん希望があれば弊社宛に出してもらうのが間違いないです。社員一同チェックしていますから。パッケージタイトルですが、Xbox 360「バーチャロン フォース」もそういう声から生まれたタイトルの1つですし。

―― HD化など、今回の配信版ならでは要素がありますが、今後配信されるタイトルでは通信対戦機能が実装されることはあり得るのでしょうか?

奥成氏: 通信あってこそのタイトルであれば、実装前提で開発しますし、既にしているかもしれません。

―― 元々通信プレイが可能だった「ファンタシースターオンライン」のようなタイトルの移植であれば、通信プレイが実装されるということですか?

奥成氏: もちろんです。ただし、通信がゲームのキモであっても、タイトルのスケールの問題があります。「サーバーで運営していくようなタイトルがダウンロードコンテンツの商品としてバランスがとれているか」が判断材料になりますね。「ゴジラ・ジェネレーションズ」は私も好きなゲームですが、もし移植した場合、多くの人はそれならもっと他のタイトルを先に……となると思うんですよ。メガドライブなどと比べると1タイトルの規模もずっと大きいので、バーチャルコンソールほど、なんでもコンスタントに出していけるという形ではないので、需要に応じて慎重に検討しています。

―― 新マップ追加など、オリジナルの追加ダウンロードコンテンツは期待できますか?

奥成氏: 少し話は違うかもしれませんが、アバターアワード、ランキングなどは用意していますし、絶対にやったほうがいいよね、というタイトルであれば検討します。

―― 実績やトロフィーの設定はどのようになっていますか?

奥成氏: 1時間でコンプリートできるようなものにはなっていませんが、普通に遊んでいただければ解除できるように設定してあります。

―― 「ストーリーを全てクリアすれば全て解除」といったイメージですか?

奥成氏: タイトルによりますね。簡単に実績が解除できるタイトルもあるでしょう。とにかくゲーム自体を楽しんでいただくことを重要視しています。実績を求める方にはXbox 360版の「獣王記」がオススメですよ。今回とは関係ないですが(笑)。1時間程度で大体解除できますから。「アフターバーナー クライマックス」のように「EXTRA OPTION」を使えば全てとれるタイトルもありますし。今回のプロジェクトに関しては普通です。複雑には考えていません。

―― 最後にドリームキャストタイトルの配信を楽しみにしている読者に一言お願いします。

奥成氏:セガには過去の資産が数多くあり、それぞれにたくさんのファンがいてくださる。僕らの使命は、それらを現行機で遊べるように提供していくことです。これは今後も続けていきます。これからもリクエストと応援をよろしくお願いします。



 今後配信されるタイトル、具体的な配信日や価格はまだ発表できないとのことだったが、今回のインタビューでは新たな情報を多く聞くことができた。ドリームキャストタイトルの配信についても、続報が入り次第お届けしていく予定だ。



(C) SEGA

(2010年 6月 30日)

[Reported by 木原卓 ]