カプコン、PS3/Xbox 360「ロスト プラネット 2」
プロデューサーの竹内潤氏に特別インタビュー
「本当に怖がらずにオンラインでもプレイしてみてください!」

6月1日 収録

 

 株式会社カプコンより5月20日に発売されたPS3/Xbox 360用アクションシューティング「ロスト プラネット 2」。皆様はもうプレイしておられるだろうか。メイン雪賊のレベル上げとアイテムポイントの収集に余念がない筆者は、仕事の合間を見て黙々とオンライン協力プレイ、さもなくば勢力マッチでコツコツと仲間の足を引っ張る(本人は協力しているつもり)日々にいそしんでいる。まだ未体験という人は、僭越ながら筆者のつたないレビュー記事があるので、なにがしかの参考にしていただければ幸いだ。

 さて……連日オンライン協力プレイで何の脈絡もなくチームアクションをキメては「そういのは予めいってくれないと対応できないし」と仲間に無視される日々を送っていた昨今。編集部から「『ロスト プラネット 2』インタビューの話があるんだけど、どう?」というオファーがあった。タコのようなAKに頭からパックリと喰われて「んがぐっぐ」とボイスチャットで喉越し音を再現しても「バカはほっとけ」と既に一顧だにされなくなっていた筆者は、そんな寂しさを癒してもらうべく「どこに断る理由がありましょうか」とふたつ返事で承諾。プロデューサーの竹内潤氏が待つカプコン東京支社へと向かった。



■ 開発当初から協力プレイを軸にすえたシリーズ最新作

竹内潤氏

GAME Watch編集部: 今作は協力プレイが全面的にフィーチャーされていますが、制作当初から「これでいこう」と決めておられたのでしょうか?

竹内潤氏: そうですね。開発当初から協力プレイを全面に入れていこう、ということで。チーム全体の意志的に「こういったゲームで、いまや協力プレイは外せないんじゃないか」と。ふたりでやるCO-OPもいいんですけど。世間的にはふたりでやるところが主力になってきているんで、うちは4人を狙っていこうじゃないか、と。

編: なるべく大勢でやる楽しさ、と申しますか。

竹内氏: はい。ただ、設計上は面倒くさくなっちゃうんですけど。

編: ゲームバランスも変わりますし。

竹内氏: そこなんですよねぇ。凄くバランスで苦労したというのは、あります。

編: 1作目はひとりの主人公でストーリーを進めていったわけですが、協力プレイがメインだと開発のアプローチも変わってくるのですか?

竹内氏: 遊ばせ方やストーリーの組み方そのものが、4人CO-OPだと大きく変わってくると思うんですね。あまりストーリーでグイグイ押してしまうと、4人のユーザーさん各々の思惑というかプレイスタイルに対応しにくくなる。強制的に「こっちにきなさい」といいすぎちゃうと、そこは違うんじゃないかと思って。だいぶ、ゆる~い縛りになっています。

編: 前作の主人公はモデルに芸能人を起用しておられましたが、今回特定のモデルがいないのは、そういうところにも理由があるわけですね。

竹内氏: そうですね。自分でカスタマイズしてもらったり、選ばれたキャラクターを自分の分身としてゲームのなかで遊んで欲しいということで、あえて主人公たちにも特定の名前を持たせないようにしています。

編: 協力プレイがメインということで、やはり「モンスターハンター」シリーズは意識されましたか?

竹内氏: う~ん、実はあまり開発チームは意識していなくて。そもそもシューターベースのゲームである「ロスト プラネット」と、どちらかというとRPG要素が強い「モンスターハンター」では、スタートそのものが違う。4人という数が出たときに、「モンスターハンター」が4人だから、じゃぁほかに5人、あるいは3人という話もでたんですけど、どうしてもキリが悪いというか。4は、なかなかいい数字だよね、と。じゃぁ逆に、そんなに意識して4を避けるのではなくて、気にせず自分たちもベストと思える4人でいいんじゃない? という話で決まりました。

編: 人数が多すぎると集るまで時間がかかりますし、少ないとワイワイやってる感がなくなる。

竹内氏: パーティ感が出ない、というところがありまして。4て適切だよね、って。自分たちも考えてみたとき「モンスターハンター」の4って、良くできてるよねぇって話にもなっちゃうんですけど。

編: 4という数字がベストだとわかっていても、実際には色々な人数を試してみるんですよね?

竹内氏: そうですね。今回は4人以下でいつでも始めてもらえます。3人とかでもやってみたりするんですけど、バランス的にも4人が1番いいねぇ、という話にはなっちゃいますね。

編: 実際のオンラインだと、4人揃うまで待ってるかと思えば、1対1でスグに始めちゃう人も結構いますよね。BOTも含めて、プラスアルファでやりたいっていう人もいるみたいです

竹内氏: ひとりだと嫌だけど、もうひとり居るくらいがちょうどいいっていうユーザーさんも多いみたいですね。そういうところは本当に、自由に選んでいただけるようには作っています。正直、4人でやるほうがゲームのクリア自体は楽じゃないかな、という気がしなくも……。

編: クリアという点では、BOT+3人と人間+3人は、もう圧倒的に違いますね。

竹内氏: どうしてもBOTじゃ追いつけないところがあるというか。BOTの難しさってそこにあるんですけど、全部BOTがやっちゃうと、プレーヤーとして面白みがない。その辺のバランス調整で1番悩んだのがエピソード3です。

編: やはり。あそこはBOTがひとつのキーワードですよね。

竹内氏: 本当は自分が消火作業にいっているあいだにBOTが弾を込めて撃ってもいいんですけど、弾込めて撃たれてクリアされましたってのは、あまり面白くない(一同笑)。じゃぁユーザーに撃ってもらいたいんだけど、BOTが消化と弾込めを全部やってしまうと、自分はコクピットに座っているだけになって、ゲームとしては面白みが出なくなる。BOTのコントロールに1番悩んだところです。ちょうどエピソードの真ん中らへんの終わり、ひとつの大きな山を作ろうということで、あえてエピソード3を真ん中にもってきました。

編: そういう意味では、BOTの動かし方は“均一のAI”ではなく、ステージごとに味付けがされている?

竹内氏: 部分部分では、どうしても調整しなくてはならないところがあります。



■ ルーレットによるランダム性の導入など新規ユーザーを配慮したバランス調整

編: AIの調整にも関わる話ですが、今回は新たな装備やVSが多数追加されました。こちらもバランス調整が大変だったのではないでしょうか?

竹内氏: マルチプレイのときに、あまり不利益になりすぎてはいけないということで、かなり調整には気をつかいました。今回、入手方法も「レベルに合わせて強い武器が手に入る」とやってしまうと、結果的に長く遊んでいるユーザーさんだけのゲームになってしまう。極力レベルによる解放を避けて、好き嫌いがわかれるんですけど……ルーレットという形にしました。

編: それが“ルーレット”に決めた理由なんですね。

竹内氏: 1番は、今お話した“強いユーザー”、“弱いユーザー”というか。上手い下手が、ユーザーさんのコントロールスキルで決まっていくのはいい。ただ、長くやっているか否かだけで決まると、古参に対して新規が入りにくい環境になってしまう。そういった意味でルーレットにして、運任せにしてしまおう、ということにしたんです。

編: 運任せというお話ですが、個人的な体感として、どうも「通り名」が出やすいような……。

竹内氏: たぶん、昔の駄菓子屋のおばちゃんと同じことだと思うんですけど(笑)。欲しいものが出ないと、やっぱりそういう感覚になりやすいよなー、ということは開発も言ってました。

編: 冷静に考えると、通り名のほうが一杯入ってると。

竹内氏: 数的には多いですからね。ただ、武器も結構な数が入ってますし、他のものも結構入っている。そんなに通り名だけが出るってことはないと思うんですけど……。

編: おばちゃん隠してへんよ? ちゃんとウチはアタリくじ入れてるよ?、と。

竹内氏: 入ってます(笑)。一応、ガチャガチャと違ってダブリは出ない。ある程度「通り名がでまくるやんけ!」といって、メチャクチャ運が悪くて通り名が全部出ちゃったら、あとは武器しか出ませんから。帳尻は合う。

編: ルーレットを回すのに必要なアイテムポイントが途中から上がるのは、出現するアイテムの質が、ある程度よくなるからですか?

竹内氏: いいものが出る、というところもありますし。ゲーム的に進んでいくと、ある程度ポイントを高くしていかないと。プレーヤーさんの能力も、どんどん高まってますから。

編: アイテムポイントの稼ぎ場所ですが、オンライン協力プレイだと某エピソードに人気が集中しているようです。

竹内氏: やっぱり、あそこで回されます?

編: 私はわりと飽きっぽいので、そこだけ集中してやるのではなく、エピソードをコロコロ変えながらアイテムポイントを稼ぐのが楽しいです。ちょっと攻略寄りの質問ですけど、アイテムポイント稼ぎのポイントなどはありますか?

竹内氏: 場所的には、まだいくつかあるので……ココ! って、やっぱりいいたくないんですよね。明言しちゃうとユーザーさんの楽しみを奪ってしまうので……。

編: では、まだみんなが気づいていない稼ぎ場所が?

竹内氏: あると思います!(笑)。ちなみに、そういうところもウォッチさせていただいています。初心者の方にとって「エピソード3がつらい」という話もいただいてますし。

編: 私はあまり苦労した印象はないんですが、総じて「エピソード3」がつらいという声はよく聞きます。

竹内氏: 凄く個人差があるみたいですけど、そのあたりは先日のオンラインアップデートで対策を行ないました。

編: 開発当初から、そのあたりはシミュレーションで苦戦が予想されていたんでしょうか?

竹内氏: そうなんですよ。苦戦するとは思っていた。そこに山をもってこようという作りをしていたんですけど、ちょっと山が高すぎたみたいで……。基本的にCO-OPでやられている方はそうでもなくて、シングルユーザーのかたが「ひとりじゃつらい」というご意見が多かったようです。ちなみに、対戦バランスのほうはどうですか?

編: マップによりけりでしょうか。スタート時の状況でも変化しますし。たとえば、Lサイズのマップで、まだ人数が少ないのにホストがゲームを始めちゃったり。

竹内氏: 本当は、ホストの方にもう少し粘っていただけるといいんですけどね。

編: あとは、仲間内のバランスですよね。特に勢力マッチで、ふたり差がついた状況でゲームが始まって、その直後に落ちる人がいるじゃないですか。対策としては難しいですよね。即無効にするわけにもいかないし……。

竹内氏: そうなんですよ。前作でも似たような話があったので、今作からホストが落ちても救済できるような仕組みを入れたんですけど、すべてを解消する方法は……難しいなぁ。

編: 1番手っ取り早いのは、人数差をポイントで底上げしてあげるとか。落ちていった人数分も動的に変化させたり。

竹内氏: それをやっちゃうと、うまく利用されるのが嫌で……。ポイントの境目を狙って、1番美味しいところまで抜けちゃってポイントを稼ごう、みたいな、ね。

編: ダミーの人数を入れて途中で落とすとかありえますからね。ごく一部のユーザーは考えられない対応をしますから……。

竹内氏: プレイ中にLANを抜き差しする人もいるので……えげつない。ぼくらとしては、物理的にLANが切断されたらいったんハード的にゲームのセッションを終了する仕組みが欲しいんですけど、アプリ側でやっちゃうと通信レイテンシがおかしくなったのか、LANが抜けたのかを判断できないんですよ。



■ 「ロスプラ」らしさを踏まえつつマルチプレイも考慮したAKデザイン

編: AKは本作の特徴のひとつですが、2作目にして既に「これぞロスプラ!」という全体のイメージが確立されていると思います。デザインするうえで、なにかガイドラインはあるのでしょうか?

竹内氏: 1作目のとき、アートディレクターとだいぶ揉んで今のラインを決めているので、2作目は本当にスムーズにいきました。シリーズ共通のイメージとしては「見たことあるんだけど、見たことないものを作ろう」と。昆虫っぽい、サンショウウオっぽい、それぞれモチーフはあるんですけど、そこは実際の生物のラインを壊していく。でも壊しつつも、肝心なところは残す。その微妙なバランスをとりながらデザインしていくのがミソだと思っています。

編: あとは弱点ですよね。オレンジという色も印象的ですし。

竹内氏: デザインの段階からゲーム性と直結するので、たとえばデバウスであれば、お腹に弱点があるから四つんばいのときは攻撃しにくい、2本足で立ったときは攻撃しやすい。ゲームとマッチさせていくところが「ロスト プラネット」のデザインの方向性かな、と思っています。

編: 一部のAKは攻略ポイントがより明確というか、ユーザーをきっちり誘導して倒させている作りも特徴ですよね。

竹内氏: はい。その辺は、わりとわかりやすくデザインしようと。先に壊して欲しいところはなるべく明示的に、出現したときからわかりやすくして。そこが壊れたら、はじめて壊しにくいところが見えてきて、何も説明しなくても「あぁ、ここ急所だよね」っていうイメージ。そういう形でデザインしています。

編: 今回、協力プレイ向けにデザインを変えた部分などはありますか?

竹内氏: デザイナーが凄く気を配ってくれたのが、4人で遊ぶときの「方向」ですよね。ゴディアントを見てもらうと、全員が同一方向から攻撃しないよう“足”が正面にないんですよね。弱点が正面にあると、みんな正面から攻撃しちゃうから、両サイドに弱点がある。しかも3本あるから「どれを狙う? みんなで集中する? それとも分担する?」といった遊び方がしやすいようにデザインしてくれてます。その一方、新しい出来事が起こるような作りにしよう、というボスもいます。全部のボスを、なんでもかんでも誘導するようにはしていません。

編: そのあたりのインフォメーションですが、意図的に抑えられているところに対して“もっと教えてくれ”という人と“こんなもんでいいよ”という人、かなりの差がありますよね。

竹内氏: ユーザーさんの好みがハッキリわかれてくるタイトルかな、とは思いますね。ここ最近の他社さんとか全体の傾向としては、ユーザーさんに対して明確に誘導していく方向性が強いですね。シューターにおいてもそうで、ユーザーさんを迷わせる、考えさせる、幅を持たせるという作りは避ける方向に向かっている感じ。いい意味でいえばスマート、悪い意味でいえば1本道で進んでいくものが多いなか、あえてうちは逆に……。

編: 私がおっさんゲーマーというのもありますが、幅があるほうが全然いいんですよね。3-1にしても、列車を追ってくる巨大AKに対して、ロケットランチャーで撃退してもいいし、ドラム缶をぶつけてもいい。そういうふくらみがあるのが、凄く好きなんです。

竹内氏: ドラム缶は、気づいた人がやって欲しい。シングルでやっていると気づかなかったけど、CO-OPでやると「え、これ落とせるの!?」みたいなのが、ね。

編: 実際、発売当日のオンライン協力プレイでありました。ドラム缶に限らず、気付きにくい方法をやってみせると、ボイスチャットで「おぉ! そんなのできたの!?」って声が聞こえると、思わずニヤリと。

竹内氏: そこなんですよね。マルチなんだから、そういう楽しみを感じてもらいたい。ルーレットのなかに「花火」という武器を入れているんですね、落下傘が降りてくる(笑)。あれって、最初に作ったときは“賑やかし”だからアタリ(判定)がついてなかったんです。「勝ったときに使ってもらうといいんじゃない?」というイメージだったんですけど「でもこういうふうにマルチプレイを作るんだったら、アタリをつけておくと何か起こるかも?」って、特に想定せずアタリをつけると、オンラインで遊んでいると、意外とアレでデバウスを攻撃していたり、とか(笑)。あと、水中マップで意外な使い方をしたり。

 使い方をユーザーさんがクリエイトしていくっていうところで、ぼくらも見てて楽しい。こんなことやるんだ、こんなところからスナイプしてるよ! っていうのが面白い。そういうのが起こりやすい、幅のあるゲームの作りをしています。逆に「こう戦え!」という解答がないのを嫌がる人もいれば、やるたびに新しい発見があって面白いという人もいるんです。

編: 想定外のエピソードで、なにか印象的なものはありましたか?

竹内氏: 3人乗りのVSがいるじゃないですか。片方に敵チームが乗って、もう片方が味方チーム。で、味方チームが敵を攻撃してるわけじゃないですか。自分自身で攻撃してたら「アッ!」と気づいたみたいで。ハッとひらめいたんでしょうね。降りて操縦席側にのって、突然バックしはじめたんですよ。宇宙ステージは端から落ちるとそのままロストじゃないですか。どうやら操縦席側に乗った人は、ここでVSを落として、自分は緊急脱出で助かろうと思ったらしい。が、銃座に乗ってる敵はVSがバックしていることに途中で気づいて、ギリギリのところで緊急脱出。操縦席にいた人は緊急脱出しそこねて自滅して……っていうできごとがあったらしく、それをとある人から聞かされた(一同爆笑)。

 こういうことって、他のシューターでは起きにくいんですよね。こういうのが起きたときに「『ロスト プラネット』すげーって思った」という話をきかされて。ゲームをプレイしている最中に“ひらめく”っていう行動があったことが、凄く新鮮だったって(笑)。

編: 敵味方、入り乱れて乗れることが凄い。一般的な考え方として、3人乗りVSに誰かひとりが乗っていたら、その敵軍は乗れないように作りますからね。

竹内氏: そのほうがゲームのルールとしてはわかりやすい。でも「乗れちゃったら、どうなるんだろう?」っていうのは、みんな興味あると思うんですよ。あえてそれを禁止しないというか。そういう意味で、幅を作りたい。幅を作りたいと思ったとき「こっちいけ、あっちいけ」と言い過ぎないっていうのは、ひとつ大切なポイントかなと思います。

編: 作り手側としては、凄く勇気がいることだと思います。幅を持たせたぶん、そこで変なことが起こる可能性が増えてしまう。

竹内氏: 「ロスト プラネット 2」っていうゲームの作りが、ユーザーさんの切り口で本当に色々な見え方をする。CO-OPで遊ぶごとに深みが増すことの証明だと思います。



■ 戦いを盛り上げる武器、装備、アビリティ、VSなど新旧装備

編: 新旧含めてで構わないんですけど、武器、装備、VS、ステージで、竹内さんのお気に入りを教えてください。

竹内氏: ぼくはスナイパーライフル派ですね。ライフル2とか、よく使ってます。操作系で上手い人に勝てる気がまったくしないので……。

編: スナイパーのほうがテクニカルじゃないですか?

竹内氏: テクニカルですけど、距離をとって戦える。距離を詰められて、ってことがないので。

編: なんとなくランクマッチっぽいノリですねぇ。私の印象だと、ランクマッチってロングを選ぶ人が多いんです。それって明らかなヘッドショット狙いだよね? って最初ゾクッとして。ゲームが始まるまで、レギュレーション投票がないんですよ。で、気づいたらロングになってる。最初の頃ちょっと悩んだけど、実は上級者が始まる直前に投票してた。頭を30発くらい連続で射抜かれて、やっと気づきました。あと、海外の人はキューブマップが大好きな印象があります。強力な武器の場所を知ってて、そこにスナイパーライフルの射線をあわせて拾いにきたところに「ポン!」と。

竹内氏: 逆手に取れますよ、結構。それがわかってると先に外周から攻めましょう、みたいな感じで。

編: 装備的には、いかがでしょう?

竹内氏: シールドは、かなり苦労して作ったので……アレはおすすめですねぇ。使い方も難しいんですけど。ある程度強くなければ使ってくれないし、逆に強すぎるとバランスを崩しちゃうし。気を遣って作りました。

編: CPUは結構、悪用してきますよね。狭い通路を塞ぐように使ってこられたときはビックリしました。接近したらシールドで「ゴスッ!」としばかれましたし。

竹内氏: そういうときは遠慮なく(背後に)グレネードを投げて。「はい、バイバイ」って感じで(笑)。ちなみにシールド、どうですか? 「上手く使ってるなぁ」という人を、あまり見たことがないんです。

編: 対戦は守ってあげるよりも……逆に怒られたことはありますね。「そんなことやってるんだったら撃ってよ」と。要はキル効率が落ちる。「ひとり守ってる労力があれば、その時間でふたり殺せるだろ」と。それをいわれちゃうと「うーん、一理あるけど、こういう楽しみ方ってダメ?」みたいな。「俺がここを支えている隙にー!」という“身を挺するゴッコ”とか。

竹内氏: 開発で上手くなると、武器とシールドを使いわける奴は、結構強いですよ。

編: でも、チームサバイバルとか、そういうルールだと特にそんな感じですね。「遊んでるんとちゃうわ!」みたいな。

竹内氏: いや、遊びだし!(一同笑)。でも、みなさんマジメですよねぇ。

編: 1分1秒でも効率よく遊びたい、という方々はとても多いです。アビリティはいかがですか?

竹内氏: ぼくはデータポストを早く立てたい人です(笑)。

編: 今はサードパーティさんのコントローラーがあるから、連射がきくじゃないですか。ランクマッチで連射を入れてる人がいますよね。連射パッドがあれば要らないんじゃ……。

竹内氏: でも、まぁ、ねぇ。ぼくは連射パッドをあまり使わないので……でも連射パッドを使いたい気持ちはわかりますよ。気持ちいいッスよ、早く立つと(笑)。

編: 特にランクマッチだと、データポストを立てるときの隙はメチャクチャ危険ですからねぇ。格好の的になってしまう。

竹内氏: データポスト戦をやってると、みんな(アビリティを)つけてるじゃないですか。「はえー!」みたいな。つけてる奴が4人集ると、メチャクチャ早いんですよ。ピコーン! すぐ立った! みたいな。無いと困ります。 ぼくデータポスト戦が好きなんで(笑)。

編: VSはいかがですか? 今回は合体とかケレン味あふれる機体も増えました。

竹内氏: 色々バリエーションが増えて楽しくなったがゆえに、個人的にはハードボーラーが好きだ! みたいなところが。1周しちゃいましたねぇ。

編: たしかに、ハードボーラーって象徴的というか。ポスターやパッケージでも真ん中にいますし。1番人気ですよね。

竹内氏: フィギュアにもなっちゃっうくらい。ガチ●ピンという愛称でおなじみ。誰もハードボーラーっていってくれない(笑)

編: 型番でいわれても、誰もわからない(笑)。唯一わかるのが「タツノコVSカプコン」をやっている人。ボイスチャットで「PTX」ってきこえると「あぁ、この人は『タツカプ』やってるな」っていう。今や、コレ(ハードボーラー)がいないことは考えにくいですよね。

竹内氏: そうです。コレがいないと「ロスト プラネット」が始まらない、みたいな。永久に続くんじゃないかな?

編: ここまでの存在になると、想定されていましたか?

竹内氏: うちの開発で1番最初にデザインされたVSが、実はハードボーラーなんですよ。開発のなかではハードボーラーが中心みたいなところがあった。違和感はないんですけど、気づくと「あれ、ユーザーさんもみんなそうだね?」みたいな感じだった。

編: マスコットじゃないですけど、シンボル、アイコンと申しますか。

竹内氏: 逆にドライオなんかは、昔のロボットアニメっぽかったりしますし。ハードボーラーは「他にないデザイン」というのも象徴的なのかなと思います。首がないけど顔がある“気がする”というか。某チョコボールのキャラみたいに愛嬌もあるし。で、愛嬌があるわりにやることは結構エゲツない(笑)。

編: ステージはいかがでしょう? 今回はエピソードごとに実にバラエティに富んでいます。

竹内氏: 今回、陸上戦艦のところが凄く好きで。「陸上戦艦を奪え!」という感じのノリとか、ノマドというキャラとか、あのバカさ加減が凄く好きなんですよねぇ。

編: 以前、マイクロソフトさんと合同で行なわれた「CAPCOM TITLE PREMIERE FOR XBOX 360」で見せていただいた映像が、まさに「陸上戦艦」のステージでしたよね。それってやっぱり「ここを1番見せたい!」というお気持ちがあった?

竹内氏: はい。オンラインゲームで実際に走っているもの(陸上戦艦)を追いかけていって、乗って、乗っ取って、その後も2段、3段とオチがあるっていう遊びは、あまりないと思うので。だいぶ気に入ってはいますね。

編: 最初、あの発表や映像を見て奪って壊す的なゲームなのかと思いました。半分当たってましたけど。

竹内氏: できれば、あの陸上戦艦がロボットになって“どつきあい”までやりたかったんですけど。開発に「ちょっと無理」っていわれて。「えー、『俺、右足!』、『じゃぁ俺は左足!』みたいなのやりたいじゃん、4人で!」って(一同笑)。昔、某アニメ作品であった巨大戦艦が変形するロボット同士の戦いをやりたかったんですよ。当時、主人公が乗る戦艦は唯一無二なんですよ。それがロボットアニメのお約束だったのに、その作品だけ主人公が乗る戦艦の同型艦が出てくる。敵の首領が腕を組みながら「パターン破りだ!」って(一同笑)。凄いな! と。この2体がどつきあいをするっていう、子供としては“夢あふれる絵”を見せてもらって。それをぜひゲームでもやりたい、いつかやりたい、虎視眈々と狙ってたんですけど。次はどつきあいをやりたい!

編: デザイナーが死にます。

竹内氏: 死にますね。ていうか企画マンも死にます。「どうやって4人CO-OPで操縦するんだコレ」みたいな。

編: そういう竹内さんと開発チームの“原体験”が、そこかしこに投影されていますよね。

竹内氏: やっぱりみんなの原体験は詰まってますよね。よくゴディアントの出現シーンの話をよくするんですけど、水面をみているとなぜか水中で「ビカビカッ!」とエフェクトが出るんですよね。あれはもう某特撮シリーズでは定番で、「怪獣が出るときは水面が光らなきゃダメだろ!」と。

編: もしくは泡がブクブクとか、怪しい水流がモコモコ沸いてくるような。ていうか、みなさん特撮が大好きですよね?

竹内氏: それがあって然り、なんですよ。ぼくらの原体験って、そこなんで。それをなんか「海外はこうだから」って言わずに。海外といっても、有名監督のJ・J・エイブラムスが「クローバーフィールド」という作品で、最後は伊福部マーチで終わるような映画を撮っちゃうわけじゃないですか。ワールドワイドに通じると思うんですよ。そういうところを盛り込んでいこうっていうのが「ロスト プラネット」のそもそものコンセプト。遠慮なく盛り込みました。遠慮なく、です(笑)。



■ “1京(けい)通り”を超える圧倒的なカスタマイズボリューム

編: カスタマイズについておうかがいしたいんですが、組み合わせを計算すると“1京(けい)”通りある、と。ちょっともう、桁がおかしい(笑)。

竹内氏: 通り名も全部あわせて、なんですけど。カスタマイズを楽しんでいただく以上、すぐ終わっちゃうとか、組み合わせだけでパターンを多く見せるのはやめよう、と。ちゃんとモノ、現物を入れていこうとしたら、こんなになっちゃった(笑)。いくつか計算のパターンがあるんですけど、1番大きいやつだと1京通りで「なにそれ」という話になって、うちのQAチームが「1京通り、全部見られると思いますか?」と。無理に決まってるでしょ、こんなの。1個の組み合わせを1分で作ったとしても、1京分ですよ。無理!(笑)。そこはプログラム的にQAしていくことに切り替えました。

編: 実は1点だけ気になっていることがあるんです。リーダーパーツなど、一部のみ色変更ができないのは、なにか特別な理由があるんでしょうか?

竹内氏: やっぱり、そういったパーツは固定したほうがユーザーさんはうれしいんじゃないかと思って。

編: 真っ赤なコブンとか、ガングロのフランクさんとか。

竹内氏: 面白いかなぁとは思ったんですけどね。一応、他のパーツと組み合わせられるデザインにはしてあります。でも、フランクの腕だけつけても……。

編: ランクマッチについておうかがいしたいんですが、現状はバランス的にかなりバラツキが大きいように感じられます。初心者から上級者まで幅広い層がマッチングされますが、それは開発チーム的に大丈夫なんでしょうか?

竹内氏: 今のところ、ぼくら的には大丈夫じゃないのかなぁと思って、こういうマッチング構成にしました。やっぱり、上級者と遊べないってなると……言い方は悪くなるんですけど「ずっとそのクラスから抜けられない」という人も出てきてしまう。ある程度は上級者とやったほうが、そのテクニックを盗める、というのもあって。ただ、今後は色々と考えたいと思いますので、ユーザーさんからご意見を頂戴したいと思います。実際、ユーザーさんの意見は参考になります。

編: 盗むというと、グレネードの使い方とか?

竹内氏: グレネードは投げつけるものではなく、置いておくものだ、と。そういうのを上級者とやって理解した人もいますし。

編: グレネード3は、必然的にそういう使い方になりますね。

竹内氏: 1作目でそういう意見があったので「ロスト プラネット 2」ではグレネード3を用意していこう、というふうにしました。撃たれて追いかけてこられたとき、曲がり角に置いておくものなんです。ここに来るだろう、という想定で。

編: それがキューブマップだと、四方八方から降ってくる……。

竹内氏: そうなんですよね。グレネードは雨、天災です(笑)。キューブマップだと、みんなスタートから投げてません? あと、スナイパーがいつもポジションを取るところにカメレオングレネードを置いておいて、来たら起爆! みたいなのもありますね。結構スナイパーが有利かと思いきや、ある程度わかってスナイパーのポジションとか頭に入ってくると、そういう遊び方ができるようになります。「ロスト プラネット」シリーズは“知恵と勇気”で頑張る(笑)。メチャクチャ、裏をかけるように作ってます。

編: ここ数年、実績とトロフィーを重視するプレーヤーさんが増えました。そうした人たちから「このゲームは隠されている項目が多すぎる」という意見がありますが、これは意識してそうされている?

竹内氏: そうです。今回は、ずっと出さないかもしれませんね。気持ち的に……もう、見つけて欲しい。そういうのを見つけていくなかで、コミュニケーションというか、コミュニティに参加してほしい。ぶっちゃけ、どこかのブログやwikiに貼ってると思うんですよ。でも、そういうのを調べにいってほしい。そういうのもひとつの遊びじゃないかなぁと思っているんです。

編: とはいっても、メチャクチャ難しいのもありますよね? キルレート1とかムチャクチャですよ。どうしろと、声を大にして言いたい!! って、個人的な意見ですいません。

竹内氏: ガッツです!(一同笑)。意外と、そこは知恵と勇気ですよ。ただ「ロスト プラネット」チームの考え方なんですけど……「実績やトロフィーを、簡単に誰でも集められます」というのもいいんですけど、そういうゲームばっかりじゃ、世の中全部同じじゃないですか。いいじゃん、別にキルレート1。「不可能だよ!」っていう実績やトロフィーがあっても、それを解除してるユーザーがいたら「お前、強いな!」っていうのがわかるわけですよ。

編: でも、他にもランク1位とかあるじゃないですか。そんなの取れないッスもん!(一同笑)。そこに自分が到達できるとも思わないですけどね。

竹内氏: それは、憧れの称号でいいと思うんですよ。

編: でもコンプリートできる人は、たったひとりしか居ないわけですよね?

竹内氏: その人が“King of King”じゃないですか(笑)。そういう世界があってもいいのかな、と思ったんですよ。今回、そういうちょっとしたタグもあります。伝説の戦士のみが持てる専用タグ。



■ 他社作品「Gears of War」、「キルゾーン」と夢のコラボ

「Gears of War」マーカスとドム
「キルゾーン」ヘルガスト装備

編: 今回、マイクロソフト作品「Gears of War」やソニー・コンピュータエンタテインメント作品「キルゾーン」とコラボが実現して、嬉しかったこと、良かった点などを教えてください。

竹内氏: 「ロスト プラネット 2」でコラボレーションしたいという話をして「ダメ」っていわれなかったこと。

編: えー! 逆にダメって言われるケースのほうが少ない気も……。

竹内氏: いやいや、そんなことないですよ。ここで言えない話もあります。「Gears of War」、「キルゾーン」、どちらのチームも凄いなと。気持ちよく「いいよ」といっていただけて。ありがたいなぁと。

編: コスチュームを作る際、データなどは提供されたのでしょうか?

竹内氏: 作りにあたり、まったく違ったものにはしたくないので、正式契約のもとデータをいただいて、そのデータをベースに作っています。まごうことなき“本物”です。コラボするにあたり、映像もうちのほうで専用のものを作らせていただきました。



■ ユーザーの“ロスプラ愛”で、さらなるDLCの拡充も ~みんなで支えて盛り上げるべし!~

編: 6月3日から追加ダウンロードコンテンツ「バトルステージパック 2」が配信されていますが、その他にもダウンロードコンテンツは準備されているのでしょうか?

竹内氏: はい。「バトルステージパック 2」以外にも、コスチュームとか……ユーザーさんに「『ロスト プラネット』チーム、バカだろ!」って言っていただけるようなものを、ご用意したいと思っています。

編: “バカ”……ということは、シリアスだけじゃなくギャグも満載?

竹内氏: ご期待ください(笑)。できれば月イチでやりたいなぁとは思っているんです。徐々に。それにあわせてバランスパッチとかも検討していますし。

編: それだけ手間がかかっているとなれば、やはりDLCは有償?

竹内氏: あの……ぜひ……ファンのかたは買ってください! ネタはまだ用意しているんですけど、売上げによっては……というところがありますので。ビジネスである以上、どうしてもシビアなんですよ(泣)。ご要望が多ければ、色々やれるんです。売上げによって、やれるものの規模も変わってきますので……。ユーザーが増えれば増えるほど、好きになってもらえるほど、色々な展開がしやすくなります。ぜひギスギスせず、初心者の方には優しく接してあげていただきたい。玄人は玄人の部屋を立てるなり、ぜひコマンドコロニーでクランを作って、玄人同士ガチで!

編: その点、マッチングなども今後は変更されるんでしょうか? クラン同士で戦争とか。

竹内氏: そうですね。将来的には、そういうこともしてもらえればと思います。ただ、クランだけのコミュニティになっても困るので、今のところ、もう少し様子を見させて欲しいです。玄人の方々にお願いしたいのは、アビリティつけてなくても砲座に乗っていいじゃないか、と。データポスト戦で、立てるのが遅くてもいいじゃない、と。ボイスチャットで「こういうアビリティがあるんだよ、早く手に入れてね!」とサポートしていただければ、と。本当に知らないかもしれないし。

編: みんなで「ロスト プラネット 2」を支え、盛り上げていこう! と。

竹内氏: これから購入される方は、本当に怖がらずにオンラインにつないでみてください。今回は対戦だけじゃなく協力プレイがありますし、初心者に優しく接してくれる人も多い。まずはつないでみませんか? と。オンライン環境がない人も、今回は2画面分割モードが入っていますので、お友だちと一緒に遊んでみてください。

編: 本日はお忙しいところほ、本当にありがとうございました。最後のメッセージ、私も肝に銘じつつ今後もオンラインで遊ばせていただきます。



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(2010年 6月 29日)

[Reported by 豊臣和孝]