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特別対談:Baiyon氏 × 田中宏和氏
田中氏「『ゲーム音楽』って言われだした頃、ゲーム音楽と言われる事が嫌だった」


9月26日 収録



 弊誌では以前、「Indie VGM Roundtable」と題した特別インタビューを掲載した。アーティスト達が語るゲームと音楽の関係について取り上げたもので、「PixelJunk Eden」、「Flowery」などの音楽を担当したアーティスト達のディスカッションをお伝えした。正直なところアクセス数も伸びず残念な結果ではあったが、内容については“音楽”から“ゲーム”にアプローチした内容として興味深い記事だったと思う。

 このほど先般のインタビューを企画したJeriaska氏から新しいインタビュー企画として提供を受けたものを掲載する。今回登場いただいたのは、キュー・ゲームスからPS3用タイトルとしてリリースされた「PixelJunk Eden」を制作したBaiyon氏、そしてアーケード黎明期からファミリーコンピュータの時代、そして現在に及ぶまで数々の名曲を提供してきた田中宏和氏だ。田中氏の手がけた作品としては、「MOTHER (鈴木慶一氏と共同で手がける)」、「メトロイド」、「テトリス(ゲームボーイ版)」、「ドクターマリオ」など挙げればきりがない。

 インタビューの冒頭、音楽の話題からスタートし、制作のバックグラウンドや音楽的興味の話題が語られるが、ゲームの話題に話が及び、弊社読者にも楽しめる話題へと繋がっていく。ぜひともご一読いただきたい。





■ 今回のインタビューについて〜前章

 Baiyon氏はここ何年かの間にゲームデザインの世界へと足を踏み入れた京都を中心に活動しているグラフィックスアーティストでありDJでもある。彼は今年の「GDC 2009」、東京でのCEDEC、韓国ゲームカンフェレンス等、彼自身のアートおよび音楽ディレクターとして関わったキュー・ゲームスの「PixelJunk Eden」等を世界中に紹介している。

 今回、Baiyon氏は音楽とゲームという主題の下、聞き手としてクリーチャーズの社長・田中宏和氏と対談を行なった。田中氏はファミリーコンピュータ時代からゲームの音楽を手がける作曲家であり、「EXTRA HYPER GAME MUSIC EVENT (以下EXTRA)」においては彼自身のトラックのテクノリミックス等も披露した。両氏は独自のゲーム音楽をクリエイトするということや、DJとして自らの作品を新たな解釈でクリエイトし直してしまう等、他の作家達とは違った立場を共有するものどうしである。

 この対談はまず田中氏の音楽に影響を与えたレゲエやニューウェーブの影響力等に光を当て、その後ファミコン時代の曲、「メトロイド」や「ドクターマリオ」等をアレンジした「EXTRA」でのライブ演奏の話題へと移っていく。この対談はゲームにおける音楽の進化を紹介するものである。





■ 「バルーンファイト」のリズムスタイルはスライ&ロビーへのオマージュかもね(田中氏)

2008年10月に行なわれた「EXTRA HYPER GAME MUSIC EVENT 2008」にて演奏する田中宏和氏

Baiyon氏: 田中さんにとって「EXTRA HYPER GAME MUSIC EVENT」というイベントの魅力はなんですか?

田中氏: 僕がゲームの仕事を始めたのが1980年で29年前なんだけど、その長い時間のなかで、色んな世代のファンの人たちがいてくれたんだということを目の当たりにし、経験できた事が大きかった。仕事を始めた当時は「ゲーム音楽」という言葉もなかったし、ゲームメーカー同士、人の交流がほとんど無かったんだけど、このイベントをきっかけに、そういう人達とお酒を飲んだり話をする機会が増えた。当時の苦労話とか、それぞれのメーカーの傾向とかを話したりしてね。僕が任天堂にいた頃は、ほとんど周りの事を気にしてなかったから。

Baiyon氏: ライブ演奏と音楽制作の魅力に、違いはありますか?

田中氏: ライブは、音楽を大音量で楽しめるということに尽きると思う。あと、ゲーム音楽であれ、何であれ、みんなに聴かせて反応が良いとすごく嬉しいよね。音楽制作に関しては、とても地味で孤独な作業だけれど「神が降りる」じゃないけど……予期してないような、自分が自分でないような瞬間がたまにあって、そういう流れの中にいる時はとても幸せな気分になります。

Baiyon氏: ライブの前には念入りにリハーサルをしたりするのですか?

田中氏: いや、自分の場合は全然やらない。パソコンで音楽を演奏する時は、ほとんど当て振りをしてるようなもので(笑)。曲の順番とか曲間の繋ぎの部分をどうするか?みたいな事は丁寧に準備してる。で、その中で、エフェクトを使ったりしつつ、いかに肉体を注入できるのか、みたいな事にこだわってます。

 話は飛ぶけれど、実際に楽器を持って演奏してるのが、本当のライブ演奏だという価値観をどうしても持ってしまうと思うんだけど、必ずしもそうとは言い切れないのかなとも思ってて。その考え方に至った経験として象徴的だったのは、1980年代にあるバンドのライブ行ったときに、キーボードの人がメインパートの途中でパッと手を挙げたんだけど、音が鳴り続けてたんだよね……。その時、僕は「だまされた!」とは思わずに、「あ、自分が間違ってたかも」って思ったんですよ。

Baiyon氏: それは「ロック」な感覚に対するアンチテーゼみたいなものも含まれるんですか?

田中氏: いや、生演奏にも打ち込みにも実は境が無いんじゃないか?っていうコトだよね。

Baiyon氏: 「ニューウェーブ」や「クラブミュージック」等が好きと伺ったのですが、特に好きなジャンルはありますか?

田中氏: それは、あり過ぎて言い切れない(笑)。

Baiyon氏: ちなみにレゲエとの出会いは、いつ頃でしたか?

田中氏: 初めての出会いは18歳か19歳の頃だったと思う。たまたまあるお店に入った時にパスタを食べてたら、曲のパートがぶつ切りになって、深くエコーがかかったような曲がながれてきた。そのエコーのかかった音に合わせて体が勝手に動いちゃってたんだよね。皿を持ったまま(笑)。 それで「これはなんなんだ!?」っていうことになって、店の人に聞いたら、「これはジャマイカの音楽です」って紹介されたのがレゲエのDUBだった。

 同時期その頃好きだった「PIL(註1)」のベーシスト、Jah Wobbleって人がいて、彼の演奏スタイルもレゲエに影響を受けてたから、それから辿ってジャマイカの音楽にハマっていったっていう感じかな。パンクからブリティッシュ・レゲエそしてジャマイカ本土のレゲエ!って感じです。…それから30歳代までどっぷりレゲエにハマってた。

Baiyon氏。今回は主に聞き役に回り田中氏から興味深い様々な話題を引き出している

Baiyon氏: ちなみに、「On-U」とかはどうですか?

田中氏: もちろん聴いたよ。でも一旦ジャマイカの音楽を聴いてしまうと、まぁ「On-U(註2)」は「On-U」だね。という評価になっちゃうよね。

Baiyon氏: 実際にジャマイカに行った事はありますか?

田中氏: ジャマイカには行った事ないんだけど、「スライ&ロビー(註3)」と2回共演していて、それはすごくいい経験になったよね。

Baiyon氏: クラブにもよく遊びに行ったと伺ったのですが、どのようなジャンルに行っていたのですか?

田中氏: もちろんレゲエにも行ったし、レアグルーヴとかアシッドジャズとか流行ってた頃にもよく行った。たま〜にヒップホップも行った。ヒップホップに関して何が好きだったのかと言うと、とにかくそのリズムトラックのかっこよさにはまった。たぶん、ネタの選び方からリズムの組み立て方にスピードを感じるわけ。それはレゲエにも言えることで、ノリでやってるから相当適当なんだけども、それ以外選択肢がないくらいシンプルで唯一無なノリがある。

 1度、そういう連中とスタジオに入った事があるんだけど、3分でキックを決めてガーンと合わせて、「はい歌入れようぜ」って感じで、これはエネルギッシュだなって。あの即興性はすごいなぁって思った。

 今でもヒップホップはよく聞く。たとえば知らない事が多い中で、カッコいい!って想いだけで作ってた音楽と、情報が一杯ある中でじっくり練って作った音楽とは当然全然違うんだけど、経験とか情報が少ない中ノリだけで作られた音楽の強さは特別だと思う。また基本的に音楽に年齢は関係ないとは思うけれど、10歳代、20歳代の人間から生まれてくる音楽には特別のものがある!と最近つくづく感じる!

Baiyon氏: そういった経験がゲームにフィードバックされることはありましたか?

田中氏: 当然あった。たとえば「バルーンファイト」とか「レッキングクルー」のリズムスタイルとかは、基本的にスライ&ロビーへのオマージュかもね。



    (註1)「PIL」:1980年代を中心に活躍した英国のオルタナティブバンド。Sex Pistolsを脱退したJohn Lydonが中心となって結成された。「Public Image Ltd」の略。

    (註2)「On-U」:Adrian Sherwoodが主催する音楽レーベル

    (註3)「スライ&ロビー」:レゲエのリズムセクションとして有名なコンビ



■ はじめはゲームの中で音楽がずっと鳴っているのが嫌いだった

現在クリーチャーズの代表取締役社長を務めている田中宏和氏

田中氏: 「ゲーム音楽」って言われだした当時、ゲーム音楽って言われてる事がとても嫌だった。恥ずかしい感じがしたんだよね。ゲームの中で音楽がずっと鳴っているのが嫌いだった。ゲームは、自分がプレイする中でいろんな効果音が出てきて、それが混ざって全体で「ゲームの音」になる訳だから。僕は、効果音だけでゲームの音世界ができること、そういうゲームが好きだった。

 当時、印象に残ってる思い出だけど「メトロイド」の時には、始めからメロディを付けずに、最後の最後にだけメロディが流れるようにして、そこでようやく晴れた気持ちになれるようにって考えて作ったんだよね。2週間以上ずっと暗い音だけの世界でプレイして、1カ月後にクリアしてやっとメロディに出会えた……みたいな体験をして欲しいと思ってね。

 でも周りの人達からは、ゲームは娯楽なんだから、もっと楽しい音楽を流すべきだっていう意見もあったし、「ドラゴンクエスト」以降はメロディがあるのが当たり前って感じだったから、すぐに理解してもらうことは難しかったよね。今になってやっと、「メトロイド」の音楽良いよねって言ってもらえるようになって。20年かかったけど単に「ゲーム音楽」という事じゃなく、「音でそのゲームの世界を作る事」そういう姿勢を理解してもらえたんだなって最近感じたりしてます。

Baiyon氏: 「MOTHER」では、ミュージック・コンクレート(註4)やエクスペリメンタル・ミュージック(註5)のような音がたくさん出てきますが、それがすごく印象に残っています。SEとかも、とろっとろに溶けちゃってて。他のゲームミュージックには無いと思うんですよね。

田中氏: そういう印象も僕が基本「ゲーム音楽」っていう姿勢で取り組んでないからじゃないかなぁ。まず、なんとなく全体の音世界のルールを考える。場所や時間の関係性とか登場人物の関係性、たとえば敵と味方、善と悪とか。

 例えば「MOTHER2」でいうと、たとえばギーグが最も極端な敵だとしたら、その敵との距離間のイメージで各効果音とかBGMの特徴を決める。またそれとは逆のイメージの場所、人物だとしたら、「音の揺れ」を基本ルールにして、それに沿った印象で場所のBGMを作っていく。パワースポットなんかのあの少し揺れたスピリチュアルな雰囲気が漂ってるのはそういう自分で決めたルールにのっとって作ってた。

Baiyon氏: 音色で複線を張るようなイメージですか?

田中氏: そうですね。ま、全部を口で説明するのは難しいけども。

Baiyon氏: SEやMEといった、音に関する要素の全てを意識して構築するということですね。

田中氏: そうです。意識しない事はまず無いよね。例えばシューティングゲームだったとしても、バックで流れているメロディのキーに対して、効果音にも音程があるワケだから、音がぶつかっていても心地の良い音を選ばなきゃいけないんだよね。

 あと、ファミコンは容量の関係上、効果音が鳴ると音楽の音が1つ消えるわけだけど、効果音と音楽がぶつかる部分では、音楽の音符の前に短い休符を入れて音を微妙にずらして鳴らすみたいなことはしてました、細かい話だけれど。音の立ち上がりが心地よく感じるよね。

 あと、プログラムまでやって音楽を設計していたという意味では、他の会社と比べても特殊だったかも。他の会社はだいたい作曲家とプログラマーが別々な事が多かったと思う。

Baiyon氏。PlayStation StoreでPS3用タイトルとして配信中の「PixelJunk Eden (キュー・ゲームス)」を手がけたことで知られる

Baiyon氏: それも初めて聞いた時はびっくりしたんですけど、1人で音楽製作とハードウェアの音源開発の間を行ったり来たりしなきゃいけない訳ですよね。自分で楽器を作って、作曲して、また悪いところを修理して……みたいな。

田中氏: そうそう。音楽を鳴らすところまですべてをやってた。任天堂の初期は両方やってる人が多かったんだよね。

Baiyon氏: 例えばRPGで主人公が激しく感情を表すような場面の音楽と、パズルゲームのための音楽は違うと思いますか?

田中氏: 全然違うよね。RPGのようなゲームにはつまりドラマがあるから、そういう場合はちゃんと心情描写に沿ったものを作るように指示してる。パズルゲームだと、失恋してヒリヒリするような感覚は必要ないから、スリルがあるか無いかの違いを出すための、例えばジェットコースターに乗ってて、今は危ない!今は大丈夫だっていう感じの要素が大事だと思う。RPGの場合は、もっと言葉にできないような複雑な心情とかが音に現われてくるような感じ。

Baiyon氏: どっちが楽しいですか?

田中氏: どっちも楽しいね。でもまたゲームの仕事ができるとしたらRPGのようなゲームがいいですね。自分の中の引き出しを総動員できるし。機会あれば、またそういう仕事をやってみたいです。と言ったところで、いまの状況では無理ですけどね(笑)。ゲーム制作の現場はとても好きだったし楽しかったから、機会あれば。

Baiyon氏: 僕の場合は、感情表現からスタートする製作が多いので、例えばパズルゲームの曲ということになると、どんなものを作ったらいいのか混乱してしまうと思います。感情が乗る事によって変な意味がついたらおかしいですからね。だから両方の表現をやっているのはすごいなぁって思ったんですけど。

田中氏: まだ「Eden」しか見てみてないけど、他のアプローチで作ってみるのも面白いと思うけどね。

Baiyon氏: 僕もそろそろ、感情だけじゃなくて環境に合うような音楽を作ってみたいなっていうのがあります。

田中氏: そうなると効果音が楽しくなってくるんだよね。音がゲームにフィードバックされるから。

Baiyon氏: 効果音がゲームプレイに影響を与えるということですか?

田中氏: そうそう。ディレクターと一緒に、あらゆる要素をシンクロさせることができてくると更に面白くなると思う。



    (註4)「ミュージック・コンクレート」:様々な音を再構成し構築し電子的変化などをくわえるなどして作品として発表する技法の1つ

    (註5)「エクスペリメンタル・ミュージック」:実験的な音楽を総称するカテゴリ



■ やっぱ新鮮さを求めてるっていうのは常にあるよね (田中氏)

Baiyon氏: ちなみに、僕が「Eden」でコラボレーションをした有限会社キュー・ゲームスの社長のDylan Cuthbertとは任天堂時代に一緒だったらしいですね。

田中氏: Dylanはイギリスから3Dゲームの開発で来日した時に知り合いました。音楽もすごく好きだったみたいだった。でもゲームについての感覚は自然で……。

Baiyon氏: あの、面白いか面白くないかっていうことですよね。

田中氏: そうそう。彼は無理もせず常に等身大の仕事をしっかりしていてすごいなと思うんだけど。しかも常に前向きだし。経営者としても彼の姿勢がみんなによく伝わってると思うんだよね。

 1度会社を訪問した事があるんだけど、席の配置だとか椅子にこだわったり、休憩場の工夫をしたり、常に働く開発スタッフの目線、チームの事を考えてしっかり会社を運営してる気がする。すばらしいなと思うんだけど、やっぱりこういう人がゲーム会社を動かして、いい商品を作って、ずっと残っていって欲しいなぁと思うんだけどね。なんかいろんな事に関してピュアなんだよね。

Baiyon氏: そうですね。まるで子供のような部分とすごくしっかりした部分をあの人は持っているような気がしますね。

田中氏: そう。アイディアだけじゃなくて技術とアイディアのあいだを行ったり来たりするのが大事だと思う。

Baiyon氏: 話は戻りますが、例えば、感情が無い音楽を作れといわれたらどうしますか?

田中氏: それはやってみないとわからないと思うけど、感情が無いっていうのは難しいなぁ(笑)。

Baiyon氏: 誰も聞いた事がない音楽を作れ。と言われたらどんなものを作りますか?

随分むかしに弊誌でも田中氏にインタビューさせていただいたことがあるが、社内にはスタジオがあり所狭しと楽器が置かれていたことを思い出す

田中氏: 聞いた事がない?!それは難しいなぁ……なんて答えようか。でも「新しい音楽」って事は常に思ってる、毎回そういう曲が作れる訳じゃないけど、聴いてる側が新鮮だと思ってくれて、ガッと思わず身を乗り出してしまうような音楽が作れたらいいなぁと思ってます。

 音楽ってある人間が音に「始まり」と「終わり」をつければそれを全部「音楽」と呼んでいいのでは? と思ったりしていて。始めと終わりがはっきりしてないのは音楽じゃなくてただの音になっちゃうというか。音楽って不思議で、リズムの組み合わせだけでも昔の記憶を思い起こされたりするし、音楽が同じでもシチュエーションで感じ方が変わる事もあるだろうし、音楽をどう感じるかって、その人の記憶と深く関係してるし。

Baiyon氏: 自分で聞いておいてなんですが、100%聴いたことが無い音楽っていうのは、そもそもこの世に存在してるのかっていう気がするんですよね。音楽の歴史を通して共通した何かがあるからこそ、みたいな事がある気がします。

田中氏: そうだね。で、やっぱ新鮮さを求めてるっていうのは常にあるよね。毎日お茶漬けばっかり食ってたらそれを毎日うまいって思う人はあんまりいないと思うんだけど、それに近いかもね。わからないけど(笑)。

Baiyon氏: そうですね。クラブミュージックでも、時代の移り変わりを表してるのはリズムとベースだけで、その違いがドラムンベースやテクノになったりしているワケですから、その上に乗せる音を普遍的なエッセンスとして加えていく方法がいいのかなぁと思います。

田中氏: 確かにその通りだと思う。

Baiyon氏: 最近のソフトは触ったりしますか?

田中氏: 基本は「Performer(註6)」か「Logic Studio(註7)」かな。「Logic Studio」は外部音源が使いにくいんだけど、慣れてきたらソフトシンセだけでも何とかなるものだなって。あと、最近は「Ableton Live」も使います。

Baiyon氏: ソフトシンセは何を使ってますか?

田中氏: 「Native Instruments」の音源とかシーケンサーにデフォルトで付いている音源とか。

Baiyon氏: 「Reactor」とかは?

田中氏: あぁ、使ってみたいけれどよく理解できてない。

Baiyon氏: 機材1つで全然違う音楽になったりしますよね。

田中氏: そうそう、コンピュータを毛嫌いする人もいるかもしれないから人それぞれだけど、何らかの技術革新があって、それによって自分も変わるし聴いてる側も変わるから、自分はこの変化の中を生きていて楽しいなぁ、と感じる。

Baiyon氏: 機材からの影響もありますけど、場所や生活環境で音楽が変わるということはありますか?

田中氏: それはぜったいある。ないとおかしい。僕は都会の方がいいみたいだよ。仙人みたいに山の中にいてもいいけど、そういうところだと音楽が作れない気がする。と言うか作らないと思う僕の場合。

Baiyon氏: 周りの人間との関係がないとアイディアが湧かないという感じですか。

田中氏: 刺激というか自分の中の「感情」が動かないとね、音楽に行かない気がするなぁ。

 あと、みんな苦笑するかもしれないけれど、年齢を重ねると若い頃と較べて身体の感度はどんどん落ちてる。けれど、それを埋めるかのように今は若い頃よりたくさん音楽を聴いている。多分、感度が落ちた分、分け隔てなく様々な音楽を楽しめてる気がする。食事と舌の関係に近いよね。あとゲームに関しては、視力が昔ほどは良くないから正直しんどいというのはあるよね。でも音楽だったら無理しなくても聞こえてくるし、これが耳が遠くなったら次元が違う場所に行ってしまって、「山が〜」とか「風が〜」とか言ってるかもしれないけど(笑)。

 音楽は全身で楽しめるからね。そういうことって大きいなって思う。音楽をするという事と生きる事はすごく密接につながってるって言う事も最近思う。だから音楽以上にまずは……。

Baiyon氏: 健康の事(笑)。

田中氏: そうそう(笑)。ただのおじいちゃん話みたいだけど、そういうこともクールに伝えて行きたいと思うよね(笑)。

    (註6)「Performer」:米Mark of the Unicornの音楽制作ツール。MIDIシーケンサー、デジタルオーディオワークステーションソフトとして古くから存在する

    (註7)「Logic Studio」:米Appleの音楽ツール。

 この記事は英文に翻訳され「GameSetWatch」、「Gamasutra」など海外のサイトにて掲載されています。英語版インタビュー記事の翻訳はカオル・バートランド氏によるものです。バートランド氏の最近の翻訳作品としては、EAの「FIFA 08 日本語版」、SCEJ「ラチェット&クランク FUTURE」、「LEFT 4 DEAD 2」などがある。




(2009年 12月 11日)

[Reported by ジェリアスカ]



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