発売元 マイクロマウス
ポーランドのゲームデベロッパーTechlandの新作レースシミュレータ「Xpand Rally」のPlayable Demo。3年前にECTSで「Pet Racer」を見たときはまだまだという印象が拭えなかったが、バイクレースシム「FIM Speedway Grand Prix」、アクションシューティング「Chrome」で実績を積み上げ、ついに「Xpand Rally」で一気に開花した印象。レースファンなら一見の価値ありだ。
「Xpand Rally」は、ラリーレースをモチーフにしたレースシミュレータ。Codemastersの「Colin McRae Rally」シリーズのようにオフィシャルのラリーレースやラリーカーをモチーフにしているわけではないが、方向性としては完全にリアル系で、レースとリプレイの両面から実に臨場感の高いレース体験を堪能することができる。
中でも抜群の出来映えなのがグラフィックス。「Xpand Rally」のグラフィックスエンジンは、同社の前作に相当する「Chrome」のものをブラッシュアップした「Crome Engine 2004」が採用されている。Codemastersが「Colin McRae Rally 3」からコンソール向けにシフトして以来、新しいグラフィックスエンジンの開発を怠っている間に、Techlandが一気に追い抜いた印象だ。
いくつか具体例を紹介すると、まず、陽光やヘッドライトの眩しさを表現するためにHDR(High Dynamic Range)レンダリングを多用している。適用範囲はラリーカーのボディだけでなく、路側の看板や建物などオブジェクト全般で、夜間に至ってはヘッドライトで路側の雑草までが美しく輝く。わずかな月明かりも正確に反映されるのは驚くばかりだ。
そしてHDRレンダリングと密接に関連して、ボディに対する環境マッピングも実に芸が細かい。ボディに映り込む映像はフェイクではなく、視点に対応してステージ内のあらゆるオブジェクトや風景が正確に映り込む。ダートコースでは、ボディに埃が付着し、徐々に映り込みがぼやけてくるが、その付着した埃はバンプマッピングでざらざら感を表現しつつ、さらにその上に環境エフェクトをかぶせている。こうした2重、3重にも及ぶリッチな環境エフェクトをリアルタイム処理するラリーレースは見たことがない。
外部視点から眺めた映像も適度にぼかしを入れ、空気感がうまく表現されている。これはリプレイ時に、ライブ映像を見るかのような絶大な効果をもたらしている。なお、レースゲームにしては珍しくLODまで導入しているため、路側のガードレールは波を打つように動いて見えるし、遠景もちらちらして落ち着かない映像になっている。LODに関しては評価がわかれるところだろう。
さて、Demoでは3つのコースをライバルカーとゴーストカー相手に走行することができる。マルチプレイには対応していないが、時間や気候の設定が可能で、シチュエーションを変えて何度も楽しめる。肝心要の挙動については、ややもっさりした感じで、デジタル入力でも難なく操作できるレベル。ラリーカーのカスタマイズもある程度可能なので、Demoとはいえ相当やりこめそうだ。
メーカーの意向により、一時DEMO版の配信を見合わせております。
申しわけございませんが、ご了承下さい。
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