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【連載第137回】 あの、おもちゃを徹底レポート




アナログレコードやソノシートの情感を味わえる
バンダイ「8盤レコード専用ポータブルプレイヤー」

8盤レコード専用ポータブルプレイヤー
発売 バンダイ
価格 2,980円
電源 アルカリ単3電池×4(別売)
発売日 発売中



 音楽好きならご存知だろうが、今は「8センチ」が熱い。とても熱い。音楽で8センチといえば、まず思い浮かぶのが8センチCDだ。かつてはシングルCDに用いられていたメディアだったが、ジャケットの製法などに難があり、やがてその座を12センチCDの「マキシシングル」に奪われていった。

 そんな8センチメディアがなぜ今、再び脚光を浴びているのかといえば、きっかけは食玩にある。グリコがリリースした「タイムスリップグリコ 青春のメロディーチョコレート」が大ヒットを記録したからだ。タイガースの「花の首飾り」から松崎しげるの「愛のメモリー」、そしてYMOの「ライディーン」まで時代を象徴するレコードを、8センチCDで復活させるというコンセプトで、ジャケットはもちろん、歌詞カードや中袋、レーベルまでを完璧に再現し、うるさ型のマニアをも黙らせるクオリティを実現。以来、8センチCDの食玩が続々と発売されるようになった、というわけだ。

 今回紹介する「8盤レコード専用ポータブルプレイヤー」は、そうした“8センチブーム”から生まれた商品ながらも、独自の仕様となっている。メディアがCDではなく、なんとアナログレコードなのだ。しかも専用のプレーヤーが同時に発売され、アナログならではの再生音を楽しめるという。


最初のラインナップは「朝日ソノラマ」と「おニャン子」

 それ以上の前知識を持たずに購入したのだが、店頭で価格設定に驚かされた。なんとレコードプレイヤーの価格が、2,980円なのだ。安い、安すぎる。親にねだってもなかなか買ってもらえず、ひたすらレコードプレーヤーに憧れを抱いていた子どもの頃を思い出し、感慨にふけってしまった。

 プレーヤーと同時に対応レコードも発売された。レコードは、現在は「朝日ソノラマセレクションPART1」と「おニャン子クラブシングルメモリーズPART1」の2シリーズがあり、それぞれ多数のレコードが発売されている。価格は1枚350円で、フルセットが収めれたBOX買いも可能になっている。

 おニャン子クラブが流行っていたころはさすがにCDプレーヤーを持っていたよなあという個人的な思い出もあり、「おニャン子クラブシングルメモリーズPART1」にはいささかの疑問があるのだが、「朝日ソノラマセレクションPART1」は大変魅力的に感じる。'60年の中ごろ'70年にかけて発売された朝日ソノラマのレコードをそのまま復刻するというコンセプトのシリーズで、ラインナップは実に絢爛豪華だ。

    ●特撮
    「ウルトラQ」
    「ウルトラマン」
    「キャプテンウルトラ」
    「マイティジャック」
    「仮面の忍者赤影」
    「ジャイアントロボ」

    ●アニメ
    「ハクション大魔王」
    「みなしごハッチ」
    「マッハGOGOGO」
    「サスケ」
    「宇宙エース」
    「宇宙少年ソラン」
    「あらあグズラだど」
 それぞれのレコードは、シリーズごとのパッケージに収められており、中に何が入っているのかわからないようになっている。筆者は「朝日ソノラマセレクションPART1」と「おニャン子クラブシングルメモリーズPART1」をそれぞれ1枚ずつ購入した。また初回に限り、「8盤レコード専用ポータブルプレイヤー」に「朝日ソノラマセレクションPART1」が1枚同梱されているので、ひとまずは3枚楽しめることになった。


ジャケットの裏面からレーベルまでを忠実に復刻

 まずは「8盤レコード専用ポータブルプレイヤー」からチェックしてみよう。デザインは、懐かしさを全面に押し出した味付け。白と赤のカラーリングが往年の子ども向けのレコードプレーヤーを彷彿とさせ、思わず目頭が熱くなりそうになった。持ち運べるように取っ手が付いているのもいい感じだ。

 それにしても本当にこれで2,980円なのかと思うと、やはり驚きだ。子ども向けのレコードプレーヤーに似た外見ではあるが、その中身は実に本格的。スピーカーはモノラルながらボリュームコントローラーと、曲のテンポを変えられるピッチコントローラーも付いている。アームの先には付いている針は、磨耗したら市販のレコード針と交換可能なのだという。

パッケージ。お洒落さを交えた小粋なデザインになっている 本体の雰囲気は、往年の子供向けプレーヤーを彷彿とさせる レコード針は交換可能というのだからうれしい限り
上がピッチ、下がボリュームコントローラーになっている 電源はアルカリ単3電池4本。背面に収納する ちなみに本体のサイズは、単行本よりもコンパクトだ
取っ手をつかめば気軽に持ち運ぶことができる もちろんアームは手動式。こうした行為のひとつひとつが懐かしい

 本体のプレーヤーが“懐かしさ”と“本格さ”を併せ持ったコンセプトだけに、対応レコードもかなりの力作だ。ちなみに筆者の「朝日ソノラマセレクションPART1」を空けてみると、「マイティジャック」と「宇宙エース」だった。(「ウルトラマン」が欲しかったのでちょっと残念……)。

 表のジャケットはもちろん、裏のジャケットまでもが忠実に再現されている。また朝日ソノラマのレコードの特徴でもあった絵物語もきちんと復刻されている。レコードは、レーベルがオリジナルそのままで、盤全体のカラーも当時のようにクリアカラーになっている。厳しい目でチェックをすれば、多少の違いはあるのだろうが、懐かしさを味わうには十分過ぎる出来栄えだ。ちなみに8盤はソノシートのようにフニャフニャではなく1mm近い厚さとなっている。そういった意味では最近のレコード慣れしていない人でも扱いやすいと思われるので、その点は安心して欲しい。

「朝日ソノラマセレクションPART1」パッケージ 「おニャン子クラブシングルメモリーズPART1」パッケージ

「宇宙エース」のジャケット(左が表面。右が裏面) 「宇宙エース」のレコード。クリアーレッドだ

「マイティジャック」のジャケット(左が表面。右が裏面) 「マイティジャック」の盤面。こちらはグリーンだ

「マイティジャック」のジャケットの裏面に印刷されている歌詞や絵物語もきちんと再現

 「おニャン子クラブシングルメモリーズPART1」を開けてみると、新田恵利の「不思議な手品のように」が出た。こちらも上々の出来栄え。オリジナルはいわゆるドーナツ盤の仕様で、盤面の中央に大きな穴が開いているのだが、それもきちんと再現されていた。こうしたドーナツ盤を再生する場合は、「8盤レコード専用ポータブルプレイヤー」に付属のアタッチメントを使用する。

「不思議な手品のように」のジャケット(左が表面。右が裏面) 「不思議な手品のように」の歌詞カード

中袋も当時のものに忠実に作られている レコードは、オリジナルのスタイルに合わせて、ドーナツ盤と通常盤の2種類がある



ノイズ交じりのモノラルサウンドが妙に心地いい

 さて、そろそろ再生してみようか。「8盤レコード専用ポータブルプレイヤー」に、「マイティジャック」をセットする。パワーコントローラーをオンにすると、ターンテーブルが回転をはじめた。そうそう、レコードプレーヤーって電源を入れるだけでターンテーブルが回りだしたな……と忘れかけていた記憶が蘇る。アームを指で持ち上げて、レコードの端に慎重に降ろす。クッー。今の今まで忘れていたけれど、何とドキドキする行為なのだろうか。

 1~2秒の静寂のあと、「パチパチパチ……」というスクラッチノイズが鳴り始め、「マイティジャック」のテーマが高らかに鳴り響いた! 想像していた以上に音質はいい。再生される音はモノラルだが、スクラッチノイズと混ざり、絶妙な雰囲気をかもし出している。レコードプレーヤーを活用していたころは、このスクラッチノイズが大敵で、少しでも減らすように四苦八苦していたのに、時が過ぎた今ではいい効果音だ。
 アナログレコードならではの暖かいサウンドに、モノラルならではのふくよかさが加わり、とても心地よい。しばらく耳を傾けていたら、お酒を飲みたくなってきた……。

 今後も対応レコードは続々と発売される予定だ。興味深いところでは、3月中旬に「ひらけ!ポンキッキヒットパレード」が、5月中旬に「オールディーズ THE BEST PART1」、そして6月中旬には「朝日ソノラマセレクションPART2」が登場する。こんなに豊かなひと時を過ごせるのなら、筆者も愛用しようかな、と思っている。

(C)BANDAI 2004
(C) 1966,1968 円谷プロ (C) タツノコプロ


□HMVジャパンのホームページ
http://www.hmv.co.jp/
□バンダイのホームページ
http://www.bandai.co.jp/
□「8盤レコード専用ポータブルプレーヤー」
http://www.bandai.co.jp/releases/J2003090101.html
□「8盤レコード」のページ
http://8-ban.com/
□関連情報
【2003年9月2日】バンダイ、プレーヤーとともにレコードを復刻
シリーズ第1弾は「朝日ソノラマ」を復刻
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030902/bandai.htm
【3月1日】HMVジャパン、限定「8盤レコード専用ポータブルプレーヤー」
発売記念イベントで、元おニャン子クラブの新田恵利さん来場
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040301/hmv.htm


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(2004年3月4日)

[Reported by 元宮秀介]


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